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 『レオン』(仏題:Léon、米題:The Professional)

ストーリー


以下は「完全版」のストーリー内容である。
 

ニューヨークで孤独に生きるイタリア系移民のレオンは、プロの殺し屋として、表の顔はイタリアレストランの経営者で、イタリア系マフィアのボスであるトニーを介した依頼を完璧に遂行する日々を送っていた。

ある日、「仕事」帰りのレオンはアパートの隣室に住む少女マチルダと、彼女の顔に父親からの暴力の痕があることをきっかけに知り合う。マチルダは実の父親であるジョセフだけではなく、義姉のジョアンからも虐待を受けており、義母のマージからはまるで関心を向けられず、幼い弟マイケルにしか心を開けない、閉塞感に満ちたまま日常を送っていた。父親に殴られて鼻血を出しているマチルダにレオンがハンカチを差し出す。「大人になっても人生はつらいの?」と尋ねるマチルダに「つらいさ」と答える。

その翌日、ジョセフが麻薬密売組織の「商品」を横領したことを見抜いたスタンスフィールドとその一味がアパートに乱入し、スタンスフィールドはマージやジョアンを容赦なく射殺。スタンスフィールドは薬の在り処を問い詰めるが、ジョセフが一瞬の隙を見て銃を取ったことから銃撃戦となり、手下の一人が撃ったマシンガンの銃弾がアパート内を乱れ飛ぶことになる。現場は蜂の巣になり、撃たれたことに激昂したスタンスフィールドがジョセフにシリンダーの弾を全部撃ち込んでいる頃には、すでに4歳のマイケルは流れ弾を浴びて死亡していた。レオンのためにいつもの2パックの牛乳を買いにでかけ、運良く難を逃れていたマチルダは、帰ってきた頃には家族全員を皆殺しにされていた事を知る。マチルダはとっさに隣室のレオンに助けを求め、レオンはしばし逡巡した後に彼女を保護する。

巧みな駆け引きを駆使し、弟の復讐のため殺しの技術を学ぼうとするマチルダは「ボニーとクライドや、テルマとルイーズのみたいにコンビを組もう」というが、レオンは殺しの腕は一流ながら学がない。「根が地面についてないということが自分と同じだ」という理由で、鉢植えの観葉植物だけが友達のレオン。奇妙な同居生活を始めた二人は、やがて互いに心の安らぎを見出すようになり、複雑な感情と信頼を抱いていく。

ある時、マチルダはスタンスフィールドが麻薬取締局の捜査官であることを突き止める。密売組織の背後には、スタンスフィールドを始め、麻薬取締局が絡んでいたのだ。ピザの宅配を装い麻薬取締局に侵入するも、スタンスフィールドに早々に察知され逆に捕まってしまうマチルダ。奇しくも、レオンもマチルダのために、マチルダの一家の殺害に関与した麻薬取締局の捜査官への復讐を始めていた。1人を始末して帰宅したところ、マチルダの置手紙により、マチルダが麻薬取締局にスタンスフィールドを殺害しに行ったことを知る。レオンは早速麻薬取締局へ乗り込み、拘束されていたマチルダを取り返し、一味の内2人を殺害する。

一方スタンスフィールドは、トニー配下の殺し屋が仲間の捜査官を殺害しているのだと目星をつけ、トニーを詰問しに出向く。実はスタンスフィールドこそが、今までトニーを仲介役にレオンに殺しを依頼してきた元締めであった。

全てはレオンの仕業であると確信したスタンスフィールドは、次の日の朝、警察の全部隊を動員してレオンの住むアパートを包囲、突入させた。レオンは激しく抵抗し、その戦いの中マチルダを脱出させることに成功する。マチルダとはトニーの店で落ち合うことにし、レオン自身は負傷した突入部隊員に扮し脱出を試みるもスタンスフィールドに見破られ、あと一歩のところで射たれてしまう。だが虫の息の中、身に着けていた手榴弾のピンを抜き、スタンスフィールドを道連れにレオンは爆死する。

一人残されたマチルダは、トニーに殺し屋の修行をさせて欲しいと頼むが、断られる。レオンの遺産はレオンの意志により、トニーが管理して少しずつマチルダに渡されることになる。

マチルダは学校の寄宿舎に戻り、レオンの形見となった観葉植物を学校の庭に植えるのだった。

備考


屋外のシーンは全てアメリカ合衆国のニューヨークで、アパート屋内のセットを使ったシーンはフランスのパリで撮影された。

  • 後に『TAXi』シリーズで一躍有名となったサミー・ナセリが、本作にはSWAT隊員役として出演。その演技から、ベッソンの目に止まることになった。
  • ジャン=ユーグ・アングラードが、完全版のみに麻薬の売人役でカメオ出演している。
  • ラストシーンの曲は スティングの『シェープ・オブ・マイ・ハート』で、ギターがラストシーンから流れ始めエンドロールでも曲が流れ続ける。スティングの『アット・ザ・ムービー』の中に収録されている。

 

作品解説


リュック・ベッソンのハリウッド初監督作品。会社側はそれほど重視していない作品であったが、『レオン』は予想を上回る大ヒットと批評家からの高評価でリュック・ベッソンの代表作となり、ジャン・レノとナタリー・ポートマンもこの作品でブレイクした。

ベッソンは本作を、初期の作品『ニキータ』で描いたテーマを英語で描いた別バージョンであるとしている。特に主人公レオンのキャラクターは『ニキータ』の登場人物「掃除屋」から継承されており、ベッソン自身レオンは掃除屋の血族であると言及している。

ベッソンは2011年にも父親の復讐のために殺し屋となる女性を描いた『コロンビアーナ』を作っている。『レオン』ではレオンに学がなくマチルダを学校に通わせたがっていたし、『コロンビアーナ』ではおじが殺し屋には学が必要だと学校に通わせる。

 

完全版(INTEGRAL VERSION)


監督自らが22分間の未公開シーンを加えたエクステンデッド版。『ディレクターズ・カット版』とも呼ばれている。追加されたシーンにはマチルダの強い主体性やレオンの過去、より実用的なマチルダの暗殺の練習などが描かれており、オリジナルとはレオンとマチルダのキャラクター、二人の関係の印象が少なからず異なっている。正確にはこちらが本来のオリジナル・バージョンであり、監督が本当に公開したかったものであったが、事前の試写会にかけた際、マチルダを実際の現場まで連れて行って暗殺の訓練をするシーンや、大人の男性と幼い少女が愛の言葉を交わしたとか、観衆の一部から「刺激的すぎる」「不健全である」との声があったため、やむ無く問題シーンをカットし、劇場では表現を抑えた『不完全版』が公開されることとなった。

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