アブラハム・クレスケス

ページ名:アブラハム クレスケス


アブラハム・クレスケスはユダヤ人地図製作者。本名はクレスケスでアブラハムの息子である。息子ジェフダ・クレスケスと共に有名なカタロニア図を製作したことで知られる。また、地図だけでなくコンパス、時計、その他航海機器の製作も行った。


1325年 アラゴン王国のマヨルカ島パルマ出身。マヨルカ島の地図学学校の主要なメンバーだった。
1375年[50歳] 彼と息子ジェフダは、アラゴンのジョン1世から、現代の羅針儀海図の地理的範囲を超えた(東洋と西洋をカバーする)航海図を作るために割り当てられた。仕事を請け負った彼らは、パルマの自宅でカタロニア図を構成する6つの航海図を描き、それぞれ150アラゴネーゼフロリン金貨と60マヨルカポンドを受け取った。なお、ジョン1世は贈り物として従兄弟のチャールズ6世に地図を渡すつもりだった。(※地図の詳細は「カタロニア図」の頁へ)
1387年[62歳] 亡くなった。


カタロニア図は確実にアブラハムらが描いたとされる唯一の地図だが、他の5つの地図もクレスケス親子か彼らの製作に携わった者が描いた可能性が高い。

  • ヴェネツィア図(1375-1400年) 羅針儀海図(北ヨーロッパはなし)。イタリアのマルシアナ図書館で保存。
  • フィレンツェ図(1375-1400年) 羅針儀海図(西地中海のみ)。イタリアのナツィオナーレ図書館で保存。
  • ナポリ図(1375-1400年) 羅針儀海図。ヴィットリオ・エマヌエレ三世国立図書館で保存。
  • イスタンブール図(1375-1400年) マッパ・ムンディの断片。トルコのトプカピ宮殿で保存。
  • パリ図(1400年) 羅針儀海図。フランス国立図書館で保存。

歴史家キャンベルによると、ナポリとパリの地図は他の2つよりも華やかで、特にパリ図(1400年)はカタロニア図の特徴に最も近いらしい。しかし、クレスケスらへの帰属は暫定的なものであり、キャンベルは「これらの地図が密接に関連していることは明らかだが、色分析だけでは同じ製作室で描かれたという証拠を見つけるのは難しい」と指摘している。




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