ヨスガ

【職員名】ヨスガ

【階級】刻博士

【性別】男(肉体)

【能力】多種多様な能力についての高出力の発現、そのうち、人格への受肉という形での分裂

【出身】多種多様

 

【経歴】

明治初期に陰陽師「豊宮淳史」が調査中、東京都亥島地区の立ち入り禁止区域【虚】にて発見・保護。発見時は【虚】の中心部分にて蹲り延々と一人何かを語りかけていた。後の本人の証言と、現地調査により、「大宮烏夜姫」とほぼ同時期の人物である可能性が高いとされている。

立ち入り禁止区域【虚】は元々は数千人の人間が集まる集落であったが、普通の集落と違う点として、能力者が生まれやすく、またそれ故に能力者をよく受け入れる土地柄であったため外からも集まりやすく、数多くの能力者がいた集落であった。能力者の内訳は明らかでないが、少なくとも七つの基本能力は備え、また基本能力よりも人数は劣るが毒花の能力やその他様々な能力者がいたと本人『達』の能力より推測される。
調査により、宮家による人為的な神の創造を目指す実験がこの集落で行われたと明らかになった。本人『達』の証言によると、集落の人間達はこの実験を知らず、突然巻き込まれたようである。この実験により、集落において最も才のある能力者であった『ヨスガ』という少年を中心人格として、集落にいた数千人の人間が融合したことが明らかになっている。その後発見に至るまで、【虚】にて『ヨスガ』は内に存在する荒ぶる魂を対話にて鎮め続けていた。

彼にまつわる宮家の公式記録は管理課では発見に至っていない。また、どこの宮家によって実験が行われたのかも明らかでない。更なる調査が望まれる。

保護後、陰陽師としての教育と訓練を重ね、数千人の知識と経験による他人への教育能力、また中にいる数百人もの同一能力種の組み合わせによる高出力での発現が可能である素質が明らかになり、試験選抜を経て、刻博士の座を預かった。

刻博士の就任後は、多くの学生・修業生を指導している。また豊富な知識と経験から他部署にもよく貢献している。

 

【評価】

経歴から、彼等の中にはあらゆる人格が存在し、多重人格者のような振る舞いをする。ただし人格の中には主張の激しいものと大人しいものが存在するようで、数千人全員が同頻度で表に現れる訳では無い。特に頻度が高く、職員が接することになるであろう人格を下に列挙する。なお、『ヨスガ』を含め、名乗る名前は本名ではなく後に自らつけた渾名のようなものであるらしい。

• ヤスケ：青年男性と思われる。保有する能力は『構築』と『実体化』。口が悪く、粗野な振る舞いが見受けられる。根は善人であるが、口調に影響を受けやすい職員の接触には注意が必要。
• アカネ：十代後半の女性と思われる。『分解』の他、毒花『樒』由来の能力を持つ。時代への適応が早く、現代の女性のような話し方をする。面食いであるようで、容貌の整った男性によく声をかけるが、人格の一つである彼女の誘いに乗ることは推奨しない。
• リカ、リト：年少の異性双子と思われる。保有する能力は共に『破壊』。一人称が『ボク』と共通である他、話し方や振る舞いがよく似ているため見分けるのは困難である。廊下を笑いながら走り回り、職員にお菓子を要求する。なお、お菓子を要求されるだけ与えても実際には他人格によるストップが入るため問題ないと思われる。
• ゲンゾウ：老年の男性と思われる。保有する能力は『創造』。自ら表に出ると言うよりは『ヨスガ』が表に出ると都合が悪い時に現れているようである。本人は温厚な老人であるので、特に扱いにおける注意点は無い。

中心人格である『ヨスガ』は刻博士としての職務を果たす時などに主に現れるが、日常においてはあまり頻度は高くない。他の数千人を取り込んでたった一人肉体を維持した罪悪感を抱えているようであり、定期的なカウンセリングを義務とする。

『結び』特化の能力者である『ヨスガ』本人の性質としては優しく穏やかな少年であるが、罪悪感からか自らを粗末にする傾向が見受けられる。カウンセリングが義務であるのも、そうでなければ他人格を表に出して逃げるからである。

新規学生に対する態度は、模範的な教師であり親のようにも接する。また、学生でなくなったあとも、幼児人格を含め、生徒として可愛がっているようである。

人体実験の加害者である宮家については、現在の宮家によって行われたことではないとして過度の敵対心はないようである。

総じて、陰陽師、刻博士としては大変優秀である。また、数千人の人間が融合し神とならなかったことは『ヨスガ』による貢献が大きい。逆に言えば『ヨスガ』が揺らげばいつ暴走し、神となってもおかしくない状態でもある。そのため監視をつけ、万一の時は『処分』を行うこととする。なお、これは本人の希望である。