死の秘宝

ページ名:死の秘宝

死の秘宝

死の秘宝の情報

英名

Deathly Hallows

作成者

』またはペベレル兄弟

作成時期

用途

マント、

所有者

[テンプレート]

"実在する。しかも危険な物じゃ。愚者たちへの誘いなのじゃ"—アルバス・ダンブルドア[出典]

死の秘宝とは強力な魔法の力を持った物体で、『』そのものによって作られ、ペベレル家の3人兄弟に与えられたと言われている品々である。秘宝とは無敵のニワトコの杖、死者の魂を呼び出す蘇りの石、使用者を見えなくする透明マントの3つを指す。「三人兄弟の物語」によれば、杖を手に入れた長男のアンチオク・ペベレルと、石を手に入れた次男のカドマス・ペベレルは不幸な死を遂げ、マントを手に入れたイグノタス・ペベレルは長生きして穏やかな最期を迎えたという。

伝説によれば、死の秘宝を3つ揃えた者は「死を制する者」になると言われている。アルバス・ダンブルドアゲラート・グリンデルバルドは若い頃に死の秘宝の実在を信じ、それぞれ異なる目的で3つを揃えようとした。ダンブルドアがのちにハリー・ポッターに語ったところによれば、若き日の彼とグリンデルバルドは「死を制する者」とはすなわち、無敵の存在になることだと解釈したという。この話はもともと『吟遊詩人ビードルの物語』に収録された「三人兄弟の物語」から始まっており、魔法族にとっては何世代にもわたって慣れ親しんできた有名なお伽噺でもある。ただしほとんどの魔法使いたちはこの物語を単なるお伽噺と考え、死の秘宝の存在を信じていなかった。

知られている限り、すべての秘宝を同時に所有したのはハリー・ポッターただ一人である。しかしすべてが同時に彼の手元にあったわけではない(蘇りの石を禁じられた森に落としている)。アルバス・ダンブルドアも3つをそれぞれ別の時期に所有していたが、透明マントの真の所有者ではなかった。

目次

歴史

死の秘宝の起源

三人兄弟の物語

"それは子供のお伽噺だから、知識を与えるというより楽しませるように語られている。しかし、こういうことを理解している我々の仲間には、この昔話が、三つの品、つまり『秘宝』に言及していることがわかるのだ。もし三つを集められれば、持ち主は死を制する者となるだろう"—ゼノフィリウス・ラブグッド[出典]

吟遊詩人ビードルの物語

『吟遊詩人ビードルの物語』に収録されている「三人兄弟の物語」の中で、死の秘宝の起源とされるストーリーが語られている。遠い昔、ペベレル家の3人の兄弟は、曲りくねった寂しい道を旅していた時に、泳いで渡ることのできない危険な川に出くわした。魔法を学んでいた兄弟は川に橋をかけることで難なく問題を解決したが、橋を半分ほどわたったところで、『』が彼らの前に姿を現した。『死』は旅人を溺れ死にさせることに失敗したため、腹を立てていた。

『死』は3兄弟の命を奪うために策を練り、死を免れることができた褒美としてそれぞれ望むものを与えると兄弟に告げた。一番上の兄、アンチオク・ペベレルは戦闘好きな性格だったため、対決すれば負けることのない強力なを求めた。『死』は川岸にあった木から「ニワトコの杖」を作り、それを彼に与えた。二番目の兄、カドマス・ペベレルは傲慢な性格だったため、『死』をさらに辱めてやろうと考え、人々を死から呼び戻す力を要求した。すると『死』は川岸の石を拾って「蘇りの石」を作り、それを彼に与えた。三番目の弟、イグノタス・ペベレルは賢明でかつ謙虚な性格だったため、死を信用しなかった。そのため彼は、死に後をつけられず先に進めるようなものが欲しいと申し出た。『死』はやむをえず、自分の持ち物である「透明マント」を三番目の弟に与えた。

この物語に登場した3つの伝説の品々(杖、石、マント)が死の秘宝である。

ダンブルドアの説

"わしはむしろ、ペベレル兄弟が才能ある危険な魔法使いで、こうした強力な品々を作り出すことに成功した可能性のほうが高いと思う。そうした品々が『死』自身の秘宝であったという話は、作られた品物にまつわる伝説としてでき上がったものじゃろう"—アルバス・ダンブルドアの見解[出典]

「三人兄弟の物語」に登場した死の秘宝は、『死』が兄弟に与えた褒美であると同時に、彼らの命を奪うための策略だった。しかしアルバス・ダンブルドアは、ペベレル兄弟が本当に『死』と遭遇したとは考えておらず、むしろ強力な魔法使いであるペベレル兄弟自身が秘宝の制作者なのではないかと信じていた。ダンブルドアは「三人兄弟の物語」で語られているようなストーリーは、品々にまつわる伝説としてでき上がった創作だと考えていた[1]

死の秘宝の来歴

アンチオクの殺人

"一番上の兄は戦闘好きでしたから、存在するどの杖よりも強い杖をくださいと言いました。決闘すれば必ず持ち主が勝つという、『死』を克服した魔法使いにふさわしい杖を要求したのです!"—『三人兄弟の物語』より[出典]

寝ている時に殺されたアンチオク

『死』から秘宝を与えられた後、ペベレル兄弟はそれぞれ別の道へと旅した。アンチオク・ペベレルはとある魔法使いの村へ行き、争っていたライバルと対決を繰り広げた。無敵の杖を持つアンチオクは当然対決に勝利し、敵の死体を置き去りにしてその場を去った。その後、アンチオクは旅籠で『死』から与えられた無敵の杖を大声で自慢した。その日の夜、彼はワインを飲みすぎたため酔いつぶれて眠っていたところを、他の魔法使いによって喉を掻っ切られ、ニワトコの杖を持ち去られてしまった[2]

カドマスの自殺

"二番目の兄は、傲慢な男でしたから、『死』をもっとはずかしめてやりたいと思いました。そこで、人々を『死』から呼びもどす力を要求しました"—『三人兄弟の物語』より[出典]

自ら命を絶ったカドマス

カドマス・ペベレルは家へ帰り、蘇りの石を使ってかつて結婚を夢見ていた女性を死から呼び戻した。しかしその女性は無口で冷たく、この世に戻ってきたものの、生者の世界に完全になじむことはできなかった。以前と同じ彼女に接することができず、思い悩んだカドマスは、最終的に本当の意味で再び彼女と一緒になるため、自らの命を絶ってしまった[2]

イグノタスの最期

"三番目の弟は、とても高齢になった時に、ついに『透明マント』を脱ぎ、息子にそれを与えました"—『三人兄弟の物語』より[出典]

Harry-potter-deathly-hallows1-Ignotus_passes_on_the_cloak.jpg

マントを息子に受け継がせるイグノタス

イグノタスはマントを使って長いあいだ『死』から隠れおおせた。やがて老人となったイグノタスは、マントを息子に受け継がせた後、『死』を古い友人として受け入れ、一緒にこの世を去った[2]

その後、「透明マント」はペベレル家の子孫へ受け継がれていった(ただしペベレルという名前はやがて男系の家系図から消え去った)。「ニワトコの杖」は魔法使い同士の戦いの歴史をたどり、前の所有者を殺すことで次の所有者へと受け継がれていった。歴史上、この杖は「死の杖」や「宿命の杖」などさまざまな名前で呼ばれた。また興味深いことに、「ニワトコの杖」の歴代の所有者は男だけで、この杖を所有していると主張した魔女はいない。「蘇りの石」もペベレル家の子孫へ受け継がれ、やがてゴーント家の物となった。石はマールヴォロ・ゴーントモーフィン・ゴーントの代にトム・リドルによって奪われた。しかしトム・リドルことヴォルデモート卿はこの品が死の秘宝であることを知らなかったようであり、石を自身の分霊箱の1つにした。

死の秘宝の探求

ダンブルドアとグリンデルバルド

"わしは、せいぜい秘宝の中で最も劣り、一番つまらぬ物を所有するに値する者であった。ニワトコの杖を所有し、しかもそれを吹聴せず、それで人を殺さぬことに適しておったのじゃ。わしは杖を手なずけ、使いこなすことを許された。なぜなら、わしがそれを手にしたのは、勝つためではなく、ほかの人間をその杖から護るためだったからじゃ"—アルバス・ダンブルドア[出典]

Gellert_Grindelwald_and_Albus_Dumbledore.JPG

若き日のアルバス・ダンブルドアとゲラート・グリンデルバルド

若い頃、アルバス・ダンブルドアはのちに闇の魔法使いとなる友人ゲラート・グリンデルバルドとともに、死の秘宝を揃えて「死を制する者」になることを夢見た。また彼らは“より大きな善のために”というスローガンをかかげ、魔法使いによるマグルの支配を実現しようと計画していた。しかしダンブルドアは死の秘宝を探求するあまり家族と険悪な関係になり、結果的に妹のアリアナを死なせてしまった。それ以来、権力を持つ自分は信用出来ないと考えるようになったダンブルドアは、魔法大臣に就任するよう請われても断り続けた。しかしグリンデルバルドとの縁が切れた後も、ダンブルドアの秘宝への興味は失せなかった。

妹の死後、ダンブルドアは妹や両親を生き返らせたいと願い、蘇りの石を探し求めた。1996年、ダンブルドアはゴーント家の廃屋に埋められていた蘇りの石を発見した。石は既にヴォルデモート卿分霊箱になっており、呪いもかかっていたが、ダンブルドアは家族に会えるという誘惑に負け、石がついた指輪をはめてしまった。結果的に彼は呪いによって寿命が縮み、右手が壊死状態になった。その後、分霊箱はゴドリック・グリフィンドールの剣で破壊されたが、死の秘宝としての能力は破壊されずに残った。またダンブルドアはイグノタス・ペベレルの子孫であるジェームズ・ポッターが透明マントを所有していることを知り、調査のため借り受けた。ジェームズがヴォルデモートに殺された後、ダンブルドアはこのマントを彼の息子であるハリー・ポッターに贈った。ダンブルドアはまた、ヴォルデモートと戦うハリーを助けるため、黄金のスニッチの中に隠した蘇りの石をハリーに遺した。

ゲラート・グリンデルバルドはゴドリックの谷にあるおばの家で過ごした際に、若き日のダンブルドアと出会った。グリンデルバルドがゴドリックの谷にやってきたのは、ここにイグノタス・ペベレルの墓があるためだった。

Young_Gellert_Grindelwald.gif

グレゴロビッチからニワトコの杖を奪うゲラート・グリンデルバルド

ダンブルドアと決別した後、グリンデルバルドは杖作りマイキュー・グレゴロビッチからニワトコの杖を奪うことに成功した。闇の魔法使いとして勢力を拡大したグリンデルバルドは、1940年代に旧友であるアルバス・ダンブルドアと決闘を繰り広げて敗北し、杖の所有権を失った。1998年、ヴォルデモート卿はニワトコの杖を手に入れるためヌルメンガードの監房に収監されているグリンデルバルドのもとを訪ねた。しかしグリンデルバルドは杖を所有していたことなどないと嘘をつき、ヴォルデモートに殺された。その後、ヴォルデモートはダンブルドアの墓を暴いてニワトコの杖を手に入れた。

ハリー・ポッター Cloak-1991.jpg

透明マントを手に入れたハリー

ハリー・ポッターは1997年に「三人兄弟の物語」を知り、ヴォルデモート卿との対決に勝利するための手段として、死の秘宝を集めて「死を制する者」になろうとした。しかし亡き恩師アルバス・ダンブルドアの望みが分霊箱を破壊してヴォルデモートを倒すことであったため、ハリーは最終的にこの考えを捨てた。ハリーはのちにすべての秘宝の所有者となったが、ごく短期間で終わった。

死の秘宝の伝説を知る以前から、ハリー・ポッターは既に透明マントを所有していた。彼は11歳のクリスマスにダンブルドアからこのマントを贈られた。ハリーはペベレル兄弟の三男イグノタスの血を引いており、マントは先祖代々正統に受け継がれたものだった。直前の正統な持ち主は父親のジェームズ・ポッターだが、彼はダンブルドアにマントを預けた後、ヴォルデモートに殺されてしまった。

ダンブルドアは生前に遺書をつくり、蘇りの石をハリーへの遺品とした。しかしダンブルドアはそれが確実にハリーの手に渡るよう、ハリーが最初のクィディッチの試合で獲得した黄金のスニッチの中に石を隠した。ハリーがスニッチを相続すると、球体の表面に「私は 終わる とき に 開く」というメッセージが現れた。のちにハリーは、自分が死に直面しなければこのスニッチが開かないことに気づいた。彼はこのスニッチを唇に押し当て、「僕は、間もなく死ぬ」と呟くことで蘇りの石を手に入れた。その直後、彼はホグワーツの禁じられた森でヴォルデモート卿や死喰い人たちと対決した。

Resurrection1.gif

死んだ家族や友人たちを呼び戻したハリー

ハリーは蘇りの石の力を使って父親と母親、リーマス・ルーピンシリウス・ブラックたちを一時的に呼び戻したが、禁じられた森のどこかに石を落としてしまった(ハリーはもう誰も石を探し求めることのないよう、そのことをダンブルドアの肖像画以外には誰にも喋らなかった)。またハリーは1998年マルフォイの館ドラコ・マルフォイを倒した際、ニワトコの杖の所有権も手に入れていた。ハリーが触れたことすら無いにも関わらず、杖はハリーとヴォルデモートがホグワーツの戦いで対決した際、ハリーの側を正統な所有者と認識していた。しかしこの杖が欲しいと思っていなかったハリーは、本来の杖を修理するためだけにしかニワトコの杖を使わなかった。

戦いが終わった後、ハリーはアルバス・ダンブルドアの墓にニワトコの杖を返した。ハリーは自分が自然な死を迎えればニワトコの杖の力も失われ、この杖の血塗られた歴史も終わると考えたのである。

登場作品

脚注



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