アルチュカリドからナーラロゥの森を抜けて北に進むと、大陸を二分する竜と名付けられた山脈が見えてくる。
その山脈を縦断する帝国貿易路の入り口にして、豊富な鉱石の鉱床に恵まれているのがウィンザーミアである。
この地は対帝国防衛の最前線であり、同時に貴重な鉱物資源の産地でもある。
現在のローランディア大陸北部は広く帝国の領土であるが、数百年前は大陸北部は中小の国が乱立する戦国時代であった。
その戦乱を制したのがザルゼリア帝国であり、当時は北の国家も都市国家同盟に加盟していた国はあったが、ザルゼリアはそれを次々と攻め、自国領に取り込んでいったのである。
その後も食料の生産力に乏しい帝国は、王国・中央・東域と戦火を広げて回ったが、天然の防壁である大陸を二分する竜に守られる形で国境線は一応の落ち着きを見せている。
だが、帝国がいつ攻めてきても即応できるように、この街は常時、大規模な兵力が常駐している。
と言ってもこの地の兵士は、普段は鉱夫として働く者が多く、専門の兵士ではない。
しかし、ドワーフやノームを主とする猟兵団はアルチュカリドの重装騎馬兵、ナーラロゥのエルフ弓兵と並ぶ、精強な兵団である。
一見鈍重なドワーフやノームだが、その持久力は他の種族に大きく勝り、第八次南征において帝国を撃退した彼らは連戦の戦の後にも拘らず、朝の日の出と共に鉱山に潜っていったという逸話が残るほどである。
また、山越えの交易路の入り口であり終点であるこの街は、行商人のための山岳案内や宿場も備えている。しかし行商人と言えど、それが帝国の間諜や潜入兵ではないかという疑いは常に持っているようで、越境者の入国審査は他に比べると厳しいという。
そのため、帝国からの亡命者の受け入れには否定的な風土を持つ。
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