包丁人味平

ページ名:包丁人味平

『包丁人味平』(ほうちょうにんあじへい)は、原作:牛次郎、漫画:ビッグ錠による日本の漫画作品。また、それを題材としたテレビドラマ作品。

目次

概要[]

1973年から1977年にかけて『週刊少年ジャンプ』(集英社)に連載された。単行本はジャンプコミックス全23巻、ワイド版全12巻、集英社文庫版全12巻(いずれも集英社刊)。近年ではコンビニコミック版が小学館より刊行されている。

史上初の料理漫画とされる作品で、その後の料理漫画にも見られる「料理勝負」や「解説」の形態を確立させている。一方ストーリーは命がけの猛特訓や、次々に現れるライバルとの対決、何気ないヒントによる技術開眼など、スポ根漫画そのものである。料理の、特に味についての批評は少なめであり、主人公自身も「料理は美味いかまずいか」「万人に受ける大衆料理こそが理想」としている。料理勝負や技能に関しても「料理は客に食べてもらうためにある。勝負したり見世物にしたりするものではない」と作中の人物が幾度と無く言及している。

作中の料理勝負においては、当時の『ジャンプ』連載スポーツ漫画でよく使われたテレビ実況中継の形での解説や狂言回しがなされ、石橋エータローや高島忠夫、寿美花代が実況や解説役として登場している。

テンプレート:ネタバレ

あらすじ[]

日本料理では名人の域に達している五条流相伝者・塩見松造を父に持つ主人公・塩見味平。

味平は高校受験に合格しながら、松造の反対を押し切ってコックの道を志し、洋食店「キッチン・ブルドッグ」に就職する。その板場でしごかれ、さらには包丁試しなどの様々な料理勝負に巻き込まれながら、料理人として成長してゆく。

物語の流れ[]

  • 東京・新宿の「キッチン・ブルドッグ」での見習いコックとしての修行
  • 東京・上野の不忍池包丁塚前での「包丁試し」
  • 愛知・熱田神宮境内での「点心礼勝負」
  • 静岡・焼津の荒磯の板場での「荒磯勝負(かけ包丁)」
  • 東京・ひばりヶ丘での「カレー戦争」
  • 札幌・雪まつり会場での「第1回全日本ラーメン祭り」に素人飛入り参加
  • 豪華客船のコックとして旅立ち

主な登場人物[]

塩見味平塩見松造の一人息子。一般の人が楽しめる、美味しくて安い料理を作る料理人を目指し、合格した高校へは進まず洋食屋となる。実は魚を食べると蕁麻疹が出る体質で魚嫌い。そのためにあまり魚を扱わない洋食を選んだ。なお、この弱点は荒磯勝負に際し克服した。塩見松造塩見味平の父親。築地の料亭「かつらぎ」の花板を務める。五条流の使い手であり、活け作りに使用した、骨だけになった魚を再び水槽で泳がせる技を得意とする。作者は「架空の話」と言っているが実際に可能である。ただしその場合は骨の周りにある程度の肉を残す。北村チーフ味平が見習いコックとして就職した「キッチン・ブルドッグ」のチーフ・コック。かつては豪華客船でもチーフを勤めており、そのおかげで「ブルドッグ」は大衆向けでありながら料理の質も高い。後に味平と仲代の「包丁試し」の審判を務める。仲代圭介北村チーフが不在時に助っ人としてキッチン・ブルドッグに派遣される。元五条流の使い手であり、「包丁試し」で味平と勝負する。過去に塩見松造とも「包丁試し」を行い、敗れている。一の瀬仲代圭介が連れてきたセカンド・コック。キャベツ早切り勝負で味平と対決する。弁天の熊五郎上野不忍池の包丁塚で出会った少年。団英彦との「点心礼勝負」、無法板の練ニとの「荒磯勝負」で味平のパートナーを務める。団英彦東洋ホテルの調理部長であり、「包丁貴族」の異名を持つ天才料理人。ホテルの宿泊客は実質彼の料理目当てなので、支配人でさえも頭が上がらない。味平と点心礼勝負をする。神林道風五条流宗家。点心礼勝負の判定に異議を唱え、闘六味による再勝負を提案する。鹿沢練二通称「無法板の練二」。五条流の門下生だったが、胸の病気で2年間の入院・静養を余儀なくされ、その空白の時間に耐え切れず落ちぶれ、賭け包丁を生業とする無法板となる。「荒磯勝負」で味平と対決。一橋久美子焼津の料亭「いちはし」の娘。無法板の練二との勝負のスポンサーとなり、掛け金の1000万円を出す。二代目磯十郎料亭「いちはし」の花板。「荒磯勝負」では立会人を務める。石橋エータロー実在の人物。当時タレント業よりは料理研究にシフトしていた実際の石橋と異なり、作中では司会を務めるワイドショーのレギュラーを持つなど売れっ子タレントとして登場。料理勝負中継番組での実況や解説などでしばしば登場する。

カレー戦争編[]

駅前に「大徳デパート」と「白銀屋」の二大デパートが開店し、白銀屋は人気のカレーチェーン店「インド屋」を店内に出店。一方、大衆料理の研究に余念の無い味平は大徳デパート内に「アジヘイ」を出店する。店の商品や規模は互角である以上、大衆料理の王様であるカレーの美味い店があるデパートに客足が向かう。こうして、今までのような単純な勝負ではない、デパートの売り上げをも巻き込んだカレー戦争が始まった。

鼻田香作本編の中核をなすキャラクター。世界中のありとあらゆるカレー料理の修業を積んだというフリーランスのカレー専門家、通称「カレー将軍」。6000種類のスパイスを嗅ぎ分ける嗅覚を持ち、保護のためか常にマスクらしきものを鼻部に装着している。その造詣の深さ、能力の高さは、三ツ星レストランのシェフでさえも、ことカレーにおいては鼻田には及ばないと言わしめたほどである。本編ではカレーによる世界征服を企み、マイク赤木と結託することになる。インド屋において、6種類の辛さを用意した「インドカレー」で当初は味平陣営を圧倒。味平が子供向けに開発した「ミルクカレー」で形勢が逆転すれば、「スパカレー」を開発して、難なく客を取り返した。だが味平が完成させた「味平カレー」を超える味はどうしても作れず、次第に追い込まれていく。そんな中、「ブラックカレー」を完成させる。味そのものの評判は良いどころかむしろ悪いくらいだったが、一度口にした客はどういう訳かインド屋に毎日のように通ってブラックカレーを食べるようになっていく。実は、ブラックカレーには麻薬に近い性質のスパイスが含まれており、そのせいで客はブラックカレーの「とりこ」になってしまい、自分でも気がつかないうちにブラックカレーを食べに通うようになっていた。「味平カレー」で爆発的に客を集めながら、それ以上にブラックカレーが客を集めているのを見た味平に完敗を認めさせたが、それを聞いてタガが外れたのか、麻薬中毒の症状が現れて救急車で運ばれる。ブラックカレーに麻薬が入っていた、チーフコックが麻薬中毒になったという噂はあっという間に広がり、結果インド屋は閉店を余儀なくされ、カレー戦争は大徳、味平陣営の勝利に終わる。神山佐吉横浜港に停車しているトラック内で野宿した際に知り合った労務者。味平カレー作りに参加する。香川梨花暴走族「ブラックシャーク」の団長であり、大徳デパートひばりヶ丘支店長の娘。味平の生き方に感化され、味平カレー作りに参加する。味平に報われぬ恋を捧げる。柳大吉味平より前にラーメン屋台で万人の味を実践していた事から、味平にカレー戦争への協力を依頼される。客の年齢・出身地などから味の好みを判断し、味を調節して提供する「味割り」を得意とする。梨花に報われぬ恋を捧げる。味平カレー完成の功労者。マイク赤木「インド屋」チェーンの経営者。無一文から出発し、全米で成功した立志伝中の男。鼻田香作の「インドカレー」で日本征服を目論む。モデルはロッキー青木。

第1回全日本ラーメン祭り編[]

美味いラーメンを求めて札幌までやってきた味平は偶然、全国から集まった料理人達がラーメンの腕を競い、日本一のラーメンを決定する「ラーメン祭り」の存在を知る。味平は「大衆料理であるラーメンはプロの料理人の手だけで作られるものではない」と飛び入り参加し、多くの人の協力や試行錯誤の果てに「味平ラーメン」を作り上げていく。

井上洋吉トラック運転手。東京で美味いと評判のラーメン店で味平と知り合う。全国のラーメン屋を食べ歩いたという舌を買われて、味平のアシスタント役を務める。石田鉄竜ラーメン祭り優勝の本命。スープに三平汁を使用した「三平ラーメン」で勝負する。味平に敵愾心を燃やし、味平のラーメン作りを妨害する。石田石竜石田鉄竜の弟。麺太郎兄弟2人で麺打ちを行う一卵性双生児の兄弟。味平の、子供達を使った麺打ち方法が大会規定に違反するとの申し立てがあり、再勝負の相手となった。柳大吉カレー戦争編に続き登場。つけ麺式のラーメン「タレーメン」で勝負する。ちなみに当時はまだつけ麺は一般的ではなかった。表向きは冷淡を装いつつも、陰で味平の奮闘を支える。牛次郎原作者。ラーメン祭りの解説者の1人として登場。

テレビドラマ版[]

テンプレート:ドラマフジテレビの「月曜ドラマランド」でテレビドラマ化された事があり、味平親子を横山やすし・木村一八親子が演じている。原作の初めから包丁試しまでをドラマ化したものである。

原作との相違点[]

話の細部が原作とは大きく異なっている。

  • 味平に玉ねぎのむき方のヒントを与えたのが北村チーフではなく松造になっている。
  • 包丁試しの対戦相手が仲代ではなく団英彦。
  • 包丁試しの題目は、団英彦が味平にハンデを与えるため、味平の父・松造の得意料理の「鯛の生け作り」を指定した。
  • 味平が魚嫌いだという設定が無くなっている。
  • 松造が大阪出身の設定で、関西弁を使う。
  • 原作の松造にはただの「座興」である「生け作りにした骨だけの鯛を水槽の中で泳がせる」点が、テレビドラマ版の松造にとっては重要なエンターテインメント要素となっている。あまつさえ、「よう見とくんなはれや」と客を煽るシーンまである。

放映データ[]

  • 放映日:1986年8月11日(月曜日)、19:30 - 20:54
  • 制作:東映、フジテレビ

スタッフ[]

  • 原作:牛次郎、ビッグ錠
  • 企画:岡正、前田和也
  • プロデューサー:中曽根千治
  • 演出:小野原和宏
  • 脚本:杉村升
  • 音楽:風戸慎介

キャスト[]

  • 塩見味平:木村一八
  • 塩見松造:横山やすし
  • 鳥居かほり
  • 竹中直人
  • 金子信雄
  • 団秀彦:谷隼人
  • 美智子(クラスメート):仙道敦子
  • 永瀬正敏
  • 西川のりお(友情出演)
  • 上方よしお(友情出演)
  • 牛次郎(特別出演)
  • 中村奈緒美(フジテレビ)
  • 山本緑
  • 後藤まどか
  • 白島靖代
  • 好井ひとみ
  • 佐渡稔
  • アゴ勇
  • 及川ヒロオ
  • 石倉三郎
  • きくち英一
  • 相馬剛三
  • 木村修
  • 山浦栄
  • 清水照夫
  • 宮内希亜
  • 友竹正則(特別出演)
  • 小林正央
  • 後藤修
  • 草刈滉一
  • 高橋秀弥
  • キッチュ
  • パワーズ
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