カタロニア図

ページ名:カタロニア図

カタロニア図(Catalan Atlas)は、1375年に作成された中世の世界地図(マッパ・ムンディ)。カタルーニャ語で書かれ「中世の地図の頂点」として評価されている。 Atlas(意味:地図帳)と名前が付いているが、地図帳ではない。アブラハム・クレスケスによって描かれ、1380年までにフランスの王立図書館*1に保存されていた。カタロニア図はもともと6枚(12頁)の上質皮紙(それぞれ64.5×50cm)で構成され、金と銀を含む様々な色で塗装されている。これらは後に木製パネルに取り付けられ、端は1515年に革製の物質で縁取り、摩耗のため1991年に復元された。


最初の2枚(4頁)は、カタルーニャ語で宇宙・天文学・占星術・潮の干満など航海術について書かれている。これらの文章にはイラストが添えられており、球形の地球と既知の世界の状態を強調して描いている。残りの4枚(8頁)は地図であり、2枚は東洋、残りの2枚でヨーロッパと北アフリカを描き、エルサレムは中心部周辺に位置する。地図上には多くの都市が描かれ、キリスト教の都市は十字架マークで、他の都市は建物が添えられ、各都市には政治的忠誠心を示す旗も描かれた。波状の青い垂直線は海洋を表し、重要な港の名前は赤でその他は黒で書き起こされた。イラストと本文のほとんどが大陸の端に向けて配置されている一方で内地の記述は少ない。東洋の部分は、宗教的な言及だけでなく、当時の旅行文献(特にマルコポーロとジョン・マンデヴィル)なども追加して描かれているため、インドや中国の都市が特定できる(※日本の記述はない)。アジアの地形はまだかなり不正確だが、アラビア半島と紅海、ペルシア湾、インドの位置関係は前の地図に比べてかなり妥当となっている。西洋の部分は、当時の羅針儀海図に似ているが、この地図で初めて羅針図(compass rose)が使用された。特に十字軍は海路で方位磁針を使って地形を測定したため、地中海の輪郭は非常に正確になっている。一方で、アフリカの描写は北部のみであり、この地図からは喜望峰周りに航路があることは読み取れない。




*1 現在はパリ国立図書館で保存

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