狂歌百物語(縁切榎) - いにしえwiki
切る 為に煎じた 榎の葉 濃き茶に水を 差すたぐひなり(蟻賀亭皺汗)005.板橋の くゞつに秋の 風立ちて 縁きりぎりす 榎にぞ鳴く(秋田舎稲丸)006.琴を断つ 斧の刃さへも 当てぬ木に 縁の糸筋 切る榎かも(注連しめのや春門)007.秋風の 立ちて夜寒の 絵馬さへも 背中合せ
切る 為に煎じた 榎の葉 濃き茶に水を 差すたぐひなり(蟻賀亭皺汗)005.板橋の くゞつに秋の 風立ちて 縁きりぎりす 榎にぞ鳴く(秋田舎稲丸)006.琴を断つ 斧の刃さへも 当てぬ木に 縁の糸筋 切る榎かも(注連しめのや春門)007.秋風の 立ちて夜寒の 絵馬さへも 背中合せ
嫁入は よき玉姫と 行列の 夜をまつ崎に すゝむ狐火(雛好)002.賑はしく 数見ゆるほと 淋しさの まさるは野辺に ともす狐火(草加篠田 稲丸)003.はふかれて むれをはなれし 狐火は 何国の馬の 骨やもやせる(和木亭仲好わぼくてい なかよし)004.くたかけの 油鶏をや 餌
米の菩薩の 力にて お札の糊が 恐き幽霊(陽月舎)023.守り札 へがされたるは 日数へて 修ずしたる法のりや 薄くなりけん(草加 四豊園稲丸)024.門口の 手形の札を へがせしは 箱根地獄へ 帰る亡者か(春の辺道艸)025.頼むべき おでんは逃げて こんにやくの 震へる札に
目に見ゆる 光物 保田ほたの慈顔の 御手よりや出し(秋田舎稲守)016.見れば地に 入らんとばかり 光り物 是も奈落の 底よりや出し(草加 稲丸)017.月星の 光り奪うて 光り物 あと眩まして 行衛白浪(信濃梨沢 玉鉾舎道丸)018.木にもあらず 竹にもあらず 竹藪を 飛びしは
日を 忌日となして 弔はん 神の隠せし 業わざと思へど(坂槻)011.人の子を 己が子にする 蜂に似し 腰細き子を 隠す神かも(草加 四豊園稲丸)012.家やの棟に 草履を残す 神隠し 足を穴にぞ 惑ふ垂乳女たらちめ(槙の屋)013.爪ならぬ 隠したまへる 神ゆゑに 能ある人と
花に七つの 影を見つ 滅ぶ相馬の 新内裏跡(仙台松山 千澗亭)010.湊川 石になるてふ 楠が 朽ちたる名こそ 世に流れけり(草加 四豊園稲丸)011.功しの 名をば残せし 湊川 流れての世も 薫る菊水(泰山堂静居)012.いにしへの 鑓長刀やりなぎなたを 掘り出して 手どりぶ
)010.一ツ星 ほど光る目は 化物の 長者が遣ふ 丁稚なるらん(舟唄)011.諺に 鬼子といふは 怖ろしや 二親に似ぬ 一ツ目小僧(草加 稲丸)012.一ツ目を 二目ふためと見ずに 駈け出して 下駄の三ツ目の 鼻緒切るらん(上総大堀 花月楼)013.酒樽を 枕に醉ゑひも すぎや
如何なれば 青き火をしも 見する五位鷺(江戸崎 緑亀園広丸)008.位ある 稲荷の森を 離れずて 住むは禰宜ねぎにも 似たる五位鷺(草加 稲丸)009.提灯に 化けしぬる鳥は 蔵人の 六位の上を のぼる五位鷺(糸道)010.火をともす 夕べは小田の 五位鷺も 一本足で 立てる燭
て 気も荒木田の 土蜘は 人さへ壁に さげすみてゐる(銭のや)010.あらがねの 土蜘洞を 出づる時 砂いさごを飛ばす 汝うぬが妖術(草加 稲丸)011.坊主にも 化けし姿を 袈裟斬りに なりし昔を しのぶ土蜘(京 花兄)012.斬らるゝと 知らでぞ覗く 土蜘は 囲む碁盤の 目を
首 われ人ともに 延び上がりけり(一本柳 壺済楼小瓶)021.寐みだれの 長き髪をば 振り分けて 千尋ちひろに延ばす 轆轤首かな(草加 篠田稲丸)タグ一覧: カウンターページ全体:今日:昨日:
ふる 古井戸に 青紅あをくれなゐの 鬼火燃えけり(弓の屋)031.さらさらと 雨のふる夜は 消えぬだに 猶袖ぬらす 皿屋敷なり(草加 四豊園稲丸)032.皿屋敷 さらに姿は 見えねども 声はなゝ八つ 九つの鐘(於三坊菱持)033.ぞつと吹く 秋風寒し 番町に 聞く拍子木の 数も九
ちらで腹を 立て地蔵 数へる度に 数の違ひて(一草庵多か丸)006.女にも 化けて出でぬる 石地蔵 堅いものとは 思はざりけり(草加 四豊園稲丸)007.有りがたき 御代の御影の 石地蔵 閼伽あかの水のみ 化ける大いそ(紫の織人)008.草深き 野島に化ける 地蔵見て 狐狸も お
りて なまぐさき 風物凄く 荒るゝ魚河岸(檜園)008.八十嶋やそしまを 下ろす魔風に なやみしと 人にも告ぐる 蜑あまの釣舟(草加 四豊園稲丸)009.吹き荒るゝ 第六天の 魔王風 瓦の鬼も 地には落ちけり(元照)010.魔の風を 起し雲をも 起しつゝ 大木と竹は 寐かす激しさ
よりて 見てゆかん 尾ろの鏡の 山のやまどり(草加 四角園)013.惑はして 人を蟇目ひきめの 山鳥は 汝なれしだり尾の したり顔なり(仝 稲丸)014.山鳥は 己が尾のみか □□して 人をも長く 引きてゆくらん(讃岐黒渕 秋光)015.猟人かりうども つい撃ち兼ねし 山鳥は 玉
頭かうべに宿る かみや川 獺てふものや 潜み居るらん(菱持)010.川に住む ゆゑにや火にも 焼けざるは 宜むべも火水に 強き川獺(草加 稲丸)011.鵜飼舟 かへれば月を 篝かがりにて 岸の小魚を あさる川獺(仙台松山 千澗亭)012.薄氷うすらひの 張りし三谷の 川獺に 驚
種とて 筑紫潟 浪のうねうね 燃ゆる不知火(綾のや)010.八汐路やしほぢの 道しるべとも なりぬるを 誰たが不知火と 言ひ始めけん(草加 稲丸)011.漁すなどりし 魚うをの油や 燃ゆるらん 筑紫の人も わけはしらぬ火(喜樽)012.腰蓑に 心尽しの 蜑人あまびとは 燃ゆともし
飛龍001.蓮はちす生おふ 池の鯉もや 富士の嶺ねの 砂いさごを飛ばす 龍となりけん(草加 四豊園稲丸)002.潜まりて 翼得る日を 松浦川まつらがは 龍立ちのぼる 領巾振山ひれふるのやま(宝遊子升友)003.湖に 住みたる鯉や 一夜さに 富士を飛び越す 龍となりけん(花前亭)0
八幡知らずの 藪の内 日の足のみぞ 差し入るゝなり(三輪園甘喜)019.昔より 八幡の藪へ 入る人の 出たといふのも 知らずなりけり(草加 稲丸)020.人皆の 恐る八幡の 藪の中へ 踏み込むものは 雨の足のみ(夜宴)021.知らざると 言へる八幡の 藪の辺に 道問ふ石も 見ざる
髪洗ふかと 水の面おもに 映る柳の さかさ幽霊(上総大堀 花月楼)026.逆さまに 奈落へ落ちし 女かも 其儘迷ひ 出づる幽霊(草加 四豊園稲丸)027.己が罪 出来て如何いかでか 幽霊は 逆さに人を 恨むなるらん(惟孝)028.雪に猶 たわむ逆さの 女竹 真白く軒へ 下がる幽霊
を呑み 木の実を喰ふ 山姥は 衣も秋の 錦なりけり(楽亭西馬)009.群がりし 烏天狗の 巣をも取る 子を持つ姥や 鼻は高かる(草加 四豊園稲丸)010.佐保姫と 霞男の 連れ立つを にこにこ笑ふ 春の山姥(上総大堀 花月楼)011.木の葉のみ 衣に縫へる 山姥は 松葉の針や 遣
追はるれば 那須野に落ちて 石となりなむ(東海園)003.那須野へと 飛ばぬ内から 祈られて 玉藻の顔ぞ 青石あをいしの如ごと(草加 四豊園稲丸)004.化けすがた 獣偏けだものへんに 爪紅つまべにを さして玉藻の 美しきまで(文語楼青梅)005.檜扇に 天窓あたま隠せと 九重に
しこ 雨は守屋の 大臣か 破却せしごと 荒れし古寺(長門 泉源舎清香)014.年を経し 鐘は我から 声をたて 鼠も荒るゝ 三井の古寺(草加 稲丸)015.経陀羅尼 読むのは絶えて 荒寺に 月の影なし 虫の声のみ(和松亭羽衣)016.蜘くもの囲に かゝる紅葉は 引く火車くわしやと
008.執念も 雀となるや 実方は 都の召しに ありつかんとて(花躬)009.実方の なりし雀か 怪しくて 見えで飛び交ふ 玉敷の庭(千住 稲丸)010.実方の むかし咄に 身をいれて 身の毛もよだつ 雀いろとき(音高)011.松嶋の 景色をかへて 実方の 化せし雀や 恨み鳴くら