山木兼隆

山木兼隆の木像

山木兼隆の肖像

山木 兼隆（やまき かねたか、？ - 治承４年８月17日（1180年９月８日））は、平安時代末期の武将。平兼隆/大掾兼隆/関兼隆とも呼ばれる。桓武平氏繁盛流大掾氏一門の大掾高衡[1]の玄孫、実忠の曾孫、関盛兼（大掾氏流伊勢関氏の祖）[2]の孫、信兼の庶長子、兼衡・信衡・兼時の兄、兼光・兼盛の父、兼貞（兼定）[3]・兼重[4]の祖父、兼良・兼秀・兼正（兼政）[5]兄弟の曾祖父。伊豆山木氏の祖。法名は基饒入道。

略歴[]

京で同族の伊豆知行国主の平時忠のもとで右衛門尉・検非違使少尉（判官）をつとめ、『白山事件』で天台座主の明雲（村上源氏）が、免職された際にはその警備にあたっている[6]。

治承３年（1179年）１月に父の訴えで罪を得て、伊豆国田方郡山木郷[7]に流され、地名を苗字として山木氏と称した。『治承三年の政変』の後、懇意があった前述の時忠によって、伊豆国目代に任ぜられた。

『曽我物語』などによると、伊豆国の土豪・北条時政が大番役で京へ上っていた間に娘の政子が源頼朝と恋仲になり、帰国の道中に兼隆との縁談を進めていた時政は平家（六波羅氏）の棟梁の平清盛の逆鱗を恐れて、政子を兼隆のもとへ送ろうとするが、勝気な政子は逃げ出して頼朝のもとへ行ってしまう。これを聞いた兼隆は激怒したが、頼朝と政子は伊豆山権現に庇護され手が出せなかったという。ただし、兼隆の伊豆国配流は治承３年（1179年）の事であり、頼朝の長女・大姫 の生年などから、兼隆と政子との婚姻話は物語上の創作と思われる[8]。

後に政子が「闇夜をさまよい、雨をしのいであなたのところを参りました」と述べており、頼朝も兼隆に対して「わたしへの意趣がある」と述べている[9]。

翌治承４年（1180年）８月に、以仁親王の令旨を受けて挙兵した頼朝はその岳父の時政とともに兼隆の館を急襲した。三島大社の祭礼のために郎党の多くが留守であったため兼隆は満足に戦うことができず、頼朝の配下の加藤景廉（藤原北家利仁流）によって、討ち取られた（『山木館襲撃』）[10][11]。

脚注[]

1. ↑ 『吾妻鏡』では、伊勢平氏の棟梁の平維衡の曾孫、正度の孫、貞季の子の関兼季の末裔と記されている。
2. ↑ 実頼（実興の父）の弟。族兄の関兼季（平貞季の子、範季の弟）の婿養子となった。
3. ↑ 兼光の子。
4. ↑ 兼盛の子。
5. ↑ 兼貞の子。
6. ↑ 『愚昧記』安元３年５月16日条
7. ↑ 現在の静岡県伊豆の国市山木大字
8. ↑ 『曽我物語』を考証した石井進 『日本の歴史７鎌倉幕府』（中公文庫/1974年）より。
9. ↑ 『吾妻鏡』
10. ↑ この頼朝の挙兵は、本来は陽成源氏の直系で同族の頼政一門が伊豆国からいなくなってしまったために工藤茂光（藤原南家）が急遽、頼朝を代理の旗頭に仕立て上げたとの説もある（『鎌倉源氏三代記 - 一門重臣と源家将軍』（永井晋/吉川弘文館/2010年）より）。
11. ↑ その真相は兼隆の目代在任の短さから、頼朝らの本当の標的は兼隆の後見的存在であった堤信遠であったとする説もある（『院政期武士社会と鎌倉幕府』（川合康/吉川弘文館/2019年））。

関連項目[]

• 大掾氏（常陸平氏）
• 伊勢関氏

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