死刑執行中脱獄進行中_荒木飛呂彦短編集

ページ名:死刑執行中脱獄進行中_荒木飛呂彦短編集

テンプレート:漫画『死刑執行中脱獄進行中 荒木飛呂彦短編集』(しけいしっこうちゅうだつごくしんこうちゅう あらきひろひこたんぺんしゅう)は、荒木飛呂彦による日本の青年向け短編漫画作品集。

1999年11月24日に「SCオールマン愛蔵版」のレーベルで[1]、表題作『死刑執行中脱獄進行中』他3作品を収録した単行本が集英社より発行された(ISBN 978-4087825374)。収録作品の『岸辺露伴は動かない 〜エピソード16:懺悔室〜』『デッドマンズQ』は、いずれも『ジョジョの奇妙な冒険』Part4『ダイヤモンドは砕けない』の外伝的作品である。

テンプレート:ネタバレ

目次

収録作品[]

死刑執行中脱獄進行中[]

表題作。『スーパージャンプ』1995年2号掲載(同誌20周年を記念して、2008年21号別冊に再掲載)。死刑の執行を免れんとあがく死刑囚と姿を見せる事も無いまま執行を進めていく監獄側の攻防を描いたサスペンス作品。あとがきによれば、「三十数ページという依頼ページの中で、死刑と脱獄を同時にさせるというアイデアから思いついた、ひたすらサスペンスを描くために描いたサスペンス」であるという。

あらすじ殺人の罪で死刑の判決を受けた囚人27号はとある牢獄に通される。彼はそのホテルの一室の様な牢獄で執行を待っていたが、電灯のスイッチを入れようとすれば蜂に刺される、出された食事や椅子には罠が仕込まれており、脱獄を試みてスプーンで壁を掘ればそこに埋まっていたミンチマシーンに指を切断されたりと、次第にその部屋の異質さに気付いていく。実はこの部屋こそが処刑室であり、死刑執行はすでに始まっていたのである。登場人物囚人27号女性を灰皿で撲殺した罪で死刑の判決を受けた死刑囚。自分は人を騙すかもしれないが、自分が騙されるのは大嫌いと語っており、女性を殺害した動機もそれによるものである。判決後、収監された「処刑室」で徐々に死刑の執行へと追い込まれていくが…。

ドルチ 〜ダイ・ハード・ザ・キャット〜[]

『オールマン』1996年11号・12号掲載。転覆したヨットという限られた空間を舞台に一人の人間と一匹の猫が生き残りを懸けて戦う姿を描く。あとがきによれば、登場キャラに猫を使ったのは猫を溺愛している担当編集者に対する皮肉であるという。

あらすじ洋上に浮かぶ転覆したヨット。一体の女性の死体とともにそこに乗っていた一級建築士、愛子雅吾とその飼い猫、ドルチはそこで救助隊が来るのを待っていた。しかし、無線も故障し、食料も水も尽きた状況で次第に一人と一匹の仲は険悪なものとなっていき、ついに雅吾は生き延びる為にドルチを食べる事を思いつく。登場人物愛子雅吾(あやし まさご)ヨットの持ち主の一級建築士。32歳。彼女にせがまれヨットで沖に出たが、彼女が甲板で服を脱ぎだしたのに気をとられ、ヨットを暗礁に激突させてしまう。その後飼い猫のドルチと共に洋上で救助隊を待っていたが助けは来ず、そのまま食料が尽きて5日目に飴玉を見つけるも、ドルチとのサイコロ勝負に負けて食べられてしまう。その恨みと、生き延びるために用意していたもう一つの手段がうまくいかなかった事からドルチを食べて生き延びようとする。ドルチ雅吾の飼い猫。ブリティッシュ バイカラー ショートヘアーの雑種。3歳オス。漂流中の船の中で雅吾の心の支えとなっており、雅吾の酔狂から服を着せられたりしていた。そんな中自分が見つけ出した飴玉を雅吾に取られ、その後のサイコロ勝負で取り返すがそれが雅吾の怒りを買い、命を狙われる。サイコロ勝負のルールを理解できる程頭が良く、物語の終盤ではなぜか人語を喋っている。雅吾の彼女雅吾の彼女。登場時にすでに死亡しており、名前は雅吾が「アイ…だっけ。マイだったっけ?」と語るのみで詳細は不明。雅吾にヨットでの航海をせがんだ張本人で、ヨットの転覆後溺れ死んだようだが…。

岸辺露伴は動かない 〜エピソード16:懺悔室〜[]

週刊少年ジャンプ』1997年30号掲載。物語は『ジョジョの奇妙な冒険』Part4『ダイヤモンドは砕けない』の登場人物、岸辺露伴を語り部として展開する。荒木飛呂彦によれば、最初は露伴を登場させずに描いていたらしいが、「狂言回しとしてのキャラクターがいないと話がしっくり来ない」との理由で露伴を登場させる事を決めたという。そのため、露伴はあくまで物語のナビゲーターとして描かれている(タイトルの「動かない」もここに由来する)。なお、設定上は「原作:岸辺露伴 作画:荒木飛呂彦」となっており、巻末コメントも露伴のキャラクターで書かれていた。『岸辺露伴は動かない』シリーズは、この他に『ジャンプスクエア』2008年1月号に『岸辺露伴は動かない -六壁坂-』が掲載されている。

あらすじ漫画家、岸辺露伴は東方仗助に怪我を負わされ、漫画をひと夏ほど休載していた。その間にイタリアへ旅行に行き、ストーリーの新展開のための取材を行っていたのだが、懺悔室の内部を調べていたときに偶然一人の男が懺悔に現れる。「体験は作品にリアリティを生む。」そう考えた露伴は自分が神父ではないことを打ち明けず、男の懺悔に耳を貸す事にしたのだが…。登場人物岸辺露伴(きしべ ろはん)杜王町に住む人気漫画家であり、本編のナビゲーター。イタリアで懺悔室の取材をしていたところ、偶然から怨霊に取り付かれた男の懺悔を聞くこととなる。懺悔に訪れた男本編の主人公。下働きをしていた24歳の時に浮浪者を自らの非道な行いから死なせてしまっており、その直後浮浪者の霊に「幸福の絶頂を迎えた時に迎えに来る」と言われ、その後様々な幸運に恵まれるも素直に喜ぶ事は出来なかった。そんなある日、「幸福の絶頂」を迎えたとして約束通り浮浪者の霊が迎えに現れる。浮浪者の霊東洋風の浮浪者の男。餓死寸前の状態で男に食べ物を懇願するも、男から「自分の代わりにトウモロコシの袋を全て運び終えたら」という条件を出され、食べ物を与えられる事も無いまま袋を運んでいる最中にその下敷きとなって死亡する。そのとき味わった深い絶望を男にも味わわせる為、男を陰ながら手助けして幸運を与え、その絶頂を迎えた時点で殺害するつもりだったが、男に「逆恨み」であると言われ、そう思われながら死なれるのを避ける為に「運命に決めてもらう」として男に一度だけチャンスを与える。

デッドマンズQ[]

『オールマン』1999年12号 - 14号掲載。こちらも『ジョジョの奇妙な冒険』Part4『ダイヤモンドは砕けない』の登場人物である吉良吉影の霊が主人公として登場する。また、登場する幽霊の設定などにも、後のPart6に通じた部分が見られる。後に出版されたコンビニコミック版の『ダイヤモンドは砕けない』シリーズの最終刊にも収録されている。

あらすじ記憶を失った幽霊吉良吉影は心の平穏を求めて殺し屋をしていた。しかし幽霊であるゆえに行動に制約が多く、思うように遂行出来ないことに苛立ちを感じていた。そんな中、依頼主の尼僧から「『軍人の家に住む者』の殺害」として、幽霊屋敷ならぬ「屋敷の幽霊」に住む者の殺害を命じられ、S市杜王区を訪れる。登場人物吉良吉影(きら よしかげ)心の平穏を求めて殺し屋をしている幽霊。生前は杜王町で手の綺麗な女性を48人殺してきた殺人鬼であり、爆弾を操るスタンド能力「キラークイーン」により自らの行いを知る者を悉く抹殺してきた。物語終盤で東方仗助等に敗北、死亡しており、現在はスタンドと一部の記憶を失っている。標的の男15年前に起きた「樫の木坂児童連続殺人事件」の犯人。山岡という女の家にかくまわれていたが、依頼者の「最も恥をかかせる形で殺して欲しい」との要望から時効寸前に吉良に殺害された。女坊主(あま)吉良への殺人の依頼を仲介している尼僧。吉良に「軍人の家に住む者」の殺害を依頼する。なぜか吉良のような幽霊が見え、会話ができている。しかしあくまでビジネス上のつながりであるらしく、家の幽霊に殺されかけた(死んでいるので魂を消されかけた?)際は吉良に「事と次第によってはあの女の腕を奪ってやる」と殺意すら抱かれている。魂の掃除屋「軍人の家の幽霊」にあった卵から生まれた存在。幽霊を侵食し、別の存在に変える。この呼称はその様子を見た吉良の推測に基づくもの。

脚注[]

  1. SCオールマンレーベル廃止後は「YJC-UJ(ヤングジャンプ・コミックス・ウルトラ)愛蔵版」より発行。

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