ハリー・ポッター

ページ名:ハリー・ポッター

ハリー・ジェームズ・ポッター

人物の情報

英名

Harry James Potter

誕生

1980年7月31日
イギリスイングランド西部地方、ゴドリックの谷

血統

婚姻

既婚

別名

称号

署名

身体の情報

種族

性別

男性

身長

5フィート10インチ(177センチ)

毛髪

漆黒

暗緑色

皮膚

色白

家族の情報

家族

魔法の情報

まね妖怪

守護霊

牡鹿

所属

職業

所属

[テンプレート]

"みんなが僕のことを特別だって思ってる。『漏れ鍋』のみんな、クィレル先生も、オリバンダーさんも・・・・・・でも、僕、魔法のことは何も知らない。それなのに、どうして僕に偉大なことを期待できる?有名だって言うけれど、何が僕を有名にしたかさえ覚えていないんだよ"—ハリー・ポッター[出典]

ハリー・ジェームズ・ポッター(1980年7月31日生まれ)とは半純血魔法族であり近年でもっとも有名な魔法使いのひとりである。彼は最初の不死鳥の騎士団メンバーであるふたり、ジェームズリリー・ポッター(旧姓エバンズ)のひとり息子として誕生した。予言によってハリー、あるいはネビル・ロングボトムヴォルデモート卿を倒す力を持つ者であるとされ、その誕生は大きな意味を持つようになった。セブルス・スネイプによってヴォルデモートに予言の半分が伝えられると、闇の帝王と多くの共通点を持っていたことからハリーが標的に選ばれた。これによりポッター家は身を隠すことになった。ヴォルデモートは予言を未然に防ぐためハリーが1歳3ヶ月の時に襲撃を試みたが失敗に終わった。この襲撃の時にヴォルデモートはハリーを守ろうとした両親を殺害したが、ハリーを殺すことに失敗して初めて力を失うことになった。この事件により第一次魔法戦争が終結しハリーは「生き残った男の子」として広く知られるようになった。

リリーによる犠牲の守りの結果のひとつとして、孤児となったハリーは唯一の親族であるマグルの伯母ペチュニア・ダーズリーのもとで育てられることとなった。アルバス・ダンブルドアがハリーに施した血縁の魔法により、ハリーがペチュニアのもとにいる間はヴォルデモートにも手出しができなくなった。この強力な魔法はハリーが成人するか、伯母の家が自分の家ではなくなるまで彼を守り続けることになっていた。ハリーがダーズリー家で過ごした時間は悲惨なモのであったが命のために必要なことでもあった。その時点で唯一死の呪いを受けて生き延びた人物として、ハリーはホグワーツ魔法魔術学校に入学する前から有名人であった。

ハリーは11歳の誕生日に初めて自分が魔法使いであると知った。彼は1991年にホグワーツに入学しグリフィンドール組分けされた。在学中、彼はロン・ウィーズリーハーマイオニー・グレンジャーと親友になった。彼はまた、1世紀以上の間で最年少のクィディッチシーカーになりやがては寮チームのキャプテンに就任し2回クィディッチ杯を勝ち取った。入学して数年で賢者の石をヴォルデモートから守り、ロンの妹ジニー・ウィーズリーの命を救った上で秘密の部屋の謎を解いてサラザール・スリザリンバジリスクを殺し、13歳で守護霊の呪文を使えるようになったことでさらに広く知られるようになった。4年目、ハリーは三大魔法学校対抗試合に優勝したが、トーナメントはセドリック・ディゴリーとヴォルデモートの復活という悲劇に終わった。翌学年、ハリーはためらいながらもダンブルドア軍団を教えて率いた。その年の終わり、彼は神秘部の戦いに参加し、後見人のシリウス・ブラックを失った。

ハリーは第二次魔法戦争のあらゆる戦いで大きな役割を果たした。彼とロン、ハーマイオニーはともにヴォルデモートの分霊箱を捜索し破壊していった。ホグワーツの戦いの最中ハリーはセブルス・スネイプフレッド・ウィーズリーの死を目撃し、リーマス・ルーピンニンファドーラ・トンクスコリン・クリービー、その他大勢が戦いで死んだと聞いた。ヴォルデモートに対面したハリーは自分の中にあるヴォルデモートの魂の一部を破壊するために自らを犠牲にして死亡した。森の空き地でヴォルデモートに殺されたハリーはリンボに送り込まれ、アルバス・ダンブルドアと再会して闇の帝王の知られざる情報を手に入れた。生きるか「前に進む」か訊かれたハリーは生きる道を選んだ。目を覚ましたハリーはヴォルデモートと対決し彼を永遠に葬り去った。

また、ハリーはわずか17歳にして3つの死の秘宝を揃えており、知られている限りで唯一の死の征服者である。

戦争が終わった後、ハリーは闇祓いとなりイギリス魔法省の改革に尽力した。あるとき彼はジニー・ウィーズリーと結婚して3人の子どもをもうけた。ジェームズ・シリウス(父親と後見人から)アルバス・セブルス(アルバス・ダンブルドアとセブルス・スネイプから)、リリー・ルーナ(母親とルーナ・ラブグッド)である。またハリーはエドワード・リーマス・ルーピンの後見人となった。2007年、ハリーは26歳という記録的な年齢で闇祓い局の局長となり、しばしばホグワーツで闇の魔術に対する防衛術の教鞭をとった。ハリーは2020年までに魔法法執行部部長の地位に就任した。

目次

経歴

系譜

"おまえの父さん母さんのようないい人はどこを探したっていやしない"—ハリー・ポッターに対してルビウス・ハグリッド[出典]

ジェームズリリー・ポッター

ポッター家は歴史ある裕福な純血の家系であり、遡れば一族の創始者スティンチコームのリンフレッドに行き着く。リンフレッドは「Potterer」(うろうろする人、猟犬といった意味がある)という愛称で親しまれていたが、年月が経って変化し単に「Potter」とだけ呼ばれるようになった。一家は省略されたニックネームの方を姓にしたため、のちの子孫たちは「ポッター」と呼ばれることとなった。

ポッター家はまた、ペベレル家イオランテ・ペベレルから続く子孫でもあった。ペベレル家の子孫であると言うことは彼らは死の秘宝のひとつを作成したイグノタス・ペベレルにさかのぼることが可能であるということであり、ポッター家は一家の遺産として代々透明マントを受け継いでいた。ゴーント家蘇りの石を作成したカドマス・ペベレルを通してペベレル家とつながっており石を指輪にはめ込んで代々相続していた。つまりポッター家はゴーント家と遠い親戚関係に当たり、ヴォルデモート卿ともつながりがあることになる。

17世紀が始まる前、ハリーの先祖の数人はアメリカ合衆国に移民した。ポッター家はかつてアメリカ合衆国魔法議会(マクーザ)と強い結びつきを持っていた[2]。マクーザの最初12人の闇祓いのひとりにエイブラハム・ポッターが名を連ねていた結果がこの結びつきにつながった。エイブラハムの死後数世紀のち、系図学者たちがハリーとの隠れた関連を解き明かした[2]

ポッター家のメンバーふたりがウィゼンガモットに席を有していた。ひとりめはラルストン・ポッターでふたりめはヘンリー・ポッターである。ハリーは莫大な遺産を祖父母であるフリーモントユーフェミアから相続することになった。フリーモントはスリーク・イージーの直毛薬の発明により一家の財産を四倍に増やしていた。

それに対して、ハリーの母親リリー・エバンズマグル生まれで、家族の中で初めての魔法族だった。リリーにはペチュニアという名の姉がおり、リリーの死後彼女が息子ダドリー・ダーズリーとハリーを一緒に育てた。

ポッター家は純血であるため、父方の家系を通してブラック家マルフォイ家ウィーズリー家ロングボトム家(他の純血の家系も同様)の魔法使いや魔女たちと親戚関係にあるとも考えられる。判明しているハリーの母方の親族はマグルであるエバンズ家ダーズリー家のみである。

生い立ち (1980年~1981年)

"あの子は有名人です――伝説の人です――今日のこの日が、いつかハリー・ポッター記念日になるかもしれない――ハリー・ポッターに関する本が書かれるでしょう――私たちの世界でハリーの名を知らない子供は一人もいなくなるでしょう"—魔法界におけるハリーの将来についてミネルバ・マクゴナガル[出典]

幼いハリーと両親

ハリー・ジェームズ・ポッターは1980年7月31日にジェームズリリー・ポッターのもとに生まれた。第一次魔法戦争の最中であったため、両親はともに最初の不死鳥の騎士団の団員であった。ハリーはやがてクラスメイトとなるネビル・ロングボトムの数時間後に誕生した。

1979年末、妊娠したことを知ったリリーとジェームズは姿を隠すことにした。ハリーが生まれるとリリーは洗礼を受けさせた。儀式は素早く秘密裏に行われ出席者もジェームズ、リリー、ハリー、シリウス・ブラックのみであった。ハリーはイングランド西部地方に位置するゴドリックの谷のポッターの小屋に隠れながら幼少期を過ごした。

ハリーの1歳の誕生日にシリウスはおもちゃの箒をプレゼントした。リリーはシリウスに送った手紙の中で、この箒がハリーの一番のお気に入りのおもちゃであり、これに乗ってペチュニアから贈られた不格好な花瓶を壊してしまったと書いている。手紙にはほうきに乗って飛び回るハリーをジェームズが追いかけている写真が同封されていた。リリーは、ハリーが楽しそうにほうきに乗っているとも書いている。リリーとジェームズはまたささやかな誕生日の茶会を開いた。出席したのは夫妻とハリー、バチルダ・バグショットのみであった。バチルダも幼児のハリーをとても可愛がっていた。ポッター家はネコを飼っていたがヴォルデモートの襲撃後どうなったかは不明である。

1980年7月最後の日に生まれた男の子がやがて自分を倒すことになるという予言を聞いたヴォルデモート卿がポッター家を狙っていた。彼から一家を守るため、アルバス・ダンブルドアは忠誠の術を使うことを提案した。ダンブルドアは自身がポッター家の秘密の守人になると申し出たが、ポッター夫妻はハリーの後見人であるシリウス・ブラックに守人を依頼するつもりであった。シリウスの提案により夫妻は狙われることが少ないであろうピーター・ペティグリューを守人にした。恐ろしい運命のいたずらが、ペティグリューはヴォルデモートのスパイで死喰い人であった。一週間も経過しないうちにペティグリューはポッター夫妻を裏切り居場所を密告した。

Blue_Glass_Arrow.svg 詳細はゴドリックの谷の襲撃 (1981年)を参照
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自らを犠牲にしてハリーを守るリリー・ポッター

1981年のハロウィーンの夜、ヴォルデモート卿がゴドリックの谷に現れジェームズとリリーを殺害する。闇の帝王はまず、不運にも杖を持っていなかったジェームズが立ちはだかってきたため、ためらいもなく彼を殺した。リリーはヴォルデモートが来るとハリーを守ろうとして殺された。彼女の犠牲によりがハリーを守る壁となって死の呪いを防いだ。ヴォルデモートが呪文をかけようとすると呪いは逆流しハリーを殺す代わりにヴォルデモート自身を襲った。ヴォルデモートは力をすべて失い、肉体は跡形もなく消滅してしまったが、このときまでに作っていた分霊箱の効果で生きながらえていた。日記ゴーントの指輪スリザリンのロケットハッフルパフのカップレイブンクローの髪飾りなどが彼の分霊箱であった。この事件の際、ヴォルデモートは自分の能力の一部をハリーに与えてしまっただけでなく魂の一部も彼の中に閉じ込めてしまったため、ハリー自身も分霊箱のひとつとなった。これによりハリーは死の呪いを受けて生き残った唯一の人物となり「生き残った男の子」という称号で呼ばれるようになった。呪いの影響によりハリーの額には稲妻型の傷が残り、ヴォルデモートの宿敵として印されたことになる。この傷はヴォルデモートとの精神感応的なつながりを開くため、その後の人生ではハリーにとって災いでもあり強力な武器でもあった。

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ヴォルデモート卿の手により初めて死に直面する幼いハリー

アルバス・ダンブルドアからハリーの伯父伯母の所まで彼を運んでくるようにと命令を受けたルビウス・ハグリッドがハリーを家(ヴォルデモートの呪いの逆流でほとんど破壊されていた)から救い出した。このときポッター夫妻の親友だったシリウス・ブラックが現場に現れ、ジェームズとリリーが死んだ今、後見人の自分にハリーを育てさせてくれと懇願した。ハグリッドは一刻も早くハリーを親戚の家へ運べとのダンブルドアからの指示があると言って断った。崩れたポッターの家でハグリッドがハリーを見つけたとき、ハリーと彼のベッドは白い光に照らされていたという。

シリウスは不服であったが承諾し、プリベット通り4番地まで運ぶために自分の空飛ぶオートバイをハグリッドに譲った。ダンブルドアは状況を説明する手紙とともにダーズリー家にハリーを預けたが、一家が手紙を彼に見せることはなかった。その代わり、ハリーはその後10年間を自分が魔法使いであるとも知らず厳格かつ悲惨な家庭で過ごす事になる。

プリベット通りでの生活 (1981年~1991年)

"ペチュニア!我が家にはああいう連中はお断りだ。ハリーを拾ってやった時誓ったろう?ああいう危険なナンセンスは絶対たたき出してやるって"—ハリーが魔法使いであることを否定するバーノン・ダーズリー[出典]

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プリベット通り4番地にハリーを運ぶルビウス・ハグリッド

ハリーの伯父と伯母であるダーズリー夫妻はマグルであり魔法界に対して一切の理解も示そうとせず、生前から関係を断ってきたハリーの家族についても彼に教えることはなかった。ダーズリー夫妻は「普通の」家族であることを何より誇りとし超常的なものには嫌悪を示した。ダーズリー夫妻は、ハリーの両親は自動車事故で死亡しジェームズは無職の飲んだくれであったと嘘をついていた。ハリーの額にある稲妻型の傷跡(ヴォルデモートの死の呪いにより付いた傷である。彼は額の痛みとともに緑の閃光と冷たい高笑いを思い出すことがあった)もその事故の時ついたのだと話して聞かせた。ハリーは記憶に残る光景が何であるのか、自動車事故なのかを思い出すことができなかった。ペチュニアバーノンはハリーが質問すること、特に両親について尋ねることを禁じた。また、ダーズリー夫妻はジェームズとリリーの写真を持っておらず、ふたりともできるだけ彼らの話題を避けていた。

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ミネルバ・マクゴナガルと共にダーズリー家にハリー・ポッターを届けるアルバス・ダンブルドア

夫妻は稀ではあったが確実に姿を見せるハリーの魔力に動揺した。ふたりはどんな形であれ空想を叱った。ダーズリー夫妻はまた、言葉を使い感情的にハリーを虐待した。時々、何かまともでないことが起るとハリーは夕食抜きの罰を受けた。彼に対する扱いは不公平なものであったが当局に知られることはなかった。少年時代、誰も魔法使いであると教えなかったためハリーはどうして可能なのかも分からずに不思議なことを引き起こすことがあった。例えば、ペチュニアが彼のくしゃくしゃな髪がすぐ伸びることに腹を立ててキッチンバサミで前髪だけ残してほとんど坊主になるまで刈ってしまっても、翌日にはもとのくしゃくしゃな状態まで伸びたことがあった。ハリーは何が起きたか知らなかったがこのことで物置に閉じ込められた。あるときには店の中でディーダラス・ディグルがハリーに向かってお辞儀し、ペチュニアは知り合いなのかどうかハリーに問い詰めると急いで店を後にした。

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階段下の物置で眠るハリー

ダーズリー夫妻はひとり息子のダドリーを溺愛して甘やかしハリーのことはほとんど無視していた。事実、彼らがハリーに注意を向けるときは悪いことが起きた時だけだった。彼の服はすべてダドリーのお下がりでサイズはどれもハリーには大きすぎた。ハリーは階段下の物置で眠ったが従兄のダドリーにはふたつも寝室があった(ひとつは眠るため、もうひとつはおもちゃを置くため)。夫妻はまた、食事作りや郵便受け取りといった家事をハリーにやらせた。やがてダドリーはハリーをいじめるようになる。ダーズリー夫妻は毎年ダドリーの誕生日が来るとダドリーとピアーズ・ポルキスをどこか特別な場所に連れて行ったが、ハリーの誕生日プレゼントはバーノンの古い靴下だけだった。ダーズリー家はハリーの写真を家の中に置かないことで彼の存在の証拠さえも隠していた。仕事を言いつけられたりいじめられたりしていないわずかな時間にハリーはちょっとした遊びが許されソリティアのようなゲームをしてひとりで遊んだ。

しかしリリーがハリーに授けた守りに効果を持続させるためには、こうした困難を乗り越えてでも唯一の親戚と暮らすことが必要不可欠だった。ハリーがプリベット通り4番地を家と呼べる限り誰も彼を攻撃できなかったのである。だがこの犠牲の守りもハリーが17歳になったときかプリベット通り4番地を家と呼べなくなった時に消えることになっていた。

ハリーは知らなかったが、近所に住んでいたアラベラ・フィッグスクイブだった。ハリーにとっては不幸なことにフィッグはアルバス・ダンブルドアの指示で彼を見守っており、ダーズリー家が出かけるときには彼を彼女の家に預けることが多かった。ハリーはフィッグの家を嫌っていたが、ダーズリー家はハリーをひとりで残して出かけることを恐れていた。フィッグが不死鳥の騎士団の指示でハリーの苦悩を見守っていたのだとハリーが知るのは16歳の夏のことであった。

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動物園でボア・コンストリクターとパーセルタングで話すハリー

ダドリーの11歳の誕生日にダーズリー家はダドリーの親友ピアーズ・ポルキスを連れて動物園に出かけた。ダーズリー家は憤慨したがフィッグばあさんが足を骨折したために、ハリーをひとりで家に残していくことを恐れた一家は彼も一緒に連れて行かざるを得なくなった。動物園でハリーは知らないうちにボア・コンストリクター(大ニシキヘビ)の檻のガラスを消滅させてしまった。これによりヘビは檻から這い出し自分を狙ったのだと勘違いしたダドリーをパニックに陥れた。ハリーは這い出したボアとパーセルタングで会話することができ、ヘビは短いお礼を言うとゆっりと爬虫類館から出て行った。この事件の後、逆上したダーズリー家の命令でハリーは夏休みが始まるまで物置に閉じ込められた。

セント・グレゴリー小学校

"学校でもハリーは一人ぼっちだった。ダブダブの服に壊れたメガネをかけたおかしなハリー・ポッターが、ダドリー軍団に憎まれていることをみんな知っていたし、誰一人ダドリー軍団に逆らおうとはしなかったのだ"—学校でのハリーの描写[出典]

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ダーズリー家の雑用をこなすハリー

ハリーはダドリーとともにマグルの学校、セント・グレゴリー小学校に通った。ダドリーがハリーを嫌っていたためダドリー軍団の全員が彼を憎んでおり、皆もそのことを知っていたためハリーに友達はいなかった。特にダドリーの友人たちはハリーを追いかける「ハリー狩り」と呼ばれる特殊なゲームを楽しんだ。ハリーはスポーツが得意だったが、皆はハリーが嫌いというよりダドリーに彼と親しくしているところを見られたくないという理由で、チーム決めではいつも最後まで残った。ハリーは優秀な、そうでなくても及第点を越す成績だった。あるときハリーは誤って教師のウィッグを青に変えてしまい、またあるときにはダドリー軍団から逃げようとして自分でも知らずに学校の食堂の屋上の上に姿現わしした。そしてペチュニア伯母さんがハリーにダドリーの古いジャンパーを着せようとしたときそれを頭の上で縮ませたこともあった。こうしたできごとは常にダーズリー夫妻を激怒させ、ジャンパー事件を除いて必ず物置に閉じ込められた。

もしハリーがホグワーツ魔法魔術学校に行かなければ彼は入学を恐れたマグルのストーンウォール校に通わなければならなかった。

魔法界との出会い

"おまえは魔法使いだ。しかも凄腕になれる。訓練さえ受けりゃ"—ルビウス・ハグリッド[出典]

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暖炉から溢れるホグワーツの入学許可通知

ハリーは自身の正体が解き明かされた11歳に至るまで誕生日パーティを開いてもらったことはなかった。ハリーの誕生日の週、ホグワーツ魔法魔術学校という所からハリー宛に何百通という手紙がダーズリーの家に届くようになった。最初の手紙に「階段下の物置内」と書かれていたのを見たダーズリー夫妻はパニックになり、ハリーへの待遇が監視されていると考え、虐待が公になることを危惧して彼をダドリーのふたつめの寝室に移した。しかし宛先はすぐに「一番小さい寝室」に変わった。初めて手紙を読んだバーノン伯父さんの顔は魔法使いがハリーと接触しようとしているという恐怖でお粥のような灰色に染まった。このときから、バーノンはハリーを魔法界から遠ざけようという無益な試みを始めた。しかし家に来る手紙は増え続け、ついに暖炉から何十通もの手紙が飛び出すようになるとバーノンは逃亡を決意する。彼らが行くところならどこにでもふくろうが現れて手紙を届けたためこの逃避行は充分とは言えなかった。最後の手段としてダーズリー家は海の箸にある岩だらけの島の小屋に泊まった。

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ルビウス・ハグリッドがハリーにプレゼントしたケーキ

ハリーの誕生日の真夜中、ハリーが手紙を受け取っていない理由を調べるためルビウス・ハグリッドが小屋に現れた。彼はダーズリー家に対して激怒し、バーノンの頑なな抗議にも関わらず、ハリーに彼が魔法使いであること、両親の死の真相、アルバス・ダンブルドアが崩れた家から悲惨な親族の家庭までハリーを運ぶよう命じたことなどを説明した。そしてホグワーツ魔法魔術学校への入学許可を伝えた。

これはハリーにとって初めての誕生日パーティでありハグリッドは小さな手作りのケーキを彼に渡し、翌日白いふくろう(ハリーは教科書にあった名前からヘドウィグと名付けた)をプレゼントした。ハグリッドはハリーを漏れ鍋に連れて行き彼はそこで自分が有名であると知った。ハリーはここでホグワーツの闇の魔術に対する防衛術教授に着任するクィリナス・クィレルや宿の主人トム、ドリス・クロックフォードという魔女、数年前にハリーにお辞儀したディーダラス・ディグルに会う。それからハグリッドはハリーをダイアゴン横丁に案内し、彼はここで自分の魔法界における名声をさらに学び、両親がグリンゴッツ魔法銀行の金庫にかなりの財産を遺していたと知った。

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ダイアゴン横丁のオリバンダーの店で杖を買うハリー

ハリーはこの日、最初のオリバンダーの店で購入する。ハリーを選んだ杖は柊製で不死鳥の羽根をに用いた良質でしなやかな品だった。芯に使われた羽根はダンブルドアの不死鳥フォークスからとったものである。作った職人ギャリック・オリバンダーでありこの杖と対になる一本も作成していた。その杖とはイチイの木から作られ芯にはフォークスの羽根を使用していた。そしてその杖は遠い昔にトム・リドルを主人として選んでいた。やがて闇の魔法使いとなりヴォルデモート卿を名乗るようになったリドルがこのでハリーを攻撃し両親を殺害したのである。2本の杖は同じ不死鳥の羽根を使っており特殊なつながりを持っていた。そのため数年後の決闘ではお互いを致命的に傷つけることはできなかった。

ホグワーツ在学中 (1991年~1997年)

1年目
アルバス・ダンブルドア: "ハリー、どうしてクィレルが君に手を出せなかったかわかるかね?お母さんのおかげじゃ。命と引き換えに君を守った。それが君に印を残した......いやいや目に見えない印じゃ。君の肌にそれが残っておる"ハリー・ポッター: "どんな印を?"アルバス・ダンブルドア: "愛じゃよハリー、愛じゃ"— の力についてアルバス・ダンブルドア[出典]
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組分け儀式においてセブルス・スネイプと目が合ったハリーは額の傷に痛みを感じた。

1991年9月1日、ホグワーツ特急に乗ったハリーは車内でやがて生涯の友となるロン・ウィーズリーハーマイオニー・グレンジャーと出会った。組分け帽子はハリーをどの寮に入れるかで悩みハットストール状態となりかけた。帽子はハリーをスリザリンに入れることも考慮していたが、多くの闇の魔法使いがスリザリン出身であるとロンから聞いていたハリーは自分を入れないように頼み込んだ。結局ハリー、ロン、ハーマイオニーの3人ともがグリフィンドール組分けされた。ハリーはロンとすぐに仲良くなったがハーマイオニーと友達になるのにはしばらく時間がかかった(それでもロンよりは彼女に親切に接した)。ハロウィーンの夜、マウンテン・トロールが学校に忍び込んだ。生徒たちは談話室に避難するよう指示を受けたが、ハリーその日ロンにからかわれてトイレで泣いていたハーマイオニーがこのことを知らないと気づく。女子トイレに駆け込んだハリーとロンはハーマイオニーの前に立ちはだかるトロールに遭遇する。ハリーがトロールの鼻に杖を刺しロンが「ウィンガーディアム・レビオーサ」で棍棒を浮かせてノックアウトさせた。ハーマイオニーはハリーとロンが罰則を受けないよう駆けつけた教授たちに嘘をついた。このときから3人は親友同士となる。

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対スリザリン戦で初めてクィディッチの試合をするハリー

初めての飛行の授業において、ハリーは自分に箒乗りとして才能が有ることを知る。ドラコ・マルフォイネビル・ロングボトムの思い出し玉を奪うとハリーは箒で上昇して空中でそれを取り返してみせた。あまりに卓越していたためハリーはグリフィンドールのクィディッチ・チームに入団できることになり、通常1年生は箒の所持が禁止されていることから20世紀最年少のシーカーとなった。最初のクィディッチの試合前、ハリーは競技用箒の傑作ニンバス2000ミネルバ・マクゴナガルから受け取った。この試合中、ハリーの箒に呪いがかけられ制御を失ったハリーは落下しかける。

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地下の部屋でハリーと対面するクィレルとヴォルデモート

ロンとハーマイオニーはセブルス・スネイプがハリーを見つけて呪文をつぶやいていることに気づいた。ハーマイオニーは彼の席に近づきローブの端に呪文で火を放った。スネイプがそちらに気を取られるとハリーの箒は正常に動き出し、彼は地面に向かって急降下した。その途中で彼の口にスニッチが飛び込み飲み込みかけたがこれによって試合は終了、グリフィンドールの勝利に終わった。後になってハリーの箒に呪いをかけていたのは闇の魔術に対する防衛術教授クィリナス・クィレルで、スネイプは反対呪文を唱えていたのだと判明しハリー、ロン、ハーマイオニーは驚愕する。そのころ、多くのものが死んだと考えていたヴォルデモート卿はクィレルの身体に取り憑き、肉体を呼び戻して永遠の命を与えるとされる賢者の石を盗み出そうとしていた。6月4日、正体を見せたヴォルデモートはロンやハーマイオニーの助けを借りたハリーに敗北する。3人組は石が盗まれヴォルデモートが肉体を取り戻して復活することを防ぐため、賢者の石の部屋で迫り来る危険で困難な試練を乗り越えた。

この試練を通して、罠を超えるごとにひとりずつ減っていった。ハーマイオニーは最後の罠を超えることができずハリーはひとりでヴォルデモートと対決しなければならなかった。ヴォルデモートは手下のクィレル(1年間ヴォルデモートの宿主となっていた)にハリーを殺すよう命じるが、ハリーの母の保護呪文が作用してハリーに触れたところが水膨れになった。

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医務室でダンブルドア教授と話すハリー

この戦いの最中ハリーは意識を失い倒れるがダンブルドアが救出に現れ石を運び出した。3日後、医務室で目覚めたハリーはダンブルドアから、ヴォルデモートに見捨てられたクィレルが死亡したと聞く。この医務室での3日間でハリーは年度最後のクィディッチの試合を逃してしまいグリフィンドール対レイブンクローでレイブンクローが勝利していた。年度末の宴会では、ダンブルドアがハリーの完璧な精神力と並外れた勇気を称えグリフィンドールに60点追加し、ロンとハーマイオニーにもそれぞれ50点、ネビル・ロングボトムには10点が与えられた。こうしてグリフィンドールは寮杯の争奪戦に優勝しスリザリンの7年連続優勝を防いだ。

2年目
ハーマイオニー・グレンジャー:"でも、あなたのおじさんもおばさんも、あなたのことを誇りに思うんじゃない?今学期、あなたがどんなことをしたか聞いたら、そう思うんじゃない?"ハリー・ポッター:"誇りに?正気で言ってるの?僕がせっかく死ぬ機会があったのに、死に損なったていうのに?あの連中はカンカンだよ・・・・・・"— 学年度の終わりにハーマイオニー・グレンジャーとハリー[出典]
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プリベット通り四番地の庭で過ごすハリー

ハリーの2年目の出だしは好調とは言えず次第に悪くなっていった。ハリーは夏休み中は仲の悪い伯母や伯父の家で過ごさなければならなかった。その上、ハリーは友達との連絡も取れず魔法界のニュースも知らずいつも通り伯父と伯母、従兄にいじめられていた。ダーズリー家はついに魔法を連想させたりあるいは関連がある普通の言葉の使用までも禁止した。ある日の朝食のテーブルでハリーが「魔法」と言ったためにこの措置がとられた。ダーズリー家はまた、ハリーが魔法を使うと脅してひとりになりたがったため彼が得た魔法の能力に恐怖を抱くようにもなっていた。ハリーの誕生日に友達からのカードが一枚も来なかったことをダドリーがからかったときハリーはデタラメの文言を唱えてダドリーを心底怖がらせた。

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ハリーに自己紹介するドビー

ハリーの12歳の誕生日の晩、ハリーは自分宛てに届く手紙をすべて屋敷しもべ妖精ドビーが横取りしていたために誰からも連絡がなかったのだと知った。ハリーが理由を尋ねてもドビーはハリーがホグワーツに戻ってはいけないと答えるだけだった。魔法界こそが自分の居場所だとしてハリーが拒否するとドビーは承諾させるための行動に出る。ドビーはバーノンとメイソン氏の取引の席で魔法を使いペチュニアが作った巨大なプディングを床にぶちまけて姿くらましし、ハリーに罪を着せたのであった。この件によりハリーは魔法省からの警告状を受け取り部屋に監禁されることになった。ダーズリー家は3日間ハリーを閉じ込めたがロン・ウィーズリーと兄で双子のフレッドジョージがハリーを救出に訪れた。ハリーはバッグに荷物を詰め込むとウィーズリー家空飛ぶ車に積み込んだ。ハリーとウィーズリー兄弟は誰にも気づかれないことを祈りながら明け方に隠れ穴に到着した。しかしウィーズリー夫人が息子たちに腹を立てて待ち受けていた。

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空飛ぶフォード・アングリアでホグワーツに向かうハリーとロン

ハリーが学校に戻るのを阻止するドビーの最初の試みは失敗に終わったが彼は諦めなかった。ハリーとウィーズリー家キングズ・クロス駅に到着するとドビーは9と4分の3番線への入口を閉じてハリーとロンがホグワーツ特急に乗れないよう細工した。しかしこれでもハリーが学校に戻るのを防ぐことはできなかった。彼とロンはウィーズリー家の空飛ぶフォード・アングリアに乗り込んでホグワーツに向かう列車を追いかけたのであった。ふたりは列車より遅れて到着したが怪我もなく無事だった。ところが着陸の段階でロンが暴れ柳に車を衝突させてしまいロンの杖が折れた。

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「秘密の部屋は開かれたり 継承者の敵よ、気をつけよ」

そして学校に着いてからもハリーの災難は終わらなかった。闇の魔術に対する防衛術教授ギルデロイ・ロックハートが1年を通してハリーの意思に反して彼を無理やり目立たせようとしたためハリーはいつも恥ずかしく思っていた。ロックハートが主導した決闘クラブでの会合においてハリーは誤って知らないうちに自分がパーセルマウス(通常サラザール・スリザリンやヴォルデモートのような闇の魔法使いを連想させる特殊能力を持つ者)であると同級生や教師たちに暴露してしまった。このころ「スリザリンの継承者」とされる人物によって秘密の部屋が再び開かれていたためハリーにとっては大きな厄介の種となった。部屋が開放されると何人ものマグル生まれの生徒たちが襲撃されやがてハリーの親友ハーマイオニー・グレンジャーも被害者となった。

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トリオはドラコ・マルフォイから情報を聞き出そうとポリジュース薬を使用した

これらの襲撃事件は継承者によって引き起こされており多くの生徒たちはそれがハリーであると思ったが、ハリー、ロン、ハーマイオニーはドラコ・マルフォイが黒幕であると信じた。この仮説を検証するためハリーとロンはハーマイオニーが作ったポリジュース薬でそれぞれビンセント・クラッブグレゴリー・ゴイルに変身しドラコ・マルフォイ自身から真相を聞き出そうと試みる。そしてマルフォイは継承者ではなく彼も真相をまったく知らなかったということが判明する。ハーマイオニーはこのとき、誤って猫の毛をポリジュース薬に入れて飲んでしまい(この薬を使って動物に変身することは不可能である)、冒険に加わる代わりに一週間医務室で過ごさなければならなかった。バレンタインデーの前、日記を拾ったハリーはこの日記から50年前にも秘密の部屋が開かれハリーの友人ルビウス・ハグリッドが犯人として検挙されたことを学んだ。

このころ、ハーマイオニーは新たな仮説を思いついていた。生徒たちを襲撃している怪物はバジリスクであると考え、研究して理論を立てた。ハーマイオニーが襲撃された朝、彼女とペネロピー・クリアウォーターは角に何か怪物がいないか確かめるために鏡を使用した。ハーマイオニーは調査によってバジリスクがパイプを使って学校中を這い回っているという結論に達しそれを本からちぎった紙片に書き込んでいた。彼女が襲撃されたのはこの日で石化させられた体はそのまま医務室に運ばれた。

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ハーマイオニー・グレンジャーや他の石化した生徒たちを見舞いに訪れるハリーとロン

ハグリッドは無実でも何か知っているかもしれないと考えたハリーとロンはハーマイオニーが襲撃されたあと彼を訪ねた。透明マントに隠れたふたりはコーネリウス・ファッジ魔法大臣がハグリッドを逮捕しアルバス・ダンブルドア校長に停職を言い渡す現場を目撃した。ハグリッドは連行される前ふたりに手がかりを残す。彼はクモを追えとふたりに告げたのであった。ロンは極度のクモ嫌いであったがハリーとともにこの助言に従った。ふたりはアクロマンチュラアラゴグに会い、50年前に秘密の部屋を開いたのはハグリッドではなく死んだ女子生徒はトイレで殺されたという話を聞き、その生徒が嘆きのマートルであると推理した。数日後、ハリーとロンはハーマイオニーの手に握られていた、バジリスクという恐ろしい怪物について書かれた本の切れ端に気づく。ハリーとロンはそのような巨大な生物が誰にも気づかれずに学校内を動き回れる理由を考えハーマイオニーの字で紙片に書かれた「パイプ」という文字に着目した。

5月29日、ハリー(のちにロンも)は秘密の部屋を開いたのは日記に閉じ込められたトム・リドルの記憶に操られていたロンの妹ジニーであると悟った。操られたジニーは学校で破壊行為を行い壁に血文字を書いていた。ふたりはまた、ジニーが秘密の部屋に囚われ殺されかけていることを知り久寿を決意する。ハリーはロンとロックハートを引き連れて部屋の位置を見つけ出しパーセルタングの能力を使って入口を開いた。3人が部屋に降りると怖気づいたロックハートがロンの折れた杖でふたりの記憶を消そうするが、忘却呪文は逆流し彼自身に作用した。部屋の屋根が崩れハリーはロンやロックハートを分断されてしまった。

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グリフィンドールの剣でスリザリンの蛇を突き刺すハリー

ロンやロックハートと別れたハリーはひとりで前に進んだ。彼はすぐに部屋の中央で気絶しているジニーを発見する。ハリーの願った通り彼女はまだ生きていたが命は徐々に蝕まれていた。ハリーはジニーの生命力を奪って日記の記憶から肉体を取り戻そうとするトム・リドルに声をかけられる。リドルは自身の生い立ちについて語りヴォルデモート卿として正体を明かした。ふたりは命を取り戻すとするリドルの魔法実験について口論する。ハリーがダンブルドアこそが世界最高の賢者であると告げるとリドルはスリザリンの蛇をけし掛けた。バジリスクはパイプを通ってハリーを追うがそこにフォークスが助けに現れ大蛇の目を潰した。フォークスの助けとグリフィンドールの剣によりハリーは大蛇の息の根を止めてみせた。

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バジリスクの牙でリドルの日記を破壊するハリー

しかしハリーはこの化け物を突き殺す際その牙に噛まれてしまった。するとフォークスが怪我の上に降り立って涙を流した。不死鳥の涙には癒しの力が有りハリーは生き延びる。ハリーはそれからリドルを消し去るためバジリスクの牙で日記を3度突き刺した(このとき知らずに分霊箱のひとつを破壊したことになる)。リドルの体が爆発し復活の試みはまたしても失敗する。危険が去るとフォークスはハリー、ジニー、ロン、ロックハートを乗せて(不死鳥はかなりの重量にも耐えられる)脱出した。ハリーはこの出来事についてアルバス・ダンブルドアと話し合い、ジニーに責任はないこととロックハートの裏切りを説明した。ハリーとロンはどちらもホグワーツ特別功労賞を受賞しグリフィンドールにそれぞれ200点が加点された。グリフィンドールは2年連続で寮杯を獲得したことになる。

校長のオフィスでドビーの奇妙な行動を見たハリーはルシウス・マルフォイこそが秘密の部屋開門の黒幕であると気づく。学期が始まる前、ルシウス・マルフォイはジニーの鍋にトム・リドルの日記を忍ばせ彼女を操って部屋を開けようとしたのだった。このとき彼は日記がヴォルデモートの分霊箱だとは知らなかった。その後ハリーはルシウスをうまく誘導して哀れな屋敷しもべ妖精ドビー(1年間ハリーを守ろうとしていた)が靴下を受け取れるようにし彼を自由にした。マルフォイはそれまでの行動から学校理事長の地位を追われ、一時的な平穏が訪れた。

3年目

"父さん、母さんの親友だった人なんだ。殺人犯だけど、魔法使いの牢を脱獄して、逃亡中だよ。ただ、僕といつも連絡を取りたいらしい・・・・・・僕がどうしてるか、知りたいんだって・・・・・・幸せかどうか確かめたいんだって・・・・・・"—シリウス・ブラックについてバーノン・ダーズリーに説明するハリー[出典]

1993年の夏、12年前にジェームズリリー、ハリーをヴォルデモートに売り渡しピーター・ペティグリューと12人のマグルを殺害したという無実の罪を着せられていたシリウス・ブラックアズカバンから脱獄する。この事件で魔法界に緊張が走り多くの人びとはハリー殺害こそがブラックの目的であると思い込んだ。そのため、夏の終わりにハリーが魔法(肥らせ呪文と思われる)を使ってマージョリー・ダーズリーを膨らませても特に罰を受けることはなかった。その夜にハリーはダーズリー家を去り夜の騎士バスでの珍しい経験ののちコーネリウス・ファッジ魔法大臣が待ち受ける漏れ鍋に到着した。漏れ鍋で2週間気楽に過ごしたハリーは友人のロンハーマイオニー、そしてエジプト旅行から帰ったばかりのウィーズリー一家と再会する。その夜、ハリーはウィーズリー氏ウィーズリー夫人の口論を聞いてしまい、魔法省はシリウス・ブラックが自分を狙っていると考えていることを知った。

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シリウス・ブラックを探してホグワーツ特急に乗り込む吸魂鬼

ホグワーツ特急に乗って出発する前、ウィーズリー氏はハリーをわきに引っ張り、単刀直入にシリウス・ブラックを絶対に探したりしてはいけないと告げた。ハリーは自分を殺そうとしている人間をわざわざ探しに行ったりはしないと思うばかりだった。空きコンパートメントがなかったため、ハリーと友人たちは新たな闇の魔術に対する防衛術教授リーマス・ルーピンと相席した。列車は目的地を前にして突然停止し、ブラックを追い求める吸魂鬼たちが乗り込んでくる。ハリーは吸魂鬼の存在に強い影響を受け、気絶しこの後1年間同じ症状に苦しむようになる。吸魂鬼は気絶したハリーの正のエネルギーを吸い始めるが目を覚ましたリーマス・ルーピン教授がすぐに追い払った。トリオはここで初めてリーマス・ルーピンと言葉を交わす。

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魔法生物飼育学でバックビークに触れるハリー・ポッター

翌日、ハリーと同級生たちは新学期の最初の授業を受ける。初めての占い学の授業においてハリーはシビル・トレローニー教授からハリーの茶葉の中に死神犬が見えると告げられた。トレローニーはまた、ほとんど憶測のようにハリーの死を予言し彼を苛立たせた。その一方、新教授ルビウス・ハグリッドが担当する魔法生物飼育学の授業も始まり、生徒たちはヒッポグリフについて学ぶ。しかしドラコ・マルフォイはハグリッドの指示を聞いておらずヒッポグリフのバックビークに引っ掻かれてしまった。

ルーピン教授は様々な闇の生物との戦い方を教えすぐに人気の闇の魔術に対する防衛術教諭となった。ハロウィーンには、3年生に初めてのホグズミード行きが許可される。ハリーはダーズリー夫妻から許可証にサインをもらえなかったため行くことができなかった。ロンとハーマイオニーは彼女の新しいネコクルックシャンクスのことで言い争っていたがハリーの苦悩を思いやって仲直りした。友人たちがホグズミードで楽しむ中、ハリーはルーピン教授のもとを訪れる。数週間後、ハリーは年度初のクィディッチの試合に出場しハッフルパフと対戦した。強い雨風の中進行するが試合に吸魂鬼が乱入した。彼らの存在により気を失ったハリーは15メートルの高さから転落し彼のニンバス2000暴れ柳に衝突して破壊されてしまう。これはハリーが負けた最初で最後の試合でもある。

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地図を使ってホグズミードに忍び込むハリー

クリスマス直前、学校ではもう一度ホグズミード行きが行われた。このときハリーは双子のウィーズリーから譲り受けた忍びの地図を使ってホグズミードに忍び込む。この校則破りの訪問でハリーはコーネリウス・ファッジ魔法大臣と数名のホグワーツの教師の会話を聞いてしまう。ファッジは教師たちにポッター夫妻を裏切ったのはシリウス・ブラックで、彼はハリーの後見人であると話した。この話にハリーは大きなショックを受ける。ハリーの悲しみを和らげるためトリオはハグリッドを訪ね、バックビークが裁判にかけられると知って協力を約束した。その後まもなく、クリスマス当日、ハリーは極めて上質で高価な箒炎の雷を匿名の誰かからプレゼントされる。これがシリウス・ブラックからであると考えたハーマイオニーはすぐにミネルバ・マクゴナガル教授に報告し、ハリーとロンは彼女と口をきかなくなった。それでもハリーはハーマイオニーがそう思う理由や彼を守るためにしたのだということは理解していた。

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ルーピン教授との最初の守護霊の呪文の授業

冬休みののち、ルーピン教授はハリーとの個人授業を開始する。ハリーは大きく進歩していくが授業を受けても実体のある守護霊を作り出せないことに悩んだ。まもなくマクゴナガル教授から炎の雷が返却されハリーはハーマイオニーと仲直りしても良い頃合だと考える。しかしその晩ロンのネズミ、スキャバーズが姿を消し彼はクルックシャンクスのせいであると言い張った。ハリーとロンは、ハリーが見つかりそうになった次のホグズミード行きまでハーマイオニーと仲直りすることはなかった。学校を抜け出してはいけないと厳しく説教されたハリーはロンと玄関ホールを歩いていたとき打ちひしがれたハーマイオニーに出会ったのであった。ハーマイオニーはルシウス・マルフォイが権力を用いてバックビークを有罪にし死刑を宣告させたと告げた。

やがてクィディッチの決勝戦が開催されハリーは生涯の中でも一番の泥仕合を経験する。ハリーはグリフィンドールが充分に得点してから黄金のスニッチを掴むことでグリフィンドールのクィディッチ・チームを優勝に導き寮対抗クィディッチ優勝杯を獲得した。だが最終試験が迫っていたためいつまでも祝っているわけにはいかなかった。ハリーは結局試験をうまくこなし、6月6日の最後の占い学試験でトレローニー教授がトランス状態に陥って予言するのを聞く。この予言によれば召使いヴォルデモート卿のもとに戻り彼の復活を手助けするという。同じ日、バックビークの控訴がホグワーツ城で行われたが判決はまたしても死刑だった。ハグリッドは来るなといったが3人は城を抜け出して彼を慰めに行く。ここでスキャバーズが再び姿を見せる。魔法省役人たちが姿を見せるとハグリッドは急いでハリー、ロン、ハーマイオニーを裏口から逃がした。城に戻る途中、3人は空を切って振り下ろされた斧の音を聞きバックビークの死を確信する。

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トリオとピーター・ペティグリューを人間の姿に戻す前のルーピン教授およびシリウス・ブラック

その直後、スキャバーズがロンを噛んで逃げ出しロンはネズミを追いかけて暴れ柳の麓に駆け込んだ。そこに巨大な黒い犬が現れロンを攻撃すると彼とスキャバーズを引きずって暴れ柳の下に消えた。黒い犬と格闘するうちにロンは足首を骨折する。ハリーとハーマイオニーは彼らを追ってトンネルをくぐり叫びの屋敷にたどり着く。ロンの叫び声を聞いたふたりは2階の寝室にロンがいると気づく。部屋に駆け込んだふたりは動物もどきので黒い犬に変身できるシリウス・ブラックに遭遇した。3人はルーピン教授に救われるが、ルーピンがブラックと兄弟のように抱き合い遠い昔に死んだはずのピーター・ペティグリューについて語り始めたことで状況は一変する。説明を求められた彼らは、ルーピン、ブラック、ペティグリュー、ハリーの父らがホグワーツの同窓生で、狼人間のルーピンを助けるために3人が動物もどきになったと話した。そして本当にポッター夫妻を裏切ったのはペティグリューであったと明かす。ブラックとルーピンが動物もどきを暴く呪文でスキャバーズをペティグリューに戻したことでこれが事実であると証明される。

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百体以上の吸魂鬼を追い払う牡鹿の守護霊

尋問を経てペティグリューは白状したが、ハリーはブラックやルーピンが彼を殺すのを止めた。ペティグリューを裁きの場に引き渡そうと決意した一行はに向かって歩き始めた。その途中、月が雲間から顔をのぞかせ脱狼薬を飲んでいなかったルーピンを狼に変身させた。危険を察知したブラックは動物もどき状態となってハリーや友人たちを守るが大怪我を負ってしまう。ハリーとハーマイオニーが彼を助けようとすると何百もの吸魂鬼が現れ3人の吸魂鬼のキスを施そうとする。ブラックはすぐに気絶しハリーは守護霊を呼び出そうともがいて(彼はダーズリー家と別れシリウスと暮らす所を想像した)、ハーマイオニーにも幸せな記憶を呼び覚まして呪文を使うよう指示した。吸魂鬼はすばやく3人を取り囲み、ハリーは一筋の守護霊を作り出すがハーマイオニーも気絶してしまう。ひとりになったハリーは抵抗を続けるが数で圧倒される。群がる吸魂鬼の中の一体がハリーの喉を掴んでキスを実行しようとすると彼は耳元で母親の悲鳴を聞いた。これが最期に聞く声かと考えた瞬間謎の人物が湖の反対側の岸に現れ強力な守護霊を放って吸魂鬼を追い払いハリー、シリウス、ハーマイオニーを救った。

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逆転時計を使うハリーとハーマイオニー

薄れゆく意識の中でハリーはその人物が自分の父親ではないかと考えた。その後、医務室で目を覚ましたハリーとハーマイオニーはシリウスに吸魂鬼のキスが施されると知る。ダンブルドアに真実を話したふたりは時間がなければどうすることもできないと言われる。このヒントによりハーマイオニーはハリーを掴むと逆転時計で3時間前に戻った。戻ったふたりは処刑の直前に救うためバックビーク救出の時間が来るまで待った。そしてふたりはシリウスを救う時間が来るまで待つ事になる。森の中で座っている間、ハリーは自分たちを救ったのは父親ではないかとハーマイオニーに話すが彼女はジェームズ・ポッターはすでに死んでいると指摘し議論は終了する。狼に変身したルーピンを避けるためふたりとバックビークはハグリッドの小屋に避難する。しかしハリーは謎の人物の正体を確かめるため外に出た。湖の岸で吸魂鬼に襲撃される過去の自分たちを見たハリーはここで突然、自分自身が守護霊を出して自分たちを救ったのだと勘づいた。一歩踏み出したハリーは守護霊の呪文を唱え見事な牡鹿の守護霊を作り出しすべての吸魂鬼を追い払った。こうして彼は過去の自分自身、ハーマイオニー、シリウスの命を救う。ハーマイオニーと合流したハリーはシリウスのもとに駆けつけバックビークを渡して脱出させた。

ハリーは落ち込んだ気持ちでダーズリー家への帰途につくがシリウスからの手紙を受け取ったことでこの旅とホグワーツでの未来がふいに活気づいた。中にはシリウスによるホグズミード行きの許可が同封されておりハリーは後見人と知り合えたことを喜んだ。この手紙の中でシリウスは炎の雷を送ったのは自分であると認めた。

4年目
ハーマイオニー・グレンジャー: "休みには手紙書いてね。ふたりとも"ロン・ウィーズリー: "書かないよ。わかってるだろ?"ハーマイオニー・グレンジャー: "ハリーは書いてくれる?"ハリー・ポッター: "うん。毎週書くよ"―学年度の終わりに、トリオ[出典]

ハリーはプリベット通り4番地のダーズリー宅で悪夢から目覚めた。ハリーはマグルのフランク・ブライスについて鮮明な夢を見たのであった。ブライスはバーサ・ジョーキンズを確保したペティグリューを褒め称えるヴォルデモートの声を聞いていた。ジョーキンズは魔法省の職員であり、ヴォルデモートは殺害する前に彼女から情報を聞き出した。フランクはやがてヴォルデモートのヘビ、ナギニに発見されてしまう。年老いた庭番が立ち聞きしていたことに不快感を覚えた闇の帝王は死の呪いを唱えてブライスを殺害した。悪夢から覚めたハリーの傷跡はひどく痛み、友人ダンブルドアに手紙を出そうかと考えたが、結局シリウスに手紙を書いた。ハリーは悪夢のことには触れず傷が痛むとだけ書き、ヘドウィグが戻ったら送るつもりであった。

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隠れ穴ビルチャーリーによるテーブルの試合を見るハリー

翌日、ダーズリー宛てのウィーズリー夫人からの手紙が届いた。手紙にはハーマイオニーウィーズリー家と一緒にクイディッチ・ワールドカップのアイルランド対ブルガリアの決勝戦を一緒に見に来ないかと書いてあった。これを快く思わないバーノンはあえて禁止したが、シリウス・ブラックについてハリーが一言言及するだけで許可を得ることができた。ハリーはすぐにロンに手紙を出し、土曜日の午後にはウィーズリー家がダーズリー宅まで煙突飛行ネットワークを利用した。ウィーズリー家はダーズリー宅で電気式の暖炉を使っていることを知らなかったため、ウィーズリー氏が居間の半分を壊してしまう結果となった。双子のひとりがいたずらを仕掛ける目的でわざとトン・タン・トフィーを落とし、それをダドリーが食べた。これ以降状況はますます悪化しやがてバーノンがウィーズリー氏に小さな像を投げつける事態となった。

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ハリー、ロン、ハーマイオニーが観戦したクィディッチ・ワールドカップのキャンプ地

1994年8月25日、ハリーとウィーズリー家、ハーマイオニーはクィディッチ・ワールドカップを観戦した。ストーツヘッド・ヒルにおいて、セドリック・ディゴリーとその父親エイモスと合流した。キャンプ地に到着した一行はルード・バグマンバーティ・クラウチ・シニア屋敷しもべ妖精ウィンキーらと出会った。他にもシェーマス・フィネガンディーン・トーマスオリバー・ウッドドラコ・マルフォイなど数多くのホグワーツ生やその家族が観戦に来ていた。ハリー、ロン、ハーマイオニーが一等席のチケットを持っていたため一行は近くでアイルランドのブルガリアの代表チームの試合を観戦することができた。これはウィーズリー氏がルード・バグマンに貸しがあったためであった。ハリーが外国にも魔法学校があると知ったのはこのワールド・カップの場であり、それまでそういった考えが浮かんだことはなかった。

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死喰い人が暴動を起こしマグルのロバーツ家を攻撃した

試合が終わった夜、まだアイルランド・チームのサポーターが勝利を祝っているとき、一団の黒いマントを羽織ってフードを被った者たちがマグルのキャンプ地管理人と家族たちを折れ曲がったマリオネットのように宙に吊し、自分たちの祝いを行った。彼らはまた、強奪を始め、目につく物すべてを破壊し尽くしていった。ウィーズリー夫人の指示によりハリー、ハーマイオニー、ロン、フレッドジョージジニーはキャンプ地近くの森に姿を隠した。一行は守の中ではぐれ、トリオの3人だけとなってしまった。この混乱の中でハリーはをなくしてしまった。彼はどこかでポケットから落ちたのだろうと考えた。トリオは森の中でドラコ・マルフォイに遭遇した。マルフォイは父親もフードの一団の中にいると明かしたも同然であった。マルフォイはまた、ハーマイオニーはフードの一団から離れていた方が身のためであると話し、彼女の血統を今一度嘲った。

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1994年クィディッチ・ワールドカップに再び現れた闇の印

ハリーはのちに、バーティ・クラウチ・ジュニアがポケットから杖を盗んでいたのだと知った。森を歩き回る中、ハリー、ロン、ハーマイオニーは誰かが「モースモードル」を詠唱するのを聞いた。「モースモードル」とは緑のドクロの口から舌のようにヘビが突きだしている闇の印を空に打ち上げるための呪文である。ハリーは闇の印の意味を理解できなかったが、すぐにヴォルデモートと関わりがあるということを知った。そこにバーティ・クラウチ・シニア、エイモス・ディゴリー、その他の魔法省職員が姿現わしで登場し、闇の印についてハリー、ロン、ハーマイオニーを尋問した。ハリーが他の誰かが呪文を唱えるのを聞いたと証言すると役人はあたりを捜索して茂みで気を失った屋敷しもべ妖精ウィンキーを確保した。ウィンキーの手にハリーの杖が握られていたため、クラウチは家名を汚した罪で彼女を解雇した。

"マッド-アイ"・ムーディ

学年度はじめの宴会において、ダンブルドア教授はホグワーツが三大魔法学校対抗試合の開催校になったことを発表した。三大魔法学校対抗試合とはおよそ200年ぶりに復活した行事であり、ホグワーツ、ボーバトン魔法アカデミーダームストラング専門学校の生徒たちが技能を競い合う。安全のため、17歳以上の生徒のみが参加できるという新しいルールが付け加えられた。また、この宴会においてダンブルドアは元闇祓いで新しい闇の魔術に対する防衛術教授となるアラスター・"マッド-アイ"・ムーディを紹介した。ムーディは偉大な闇祓いとして有名であったが少し狂気的であり"マッド-アイ"というニックネームの元になった魔法の目を持っていたため、この発表には賛否様々な反応が起きた。

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許されざる呪文に関する闇の魔術に対する防衛術講義

木曜日、初めての闇の魔術に対する防衛術レッスンで、ムーディは1年だけ教えるつもりであると話しグリフィンドールの4年生に許されざる呪文を教えると宣言した。中には恐れをなす生徒(特にネビル。ネビルは授業後トリオとムーディの慰めが必要であった。ムーディはネビルを元気づけるため薬草学の本を貸した)もいたが、ムーディはクラスの全員に3つの呪いを実演して見せた。彼はクモに服従の呪文磔の呪文死の呪いをかけていったのであった。ムーディはこれらの呪文のうちひとつでも使用すれば生涯をアズカバンで過ごすことになると付け加えた。

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なぜかハリーを4人目の代表選手に指名する炎のゴブレット

ハロウィーンの時期、ボーバトンとダームストラングの生徒がホグワーツ城に到着した。ダームストラング生で、有名なクィディッチ・スターであるビクトール・クラムが登場すると特に女子生徒たちに興奮をもたらした。ビクトール・クラム、フラー・デラクール、セドリック・ディゴリーがそれぞれの学校の対抗試合代表選手に選ばれた。ところが、なぜかハリーも4人目の代表選手として選ばれてしまった。ハリーは未成年にであり、選考期間中に炎のゴブレットに名前を入れていないことからこの場にいた大勢が驚いた。ほとんどの生徒(ロンやグリフィンドール生も含め)がハリーの言うことを信じなかった。彼らはハリーがさらに有名になり不滅の栄光を得ようとしているのだと考えた。この一件がハリーとロンの間に強い緊張感を走らせ、ふたりは長い間口をきくこともなかった。ロンはディーン・トーマスシェーマス・フィネガンと一緒にいることが多くなった。

その一方で、ハーマイオニーは何の疑問もなくハリーの無実を受け入れた。そしてロンがハリーに辛く当たる理由を嫉妬であると説明した。彼女はその後、呼び寄せ呪文など便利な呪文を教えて対抗試合に備えるハリーの手助けをした。ハリーは第一の課題で呼び寄せ呪文を使用した。代表選手たちは優勝杯を手にするべく3つの危険な試練に挑むことになっていたのであった。この3つの課題は四大元素に対応している。

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リータ・スキーターによるハリーへのインタビュー

ゴブレットからハリーの名前が出てから数日後、ハリーは自分の杖が調べられる杖の検査に出席した。検査が始まる前、ハリーは「日刊予言者新聞」の悪名高いリポーター、リータ・スキーターのインタビューを受けなければならなかった。スキーターを多くの質問を繰り出しハリーの返答の全てを文脈から抜き出して彼とハーマイオニーに関するゴシップ記事を執筆した。他の代表選手の杖を調べたオリバンダーはハリーの杖も調べ、最高の状態であると宣言した。代表選手と審査員が長い写真撮影を終えるとハリーは夕食を摂ってグリフィンドール塔に戻った。塔に入るとロンがふくろうが来ていると話した。手紙はシリウスからで11月22日の午前1時に連絡すると書いてあった。ハリーはこの時間にひとりでグリフィンドールの談話室の暖炉前にいなければならないということであった。

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魔法薬学教室外においてハリーと彼をからかったドラコが決闘した結果

この記事ではハーマイオニーがハリーのガールフレンドであるとされ、彼女がビクトール・クラムを後を追うことで彼をもてあそんでいると書かれていた。実際、クラムはこの時期ハーマイオニーに魅了されていた。ほとんどの生徒たちがハリーの毎日の学校生活を難しくしていったことで彼はさらなる苦痛を味わわなければならなかった。ハッフルパフはハリーがセドリック・ディゴリーへの注目を奪ったと信じておりドラコ・マルフォイはできるすべてのことを利用してハリーをより惨めにしようとしていた。マルフォイは多くの生徒が身につけることになる「汚いぞ、ポッター」バッジを大量生産することで目的を果たした。彼はチャンスがあるたびにリータ・スキーターの記事を声に出して読みハリーを当惑させた。

第一の課題

第一の課題において、それぞれ代表選手はドラゴンを躱して金の卵を手に入れなければならなかった。ハグリッドはハリーとマダム・マクシームにドラゴンを見せることでハリーの準備に協力した。セドリック以外のすべての代表選手がドラゴンについて知っていることに気づいたハリーは彼にも第一の課題について伝えた。ハリーは公平な勝負をするためにセドリックに教えたのであった。新しい闇の魔術に対する防衛術教授アラスター・ムーディはハリーがセドリックに話している現場を目撃したが誰かに報告することはなかった。その代わり、ムーディはハリーに強みを生かして勝負するよう助言した。これは箒による飛行技能を使うということを示唆していた。

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三大魔法学校対抗試合、第一の課題でハンガリー・ホーンテールと渡り合うハリー

それぞれの代表選手の相手として4種類のドラゴンが選ばれた。11月24日、フラーはコモン・ウェールズ・グリーン、セドリックはスウェーデン・ショート・スナウト、ビクトール・クラムはチャイニーズ・ファイヤーボール、ハリーはハンガリー・ホーンテール(4種類のうち、もっとも危険)を相手に試合をした。ハリーは呼び寄せ呪文で炎の雷を手にするとハンガリー・ホーンテールを避けて金の卵を手に入れた。ハンガリー・ホーンテールのトゲがハリーをかすめたことで腕に軽傷を負った。ハリーはまた、卵を4人中最速で入手しマクゴナガル教授に賞賛された。第一の課題ではハリーとビクトール・クラムが同率一位となった。課題がどれほど危険であるかを知ったロンはハリーがゴブレットに名前を入れていないと言うことで納得した。彼はハリーと仲直りした。

クリスマス・ダンスパーティ

第一と第二の課題の間に三大魔法学校対抗試合の伝統的なイベントであるクリスマス・ダンスパーティが開かれた。ビクトール・クラムがハーマイオニーをダンスの相手に誘ったことにうろたえたロンは彼女が「敵と内通している」と非難した。しかし翌日のロンとハーマオニーはまるでケンカなどしていないかのように振る舞った。ハリーはずっと想いを抱いていたチョウ・チャンをダンスに誘ったが、彼女はすでに代表選手でもあるセドリック・ディゴリーの誘いを承諾していたと知って落胆した。ハリーとロンは結局、それぞれパーバティパドマ・パチルを相手に出席した。

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クリスマスの日にダンスパーティで踊るハリーとパーバティ

ダンスパーティにおいて、ハリーもロンもダンス相手を無視していた。ハリーがセドリックと踊るチョウ・チャンを眺める中、ロンはハーマイオニーと踊るビクトール・クラムへの嫉妬で腹を立てていた。ダンスパーティが終わるとリータ・スキーターが再び現れた。スキーターはマダム・マクシームに自分の家族や血統について語るハグリッドの声を聞いた。彼女がその情報を元にハグリッドが半巨人である暴露する記事を書くと、彼はとても恥に思い教えるのも辞めて大広間に食事にも来なくなった。ダンブルドアがハグリッドの小屋を訪れて連れ戻そうとしても効果はなかった。ハリー、ロン、ハーマイオニーが半巨人であってもハグリッドは友達であると話すとようやく職に復帰した。

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金の卵の謎を解くため監督生の浴室を訪れたハリー

第二の課題に備えるため、ドラゴンから勝ち取った卵を開かなければならないと言われていたが、ハリーが卵を開いても恐ろしい叫び声が聞こえるのみであった。これは難題であったが、セドリック・ディゴリーが借りを返そうと卵について「熱い湯につかってゆっくり考えると良い」と助言したことで解決策を得た。ハリーはしぶしぶ助言に従い監督生の浴室で風呂に入った。第二の課題のヒントを得たハリーは嘆きのマートルとのきこちないやりとりの後談話室に向かった。その途中、ハリーはスネイプ教授やムーディ教授と出くわし、ムーディからバーティ・クラウチ・シニアが闇の魔法使いを捕らえようと躍起になっているという情報を聞いた。

第二の課題 B4C26M1_Great_Lake_Merpeople_second_task.png

第二の課題中、グレート・レイクで水中人の群れに出くわすハリー

第二の課題はグレート・レイクで、「もっとも失いたくないもの」を水中人から救出することであるとハリーは知った。ハリーの次なる難題はいかにして水中で一時間持ちこたえるかということであった。その答えはホグワーツで働いていたドビーが鰓昆布という形で差し出した。第二の課題は2月24日に開催された。ハリーはロンを救出することに成功したが、他にもハーマイオニー、チョウ、ガブリエル・デラクール(フラーの妹)たちが捕らえられていることに驚いた。他の人質たちが救出されてもハリーは水中に残ってロンとガブリエルを助け出した。審査員たちはハリーが最初に人質に到達したことを知らされた。1時間という時間制限は超えていたが「道義心」が評価され高い得点を得た。第二の課題が終わるとハリーとセドリックが同率1位、ビクトール・クラムが2位、フラーが最下位となった。

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シリウスが隠れる洞窟を訪れたトリオ

ハリーが三大魔法学校対抗試合に参加させられてからというもの、シリウスはホグズミード近郊の洞窟に身を隠すようになった。ハリー、ロン、ハーマイオニーは時折シリウスを訪ね、シリウスはこの難しい時期にいるハリーに道徳的な助言を授けた。シリウスはダームストラングのイゴール・カルカロフ校長について、かつて死喰い人であったことと自由を得るための多くの仲間の情報を売り渡したことをハリーたちに明かして警告した。ハリーは第二の課題の手がかりを探しているときに「バーティ・クラウチ」という名前が忍びの地図に現れたことを話した。シリウスは何かがおかしいことは認めつつも、クラウチの問題は他に任せて今は目の前にある課題に集中するようアドバイスした。

最後の課題の一ヶ月前、代表選手たちは試練のスタート地点を見せられた。ハリーとセドリックのふたりはクィディッチ競技場に作られた垣根の迷路に不快感を示したが、バグマンが試合後には元に戻すと保証して安心させた。第三にして最後の課題は障害物でいっぱいの迷路の中で優勝杯を見つけることであると聞かされた。ホグワーツ城に戻る途中、クラムがハリーを話しに呼び出した。何か重要なことであると考えたハリーはクラムについて行った。

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ハリーとの恋愛関係について書いたスキーターの記事により抗議の手紙を大量に受けるハーマイオニー

クラムは彼が深く興味を抱いているハーマイオニーとの関係についてハリーに尋ねた。ハリーはふたりの間には何もなくただの友達であると説明した。ハリーはまた、そのころ「週間魔女」でハリー、ハーマイオニー、クラムの三角関係について書き立てていたリータ・スキーターを信用しないようにと話した。この三角関係の噂のせいでハーマイオニーは嫌がらせの手紙を大量に送りつけられていた。そのとき、憔悴したバーティ・クラウチ・シニアが現れダンブルドアはどこかと尋ねた。ハリーがダンブルドアを呼びに行っている間にクラウチは姿を消した。

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許可なくダンブルドアの憂いの篩に入ろうとするハリー

占い学の授業中、眠り込んだハリーは誰かの死について聞かされるヴォルデモートと誰かの脱出を防げなかったことについてワームテールを拷問するヴォルデモートのヴィジョンを見た。目を覚ましたハリーの傷跡はひどく痛み、医務室に行くと偽って実際はダンブルドアのもとを訪れた。校長室に入ったハリーの耳にバーティ・クラウチの現状について話し合うダンブルドア、ムーディ、コーネリウス・ファッジ魔法大臣の声が聞こえてきた。ファッジはバーサ・ジョーキンズが死んだというクラウチの音場を信じることを拒んだ。ファッジはまた、クラウチの身に起こったことを話し合う中、半巨人の生理学から考えてマダム・マクシームが犯人ではないかと疑った。ダンブルドアは個人的な偏見に基づいた憶測を言う魔法大臣を諫めたが、ダンブルドアがハグリッドの友人であることから彼は聞く耳を持たなかった。ハリーが来たことを知らせるためムーディが会合を遮った。

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憂いの篩でレストレンジとクラウチの息子の裁判を目撃するハリー

ダンブルドア、ファッジ、ムーディが校庭を調べるために校長室を後にするとハリーは部屋にひとり残された。部屋を見回したハリーはダンブルドアの憂いの篩に気づいた。好奇心に動かされたハリーは憂いの篩をのぞき込んで第一次魔法戦争終結直後のダンブルドアの記憶3つを目撃した。最初の記憶はイゴール・カルカロフの裁判であり、カルカロフは死喰い人との関わりを放棄してスネイプを含む仲間の死喰い人の名前を明かした。記憶の中のダンブルドアはスネイプが死喰い人を裏切りヴォルデモートのスパイをしていたことを明かして脅威ではないと弁護した。2つめの記憶はヴォルデモートに情報を流していたとされたルード・バグマンの裁判であったがバグマンは人望によりすぐに釈放された。最後の記憶はアリスフランク・ロングボトムに磔の呪文を使用したレストレンジベラトリックスロドルファスラバスタン)とクラウチの息子の裁判であった。クラウチは4人をアズカバンでの終身刑に処した。

第三の課題

第三の課題に備えるため、ハリー、ロン、ハーマイオニーは空き教室を使って呪文やジンクスを練習した。占い学の授業中、居眠りしたハリーはヴォルデモートの夢を見て動揺して教室から出た。この出来事を目撃していたリータ・スキーターは最後の課題当日、1995年6月24日にハリーは「動揺して危険」であると書いた。この記事はハリーの士気を上げるだけに終わったが一日をともに過ごしたビルモリー・ウィーズリーはハリーを元気づけた。ふたりはまた、ハリーの家族の代理として最後の課題を見に来た。

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迷路で服従の呪文にかけられたクラムと戦うハリー

方向呪文の助けを借りたハリーは首尾良く迷路を移動した。ハリーは尻尾爆発スクリュートと吸魂鬼に変身したまね妖怪を撃退した。その途中、ハリーはフラーの悲鳴を聞いた。ハリーは呪いをかけられたクラムに襲撃されたセドリックを救出した。ハリーはクラムを失神させると自分とセドリックが移動する前に彼を救助させるべく信号を打ち上げた。ハリーはスフィンクスも通過することができた。

最後の試練の最中、ハリーはアクロマンチュラからセドリックを助け出した。ハリーに恩義を感じたセドリックは優勝杯を彼に譲った。ところがホグワーツの代表選手は迷路がもたらした緊張感にも関わらずふたりとも並外れたスポーツマンシップと協力を発揮した。どちらにしても同率一位でホグワーツが優勝することからふたりは同時に優勝杯に触れることに同意したのであった。ハリーとセドリックは優勝杯が移動キーにすり替えられていることに気づかずリトル・ハングルトンの墓地に転送された。

ヴォルデモート卿の復活
詳細はヴォルデモート卿の復活を参照
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ワームテールの手によって葬られるセドリック・ディゴリー

この墓地はリドル家の永眠の土地であり、ヴォルデモート卿がチャンスを待ち続けた場所でもあった。ハリーとセドリックが状況を確認しようとする中、誰かが現れハリーの傷がまた痛み始めた。ヴォルデモートの命令によって彼の召使いであるワームテールがセドリックに死の呪いをかけた。ハリーは緑の閃光を目撃しセドリックの死体が墓地の地面に倒れる音を聞いた。それからハリーは巨大な大理石の墓石に連れて行かれ、トム・リドルと刻まれた石の上に縛り付けられた。ハリーはそこでワームテールに血を採られ、ヴォルデモートの肉体を復活させる儀式を目撃させられた。死喰い人たちが墓地に招集された。

死喰い人たちが終結すると、ヴォルデモートは肉体を失っても戻ってくることがわかっていながら13年間誰ひとり捜しに来なかったことを叱責した。ヴォルデモートは復活の手助けをしたワームテールに銀の手を授けて褒め称えた。闇の帝王は死喰い人たちを確認していき、ホグワーツに忍び込んだ部下がハリーが試合に勝って墓場に送り込まれるように細工していたのだと明かした。ヴォルデモートは負傷して弱ったハリーを解放すると彼を一対一の決闘に参加させた。誰もハリーを守る者がいない状況で対決することで、ヴォルデモートは死喰い人たちに誰が一番強い強いのかを示そうとしていたのであった。

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ハリーとヴォルデモートの対決によって引き起こされた「プライオリ・インカンターテム」

ヴォルデモートは磔の呪文でハリーを苦しめ、服従の呪文を使ったが効果がないとみると今度は死の呪いで殺そうとした。ハリーは武装解除呪文で応戦した。ふたりのの不思議なつながりによりふたりの魔法光線が結びつき「プライオリ・インカンターテム」(呪文逆戻し効果)と呼ばれる状態を作り上げた。ハリーとヴォルデモートの戦いは意思の勝負と化した。するとヴォルデモート卿ののかつての犠牲者たち、つまりセドリック・ディゴリー、バーサ・ジョーキンズ、フランク・ブライス、リリージェームズ・ポッターの木霊が現れヴォルデモートを一時的に足止めした。セドリックの木霊が死体を家族の元に連れ帰るよう頼んだ。ハリーはセドリックの死体に触れると移動キーを使ってホグワーツに戻ったのであった。

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正体を現したバーティ・クラウチ・ジュニア

ハリーがセドリックの死体とともにホグワーツの群衆の前に現れると混乱が巻き起こった。若いころに自ら闇の印を受けたバーテミウス・クラウチ・ジュニアが1年間、闇の魔術に対する防衛術教授"マッド-アイ"・ムーディとして学校に潜伏していたことが判明した。ポリジュース薬でムーディに変身していたクラウチがパニックを起こす群衆からハリーを引き離しヴォルデモートの復活について尋ねたことがきっかけであった。クラウチはハリーを殺そうとしたがアルバス・ダンブルドアとその他複数のホグワーツ職員が現れ阻止した。真実薬を飲まされたクラウチはすべてを告白した。

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医務室のハリーを訪ねる魔法大臣

恐るべき運命のいたずらにより、クラウチの魂はコーネリウス・ファッジが連れてきた吸魂鬼が執行した吸魂鬼のキスによって破壊されてしまった。ファッジは自らの地位が危うくなっていることを脅威に感じたため吸魂鬼を伴ってきたのであった。これによりクラウチ・ジュニアがイギリス魔法省に証言することはできなくなり、ヴォルデモートが復活したというダンブルドアやハリーの主張は魔法省の見解と食い違うようになった。魔法大臣はアルバス・ダンブルドアが支持してもハリーが言うヴォルデモート復活を頑として信じなかった。ファッジは復活のよって長年築いてきた平和と平穏を破壊されたくなかったのであった。魔法省は公式に闇の帝王の復活を否定し、会見でハリーとダンブルドアは嘘つきが異常者であると発表した。ヴォルデモートと死喰い人たちはこの発表を利用して隠密行動を行い、ダンブルドアは不死鳥の騎士団の再結成を呼びかけたのであった。

5年目

"ダンブルドアが言ったこと、考えてみた。戦いが待ってるけど、僕たちはヴォルデモートには無いものを持ってる。守る価値のあるものだ"—ハリー・ポッター[出典]

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吸魂鬼撃退するハリー・ポッター

セドリック・ディゴリーを目撃したことはハリーに大きな傷を残し、学校の休暇でプリベット通り4番地に戻っても全く慰めにはならなかった。ハリーは連日の悪夢やフラッシュバックに苦しんだ。友人のロナルド・ウィーズリーハーマイオニー・グレンジャーたちからも連絡がなく、ハリーが間違っていると主張する「日刊予言者新聞」以外魔法界とのつながりはたち消えてしまった。さらに事態を悪化させたのは8月2日に何者か(のちにドローレス・アンブリッジと判明)がハリーを破滅させようとマグルの町リトル・ウィンジングに吸魂鬼を送り込んだことであった。ハリーは自身とダドリーを救うべく守護霊の呪文を使用しなければならなかった

ハリーがダーズリー家に吸魂鬼の能力について説明すると、バーノンはハリーを責め家から追い出そうとした。ハリーが一家に来たときからバーノンはこれを望んでいたが、行動に移す前にペチュニアに吠えメールが届いた。ペチュニアが開封する前に手紙は燃え上がり威嚇的な声で「私の最後のあれを思い出せ、ペチュニア」と言った。するとペチュニアは即座に夫を説得してハリーを家に残らせ、部屋に行くように指示した。何が起きているのか理解できなかったハリーは言いつけに従って部屋に入った。

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グリモールド・プレイス12番地におけるハリーと友人たち

ハリーはすぐにシリウス、ロン、ハーマイオニーに手紙を書いたが返信が来ないことにひどく苛立った。4日後、ニンファドーラ・トンクスがダーズリー家に偽の手紙を送って家から外出させ、先発護衛隊とともにハリーを連れ出しに来た。先発護衛隊にはトンクス、アラスター・ムーディリーマス・ルーピンキングズリー・シャックルボルトエルファイアス・ドージディーダラス・ディグル、エメリーン・バンス、スタージス・ポドモア、ヘスティア・ジョーンズたちがいた。先発護衛隊は箒でハリーを護衛しながらシリウスの実家で不死鳥の騎士団本部であるグリモールド・プレイス12番地に連れて行った。ハリーはここでウィーズリー家、ハーマイオニー、シリウスらと再会した。ハーマイオニーやロンはダンブルドアの指示で手紙を送れなかったのだと明かした。

公聴会
Blue_Glass_Arrow.svg 詳細はハリー・ポッターの公聴会を参照
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ウィゼンガモットで未成年の魔法使用について問われるハリー

続いてハリーはマグルの面前において未成年でありながら魔法を使ったことで正式に罪を問われ退学処分を受けた。しかしアルバス・ダンブルドアの力添えにより、措置は保留され8月12日にイギリス魔法省ウィゼンガモット全体の前で公聴会が開かれることとなった。さらにハリーを陥れるため魔法省は公聴会の時間と場所を直前に変更したが、ハリーはなんとか数分遅れで到着することができた。ハリーはホグワーツから退学されるかに思われたが、ダンブルドアには証人と法律の抜け道があったため無罪とされた。

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完全に理論にのみ特化した防衛術を教えるアンブリッジ

ダンブルドアに対する報復として、コーネリウス・ファッジ魔法大臣は上級次官であるドローレス・アンブリッジをホグワーツの新たな闇の魔術に対する防衛術教授に指定し学校へのスパイとして送り込んだ。アンブリッジはのちにホグワーツ高等尋問官に就任し、好きなように学校のルールを変えたり増やしたりする権力を得た。彼女は生徒が従う新しい校則を次々と課し、従わなければ罰則が行われた。アンブリッジの性格はまるで毒された蜂蜜のようにサディスティックかつ残虐であると判明した。

ハリーは初対面の時からアンブリッジを快く思わず、アンブリッジもまたハリーに良い印象を持たなかった。この悪印象はやがてアンブリッジがハリーをコントロールできなかったことから憎悪へと変貌していった。ハリーが余計なことを言ったりヴォルデモートについて言及するたびアンブリッジは彼に罰則を科した。罰則は黒い羽ペンで字を書かせるという拷問じみたものであった。黒い羽ペンはアンブリッジの発明品であり、血がインクとして使われるため、ハリーが「僕は嘘をついてはいけない」と書くと同じ形の傷跡が手に浮かんだ。ハリーは何度も罰則を受けたため書き取りを繰り返して手にずっと傷が残った。しかしこうした罰則を何度行ってもハリーは意見を曲げることもアンブリッジに屈することもなかった。この罰則はむしろ逆効果であり、ハリーはヴォルデモート復活をよりいっそう頑なに主張した。

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アンブリッジに黒い羽ペンを使った罰則を受けるハリー

ハリーが「ザ・クィブラー」を使って前年度の情報を広めたため、アンブリッジは復活の情報はそれほど浸透していないと推定した。ハリーはホグズミードへの来訪も禁止されてしまった。また、ハリーが「ザ・クィブラー」で独占インタビューを受けたことを知るとアンブリッジはこの雑誌を禁止したが、そのせいでむしろ生徒全体が興味を持つ結果となった。この年、ハリーではなくロンが監督生に選ばれた。誰もがロンではなくハリーがバッジを受けると思っていたためこれには皆が驚いた。のちに、ダンブルドアがハリーは「すでに充分な重荷を背負っている」と考えたためロンが選ばれたことが判明した。ハリーの嫉妬はロンとの友情を危険にさらしたが、父親も監督生に選ばれなかったと知って気分を良くした。このっことから、ハリーは自身の満足のためと言うより、7年生の時点で首席となっていた父親に追いつこうとしていたのだと考えられる。

ダンブルドア軍団

自分の意見に執着ししダンブルドアが自分に反逆するための軍隊を用意していると信じこんでいたファッジは、アンブリッジによる闇の魔術に対する防衛術クラスを教科書読むだけの授業に変更させた。この教授法は非効率的と判明し、生徒がその後に備えるためにはまったく役に立たなかった。ハリーには闇の魔術やあらゆる怪物と戦ってきた経験があるため、ハーマイオニーはハリーが防衛術を教えるというアイディアを思いついた。

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のちにダンブルドア軍団となるホッグズ・ヘッドに集まった生徒たち

トリオはホッグズ・ヘッドでミーティングを開き、他の生徒とハリーが防衛術の授業を行うことについて話し合った。多くのグリフィンドールハッフルパフレイブンクロー生が現れたことにハリーは驚きを隠せなかった。しかしハリーは、ザカリアス・スミスのような数人の生徒はセドリック・ディゴリーが殺された夜の話を聞きに来ただけではないかと疑った。ちょっとした懐疑ののち、生徒たちはハリーが成し遂げてきた功績を挙げていった。それは体を失ったヴォルデモートから賢者の石を守ったこと、秘密の部屋においてグリフィンドールの剣スリザリンの蛇を刺し殺したこと、実体を持った守護霊を作り出せること、三大魔法学校対抗試合に優勝したことなどであった。

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必要の部屋でダンブルドア軍団を教えるハリー

ハーマイオニーの熱心な説得に押され、ハリーは密かに生徒のグループに防衛術を教えた。イギリス魔法省が恐れるダンブルドアにちなんでこのグループはダンブルドア軍団(略してD.A.)と名付けられた。会合場所にはドビーがハリーに教えた必要の部屋が選ばれた。会合をセッティングして口に出して伝えることは危険なコミュニケーション方法であると気づいたハーマイオニーはコインに守護呪文をかけてメンバーひとりひとりに渡した。ハリーがコインを使うとそれぞれの生徒が持っているコインに日付と時間を示す数字が現れるようになっていた。常に不安で苛立ちを感じていたハリーにとってダンブルドア軍団の会合はもっとも幸せなひとときであり、学校生活の中で一日中待ち望むことであった。この幸福感はほとんどの生徒の間で共有されており、全員(特にクリービー兄弟)がハリーの指示の元多くの技能を身につけていった。

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軍団に守護霊の呪文を教えるハリー

ハリーは軍団に様々な呪文を教えた。ハリーが教えた呪文の中には基本的な武装解除呪文から守護霊の呪文のような高等なものまで含まれていた。クリスマス休暇に一時的に解散するまでに妨害呪文粉々呪文失神呪文、その他多くのヘックスやジンクスを練習し、クラスは着実に進捗していった。1996年早春に入ってもレッスンは続いた。クラスは盾の呪文を習得して守護霊の呪文に取りかかった。何人かは実体を作り出すことができたが、うまくいかない者もいた。ハリーは吸魂鬼がいないことから、生徒が本気で恐怖を感じていないことがうまくいかない原因ではないかと考えた。

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ヤドリギの下で初めてキスするハリーとチョウ

チョウ・チャンも軍団のメンバーに加わった。会合の際、ハリーが近くにいるとチョウはいつも慌てふためき呪文を使うことにも支障が出た。クリスマス休暇の前、チョウがハリーにそれまで失神呪文をうまく使えなかったことを話していると、必要の部屋はふたりの間に流れる緊張を感じ取ってヤドリギを出した。ハリーとチョウはヤドリギの下で初めてキスをした。チョウは明らかに前のボーイフレンド、セドリック・ディゴリーの死に苦しんでおり、キスの最中にも涙を流していたことからハリーは困惑してしまった。チョウの涙はハリーをひどく心配させた。ハリーはその後、悲惨なファースキスについてハーマイオニーやロンに話し、ハーマイオニーはキスのせいで泣いていたわけではないと話してハリーを慰めた。

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ハリーとスネイプの最初の閉心術レッスン

しかしながらその夜、ハリーはより逼迫した問題を背負うことになってしまった。ハリーに対抗して「秘密の武器」を手に入れようと目論むヴォルデモート卿は魔法省神秘部に隠されたふたりに関する予言の存在を知っていた。ヴォルデモートの直近の数ヶ月間予言の間のことを考え続けており、それが開心術を通して知らないうちにハリーにもその情報を与えていたのであった。ハリーとヴォルデモートの心のつながりは長期間でかなり強くなっていた。その結果チョウとキスした夜のハリーは夢の中でアーサー・ウィーズリーを襲撃するナギニを見た。ハリーはまるで自分がナギニであるかのように感じた。このつながりが強くなったときに起こりうることを恐れたダンブルドアはそれ以上の問題を防ぐため、ハリーに閉心術を教えるようスネイプに依頼した。

重傷を負ったアーサーは聖マンゴ魔法疾患傷害病院に入院した。ハリー、ロン、ジニーフレッドジョージ移動キーを使ってグリモールド・プレイスに移動した。本部に到着した彼らを迎えたシリウスはその場に留まって知らせを待つようにと命令した。ウィーズリー夫人はアーサーが一命を取り留めたと話しハリーへの感謝を伝えた。命は助かったアーサーであったが、定期的に血液補充薬を飲まなければならなかった。ウィーズリー氏は狼人間に噛まれた男や足から肉塊が飛び出しながらも癒者に何に噛まれたか話すことを拒む女と言葉を交わした。彼女は何か違法なものを使っていたと考えられる。

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呪文による負傷のためのヤヌス・シッキー病棟でロックハートに会うトリオジニー

クリスマスにはハーマイオニーもグリモールド・プレイスのハリーやウィーズリー家と合流した。このとき、魔法省で働いていたパーシーはウィーズリー・ジャンパーを送り返して母親を泣かせた。ハーマイオニー、ロン、ジニーはネビルの両親が正気を失って聖マンゴで生活していることを知った。一行はネビルの祖母からこの情報を知った。彼女はアリスフランクはヴォルデモートに関する情報をめぐって死喰い人に拷問されたことでこうなったのだと明かした。一行はまた、かつての闇の魔術に対する防衛術教授ギルデロイ・ロックハートにも会った。ハリーはようやくネビルの両親に起きたことについて知っていたと明かした。

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記憶の中でジェームズと対立するリリー・エバンズを目撃するハリー

ハリーは自分の心を見透かされることを快く思わなかったが同時に扉について強い好奇心を抱いていたため閉心術にさほど集中していなかった。閉心術レッスンの際、スネイプが部屋から出たためハリーは好奇心に抗うことができなかった。ハリーはスネイプの記憶を収めた憂いの篩をのぞき込み、学生時代にスネイプをいじめる父親とそれを止めようとする母親の姿を見てショック受けた。ハリーは母親と同様、ジェームズのスネイプに対する行いは間違っておりほとんど残酷ともとれると感じていた。記憶の中では口論が発生し、スネイプがリリーを「穢れた血」と呼んだことでふたりの友情は壊れてしまった。スネイプはハリーが勝手に憂いの篩を見ているところを発見した。スネイプはハリーにこれ以上閉心術レッスンを教えることを拒否したが、ハリーは大して心配もせず誰にも報告しなかった。ジェームズに対するスネイプの憎しみの理由を知ったハリーは、それまでの父親に抱いていた理想を捨てざるを得なくなった。しかし少なくとも母親は強い道義心を持っていたことに安心したと同時になぜ彼女が父親と結婚することに同意したのかに考えを巡らした。

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校長室から脱出する直前のダンブルドア

後期に入るとハリーとチョウの関係は次第に張り詰めていった。ふたりが恋愛関係になる中、チョウはハリーがハーマイオニーとあまりに親しくしていることに嫉妬心を抱いていた。ハリーもまた、チョウのセドリックに対する感情に居心地の悪い思いを抱いていた。チョウの友達であるマリエッタ・エッジコムがダンブルドア軍団を裏切ってアンブリッジに密告すると、すべてのメンバーが罰を受け会合を開くこともできなくなってしまった。ハリーは軍団を裏切ったマリエッタに怒りを感じていたがチョウは魔法省で働いている母親からの圧力があったのだと説明して擁護した。この時点でハリーとチョウの関係は崩壊し、恋愛状態ではなくなってしまった。ファッジがダンブルドア軍団の追求に現れると、ダンブルドアは自分が軍団を創設したと話してハリーを守り、ファッジ、アンブリッジ、ジョン・ドーリッシュ、キングズリー・シャックルボルト(仲間であると悟らせないため)らを気絶させて学校から脱出した。

続いてアンブリッジは校長に就任しさらに厳しいコントロールを課していった。フレッドとジョージ・ウィーズリーは学校の新たな権力者に対して反乱を起こした。あるとき双子は魔法をかけた花火を城中で打ち上げた。フレッドとジョージ・ウィーズリーイースター休暇にはのんびりとしていたがそれから反乱を次のレベルへと推し進めた。ふたりは学校の廊下を沼に変えてアンブリッジの気をそらし、ハリーがシリウスと話すために彼女のオフィスの暖炉を使う時間を稼いだ。フレッドとジョージはやがてアンブリッジと尋問官親衛隊に追い詰められてしまった。最後の抵抗として双子は箒を呼び寄せてアンブリッジをおおっぴらにかかかい、尋問官親衛隊にあらゆるジンクスをかけた。ハリーが渡した三大魔法学校対抗試合の優勝金を使って夢であるジョーク用品の店を作るという夢を果たすため、ふたりは学校から逃げ出していった。

進路指導とグロウプ

5年目になると生徒は卒業後の希望のキャリアに備えるため進路に関する指導を受けることになってた。マクゴナガル教授による進路指導において、ハリーは闇祓いになりたいという希望を伝えた。この間、ふたりは何度もアンブリッジに妨害された。彼女は闇祓いになりたいというハリーの野心を否定していたのであった。闇祓いになるには犯罪歴があってはならないとアンブリッジが話すと、マクゴナガルも耐えきれなくなった。指導はマクゴナガルがハリーを擁護し、彼女とアンブリッジの口論で幕を閉じた。

年度末の最後のクィディッチが開催されると(アンブリッジが生涯クィディッチを禁止したためハリーは参加できなかった)、ハグリッドがひどく負傷しながら学校に戻ってきた。ハグリッドはハリーとハーマイオニーに負傷の理由を見せると話した。そのためハリーはグリフィンドールのクィディッチ・マッチを観戦することができなくなってしまった。ハグリッドはトリオになぜ数ヶ月間学校から姿を消していたのかも教えた。ハグリッドとマダム・マクシームはダンブルドアとその陣営に加勢するよう巨人のコロニーを訪ねて説得してきたのであった。この任務は騎士団にとって失敗に終わってしまった。巨人たちは暴力と殺戮を好む性質を共有していたことから死喰い人の味方についた。

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グロウプを紹介するハグリッド

ハグリッドは夏の任務からひとりの巨人を連れ帰っていた。ハグリッドはそのグロウプと呼ばれる巨人が異父兄弟であると説明し、彼を大人しくさせようとして怪我をしていたのだと話した。グロウプがハグリッドに懐くことはなかったのであった。ハグリッドはもし自分の身に何かが起きて学校を去らざるを得なくなった場合、ハリーとハーマイオニーがグロウプの面倒を見るとを約束させた。彼は実際にO.W.L.の最中に襲撃されて学校から脱出した。

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予言の間でシリウスを拷問するヴォルデモートのヴィジョン

やがてO.W.L.試験も終盤となった6月18日、ハリーは魔法史の試験の最中に眠り込んでしまった。ハリーは神秘部ヴォルデモートシリウスを拷問して予言を取り出すように要求しているヴィジョンを見た。ハリーは即座に魔法省に起とうとしたが、ハーマイオニーはまずグリモールド・プレイス12番地にシリウスがいるかどうか確かめた方が良いと助言した。ハリーはアンブリッジのオフィスで煙突飛行ネットワークを利用してグリモールド・プレイスを確認したが、そこにはクリーチャーがいたのみでシリウスはいないと話した。不運にもハリーと友人たちはアンブリッジと尋問官親衛隊に捕まってしまった。

アンブリッジは真実薬を使って情報を引き出すようスネイプに指示したが、スネイプは手持ちの真実薬はないと話した。するとアンブリッジは磔の呪文を使用し、ハリーに吸魂鬼を仕向けたのは彼女であると明かした。ハーマイオニーはなんとかアンブリッジを禁じられた森に誘い込むことに成功した。森に入るとアンブリッジはハリーとハーマイオニーを攻撃しようと試みたが、ケンタウルスを「薄汚い混血の獣」や「人間に近い知能を持つ生物」と呼んだことで彼らに連れ去られていった。ハグリッドを探すグロウプがケンタウルスをかき分けたためハリーとハーマイオニーは助かったのであった。トリオとダンブルドア軍団メンバーであるジニー・ウィーズリーネビル・ロングボトムルーナ・ラブグッド(彼らはグリモールド・プレイスとコンタクトを取るハリーを援護した)はセストラルに乗ってロンドンに飛んだ。

神秘部の戦い
詳細は神秘部の戦いを参照
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予言を手に取るハリー・ポッター

神秘部に到着したハリーは一行を率いてシリウスを探して様々な部屋を見て回ったが、見つけることができなかった。彼らは疑惑を感じたがやがて水晶玉(のちに予言が収められていると判明する)でいっぱいの部屋に行き着いた。そのうちのひとつがハリーに関する予言であり、ハリーがそれを手に取るとハーマイオニーは不満を露わにした。ハリーが予言を手にするとたちまち死喰い人たちが現れ、すべてがハリーをおびき寄せるための罠であったと判明した。時間を稼ぐためにハリーがヴォルデモートの真似をしてみせるとベラトリックス・レストレンジは激怒したが、ルシウス・マルフォイはハリーを不用意に攻撃しないようにと諭した。これは当然ハリーを守るためではなく予言を無傷で手に入れるためであった。それでもハリーが予言を渡すことを拒むと、ルシウスはその予言の中にハリーの傷の理由、なぜヴォルデモートが彼を狙ったのか、第二次魔法戦争の原因が隠されていると話して渡すよう誘い込もうとした。

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ベールの反対側に倒れて死亡するシリウス・ブラックを目撃するハリー

ちょうどそのとき、ハリーの合図に応じて6人のダンブルドア軍団メンバーが同時に粉々呪文を使い予言の棚を破壊して死喰い人から逃げる時間を稼いだ。ロンジニールーナはハリー、ハーマイオニー、ネビルと別の方へ逃げはぐれてしまった。大混乱に陥り、ハリーのグループは部屋から部屋へと追跡された。死の間に到着したときにはハリーとネビル以外は戦闘不能状態になっていた。敗北が確実かと思われたとき、スネイプの通報に応えた不死鳥の騎士団から戦いに参加するための援軍が到着した。援軍の中にいたシリウス・ブラックは従姉ベラトリックス・レストレンジの呪文にかかり、謎めいたベールの向こう側に倒れて命を落とした。ベラトリックスを追いかけたハリーは怒りにまかせて磔の呪文を使ったが殺すことはできなかった。

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ヴォルデモートに憑依されたハリー

死喰い人の失敗に怒りを感じたヴォルデモートがその場に現れた。ヴォルデモートはハリーの命を奪おうと再び彼の前に姿を見せたのであった。ハリーは立ちすくんで身を守ることもできなかったが突如ダンブルドアが現れて彼を救った。ダンブルドアとの決闘に勝てないとわかったヴォルデモートはハリーの体を完全に乗っ取り、自分を殺すためにダンブルドアがハリーを犠牲にすることを望んだ。しかしシリウスの死に対するハリーの悲しみが耐えきれないほど大きくなると、という概念が理解できないヴォルデモートを苦痛でハリーの体を離れなければならなくなった。ヴォルデモートはレストレンジをつかんで姿くらまししたが、その前にファッジ魔法大臣と魔法省職員たちに姿を見られた。魔法省はついに闇の帝王の復活を認めざるを得なくなった。

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ハリーに予言の全貌を伝えるダンブルドア

ホグワーツに戻ったハリーはダンブルドアのオフィスにいたが、フィニアス・ナイジェラス・ブラックの肖像画がシリウスについて言及すると部屋を出ようとして鍵がかけられていることに気づいた。肖像画たちがダンブルドアの名前を言及してもハリーの気はまったく収まらなかった。ダンブルドアが戻るとハリーは彼の所持品を破壊して外に追い出してもらおうとした。しかしこの校長は意に介さず、落ち着いて座りこれから話すことを聞くようにと言った。

ダンブルドアはなぜ幼児であったハリーをヴォルデモートが殺そうとしたのか、その理由を明かした。闇の帝王は彼が持っていない力を持つものによって打ち倒される運命にあると予言されたのである。その力とは愛する能力であり、神秘部において鍵のかかった部屋で研究されていたことでもある。神秘部の戦いの結果、魔法省もついにヴォルデモートが復活したことを認めハリーとダンブルドアはシリウス(自由を謳歌する時間はなかったが魔法省により英雄として称えられた)とともに無実が公表された。このポリシーの変化により、アンブリッジの解任のような大きな変革が起きた。しかしそれでも魔法省はダンブルドアを完全に信用したわけではないため、十分な改善とは言えなかった。

6年目
アルバス・ダンブルドア: "なぜここに連れて来られたのかと疑問に思うとるじゃろう。違うかの?"ハリー・ポッター: "今更先生に疑問など抱きません"―課題について話すダンブルドアとハリー[出典]

神秘部の戦いののち、夏休みに入ると、ハリーは例年通りプリベット通り4番地に帰された。ハリーは夏休みの間中、後見人の死について取り憑かれたように考え続け、ほとんど部屋から出ることもなく食事も拒んだ。神秘部の戦いが有名な予言の間で起きたことから「日刊予言者新聞」を含む魔法界の世論はハリーと予言の間の関係について推測し始めた。やがて魔法界はハリーのことを、ヴォルデモート卿を永久に葬り去る運命を持った「選ばれし者」と呼び始めた。彼らは真実を知るよしもなかったがこれは正しい推測であった。

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ホラス・スラグホーンを探すダンブルドアとハリー

初夏になるとダンブルドアがハリーを謎めいた冒険に招待した。ダンブルドアは金曜日の夜遅くにハリーを迎えにプリベット通り4番地に現れた。ハリーは伯父伯母にこの訪問について知らせていなかったためふたりは驚愕した。しかし先にすべきことがあったためハリーとダンブルドアはすぐに出発することができなかった。それはシリウスの遺言についてであった。ハリーにとっては腹立たしいことであったが、彼は後見人シリウスの遺産を相続した。遺産の中にはグリモールド・プレイス12番地、ブラック家の金庫、ブラック家の忌々しく半分正気を失った屋敷しもべ妖精クリーチャーが含まれていた。ハリーは数ヶ月前のシリウスの死に間接的に関わったクリーチャーに未だに敵意を持っていた。ハリーはグリモールド・プレイスを引き続き騎士団本部として使う許可をダンブルドアに与えた。それが終わるとようやくダンブルドアはハリーを連れてバドリー・ババートンという小さな村に姿現わしした。ハリーはここでホラス・スラグホーンと出会った。

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ホグワーツの元魔法薬学マスター、ホラス・スラグホーンに会ったハリー

この機会にハリーとスラグホーン教授はスラグホーンのかつての教え子についてやホグワーツの改善された防犯について話し合った。ハリーとダンブルドアが去ろうとすると、スラグホーンは昇給ともっと広いオフィスという条件で学校に戻ることに同意した。この訪問ののち、ダンブルドアはハリーに特別な個人授業をするつもりであると告げ、彼を隠れ穴に置いて別れた。ハリーは夏の残りを二面クィディッチをして過ごした。夏の終わり、ハリーは7つのO.W.L.試験に合格したことを知った。それは「大いによろしい」がひとつ、「期待以上」が5つ、「まあまあ」がひとつという内訳であった。ハリーはまた、監督生と対等とも言えるグリフィンドールのクィディッチ・キャプテンに指名されたことを喜んだ。

N.E.W.T.クラス

スラグホーン教授がお気に入りの生徒で身の回りを固める趣味があると知ったハリーは、すぐに身をもってこれを経験することになった。ホグワーツに向かうホグワーツ特急の中でハリーと他の何人もの生徒がスラグホーンのスラグ・クラブに招かれた。ハリーはこの会を楽しむことができずできるだけ早く退席しようと考えていた。最初に座ったコンパートメントに戻る代わりに、彼はドラコ・マルフォイを盗聴することに決めた。数週間前にマルフォイの会合を目撃していたハリーは彼が闇の印を受けたと考えていたのであった。盗聴の結果、この疑いが晴れることはなかった。マルフォイに感づかれたハリーは全身金縛り術をかけられその上に透明マントを被せられてしまった。しかしニンファドーラ・トンクスに救出されて事なきを得た。

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スラグホーン教授からフェリックス・フェリシスの小瓶を渡されるハリー

マルフォイに見つかったために学年はじめの宴会に遅刻したハリーは、セブルス・スネイプ闇の魔術に対する防衛術教授に就任したことを知った。ハリーはこれに大いに落胆したが、スラグホーン教授であればハリーの魔法薬学における「期待以上」スコアを受け入れてくれるであろう事から闇祓いへの道が再び開けた。そしてハリーはこの年、5つのクラスを受講することになった。それは呪文学闇の魔術に対する防衛術薬草学魔法薬学変身術であった。ハリーは教科書を持っていなかったことから、スラグホーン教授は保管用の棚に置かれていた古い教科書を使うように促した。ハリーがそ教科書を調べると「半純血のプリンス」と名乗る生徒がかつて所有していたものであると判明した。この教科書にはおびただしい数の注釈が書き込まれていたため、それに従ったハリーは初めて魔法薬学で活躍することが可能になった。事実、注釈のおかげでハリーはスラグホーンから賞品をもらうことができた。それは「幸運の液体」とも呼ばれる小瓶入りのフェリックス・フェリシスであった。

個人授業
Blue_Glass_Arrow.svg 詳細はアルバス・ダンブルドアとハリー・ポッターの個人授業を参照

約束の通り、ダンブルドアヴォルデモート卿に関する知識を授けるため、ハリーの一連の個人授業を受けさせた。最初の授業においてダンブルドアは憂いの篩を用いヴォルデモートの過去に関する複数あるうちの最初の記憶をハリーに見せた。これらのリドルの過去に関する授業はハリーに彼の秘密と弱点を教え込むためのものであった。ダンブルドアはこうした情報があればハリーは生き延びることができ最終的なヴォルデモートの敗北に重要な役割を果たすと保証した。

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ボブ・オグデンとゴーントの小屋

最初の授業においてダンブルドアとハリーは、かつてリトル・ハングルトンに居住していたゴーント家を確認することでトム・リドル少年の出自について調べた。この記憶にはトム・リドル・シニアというマグルを攻撃したことについてモーフィン・ゴーントを公聴会に呼び出すため、元魔法警察パトロール隊長ボブ・オグデンがモーフィンの父親マールヴォロと話す様子が収められていた。記憶の中ではモーフィンがオグデンを襲撃しマールヴォロが息子の行いを頑なに擁護していた。マールヴォロはまた、娘のメローピーがリドルにのぼせ上がっていることを知ると彼女を攻撃した。

この記憶を試聴したのちダンブルドアはハリーに、暴力行為によりマールヴォロは6ヶ月、モーフィンは3年をアズカバンで過ごすことになったと伝えた。ハリーはこの授業中にトム・リドルの両親について学びふたりがどのように結婚したかについても知った。彼はまた、ゴーント家の主義についても知識を得た。マールヴォロとモーフィンがいかに強く純血の優越性を信じていたかということとヴォルデモートの母親(メローピー)はその純血主義に傾倒していなかったということであった。

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グリフィンドールの選抜を監督するクィディッチ・キャプテン、ハリー

ハリーが受けた最初の授業後初の土曜日、大広間にいたトリオは『日刊予言者新聞』からスタン・シャンパイク死喰い人の活動に協力したとして逮捕されたことを知った。シャンパイクはパブで死喰い人の秘密の計画について話しているところを聞かれたのであった。スタンには物事を誇張して話す癖があったことから、ハリーは彼が秘密の計画について実際には何も知らないであろうと考えた。その後、新しいグリフィンドールのクィディッチ・キャプテンとして、ハリーは毎年恒例のクィディッチ杯に出場するメンバーを決めるための選抜を行った。ハリーの人気により、1年生やレイブンクローハッフルパフからも応募があるという非常に困難で骨の折れる作業となった。

応募してきた生徒のほとんどが十分な飛行技術を有していなかったため、ハリーは最初の選抜テストとして基礎的な飛行技術を課したが、これは非常に効果的な振り分けであった。怒りと愚かしさ、苦情に満ちた辛い朝ののち、ハリーはチームのメンバーを選んだ。3人のチェイサー(うちひとりはジニー・ウィーズリーであった。他のどのチェイサーよりも素早く飛び7点ゴールした)、ふたりのビーター、キーパー(ロン・ウィーズリー)が決定した。ロンは競合相手であったコーマック・マクラーゲンハーマイオニーが密かに錯乱呪文をかけたことで合格した。

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半純血のプリンスの教科書に魅了されていったハリー

半純血のプリンスの本を調べていたハリーは、プリンス自身が開発したと思われるいくつもの呪文が書き込んであるのを見つけた。その中には「レビコーパス」や「マフリアート」が含まれていた。ハリーはいくつかを自分で試したことでこの本に魅了され、常に自分で持ち歩くようになった。友人たちはすぐに気づいて「ハリーがするのはあの本を読むことだけ」や「一緒に眠っているようなもの」などとコメントした。ハリーはこの本を教師やガイドとして捉えほとんど友達のように扱った。

書き込まれていた呪文の中には闇の魔術に通じる性質があったためハーマイオニーはこの本を気に入っていなかった。しかし主な理由は魔法薬学でこの本を使ったハリーがより優れた結果を残したためであった。3度にわたってスラグホーンはハリーをスラグ・クラブのパーティに招待したが、ハリーはすべて出席しなかった。秋になるとハリーはクィディッチを言い訳にスラグホーンの招待を断るようになった。ハリーはスラグ・クラブそのものの背景にある考えを好きになれなかったことに加え、ハーマイオニーも招待されていたことから、ロンをひとり残したくなかったのであった。

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ホグズミードにおいて、オパールのネックレスの呪いにかけられたケイティ・ベルを目撃するトリオ

10月のホグズミード訪問の際、ダンブルドアに呪われたネックレスを届けるよう魔法をかけられたケイティ・ベルは危うく命を落としかけた。ボージン・アンド・バークスで同じネッククレスを見たハリーはマルフォイが関与している疑いをマクゴナガル教授に伝えた。しかし彼女は(ロンやハーマイオニーと同じく)罰則を科されていたマルフォイはホグズミードには行っていないとしてこの推理を否定した。そしてマルフォイがネックレスを買ったという証拠がないことも指摘した。ハリーはロンやハーマイオニーが味方になってくれなかったことに苛立ちを感じつつ、この推理をあきらめることができなかった。

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ウール孤児院でダンブルドアと話すトム・リドル

この秋、ハリーの個人授業は散発的であり、ケイティ・ベルの事件が起きて初めて次のレッスンを受けた。この日の授業において、ハリー妊娠して絶望しスリザリンのロケットを売ったメローピーとはカラクタカス・バークが話している記憶を初めて見た。メローピーの夫トムは彼女が愛の妙薬を使わなくなった途端に別れていたのであった。ダンブルドアはその後、ホグワーツに入学する直前のトム・リドルの姿を見せた。ハリーは魔法を使って普段から他の子どもをいじめて脅す問題に満ちた孤児のリドルを目撃した。ハリーはこのとき、マルフォイに対する疑いも口にしたが、ダンブルドアは否定したのみであった。

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シーズン初の試合でシーカーを務めるハリー

その会見からまもなく、クィディッチのシーズンが到来した。最初の試合に備えるため、ハリーは負傷したケイティ・ベルの代わりにディーン・トーマスをチームに入れた。この変更はふたつの結果をもたらした。ひとつは期待通りチームが試合を優位に進めたということであった。もうひとつは予想だにしていなかったが、練習後ディーンがジニーにキスするのを見たハリーが嫉妬で激怒したということであった。チームの唯一の弱点は自信に欠けていたロンであった。ロンに自信を持たせるため、ハリーはさもロンのかぼちゃジュースにフェリックス・フェリシスを混ぜたかのように振る舞った。ハリーの演技に騙されたロンは試合で見事な結果を残した。ところがハーマイオニーもハリーが本当に薬を混ぜたと考え、ハリーとロンに冷たい態度を見せた。ハリーが真実を打ち明けてハーマイオニーと仲直りする中、ロンは突然ラベンダー・ブラウンと恋愛関係を築いて自信を確固たるものにした。ロンとラベンダーの関係はハーマイオニーを嫉妬させた。

凍り付いたクリスマス
ハーマイオニー・グレンジャー: "ロミルダ・ベイン。惚れ薬をあなたに飲ませようとしてる"ハリー・ポッター: "本当に?"ハーマイオニ―・グレンジャー: "ハリー!あの子は「選ばれし者」に興味があるだけよ"ハリー・ポッター: "僕、選ばれし者だもん...ごめん、今のは...あー...冗談"―ハーマイオニー・グレンジャーとハリー・ポッター[出典]

ハリーが親友同士を仲直りさせようと骨を折る中、クリスマス休暇が近づいていた。そしてハリーが断り切れなかったスラグ・クラブのクリスマス・パーティも近づいていることを意味していた。「選ばれし者」であるという噂が広がっていたため、ハリーにはホグワーツの若い女子生徒たちから不自然なほどの注目を浴びていた。特に4年生のロミルダ・ベインのハリーに対する注目は執着に変化していた。ジニーに頼むことができなかったため、ハリーはルーナ・ラブグッドに友人として一緒にパーティに出席するよう誘った。ルーナはこの誘いを大層喜んだ反面、クスクス笑いの好きな騒がしい女子生徒たちは大いに失望した。彼女たちはヤドリギの下のドアというドアでハリーを待ち受け怒りに満ちた視線を向けた。

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スラグ・クラブのクリスマス・パーティ

パーティに出席したハリーは、ハーマイオニーがコーマック・マクラーゲンと出席しているのを見て驚いた。マクラーゲンはロンが嫌っていた大柄なグリフィンドールの7年生であった。ハーマイオニーはこうすればロンがもっとも苛立つであろうということが唯一の理由であると明かした。マクラーゲンは自分自身とクィディッチの話しかしない紳士とはほど遠い男であったため、ハリーは目的は達せられるはずだと話した。ハリーはその後、彼の魔法薬のスキルや将来のキャリアについて言葉を交わすスラグホーンとスネイプの会話に耐えなければならなかった。やがてアーガス・フィルチがパーティに忍び込んできたドラコ・マルフォイを捕まえると、ハリーはマルフォイに何か企みがあることを知った。ハリーはまた、スネイプがマルフォイを守るためにナルシッサ・マルフォイ破れぬ誓いを結んでいたことを知った。

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クリスマス休暇に、盗み聞きしたマルフォイとスネイプの会話について話すハリー

ルーファス・スクリムジョール魔法大臣に追い詰められたことで、ハリーのクリスマスはそれほど楽しいものではなくなった。スクリムジョールは数ヶ月間に渡ってハリーとの会見を求めており、パーシー・ウィーズリーを利用した。魔法大臣はクリスマス休暇にウィーズリー家を訪問したのであった。彼はハリーを魔法省の操り人形にしようと説得したがハリーに受け入れる気はなかった。この会見においてハリーはスクリムジジョールに、魔法省に協力しない理由を告げた。死喰い人の脅威に対する魔法省の非効率的な対応、ドローレス・アンブリッジが未だに魔法省で職を持っているという事実、前年度に魔法界にヴォルデモートの復活を知らせたとき魔法省が妨害したこと、そして魔法省にただ利用されたくなかったことが協力しない主な理由であった。この議論によりハリーとスクリムジョールの関係は張り詰めたものになった。

毒入り蜂蜜酒

ホグワーツに戻ると、ダンブルドアによる散発的な個人授業が再開された。1月上旬、ハリーはリドルがホグワーツ5年目に、自らの親族を殺害したことを示す記憶を目撃した。そしてダンブルドアはハリーにもっとも興味深い記憶の一片を見せた。この記憶は明らかにスラグホーン教授によって改竄されており、ダンブルドアはハリーに初めて宿題を出した。それはスラグホーンから本物の記憶を手に入れることであった。授業中ベゾアール石でスラグホーンを感心させたハリーは直接記憶を渡すよう頼み込んだが、断られただけで終わった。

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毒入り蜂蜜酒を飲んだロンの命を救うハリー

3月1日になってもハリーはスラグホーンの真の記憶を手に入れることができなかった。ハリーはスラグホーンよりもむしろドラコ・マルフォイに興味を惹かれていた。朝目覚めたハリーはロンが強力な愛の妙薬の影響下にあることに気づいた。ハリーはロンをスラグホーンのところに連れて行ったが、ロンは毒入り蜂蜜酒を飲んでしまった。ハリーはすぐにベゾアール石を使うことでなんとかロンの命を救った。この事件でハーマイオニーのロンに対する怒りも吹き飛び、再び親友トリオとなった。ロンは一命を取り留めたが、次のクィディッチの試合に出場することができずマクラーゲンが代わりにチーム入りした。試合中マクラーゲンが誤ってハリーを気絶させたため、この決断は失敗であったと判明した。意識を取り戻したハリーに、もう一度校長との個人授業が入ってきた。

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アラゴグの葬儀

この日の授業では、ハリーはまだスラグホーンの記憶を手に入れていないことについて校長に咎められた。記憶を見たハリーはトム・リドル青年が有名な遺物(スリザリンのロケットハッフルパフのカップ)のために所有者であるヘプジバ・スミスを殺害し、ホグワーツの闇の魔術に対する防衛術ポストにジンクスをかけたことを知った。ハリーはそれでもスラグホーンから記憶を手に入れる方法を思いつかずマルフォイに囚われていた。マルフォイへの好奇心はもはや執着となっていた。スラグホーンから記憶を受け取る方法を思いついたのはロンであった。ロンは幸運の液体、フェリックス・フェリシスを使うことを提案したのであった。その夜、ハリーは薬を飲んでハグリッドとスラグホーンに会ってアラゴグの葬儀に参加した。この夜、ハリーはハグリッドの小屋でスラグホーンから記憶を手に入れただけでなく自分や友人たちの問題をいくつも解決できた。ジニー・ウィーズリーとディーン・トーマスが別れただけでなく、ロンといつもべたべたしているラベンダー・ブラウンが別れることになったのであった。

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スラグホーンの真の記憶を見ようとするダンブルドアとハリー

深夜を過ぎていたが、ハリーは記憶を持ってダンブルドアの元に直行した。この記憶は、ヴォルデモート卿がひとつではなく複数の分霊箱を作っていたというダンブルドアの推理を証明していた。分霊箱は不死性を確保するための闇の物体であった。ハリーとダンブルドアは、闇の帝王がリドルの日記やスリザリンのロケットのような特別な物体を分霊箱にしたと考えた。ハリーが部屋を去る前、ダンブルドアは新しい分霊箱を発見したらハリーを連れて破壊しに行くと約束した。記憶を手に入れたことで、ハリーの心配事はマルフォイとクィディッチのみとなったのであった。

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「セクタムセンプラ」で重傷を負ったマルフォイ

その頃、回復したケイティ・ベルが学校に復帰した。ハリーは誰にネックレスを渡されたのかケイティに訊かずにはいられなかった。ケイティは三本の箒の女性トイレで誰かに服従の呪文をかけられたと話した。クィディッチの最終試合の1週前、ハリーはトイレで泣いているマルフォイに気づき決闘に発展した。マルフォイが許されざる呪文を使用すると、ハリーが半純血のプリンスの本で見つけた効果不明の「セクタムセンプラ」を使った。この呪いがマルフォイに重傷を与えたため、ハリーは毎週土曜にスネイプから罰則を受けることになりマクゴナガルに叱責された。

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初めてキスを交わし、恋愛関係を築くジニーとハリー

クィディッチの最終試合に参加できなくなったハリーは期待を膨らませつつ最初の罰則が終わるのを待ちわびた。ようやく罰則が終わるとハリーはグリフィンドール塔に戻り、彼なしでもチームがクィディッチ杯を獲得したと知って大喜びした。ジニーとディーンがすでに別れたことを知っていたハリーは気持ちに折り合いを付けていたが、ロンの反応を恐れて彼女を呼び出すことができなかった。そのため、気持ちが高ぶった瞬間に50人が見ている前で、常に想っていたジニーにキスしたのであった。ハリーがキスをしたのは試合後の歓声の中でジニーがハグしてきた時だった。これがふたりの恋愛関係の始まりであった。

分霊箱の洞窟における戦闘
詳細は洞窟での2度目の小戦闘を参照
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洞窟に旅立つ前のハリーとダンブルドア

6月30日、ダンブルドアは分霊箱を捜索するためハリーを連れて城を離れた。出発する前、ダンブルドアはたとえ納得がいかなくても、いかなる命令にも従うようハリーに約束させた。ふたりはホグズミードから海沿いの洞窟に姿現わしした。この洞窟は孤児院時代のトム・リドルがふたりのマグルの少年にトラウマを植え付けた場所であった。中に入ると、ダンブルドアは分霊箱の第2の防御を見つけようとした。彼はささやき声で話し、血の代償が払われた場合にのみ開かれる隠されたドアを見つけた。血の「通行料」を支払うことで中に入るものは分霊箱にたどり着く前に消耗することになるのであった。ダンブルドアはハリーの申し出を断り自らの血を使ってドアを開けた。

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水晶の洞窟に忍び込んだハリーとダンブルドア

ふたりが次に目にしたのは巨大な空間の中に広がる地下の湖であった。湖の中央には淡い緑の光を放つ小さな島があった。ハリーが呼び寄せ呪文で分霊箱を取り寄せることに失敗すると、ダンブルドアは巧妙に隠されたボートを見つけ出してふたりで安全に島まで進んでいった。湖を進む中、ハリーは分霊箱を守るもうひとつの罠を発見した。湖は水面を触れたものを誰でも攻撃するであろう亡者(ヴォルデモート卿のかつての犠牲者たちが魔法で動かされている)で満たされていたのであった。ダンブルドアは戦うことが必要になった場合、亡者に対する有効な対抗手段として炎を使うように指示した。それは亡者が熱と光の両方を恐れるためであった。眼下に亡者が蠢いているという考えはハリーを不安にさせたが、ダンブルドアがすぐに安心させた。

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石の水盆から汲んだエメラルドの水薬をダンブルドアに飲ませるハリー

島に着いたふたりは分霊箱が沈められた石の水盆を見つけた。水盆を満たしているエメラルドの水薬を飲み干さない限り、分霊箱を手に入れることはできないようになっていた。ハリーは水薬の効果がわからないことから、自分が飲むこともダンブルドアが飲むことも嫌がった。しかし分霊箱を手に入れるには避けては通れないことでもあった。ダンブルドアは自分がどれほど嫌がっても、力ずくで水薬をすべて飲ませるようハリーに約束させた。約束ののち、ダンブルドアは薬を飲み始め一時的に正気を失って苦しみ始めた。ハリーはそれでも約束を守って水薬を飲ませ続けた。

水薬を飲んだダンブルドアは強烈な痛みと脱水症状に襲われ、精神を攻撃する幻覚を見た。ハリーはのちに、このときダンブルドアが見ていたのは彼とアバーフォース・ダンブルドアゲラート・グリンデルバルドの間で起きた決闘ではないかと推測した。ハリーはすべての水薬をダンブルドアの喉に押し込むことに成功した。飲み終わったダンブルドアは気を失ってしまった。やがて目を覚ましたダンブルドアはハリーに水を要求した。ハリーは水を出す呪文を使ってダンブルドアに水を飲ませようとしたが、ダンブルドアが飲む前に水は消えてしまい効果がないことが判明した。これはヴォルデモートが設置した別の防衛策であった。焦燥感に駆られたハリーは湖の水を汲もうとしたが、これが眼下にひしめく亡者を目覚めさせてしまった。

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炎の輪で亡者を追い払うダンブルドア

ダンブルドアに水を運ぼうとしたハリーは氷のように冷たい何かが腕に触れるのを感じ、腐り果てた手と湖から這い上がる亡者を目にした。パニックに陥ったハリーは「セクタムセンプラ」や「インペディメンタ」のような呪文カースで反撃しようと試みた。しかし亡者の数が多すぎた上に彼らは痛みを感じないためハリーの攻撃は意味をなさなかった。圧倒された彼は引きずられてしまった。

そのとき目を覚ましたダンブルドアは周りに炎の輪を作り上げて亡者の大群を追い払った。ダンブルドアはロケットを手に入れると亡者を湖に押し戻し、ハリーとボートに乗って脱出した。そしてハリーはふたりでホグズミードに姿現わしした。

稲妻に打たれた塔の戦い
Blue_Glass_Arrow.svg 詳細は天文台の塔の戦いを参照
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セブルス・スネイプの手によって殺されるダンブルドアを目撃するハリー

しばらく箒で村の上を飛行したのち、ふたりは天文台の塔に着陸した。塔に到着したふたりはホグワーツが死喰い人に侵略されていることに気づいた。ハリーの友人であるロン、ハーマイオニー、ルーナ、ネビル、ジニーはハリーの依頼でマルフォイが目的を達成しないように見張っていた。彼らダンブルドア軍団のメンバーはハリーが渡したフェリックス・フェリシスの助けも借りて、ハリーとダンブルドアがいる塔の階下で不死鳥の騎士団とともに死喰い人と戦った。ダンブルドアは戦いに加わろうとするハリーを止め、壁の側で凍結呪文をかけて動きを封じ、透明マントを上から被せた。そのためハリーにはただ状況を見ながら待つことしかできなかった。動くことができない中、ハリーはセブルス・スネイプの手によってアルバス・ダンブルドアが殺害されるのを目撃した。

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ハリー・ポッターに反撃して圧倒するセブルス・スネイプ

ダンブルドアの死体はホグワーツの一番高い塔から落下した。ダンブルドアの死により、ハリーは彼を縛っていた呪文から解放された。自由になったハリーは復讐を求め、死喰い人を石化させてすぐにセブルス・スネイプの後を追った。死喰い人たちが姿くらましできる場所を求めてホグワーツ城から抜け出して校庭にさしかかったところで、ハリーは追いついてスネイプと対面した。ハリーは何度もスネイプを攻撃し、磔の呪文や半純血のプリンスが開発した「セクタムセンプラ」まで使用したが、どれも彼を倒すことはできなかった。スネイプは自分が半純血のプリンスであることを明かすと、ドラコ・マルフォイや他の死喰い人を連れてホグワーツから脱出した。

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アルバス・ダンブルドアの死についてハリーを慰めるジニー

ハグリッドがハリーを発見し、ふたりはハグリッドの小屋についた火(ソーフィン・ロウルが火を放った)を水を出す呪文で消すことに成功した。ハリーはスネイプがダンブルドアを殺したと繰り返しハグリッドに話したが、ハグリッドは信用しなかった。城に戻ったハリーとハグリッドは皆が折れ曲がって生命のないダンブルドアの体が横たわっていると話しているのを聞いた。天文台の塔の下に移動したハリーは師の死体を目撃し、ようやく彼が死んだことを受け入れた。ハリーはダンブルドアの亡骸の横に座り続け、この夜起きたことは全て無駄に終わったと考え始めた。彼は死体の上で涙を流し、折れ曲がった鼻上に乗った半月型の眼鏡を直して袖で口の血をぬぐった。ハグリッドは何度もハリーを連れて行こうと試みたがハリーは頑として動かなかった。ジニーが現れてようやくハリーは死体の側から離れることに同意した。

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R・A・Bからの手紙を読むハリーとハーマイオニー

ロケットについて思い出したハリーはダンブルドアのローブからそれを取り出した。このロケットが単なるネックレスで分霊箱ではなかったと知ったハリーは逆上した。このロケットはおとりに過ぎなかった。ロケットの中には手紙が残されており、本物は「R・A・B」というイニシャルの人物によって持ち去られたことが示されていた。マグゴナガルの指令でジニーが医務室い行くハリーに付き添っている間、ハリーはダンブルだの死が全くの無駄であったことを悟った。ジニーはハリーを慰めようとずっと手を握っていた。その後、学年度の終わりにハリーはハーマイオニーとロンに偽のロケットについて話した。

医務室に着いたハリーは負傷してベッドで眠るネビルの姿に気づいた。ロン、ハーマイオニー、ルーナ、トンクスルーピン、マダム・ポンフリー、ロンの兄ビル・ウィーズリーも同様に入院していた。戦いの最中、ビルはフェンリール・グレイバックによって重傷を負っていたのであった。ジニーがダンブルドアの死を明かすと全員が恐怖におののいた。ルーピンは動揺しマダム・ポンフリーは泣き出し、マクゴナガルは崩れ落ちた。ハリーは天文台の塔で起きたことを説明し終えると皆がショックを受けた。ハリーはダンブルドアがスネイプを信用して2度目のチャンスを与えていたことも明かした。

アルバス・ダンブルドアの葬儀

医務室を離れるとマクゴナガルはダンブルドアと何をしていたのかハリーに尋ねた。しかしロンとハーマイオニー以外には何も話してはいけないとダンブルドアから指示されていたハリーは教えることを拒んだ。教師たちはホグワーツの将来について話し合い、ダンブルドアの葬儀を計画した。ハリーは半純血のプリンスの本に背を向け、所有したことすら後悔した。本に書かれていることからは殺人者であることは読み取れないとして、ハーマイオニーとロンは彼を慰めた。

詳細はアルバス・ダンブルドアの葬儀を参照
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アルバス・ダンブルドアの葬儀

アルバス・ダンブルドアの死後、彼の葬儀が執り行われた。ハリーはドローレス・アンブリッジリータ・スキーターが図々しくも葬儀に出席していることに嫌悪を覚えたが、ダンブルドアの葬儀の場を乱したくなかったため堪えた。ヴォルデモート分霊箱を捜索しなければならないことを知っていたハリーは、ジニーに別れを告げ恋愛関係を断ち切った。ジニーは恋人でいることの危険性など気にしないと話したが、ハリーはそれでも会わない方が良いと判断した。ハリーはそれからロンやハーマイオニーと話した。ハリーは反対したが、ふたりはハリーと行動を共にして分霊箱を見つけるため、ホグワーツ最後の年をあきらめることを決断していたのであった。

分霊箱の捜索 (1997年~1998年)

天文台の塔の戦い中、セブルス・スネイプの手によってアルバス・ダンブルドア1996年7月から分霊箱を捜索していた)が殺害されると、任務を完遂するのはハリー・ポッターの役目となった。ヴォルデモート卿に勝利するためには決して避けては通れない道であった。ハリーはハーマイオニー・グレンジャーロン・ウィーズリーと旅に出た。残された4つの分霊箱(ハリーの中に潜むもうひとつの魂のかけらはこのとき知られてなかった)を発見するため、トリオは計画を練った。

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別れを告げるハリーとペチュニア

ハリー、ロン、ハーマイオニーの3人はヴォルデモートの分霊箱をすべて見つけ出して破壊することに執念を燃やした。家族を守るため、ハーマイオニーは両親の記憶を修正して娘がいたことを忘れさせ、オーストラリアに移住するよう指示した。フレッドジョージ父親の助けを借りたロンは家のグールお化けに魔法をかけ、自分が黒斑病にかかったように見せかけた。ダーズリー家は多くの疑念を抱いたが、ハリーの伯母伯父ディーダラス・ディグルやヘスティア・ジョーンズのような不死鳥の騎士団メンバー数名の手によって身柄を隠された。

七人のポッター
Blue_Glass_Arrow.svg 詳細は七人のポッターの戦いを参照
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七人のポッター

ハリーはしばらくの間、プリベット通り4番地に滞在したが、不死鳥の騎士団は彼が17歳の誕生日を迎える前に隠れ穴に連れて行かなければならなかった。7月27日、騎士団はまずダーズリー家を避難させた。ダドリー吸魂鬼から命を救ったことに対してハリーに感謝し、心のこもったお別れを言ったことでハリーは驚きを隠せなかった。ハリーに反対をよそに、攻撃を受けたときのおとりとして、派遣された13人の護衛メンバーのうち6人がポリジュース薬を飲んでハリーの姿に変身した。ハリーはまた、6人が自分の体で遠慮なく着替え始めたことを恥ずかしく思った。出発直後、一行はフードをまとった30人以上の死喰い人に攻撃された。ハリーはルビウス・ハグリッドが操縦する後見人シリウス・ブラックの空飛ぶオートバイに乗っていた。ふたりを攻撃した死喰い人の中には服従の呪文にかけられたスタン・シャンパイクの姿もあった。そして道具を使わない飛行を編みだし習得したヴォルデモート卿自身も攻撃に加わった。

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戦闘中、ハリーの杖が自動的に動いてヴォルデモートに反撃した

ハリーのふくろうヘドウィグは死喰い人がハリーに向けて放った死の呪いに当たって死亡した。ヴォルデモートが追いついてきたときハリーはもう終わりだと感じたが、彼の杖が自ら動き出してヴォルデモートが使っていた(ルシウス・マルフォイの)を破壊した。ハリーとハグリッドがニンファドーラ・トンクスの両親の家を囲う防衛呪文の圏内に入ったことで敵の追跡は終わった。このときハリーは大切なヘドウィグを失ったことで深い悲しみに襲われていた。ハグリッドの無事を確かめるとふたりは移動キーで隠れ穴に移動した。隠れ穴では不安に駆られたモリージニー・ウィーズリーが暗闇に目をこらして待ち受けていた。

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空中戦を生き延びて隠れ穴に集まったメンバー

ハリーはロンハーマイオニーが無事だったことに安心したが、リーマス・ルーピンが片耳を失ったジョージ・ウィーズリーを連れて戻るとショックを受けた。ヴォルデモートに直接殺害されたアラスター・ムーディと戦いが始まってすぐに逃亡したマンダンガス・フレッチャー以外は全員が無事に到着した。隠れ穴に集まった騎士団のほとんどが内通者がいると考えたが、ハリーは愛する者たちが自分をヴォルデモートに売るなどと疑うことを拒んだ。しかしルーピンはハリーの父親友人の裏切りで死んだことから注意を促した。ハリーはその後外に飛び出し、ヴォルデモートがオリバンダーを拷問するヴィジョンを見た。

隠れ穴でのひととき

隠れ穴に落ち着いたハリー、ロン、ハーマイオニーはビル・ウィーズリーフラー・デラクールの結婚式の準備に協力した。結婚式の1日前、皆でハリーの17歳の誕生日を祝った。ハリーはウィーズリー夫妻から昔ながらの成人祝いである時計をプレゼントされた。ジニーはそれまでふたりが交わしてきた中で一番情熱的なキスをした。これは分霊箱捜索中にヴィーラに遭遇したときにジニーを思い出させるためであった。ハリーは一緒にいられるチャンスはほとんどないと答えた。そしてふたりの会話はロンとハーマイオニーが現れたことで中断されてしまった。

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アルバス・ダンブルドアの遺言により、ハリーが初めて捕まえたスニッチを渡すスクリムジョール

その夜のパーティにおいて、ルーファス・スクリムジョール魔法大臣アルバス・ダンブルドアの遺言に書かれた遺品を渡すために姿を見せた。ハリーにはクィディッチの試合で初めて捕まえた金のスニッチとグリフィンドールの剣が遺されていた。グリフィンドールの剣は歴史的な魔法遺物であることから、スクリムジョールはハリー個人には渡せないと主張した。遺言で触れられている生徒はハリー、ロン、ハーマイオニーのみであったためスクリムジョールはトリオに理由を尋ねた。3人は明確な答えを与えることができなかった。

8月1日、ハリーはバーニー・ウィーズリーという、ウィーズリー家の架空の親戚に成り済ましてビルとフラーの結婚式に出席した。バーニーに成り済ますため彼は村に住む赤毛のマグル少年から取った髪を使ったポリジュース薬で変身していた。パーティの途中、ハリーはルーナ・ラブグッドの父親ゼノフィリウス(三角形をしたシンボルのネックレスを付けていた)やビクトール・クラム(クラムと同じダームストラング出身で彼の祖父を殺した闇の魔法使いゲラート・グリンデルバルドのシンボルと同じであったことからゼノフィリウスに嫌悪を覚えた)と会った。魔法省の陥落とスクリムジョールの死を伝えるキングズリー・シャックルボルト守護霊が現れたことで結婚式は中断された。大混乱が発生しゲストは逃げ始めた。ハリーとハーマイオニーは杖を引き抜くとロンをつかんでトテナム・コート通りに向かって姿くらましした。

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トリオを狙って攻撃するアントニン・ドロホフ

ハーマイオニーはそこで、あらかじめ準備して必要なものを検知不可能拡大呪文をかけたバッグに入れていたことを明かした。ロンが着替え、ハリーが透明マントを被ると3人はしばらく身を隠すために近くのカフェに立ち寄った。カフェにおいてロンとハーマイオニーは結婚式への襲撃やヴォルデモートの政権掌握について話し合った。死喰い人が魔法省を制圧したときにヴォルデモートの名前を禁句に設定していたため、ふたりは知らないうちにヴォルデモートの名前を口にして禁句を破ってしまった。そのため、死喰い人アントニン・ドロホフソーフィン・ロウルに居場所が知られてしまったのであった。短い決闘ののち、トリオは死喰い人を倒した。ハリーの提案によりハーマイオニーが死喰い人の記憶を消し去った。その後、ハリー、ロン、ハーマイオニーはグリモールド・プレイス12番地に避難した。

魔法省侵入
詳細は魔法省への侵入を参照
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ハリーは魔法省によって危険分子ナンバー1に指定された

夏が過ぎても分霊箱に関する手がかりを得られなかったが、トリオがグリモールド・プレイスで迎えた初めての朝に、ハリーがR・A・Bの正体がレギュラス・アークタルス・ブラックであることを発見した。不死鳥の騎士団がグリモールド・プレイを本部として使っていたころスリザリンのロケットが置いてあったことをハーマイオニーが思い出すと、ハリーはクリーチャーを召喚した。マンダンガス・フレッチャーがロケットを盗んだことを知ったトリオがクリーチャーを問いただすと、それはドローレス・アンブリッジの手に渡っていたことが判明した。同じ日、リーマス・ルーピンが姿を見せた。ルーピンは一緒に行くと申し出たが、トンクスが妊娠していることを知ったハリーはこれを断った。このときハリーとルーピンの関係に一時的な亀裂が生じた。

翌月、トリオは交代で透明マントを被って魔法省の入り口を見張った。9月2日、計画を立てた3人は魔法省への侵入に成功した。ハリーはポリジュース薬を使ってアルバート・ランコーンに変身していた。魔法省に侵入した3人は、中に入ることにばかり集中して入ってからのことを考えていなかったため計画が不十分であったことを思い知った。ハリーはアンブリッジのオフィスを捜索したがロケットはなかった。それでもハリーはムーディの魔法の目をオフィスのドアから回収した。ハーマイオニーは魔法を「盗んだ」マグル生まれを裁こうとしているアンブリッジからうまくロケットの情報を引き出すことに成功した。アンブリッジはロケットの入手経路について嘘をついた。

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スリザリンのロケットを入手する直前、吸魂鬼に牡鹿の守護霊を放つハリー

怒りに駆られたハリーはアンブリッジとヤックスリーのふたりを失神させ、マグル生まれ登録委員会に捕まったマグル生まれたちを解放した。本物のロケットを手に入れるとハーマイオニーは双子の呪文で複製を残した。ふたりはロンと合流して脱出を試みるが姿くらましの直前にヤックスリーがハーマイオニーの腕をつかんだ。ハーマイオニーは引き離し呪文でヤックスリーを振り切ったが、グリモールド・プレイス12番地の場所が知られてしまった。隠れ家としてのグリモールド・プレイスは放棄しなければならなくなった。ハーマイオニーは代わりに、かつてクィディッチ・ワールドカップが開催された森にふたりを連れて行った。

ロンとの決別

スリザリンのロケットを確保したのち、3人は失わないように交代で首から提げた。ロケットは3人全員に不の影響を与えた。3人の友情に亀裂を走らせ、全員が常にイライラしささいなことでも口論に発展していった。3人はセブルス・スネイプが守っているグリフィンドールの剣は偽物であるとある小鬼が話しているのを聞いた。スネイプのオフィスに安置されている剣は本物の模造品であることが判明し、3人は本物の痕跡を追わなければならなくなった。

ハリーとハーマイオニーは、分霊箱を破壊できる武器について興奮して話し合っていたが、ロケットのネガティブなエネルギーがロンの頭に血を上らせた。そのとき破壊できるものを何一つ持っていなかったことから、ロンとハリーは激しい口論を始めた。ロンはハリーが次の計画を持っていないことと、ジニー・ウィーズリーネビル・ロングボトムルーナ・ラブグッドとともに)が剣を盗もうとして罰を受けたことを知ってもあまり心配しなかったことについて彼を責め立てた。ハーマイオニーが自分ではなくハリーの味方をしたことに腹を立てたロンはふたりと袂を分かって去った。

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ゴドリックの谷への訪問を計画するふたり

ロンが去ったことでハリーとハーマイオニーは憂鬱感に襲われた。ふたりはしばらく落ち込んで何も成し遂げられなかったが、やがてゴドリックの谷を訪問した。ハリーは両親の墓参りを希望し、ハーマイオニーはダンブルドアがグリフィンドールの剣をバチルダ・バグショットに預けたかもしれないと推理していた。バグショットはゴドリックの谷に住む魔法史学者でありポッター家ダンブルドア家の友人であった。

ゴドリックの谷の襲撃
Blue_Glass_Arrow.svg 詳細はゴドリックの谷の襲撃 (1997年)を参照
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ゴドリックの谷においてジェームズとリリーの墓を訪れるハリーハーマイオニー

ふたりはクリスマス・イヴに到着した。ハリーと両親に捧げられた記念碑を見た後、ハリーとハーマイオニーはポッター家の墓お探した。ふたりはケンドラアリアナ・ダンブルドア、およびイグノタス・ペベレルの墓を発見した。ハリーはダンブルドアがこの関係を一度も彼に話さなかったことを非常に残念がった。ジェームズとリリーの墓を見つけたハーマイオニーはハリーを呼び、彼が墓石に触れると慰めた。墓に呪文で作り出した花輪を供えると、ふたりは家に入るように身振りで示したバチルダ・バグショットの後についた。グリフィンドールの剣を渡されると期待したハリーは、バチルダの指示に従ってハーマイオニーを1階に残し、彼女について2階に上がった。

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ハリーを襲うナギニ

2階に上がるとハリーは彼女に話しかけられたが、それがパーセルタングであることに気づかなかった。彼女の正体はヴォルデモート卿のヘビ、ナギニであった。ヴォルデモートがバグショットを殺し、ナギニに死体を操らせていたのであった。ナギニは正体を見せるとハリーを襲撃し、噛みつこうとぐるぐると渦を巻いた。2階に駆け上がったハーマイオニーがナギニを撃退するとハリーの額の傷がひどく痛み始めた。これはヴォルデモートが近づいている証拠であった。ふたりは姿くらましで脱出したがハリーは気を失っていた。ヴォルデモートから間一髪で逃げ出したことから彼とのつながりが再び発生し、両親の死のヴィジョンを見ることになった。乱闘の中、ハーマイオニーの爆発呪文でハリーの杖が折れてしまった。

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グリフィンドールの剣が置かれた池にハリーを導く牝鹿の守護霊

ヴォルデモートの手を逃れたハリーとハーマイオニーはディーンの森に姿を隠した。ハーマイオニーはここでナギニの傷をハナハッカを用いて治療した。森に滞在中、ふたりはハーマイオニーがバチルダ・バグショットの家から盗んだ、リータ・スキーターによるダンブルドアの伝記『アルバス・ダンブルドアの真っ白な人生と真っ赤な嘘』を読んだ。この本に書かれている情報を一度もダンブルドアから聞いたことがなかったハリーは裏切られたかのように感じた。ハーマイオニーはダンブルドアが常に人のためを思って行動していたと慰めたが、ハリーは大きく幻滅した。

数日後、テントの外で見張りをしていたハリーは銀色をした牝鹿の守護霊に導かれ、凍った池にたどり着いた。池の中には何者かによってグリフィンドールの剣が置かれていた。ハリーは服を脱いで池の中に飛び込んだ。剣を手に入れようとしている間、ロケットがハリーの首を絞めようと試みた。しかしハリーは灯消しライターを使用して舞い戻ったロンによって救出されたのであった。

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ロンが破壊したスリザリンのロケット

分霊箱が最後の防衛手段として幻覚を見せたため、短いが激しい戦闘が巻き起こった。ロンはクモや、娘を欲しがった母親に一番愛されていない子どもだと言う声のような、もっとも深い恐怖をかき立てる幻覚を見せられた。ロケットによる最後の攻撃はハリーとハーマイオニーの幻であった。裸のハリーとハーマイオニーの幻が情熱的なキスを交わし始めたことに激怒したロンは、グリフィンドールの剣をロケットに叩きつけて破壊した。ロンに命を救われたハリーは彼が姿を消していたことを許した。分霊箱に拷問されたロンを見たハリーはまた、ハーマイオニーには友情を超えた感情はないと説明した。分霊箱を破壊している間ずっとテントの中にいたハーマイオニーは、かなり長い間ロンに辛く当たった。

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ゼノフィリウス・ラブグッドと話すトリオ

12月30日、ハーマイオニーの提案により、3人はゼノフィリウス・ラブグッドと話をするためルーナ・ラブグッドの家を訪ねた。3人はダンブルドアがハーマイオニーに遺した本に書かれていた三角形のシンボルを解読するため、ゼノフィリウスに質問した。死の秘宝に関する知識を手に入れたハリー、ロン、ハーマイオニーはゼノフィリウスが誘拐された娘を返してもらうために死喰い人に3人を通報したことに気がついた。トリオは脱出して死喰い人の手を逃れた。姿を消す直前、ハーマイオニーは床を爆破してハリーの姿を見せることで、ゼノフィリウスが嘘をついていなかったことを死喰い人たちに示した。彼女は同時にロンに透明マントを被せ、黒斑病で苦しんでいるという嘘が悟られないようにした。

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死の秘宝に対する執着について議論するハリーとハーマイオニー

ハリーはすぐに死の秘宝に興味を惹かれた。彼は毎日の様に秘宝の可能性について考えあぐね、責任を忘れ始めていた。この新しい関心によりハリーは日々、無関心かつ憂鬱になっていった。ハリーはダンブルドアが遺した金のスニッチ蘇りの石が入れられていると考えるようになった。彼はまた、ヴォルデモート卿ニワトコの杖を求めて国外にいると推測した。この執着は友人を困らせ、ハリーが不注意になるにつれロンのリーダーシップが強まっていった。

マルフォイの館の戦闘
詳細はマルフォイの館の小戦闘を参照
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蜂刺しの呪いにかけられたハリーを捕まえるグレイバック

1998年のイースター頃、『ポッターウォッチ』の放送を聴いたハリーはヴォルデモートはニワトコの杖を探していると確信したが、そのとき誤ってヴォルデモートの名前に付けられた禁句を破ってしまった。フェンリール・グレイバック率いる人さらいの一団に捕まったトリオは彼らに名前を聞かれた。捕まる直前にハーマイオニーが人相を変えようとハリーに蜂刺しの呪いをかけていたが、人さらいがグリフィンドールの剣を発見したためほとんど意味はなかった。ハリー・ポッターを捕まえたことに気づいたグレイバックとスカビオールはトリオをウィルトシャーにあるマルフォイの館に連行した。人さらいはハリーを魔法省に差し出さず、直接ヴォルデモートに引き渡すことにしたのであった。

ハリー・ポッターの捕獲を知ったベラトリックス・レストレンジは即座にヴォルデモートを呼び出そうと考えた。ところがその前に、レストレンジはグリンゴッツの金庫に置かれているはずのグリフィンドールの剣を、人さらいのひとりが持っていることに気づいた。ベラトリックスの声が一変して全員が死ぬかもしれないという恐れを示したことから、ハリーは別の分霊箱がレストレンジの金庫に隠されていると確信した。彼女は「女同士で話したい」としてマグル生まれであるハーマイオニーを尋問の相手に選んだ。そして磔の呪いにより激しい拷問を加えた。ハーマイオニーは苦痛に耐えながら剣は模造品であると嘘をついた。ハリーはグリップフック(館に捕らえられていた小鬼)を説得して剣が偽物であると嘘をつくように頼んだ。ハリーはベラトリックスが小鬼に剣を鑑定させると感づいていたのであった。

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ハーマイオニー、グリップフックを救出したハリー、ロン、ドビー

上階から聞こえるハーマイオニーの悲鳴によってパニックに陥ったロンは涙を流し、ハリーは助けを求めた。この願いは両面鏡のかけらを通してアバーフォース・ダンブルドアに届いた。アバーフォースは屋敷しもべ妖精ドビーを救出のために派遣した。ハリーはロンとともにハーマイオニーを救助するため、ドビーに指示して地下室に捕らえられていたルーナ・ラブグッドギャリック・オリバンダーディーン・トーマスを貝殻の家に連れて行かせた。その途中、ふたりはピーター・ペティグリューと戦わなければならなかった。かつてハリーに命を救われたことから彼を殺すことをためらったペティグリューは、自らの銀の手に絞め殺された。上階で戦闘が巻き起こり、ハリーはドラコ・マルフォイの杖を奪った。ハリーとロンはドビーの手を借りてハーマイオニーとグリップフックを救出した。

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ハリーの腕の中で息絶えるドビー

姿くらましによって一行がマルフォイの館から脱出する瞬間、ベラトリックス・レストレンジが銀の短剣を投げつけた。ハリーはロンとハーマイオニー、ドビーと貝殻の家にたどり着いたことにまず安心したが、屋敷しもべ妖精の胸に突き刺さった短剣を見て恐怖に震えた。ハリーはドビーを草むらの上に寝かせた。ドビーは最期にハリーの名前を呼んで彼の腕の中で息を引き取った。

ハリーは魔法によってではなく、シャベルによって自らの手でドビーの墓を作ることに決めた。これはハリーはドビーの勇気に対して示した敬意でもあり、悲しみを忘れるための手段でもあった。ハリーの時間と努力、汗が墓に費やされた。ハリーは掘りながら、ベラトリックス・レストレンジ、マルフォイ家、館にいた者たちを怒りにまかせて罰するヴォルデモート卿のヴィジョンを見た。ヴォルデモートはハリーを抑えることに失敗し他の者たちまで逃がしたことに激怒していた。

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自由な妖精、ドビーの墓

ハリーの傷は痛みに燃えヴォルデモートの考えを見せようとしていたが、彼はようやく心に侵入してくるヴォルデモートを否定しようと試みるようになった。これはドビーへの悲しみと愛情による変化であった。墓を掘っている間、ハリーは多くのことを理解した。死の秘宝は魅力的な宝であるが、ダンブルドアが遺した任務は分霊箱の破壊であることを思い出した。ハリーはダンブルドアを信じることに決め、改めて師の意志に従った。ドビーの葬儀中、ルーナ・ラブグッドが簡潔な追悼を述べた。ハリーはもっとも忠実であった友人に最後の別れを告げることになった。

貝殻の家とグリンゴッツの金庫破り Harry_Potter_approaching_Griphook_in_Shell_Cottage_DHF2.jpg

レストレンジの金庫について小鬼と話すハリーたち

ドビーの死後、ハリー、ロン、ハーマイオニーは貝殻の家にしばらく滞在した。このときトリオは、グリップフックの助けを借りて、レストレンジの金庫に隠された分霊箱を盗む計画を立てた。グリップフックは見返りとしてグリフィンドールの剣を要求した。ハリーはすべての分霊箱を破壊し終わった後で剣を返すことを決断した上で、そのことを告げずに剣を渡すと約束した。ハリーはまた、オリバンダーからニワトコの杖に関わる情報を入手した。オリバンダーにより、ニワトコの杖が実在しヴォルデモート卿がそれを追って海外にいるという予感が的中したことが確認された。オリバンダーは、杖の忠誠心が別の人物に移ること、元の持ち主を殺害しなくても忠誠心を奪えることなど、深遠な杖の術を簡潔に説明した。

グリップフックを騙すことに罪悪感を覚えつつも、ハリーたちが知る分霊箱を破壊できる武器はグリフィンドールの剣のみであった。貝殻の家の主人たちはハリーの動向に気づいていた。ビル・ウィーズリーはグリップフックと取引をする際には用心するようにと警告した。ハリーは次第にグリプフックを嫌うようになっていった。この時期、リーマス・ルーピンが息子の誕生を伝えに貝殻の家を訪れた。リーマスは息子エドワード・ルーピンの後見人になるようハリーに依頼した。ハリーとリーマスはグリモールド・プレイス12番地で起きた対立を乗り越えて和解した。

Blue_Glass_Arrow.svg 詳細はグリンゴッツ魔法銀行の金庫破り (1998年)を参照

トリオとグリップフックは5月1日の早朝、グリンゴッツの金庫を破るために貝殻の家を出た。ハーマイオニーはポリジュース薬を使用して残虐な死喰い人ベラトリックス・レストレンジに成り済ました。本物のレストレンジが来たとグリンゴッツの小鬼たちを欺し侵入することが目的であった。トリオは本物の証拠として、ハリーがマルフォイの館で盗んだベラトリックスの杖も用意していた。ロンはドラゴミール・デスパルドという名前の外国の魔法使いに変身した。ハリーはグリップフックを肩に乗せて透明マントを羽織った。

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ベラトリックスに変身したハーマイオニーとロン。ハリーとグリップフックは透明マントを羽織っている

計画は比較的上手く進んだ。ハーマイオニーはうまくベラトリックスを演じて見せ、グリンゴッツまで同行してきたトラバーズという名の死喰い人からの疑いも解いた。銀行には潔白探知棒を持つふたりの人間の守衛がいたため、ハリーは錯乱呪文を使ってハーマイオニーを未検査のまま通過させた。中に入ると小鬼からベラトリックスの本人確認を求められた。ハーマイオニーがためらっていると、ひとりが杖を見せれば十分だと話した、ハーマイオニーは新しい杖であるからと断った。小鬼たちはベラトリックスの杖が盗まれたことを知っており偽物を探しているのだと、ハリーは察知した。

グリップフックが服従の呪文を使うように指示し、ハリーはそれに従った。ボグロッドはベラトリックスの杖を承認しクランカーを持ってくるように命じ、トリオ、グリップフック、トラバーズをレールに案内した。ドアが閉められるとハリーはトラバーズを追い払った。まだ服従の呪文にかかっていたボグロッドはトロッコに一行を乗せてグリンゴッツの奥深くへと潜っていった。数々のねじれとカーブを経て、トロッコはすべての祇王呪文を洗い流す盗人落としの滝に到達した。トロッコが転覆して一行を払い落とすとハーマイオニーとロンは元の姿に戻っていた。グリップフックは他の小鬼たちにも偽装がバレたと考えたが、ハリーは進み続けるためにもう一度ボグロッドに呪文をかけた。

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レストレンジの金庫に侵入するトリオとグリップフック

トリオとグリップフックは年老いたほとんど盲目のドラゴンに護衛された金庫を発見した。グリップフックがクランカーでドラゴンをなだめた。追っ手が近づくのを聞いたハリーはボグロッドに金庫を開けさせた。金庫の中は貴重な物品で溢れていた。ハーマイオニーが痛みで叫び、燃焼の呪いや双子の呪文など金庫を守る呪いがかけられていることに一行は気がついた。何かに触れるたびにその物が倍に増え、さらに触れられないほど熱くなった。ハリーは分霊箱であるハッフルパフのカップを見つけたが届かない位置だった。ハーマイオニーがハリーを足首から浮かせ、ハリーは金属でやけどしないようにグリフィンドールの剣でカップを引っかけた。その間、ハーマイオニー、ロン、グリップフック、ボグロッドは増え続ける灼熱の品々に溺れないように上を目指していた。

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ウクライナ・アイアンベリー種の背中に乗ってグリンゴッツから脱出した3人

下に降りる途中、ハリーはグリフィンドールの剣とハッフルパフのカップを落としてしまう。グリップフックはグリフィンドールの剣をつかむとカップを宙に振り上げた。ハリーは耐えがたい熱を無視してそれをつかんだ。開いた金庫から雪崩を起こす財宝に乗ってグリフィンドールの剣を持ったままグリップフックは抜け出した。彼は金庫に泥棒がいると叫んだ。ハリー。ハーマイオニー、ロンは小鬼の群衆に向かって呪いを放った。ハリーがほとんど盲目のドラゴンを自由にすると3人はその背中に飛び乗った。解放されたドラゴンは飛び立ち、3人は脱出口を作るべく呪文で天井に穴を開けた。

ホグワーツの戦い
詳細はホグワーツの戦いを参照
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最後の戦いの前にホグズミードに姿現わししたトリオ

ヴォルデモートからのヴィジョンにより、ハリーは第3の分霊箱(このとき彼は知らなかったがレイブンクローの髪飾り)がホグワーツに遺されていることを突き止める。ハリー、ロン、ハーマイオニーは学校に戻って髪飾りを手に入れるための最後の旅に出発した。ホグズミードに姿現わしした際、気づかないうちに夜鳴き呪文を発動させてしまい死喰い人たちに存在を悟られてしまった。トリオ透明マントを被っていたが、死喰い人たちは彼らを見つけるために吸魂鬼を通りに放った。

自分と友人を守るため、ハリーは守護霊を呼び出したが、このために居場所と正体がばれてしまった(死喰い人たちはハリー・ポッターの守護霊が牡鹿の形であるということを前もって知らされていた)。まだ透明になっている3人に死喰い人が迫る中、ホッグズ・ヘッドからアバーフォース・ダンブルドアが現れ、急いで3人をパブの中に招き入れた。ハリー、ロン、ハーマイオニーが従うと、アバーフォースは外に出て夜鳴き呪文を作動させ(ネコを外に出したため)て吸魂鬼を守護霊で追い払ったのは自分だと説明した。アバーフォースは、死喰い人が三田のは牡鹿ではなくヤギの守護霊であったと納得させた。欺された死喰い人たちは引き下がっていった。

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ネビル・ロングボトムと再会するトリオ

パブに戻ったアバーフォースは、ホグズミードに姿を現わした3人を叱責し、外国に逃げるように諭した。短いが激しい口論ののち、アバーフォースは死亡した妹アリアナ・ダンブルドアの肖像画の抜け道を使って、感謝に満ちたトリオをホグワーツに通した。彼らはネビル・ロングボトムと合流し、必要の部屋にたどり着くと、再結成されたダンブルドア軍団に熱烈な歓迎を受けた。メンバーたちはすでに殴られたり痛めつけられたりしていたが、学校を支配する死喰い人と戦う意思に満ちていた。ハリーは自分とロン、ハーマイオニーが戻ったのは捜し物をするためだと説明したが、ネビルが戦闘に備えるように指示を出した。ハリーは当初、信用の問題から他者の助けを借りることをよしとしなかったが、ダンブルドアのようになることを恐れていたハリーはロンやハーマイオニーと話し合った後、承諾した。

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レイブンクローの塔に入るハリーとルーナ

ハリーはためらいながら軍団に向かって、ホグワーツの創始者が持っていた伝説の遺物について聞いたことはないかと訊ねた。するとルーナ・ラブグッドレイブンクローの髪飾りについて説明を始めた。レイブンクローの塔にあるロウェナ・レイブンクローの彫像が髪飾りをつけているという。髪飾りの見た目がわからないハリーはルーナについてレイブンクローの談話室に行き、彫像を観察した。アレクト・カローがここでふたりを見つけ、即座に闇の印を使ってヴォルデモートを呼び出したが、透明マントを被ったルーナが失神させた。アミカス・カローが談話室に突入しようと試みたが、ドアノッカーの問題に正解しないと入れないため、ミネルバ・マクゴナガルの助けを求めた。マクゴナガルは容易に問題に答えて彼を中に入れたが、その頃にはハリーもルーナと透明マントの中に隠れていた。

ヴォルデモートの怒りを恐れたアミカスは、アレクトの明らかに間違いである呼び出しをレイブンクローの生徒の責任にしようと示唆した。アミカスは、生徒たちがアレクトに杖の先で闇の印を指すよう強要したという嘘を思いついた。激怒したマクゴナガルはそのような嘘を考えるアミカスを臆病者と呼び、そんなことはさせないと話した。アミカスが対抗してマクゴナガルの顔につばを吐きかけると、怒りに駆られたハリーが突如姿を見せ、驚く彼に磔の呪文をかけた。アミカスは後ろに飛ばされ、壁に叩きつけられて意識を失った。ハリーがダンブルドアに任された任務についてマクゴナガルに話すと、マクゴナガルはハリーが分霊箱を見つける時間を稼げるよう、ヴォルデモートとその軍隊が侵入するのを防ぐと持ちかけた。成人の全生徒、ダンブルドア軍団、不死鳥の騎士団メンバーたちが集結し、迫り来る脅威に抵抗する準備を始めた。ヴォルデモートとその軍隊が学校の外園に到着したことでホグワーツの戦いの火ぶたが切って落とされた。

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灰色のレディと話をするハリー

5月2日、ホグワーツに到着したヴォルデモート卿はハリーを引き渡すように要求し、戦闘が開始された。アレクト・カローがレイブンクローの塔にいたことから、ハリーは分霊箱の正体はレイブンクローの失われた髪飾りであると確信した。少し考えたのち、ハリーは灰色のレディに髪飾りのことを聞きに行った。彼女の情報から、ハリーは髪飾りが必要の部屋に隠されていると推理した。ハリーはその一方で姿を消したハーマイオニーとロンのことを心配していた。ハーマイオニーとロンは秘密の部屋に入り、そこでハーマイオニーがバジリスクの牙(分霊箱を破壊できる数少ない武器のひとつ)を使ってハッフルパフのカップを破壊していた。

Blue_Glass_Arrow.svg 詳細は必要の部屋の小戦闘を参照
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ビンセント・クラッブが放った悪霊の火から逃れるハリー

ハリーは前年に髪飾りを見たことをおぼえていたため、トリオは急いで必要の部屋に戻った。しかしドラコ・マルフォイビンセント・クラッブグレゴリー・ゴイルらが待ち伏せをしていた。小戦闘ののち、クラッブが制御できずにはなった悪霊の火により、必要の部屋全体が破壊され始めた。ハリーは自分とマルフォイを箒に乗せ、ハーマイオニーとロンはゴイルをつかんだが、クラッブは炎の中に消えていった。この炎ので髪飾りも破壊された。残る分霊箱はひとつとなり、トリオはナギニの捜索を続けたが、その途中でフレッド・ウィーズリーの死を目撃した。ロンとハリーは激怒したが、ハーマイオニーは、分霊箱を破壊してヴォルデモートを倒せるのは自分たちだけだと言うことを思い出させた。

スネイプの死

彼らは戦いながら叫びの屋敷に向かった。その途中でハリーはいくつもの恐るべき光景を目にした。地上にはヴォルデモートの吸魂鬼が待ち受けていた。幾多の痛みや死を見てきたハリーは守護霊を呼び出すのに必要な幸せな記憶を思い起こすことができなかった。事実、ハリーは吸魂鬼のキスとともに訪れる忘却の世界を歓迎してさえいた。しかしルーナ・ラブグッド、アーニー・マクミランシェーマス・フィネガンらの放った守護霊を見たハリーは活力を取り戻し、自身も守護霊を発して吸魂鬼を撃退したのであった。

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ハリーに記憶を渡して息を引き取るスネイプ

叫びの屋敷に到着したトリオは、ヴォルデモートがナギニにスネイプを殺害するよう命令するところを目撃した。ヴォルデモートは自分がニワトコの杖の真の主人になれないのはスネイプのせいだと考えていたためであった。ダンブルドアが以前の所有者であり、彼を殺したスネイプを殺せば主人になれるという計算である。死の直前、スネイプは憂いの篩で見るための記憶をハリーに渡し、自分の方を向くように頼んでから息を引き取った。城に戻ったハリーはフレッドの遺体の近くでリーマス・ルーピンニンファドーラ・トンクスが死亡しているのを見つけた。ハリーはロンとハーマイオニーを残してアルバス・ダンブルドアの憂いの篩へと向かった。

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一時間の停戦中にダンブルドアの憂いの篩を使ってスネイプの記憶をも目撃するハリー

一時間の停戦中、ハリーは瀕死のスネイプから渡された記憶を見た。ここでハリーは、自分も気づかないうちに分霊箱のひとつになっていたことを知った。ヴォルデモートが幼児期にハリーを殺そうとしたときの出来事であった。リリー・ポッターの愛の犠牲がヴォルデモートの死の呪いを跳ね返し、ヴォルデモートの魂の一部が近くにいた唯一の生存者、ハリー自身の中に入り込んだのであった。これは恐るべき事実を示唆していた。ヴォルデモートを可死にするには、ハリーが死ななければならないということである。ハリーの意図せずヴォルデモートとつながっていたのである。

ハリーはまた、スネイプが学校に入る前からリリーを愛しており、それが故にダンブルドアの味方であったことも知った。ハリーの人生の長さはいつ分霊箱を取り除くかに委ねられていた。そしてそれは人命を尊重するような優雅な計画ではなく、すでに死を印された少年を差し出すことであり、その死は悲劇ではなくヴォルデモートに対する一撃にしかならないことは明白であった。重苦しい気分の中、ハリーは勇敢にもこのおそろしい任務へと踏み出していった。ハリーは閑散とした城のホールを通りながらすでに死んだような気がしていた。

ハリーの「死」

大広間を通ったハリーはロンハーマイオニーウィーズリー兄妹ルーナたちの姿を見つけることができなかった。ハリーは最後に彼らに会うためなら何でも差し出す気分であったが、会うと決して立ち去ることはできないだろうと感じていた。ハリーはまた、ルーナが自分の親友のひとりになったことにも気づいた。ヴォルデモートの元へ向かう途中、ハリーはコリン・クリービーの遺体を目撃した。コリンは未成年であったが、戦うために城に残っていたのであった。ロンとハーマイオニーには時間が無いかもしれないと考えたハリーは咄嗟にナギニを殺すようにネビルに頼んだ。ハリーはまた、少女を慰めるジニーの横を通り過ぎた。ハリーは彼女が気づいてくれるように願ったが透明マントに隠れていたため不可能なことだった。校庭でハグリッドの小屋を通りかかったハリーは、ロックケーキ、ナメクジを吐くロン、赤ちゃんドラゴンのノーバートのことなどを懐かしく思い出した。

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死の呪いを受け入れて死亡するハリー

そしてハリーは禁じられた森に入った。彼はここで黄金のスニッチを開くことができた。中には蘇りの石が入っていた。ハリーは両親、シリウス・ブラックリーマス・ルーピンたちの霊魂と話をするために石を使った。彼らはヴォルデモートの元に赴くハリーに安心と勇気を与え、吸魂鬼から守ることを約束した。一行は出発したが、吸魂鬼の冷気はハリーに通じなかった。霊魂が守護霊のようにハリーを守っていた。彼はヴォルデモートを探してさらに森の奥深くに入っていった。死喰い人の野営地に着いたところで、ハリーは蘇りの石を落とした。ヴォルデモートが死の呪いを放ったとき、ハリーは抵抗しなかった。ハリーが最期に考えたのはジニーのことであった。彼女の赤い髪、射るような眼差し、唇を重ねたときの感触を想いながら、すべては暗くなっていった。

リンボ Harry_and_Albus_limbo.jpg

リンボでアルバス・ダンブルドアと話すハリー

ハリーの経験した「死」は永続的なものではなかった。1995年に肉体を取り戻すためにヴォルデモートが使ったハリーの血に、まだ血の絆が残っており、ハリーを生につなぎ止めてヴォルデモートの呪いから守ったのであった。そしてハリーが母親から守りを受けたのと同じように、水から命を差し出したハリーの犠牲によりホグワーツにいる人々に守りがかけられた。また、ハリーの一部にはヴォルデモートが宿っているため、ヴォルデモートの死の呪いが意図せずにこの魂を破壊したことで、残る分霊箱はナギニのみとなった。リンボ状態に入ったハリーはアルバス・ダンブルドアの霊魂と、破壊されたばかりのヴォルデモートの魂にで出会った。ダンブルドアはすべてをハリーに説明し、もう秘密はないと約束した。師と和解したハリーは、彼とともに死後の世界へ進むよりも生の世界へ戻ることを選択した。

最後の戦い Hagrid_carrying_Harry.jpg

死んだと思われるハリーを運ぶハグリッド

目を覚ましたハリーは死んだふりを続けた。ナルシッサ・マルフォイがハリーを助け、彼は死んだとヴォルデモート卿に告げた。ナルシッサは息子を救うには、死喰い人とともに勝利の行進に加わってに入るしかないことを承知していたためであった。勝ち誇ったヴォルデモートはハリーの体に磔の呪文をかけたのち、ハグリッドにハリーを運ばせた。ヴォルデモートは自身の勝利を誇示して降伏を呼びかけた。当初、ロンハーマイオニージニーマクゴナガル教授を初めとする生存者たちは悲嘆に暮れた。彼らは死喰い人たちに怒声を挙げ、士気を保った。ハリーの死がホグワーツの抵抗者たちをさらに勇気づけたのであった。

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再開されるホグワーツの戦い

ネビル・ロングボトムが勇敢にもヴォルデモートの前に進み出ると、ヴォルデモートは彼に死喰い人として高い階級を約束した。しかしネビルは誇らしげに拒否し「ダンブルドア軍団」と天に向かって叫んだ。ヴォルデモートはネビルに全身金縛り術をかけて彼の頭上に組分け帽子を召還した。を廃止してサラザール・スリザリンに忠実な者だけが学校には入れるようにすると宣言した後、ヴォルデモートは帽子を燃やした。ネビルが痛みに苦しんでいると、学校の境界の外から騒音が聞こえてきた。ケンタウルスセストラルヒッポグリフバックビーク、ハグリッドの異母弟グロウプ、ホグワーツの生徒たちの家族、ホグズミードの店主や店番らが応援に駆けつけたのであった。

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ナギニを切断するネビル

ヴォルデモートや死喰い人たちが気を取られている間に、ネビルは組分け帽子を脱ぎ、その中からグリフィンドールの剣を取り出した。ネビルは剣を使ってナギニを真っ二つに切断した。ハリーは混戦の隙に透明マントに姿を隠した。死喰い人たちはクリーチャーを先頭に迫り来るキッチンの屋敷しもべ妖精たちに苦戦した。クリーチャーは勇敢なるレギュラス・ブラックの名の下に、闇の帝王へ宣戦布告した。ハリーは透明マントに隠れながらヴォルデモートの呪文を妨害し、ホグワーツの抵抗者たちを攻撃から守った。まもなく、戦いを続けているのはヴォルデモートとベラトリックス・レストレンジのふたりのみとなった。ヴォルデモートはマクゴナガル、スラグホーンキングズリー・シャックルボルトを一度に相手にし、レストレンジはハーマイオニー、ルーナ、ジニーと戦っていた。ハリーはどちらを助けるか迷っていたが、死の呪いがジニーをかすめるのを目撃すると心を決めた。

ハリーはベラトリックスの方へ向かったが、モリー・ウィーズリーに押しやられた。モリーはベラトリックスと決闘し最終的に彼女を殺害した。もっとも忠実な部下を失ったヴォルデモートは怒りに駆られた。ハリーは吹き飛ばされて痛みにあえぐマクゴナガル、スラグホーン、シャックルボルトの元へ向かった。ヴォルデモートがモリーに杖を向けるとハリーは盾の呪文を使って彼女をヴォルデモートの怒りから守り、マントを脱いで自分の姿を露わにした。

詳細はヴォルデモートの最後の抵抗を参照

ヴォルデモートは知らなかったが、彼がダンブルドアのから盗んだニワトコの杖の忠誠心は、ダンブルドアからスネイプに移っていたわけではなかった。ダンブルドアが死んだ夜、スネイプではなくドラコ・マルフォイがダンブルドアを武装解除して杖の忠誠心を奪っていたのであった。そして数週間前にハリーがマルフォイの館でドラコから杖を奪ったとき、ハリーがニワトコの杖の真の主人となっていた。

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ヴォルデモートに対するハリーの最後の勝利と第二次魔法戦争の終結

ヴォルデモートと最後の対峙を果たしたハリーはこのことと、ヴォルデモートが犯した他のミスについて話そうとした。ハリーはまた、過去の行いについて悔いを持つように説得したが、ヴォルデモートは意に介さなかった。ヴォルデモートが死の呪いを、ハリーが武装解除呪文を放った。ニワトコの杖は主人を攻撃することを拒み、逆流した死の呪いがヴォルデモートを永遠に葬り去った。

直後、ハリーは歓喜に満ちた群衆に囲まれた。ハーマイオニーとロンが最初に近づき、そしてジニーとネビル、ルーナも加わった。勝利の祝いが始まり、ハリーは喪失と祝宴の欠かせない重要人物であった。

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戦いに勝利したトリオ

トリオはアルバス・ダンブルドアの肖像画を訪ねた。その道中、ハリーはふたりの親友にすべてを説明した。ハリーは透明マントを所持し、蘇りの石禁じられた森に眠らせ、ニワトコの杖をダンブルドアの墓に戻すことで死の秘宝が再び集まることがないようにした。ハリーはニワトコの杖を墓に戻す前にこの強力な杖で自分の杖を修復した。

ヴォルデモートがハリーの中に宿る自分の魂を破壊したとき、ハリーのパーセルタングを話す能力も消滅した。

その後の生涯 (1998年~2006年)

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ハリーとジニー・ポッター、3人の子どもたち

ハリーは必ずセブルス・スネイプの肖像画がホグワーツ魔法魔術学校の校長室に飾られるようにと手配した。彼はまた、ときおりホグワーツに出向いて生徒に闇の魔術に対する防衛術の特別講義を行った。あるとき、トリオはその功績を称えられ蛙チョコレートのカードに名前が載った。

ハリーは他にも、クリスマスの時期のみ従兄ダドリー・ダーズリーにカードを送って連絡を取り、ごくたまに訪問したが子どもたちはひどく嫌がっていた。ハリーはかつてのライバル、ドラコ・マルフォイとも和解した。これは父親とその友人たちが決してセブルス・スネイプに対してできなかったことであった。

それに加え、ハリーは戦争後、代子であるテディ・ルーピンの生活の面倒を見た。これはハリーの代父シリウス・ブラックが果たせなかった役割であった。ハリーとテディはやがて強い信頼関係で結ばれた。ハリーの子どもたちはテディと一緒に暮らしたいと話していたが、テディがすでに週4回夕食を食べに来ていたことからもう同居しているも同じだと応えた。ポッター家はテディとビクトワール・ウィーズリービルフラー・ウィーズリーの長女)が付き合っていたことから、ふたりが結婚してテディが正式な親戚になるということを期待していた。

闇祓いとしてのキャリア (2007年~2016年)

第二次魔法戦争終了後、キングズリー・シャックルボルト魔法大臣の勧誘により、ハリーは魔法省の闇祓いとなった。シャックルボルトは最後の戦いに参加した者たちを、仕事に必要な能力を満たしているとしてN.E.W.T.なしで闇祓いとして迎え入れた。友人ロン・ウィーズリーとハリーは専門家と見なされ、魔法法執行部の要職に就いたハーマイオニー・グレンジャーとも協力して闇祓い局、ひいては魔法省全体の大規模な改革に一役買うこととなった。2007年、ハリーは26か27歳にして闇祓い局の局長に異例の就任を遂げた。

2016年以前のある時点で、ハリーはキングズ・クロス駅に姿を見せ、9と4分の3番線とつながる壁まである生徒を案内した。

人間関係

Blue_Glass_Arrow.svg 詳細はハリー・ポッターの人間関係を参照

生涯を通してハリーはあらゆる人々と様々な人間関係を築いている。養育された環境により幼少期はほとんどつながりがなく、実際に交流があったのは虐待的なダーズリー家のみであった。魔法界と出会ったことでこの状況は変わり、ハリーは善悪を問わず魔法世界の住人たちと多様な関係を持った。ハリーのもっとも親しい人物は両親子どもたちハーマイオニー・グレンジャーウィーズリー家シリウス・ブラックヘドウィグドビーアルバス・ダンブルドアルビウス・ハグリッドミネルバ・マクゴナガルリーマス・ルーピンネビル・ロングボトムルーナ・ラブグッドテディ・ルーピンたちである。

舞台裏

登場作品

外部リンク

  • Harry Potter Lexicon page
  • Hogwarts Project - Harry Potter

脚注

  1. ハリー・ポッターと秘密の部屋 (GBC)
  2. 2.02.1Writing by J.K. Rowling: "The Magical Congress of the United States of America (MACUSA)" - Pottermore


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