アレクサンダー・ファルク_(起業家)

ページ名:アレクサンダー・ファルク_(起業家)
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地元ハンブルクでリッチな生活を過ごすアレクサンダー・ファルク

アレクサンダー・ファルク(独語:Alexander Falk、1969年7月25日 - )は、市街地図メーカーのファルク社の創始者であるゲアハルト・ファルク(1922年 - 1978年)の末子で、ドイツのIT実業家である。

彼は、ブロンドヘアーがカールされたハンサムな青年実業家で、いかにも社長御曹司というオーラを漂わせるカリスマで、ドイツのマスメディアも「ニューエコノミーのホープ」と報道して、これを持ち上げたのである。

概要[]

当時のドイツはナチスのヒトラーが第二次世界大戦で連合軍に大敗して拳銃で自殺し、ロシアのスターリン(ロシア系グルジア人のヨシフ・ベサリオニス・ジュガシヴィリ)によってドイツ全土が荒らされた。北ドイツのハンブルク出身である父のゲアハルトは、ロシアのシベリアで捕虜生活を経て復員後に地元のハンブルクで友人たちと市街地図メーカーのファルク社(Falk AG)を創立した。

ゲアハルトは「いちいち大きな地図全体を広げてみて、折り畳んでしまうのは面倒だ。これからは、特定の地区だけ簡単に閉開できる市街地図を作り、多くの人の手助けとなるのだ!」と、この会社を創った動機を公言し、幾多かの特許を取得して、「ファルク社」は彼一代で全欧州最大のメーカーとして築き上げたのである。

しかし、ゲアハルトはなかなか男子に恵まれず、生まれたのはほとんど女児ばかりだった。1969年、50歳近くになったゲアハルトの後妻のエヴェリン・ファルク=マイヤー=リート(Evelyn Falk-Meyer-Riedt)が念願の男児を産み、これがアレクサンダーだった。

そのため、アレクサンダーは父の溺愛を受けて、わがままに育ったが、桁はずれの頭脳の持ち主だった。しかし、アレクサンダーが9歳のときに父のゲアハルトは56歳で亡くなり、ファルク社は母および姉のカーリン・ファルク(Karin Falk)や経営陣によって運営された。

父の逝去はアレクサンダーにとって、衝撃的だったらしく「俺は親父以上の実業家となり、絶対に大金持ちなるぞ!」と誓ったという。名門ハンブルク大学を卒業し、アメリカが生み出したITに目をつけて、「これからのネット時代になる。もはや、アナログな地図では時代遅れだ」と言って、これを売却することを考えた。

1996年、ドイツの大手メディアメーカーであるベアテルスマン社に姉のカーリンとともにファルク社を2500万ユーロ(約35億円)で売り、その資本金で当時勃興しつつあるITと電子マネーゲームによるブームに乗ったニューエコノミー(IT関連による買収の設備投資)と称して、地域の数社の企業に出資し、次々と買収してこれを子会社化させた。ハンブルクやキールを拠点としたIT専門のイズィオン社(Ision AG)もそのひとつだった。

彼は、持ち前のカリスマ性とニューエコノミーによるネットを中心としたITを求めるドイツ社会の時流に乗って、彼が買収した幾多かの企業の株が上昇して売り上げを伸ばした。

彼はハンブルクのアルスター湖付近にある高級住宅街(Harvestehude)のブランケネーゼ(Blankenese)地区に邸宅を構えて、ヨットやポーシェに乗って、ハンブルクから北にある160kmほどに位置するユトラント半島西部にあるフーズム(Husum)の海岸からやや北西方面にあり、デンマーク南西部とも国境にあるズィルト島(Sylt Insel)にリゾート地の別荘を持って、思うままにリッチなヴァカンスを満喫して過ごしていた。アレクサンダーの母は息子の放漫さを心配したが、「ニューエコノミーの寵児」と謳われた彼は母の忠告に耳を貸さなかった。

しかし、2000年にドイツ経済が低落したために、ネットや通信関連企業の株価が暴落した。そのため、ドイツ経済が不況に陥ったのでアレクサンダーのカリスマ性が色褪せたのである。焦ったアレクサンダーはついにイズィオン社をイギリスのIT関連会社のエナーズェィズ社(Energis.Corp)に売却し、8億1200万ユーロ(約1136億8000万)を得たが、不況の波が止まらない大不況のために、イズィオン社はイギリスのエナーズェィズ社とまとめて、破産してしまった。

さらに焦ったアレクサンダーは、2002年1月にニューエコノミーによる75%出資の子会社ホーンブロヴァー・フィッシャー社(Hornblower Fischer AG)の自己破綻の公開を目論んだ。

しかし、この売却行為が非常に目立ったため、ドイツ検察の特捜公安局は証券取引法違反事件の疑いでアレクサンダーを調査した。ついに2003年4月22日の33歳のアレクサンダーは価格操作や税で、非常に深刻な例詐欺脱税などで逮捕され、ドイツのメディアは大騒ぎだったという。しかし、アレクサンダーの顧問弁護士は「エナージズ社は実際に被害を受けておらず、詐欺未遂に過ぎない」とコメントし、アレクサンダー自身も犯罪を否定し、無罪を訴えつづけた。

しかし、ハンブルク検察および裁判所はアレクサンダーに対して2005年4月まで、ハンブルク拘留所に22ヶ月間の監禁を命じた。その間に彼は拘留所で腹筋・腕立て伏せをしながら体を鍛えて、ドイツ古典を300冊読破しながら裁判所で検察と戦う姿勢を強調した。

2005年4月に仮出所したが、同年の2005年12月15日に息子の凋落や転落ぶりを過剰に報道したマスメディアのやり方に悲観した母のエヴェリンが自邸で自殺した。検察と抗争中のアレクサンダーはこれを聞いて衝撃を受け、悲しんだという。

2008年5月にアレクサンダーは地方裁判所で被告として法廷に立って、改めて無罪を訴えた。

2012年9月に判決が出て、アレクサンダーは彼自身の手によって破産されたエナージズ社の管財人に補償金の209万ユーロを支払うという刑を宣告されたが、アレクサンダーはこれを断固拒否しており、現在も抗争中である(これを参照のこと)。

40歳過ぎた最近のアレクサンダー・ファルク

その他[]

  • 日本のメディアの一部はアレクサンダーのことを「ドイツのホリエモン(堀江貴文)」「ドイツのひろゆき(2ちゃんねるの創設者・西村博之)」と揶揄し、たびたびこれと比較されている
  • 奇しくもアレクサンダーが証券取引法違反事件で逮捕されたのが、当時の堀江が逮捕された同じ33歳であった
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ハンブルク裁判所で検察と争う姿勢を見せるアレクサンダー・ファルク

参考文献[]

  • 『ドイツ病に学べ』(熊谷徹/新潮社/2006年) ISBN 978-4-10-603569-2


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