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"あの方はどんな褒美をくださるだろう...この俺がハリー・ポッターを...永遠に黙らせたと...お知りになったら!"—バーティ・クラウチ・ジュニア[出典]
バーテミウス・"バーティ"・クラウチ・ジュニア(1962年ごろ~1995年ごろ)とは、バーテミウス・クラウチ・シニアの息子で純血の魔法使いであり、死喰い人でもある。約300年の歴史の中でアズカバンを脱獄したのは彼が一番最初だった。
バーティは1962年頃、イギリス魔法省と強い繋がりのある純血の家族クラウチ家に生まれた。彼の母であるクラウチ夫人はバーティを心から愛していた。
バーティは1973年にホグワーツ魔法魔術学校に入学した。彼は成績優秀な生徒であり、5年生の時に行われる普通魔法レベルで12科目で「優」を達成した。ハーマイオニーが10科目であることを考慮すればこれは前代未聞であり、逆転時計を使わなければほぼ不可能といえる。しかし、彼はこれも大っぴらに自慢することはなかった。またバーティはルシウス・マルフォイ、レギュラス・ブラック、セブルス・スネイプをはじめとした死喰い人のメンバーと学生時代から知り合いだった可能性が高い。
1980年代初頭のクラウチ
彼は若い頃に死喰い人に入り、10代後半には闇の印を獲得した。第一次魔法戦争末期の1981年にヴォルデモート卿が最初の破滅を迎えるとバーティは他の死喰い人と共に主人の居場所を懸命に探した。その過程で彼はヴォルデモートの情報を知ってると考えたロングボトム夫妻を襲撃し、ベラトリックス、ラバスタン、と共にアリス・ロングボトムとフランク・ロングボトムに磔の呪文を浴びせ、残虐なる拷問を行った。その結果、夫妻は廃人状態となり聖マンゴ魔法疾患傷害病院へ送られることになった。
バーティと他2人の死喰い人はその後魔法省に逮捕され、裁判にかけられることになった。彼は法廷で無罪であり、襲撃には加わっていないと主張し法廷にいる父に命乞いした。しかし、父クラウチ・シニアは当時魔法法執行部に身を置いており、息子であってもヴォルデモートとその従者が犯した殺戮を見過ごす訳にはいかなかった。結局彼は有罪となり、アズカバンに送られることとなった。
バーティは19歳という若さでアズカバンの終身刑を課されることになった。しかし、シリウス・ブラックによれば彼が法廷で見せた命乞いは単なる演技に過ぎなかった。最初の数日間は独房に入れられていたが、他の収容者同様に徐々に正気を失っていった。彼の杖はアズカバンの奥深くに厳重に保管された。
1982年、母クラウチ夫人がアズカバンにいる息子バーティに面会をしにやって来た。母は自分とバーティを交換させることでバーティがアズカバンから脱獄させようとした。彼女はポリジュース薬を飲み、ディメンターに気づかれずに自分とバーティの交換に成功し、彼はアズカバンを脱獄した最初の人物になった。身代わりになった母クラウチ夫人はその後間も無く亡くなり、「バーティ・クラウチ・ジュニア」として埋葬された。
バーティは家に戻り、家にいたウィンキーによって正気に戻った。しかし、再びヴォルデモート卿の捜索を図り、息子が再び公の場に姿を表すことをおそれた父バーテミウス・クラウチ・シニアはやむなくバーティに服従の呪文を使うことを余儀なくされ、常に息子を透明マントの下に隠していた。
キャンプ場に佇むバーティ。
クィディッチ・ワールドカップバーティは屋敷しもべ妖精のウィンキーと同伴する形で1994年クィディッチ・ワールドカップを観戦した。ウィンキーはバーティがクィディッチ好きだったことを知っており、父にバーティの外出を認めるよう説得した。そして、彼は透明マントに隠れる形でワールドカップを観戦した。バーティの席は偶然にもハリー・ポッターの席のすぐ後ろだった。この試合の最中でバーティは父親にかけられた服従の呪文の影響から抜け出すことに成功し、解放された。ワールドカップが終わり、その後死喰い人によるキャンプ場への襲撃の最中、バーティは天高く闇の印を刻んだ。
アラスター・ムーディに変装するアラスター・ムーディに変装して教鞭を取るクラウチ
ワールドカップで一連の事件を起こした後、バーティはヴォルデモート卿の元へ向かい、忠誠を誓った。彼はアラスター・ムーディを襲撃し、ボリジュース薬を使いムーディに変装することでホグワーツ城に潜入することに成功した。彼はハリーの名前を炎のゴブレットに入れ、強力な錯乱の呪文をかけることでハリーを17歳以上の魔法使いであると錯覚させた。ムーディの身体は自室のトランクに入れ監禁し、服従呪文をかけることで変装している間、変装に必要なムーディの毛髪を取り続けた。
彼は「アラスター・ムーディ」としてホグワーツの闇の魔術に対する防衛術の教師として働いた。授業中、彼は常に薬をそそりながら何ヵ月にも渡って変装を見破られることはなかった。バーティはホグワーツに潜入して間も無く、教師陣の信頼を勝ち取ることに成功した。彼は「アラスター・ムーディ」としてアルバス・ダンブルドアから感激された。
4年生の最初の授業で彼は許されざる呪文とその対処法を取り扱い、特に服従の呪文と抵抗の仕方を生徒に教えようとした。彼は「実践的」な授業を心がけていた。「教師」としてのこの方針は非常に効果的であり、「ヴォルデモート卿を復活させる」という不純で邪悪な動機で変装していたにも関わらず、生徒からの評判は良かったものだった。彼の授業を通してハリーは結果的に闇の魔術への対処法を身につける能力を得られ、闇祓いとしてのキャリアを見つけるきっかけになったのである。
ハリー・ポッター支援バーティはヴォルデモート卿を復活させるためにハリー・ポッターがトーナメントに優勝できるよう様々な支援をハリーに施した。彼は3つの課題といずれにおいてもハリーを影ながら支え助けた。彼は第1の課題の際に、ルビウス・ハグリッドにドラゴンをハリーに教えるよう頼み込み、後にハリーの強みを生かして課題をクリアするようアドバイスし、ハリーがほうきを使って課題を突破するヒントを与えた。
第2の課題ではセドリック・ディゴリーにハリーから教えてもらった第1の課題の借りを返すために、ハリーに第2の課題の内容のヒントを教えるようセドリックに頼んだ。また、彼はネビルに薬草学の本を与えた。しかし、ハリーのプライドの高さはバーティの計画の邪魔であった。
Harry_enters_the_Third_Task_maze.jpgハリーが迷路に入ったのを確認するクラウチ
バーティはハリーがかつてドビーという屋敷しもべ妖精と知りあいであることを掴み、ドビーを職員室に呼び、大声でマクゴナガル教授とドビーの目の前でエラ昆布について話した。ドビーはセブルス・スネイプの魔法薬の材料倉庫からエラ昆布を盗み出し、これをハリーに与えることで応えた。
正体が発覚したバーティがダンブルドア、ミネルバ、スネイプに尋問される
墓地からハリーがセドリックの遺体を運んで戻って来たとき、バーティは群衆の目を避けるようにハリーを自分の部屋に運び、ヴォルデモート卿が復活した時の状況について尋ねた。そして、彼はハリーを優勝させるために裏工作していたことを暴露し、ハリーを亡き者としてヴォルデモート卿から称賛を受けようと試みた。
しかし、群衆から避けるようにハリーを連れていったのを見たダンブルドアは彼がムーディでないことに気付き、ミネルバとセブルスを引き連れて部屋に突入し彼に失神呪文を浴びせ、自白剤ベリタセラムを服用させた。自白剤を投与されたバーティは全ての陰謀を暴露した。
その後、バーティはウィゼンガモットで証言する前に、魔法大臣コーネリウス・ファッジが連れてきた吸魂鬼から吸魂鬼のキスを受けた。コーネリウスは彼が狂信的なカルトであると見なす一方でヴォルデモートが復活したとは信じなかった。
バーティ・ジュニアの吸魂鬼のキスは死刑と同然であると同時に、クラウチ家という1つの魔法族の断絶を意味した。彼には妻は子供、兄弟姉妹はおらず、最終的には1990年代前半に亡くなった可能性がある。若きクラウチの死は屋敷しもべ妖精ウィンキーにも大きな心理的影響を与えた。
若い頃のバーティは麦色の髪の毛とそばかすのある白い肌を持つ青年だった。彼は逮捕される前は父親と同じように懐中時計を身に着けていたが、父とは異なり金色の時計だった。死喰い人であった彼は仲間と忠誠のシンボルである闇の印の入れ墨を入れていた。
クラウチは非常に悪魔的で憎悪を滾らせ、復讐心に溢れた邪悪な人物だった。また、同時に狡猾で、冷静沈着、サディスティック、知的、傲慢、利己的であった。彼は強力な魔法がかけられている炎のゴブレットに錯乱の呪文をかけて、ハリーを「4番目の代表」と錯覚させることに成功している。これは彼が非常に強力な魔法使いであることを示している。また、彼の他人の行動や仕草にも注意することでアラスター・ムーディに完璧に成り済まし、ホグワーツの教師や生徒を騙し、あのアルバス・ダンブルドアですら最後を除いて見破られることはなかった。彼の観察力の高さと注意深い性格が伺える。
バーティはヴォルデモートを父親のような存在と捉えていた。彼の忠誠心はかのベラトリックス・レストレンジにも匹敵する程だった。彼は実の父親よりもヴォルデモートをより父親であると感じていた。もちろん彼はヴォルデモートが半純血の魔法使いであると知っていたが、自分の考えと共通する部分があり、何しろヴォルデモートから感じた父性が何よりも他に取って代われないものであることを意味していた可能性がある。
バーティが死喰い人となり、ヴォルデモートに仕えた原因は父親が彼の幼少期にネグレクトに近い環境に息子を置いたこと、そして父親の元で服従の呪文に支配されていたことが関係している可能性がある。彼がアズカバンで過ごしていた時期はディメンターの影響もあり、精神虚弱状態になっていた。これらの環境がバーティの性格を形作ったと考えられる。
バーティは才能と知性があり、強力な魔法使いだった。彼はホグワーツの7年間で学んだ魔法の技術のみを用いて、学校全体を騙し強力な闇祓いであると信じこませることに成功した。彼の高い知性はヴォルデモート卿も一目置いていた。
バーテミウス・クラウチ・シニア、彼の憎んだ父親。
クラウチ・ジュニアの父親は魔法省の高官として闇の勢力や犯罪者の根絶に専念する故に、息子と関わる機会が少なかった。彼がロングボトム夫妻への拷問で逮捕され、法廷に出された際は父親は容赦なく息子にアズカバン行きを宣告した。
判決から1年後、父親は死にゆく妻のために息子をアズカバンから脱獄させ何年にもわたって服従の呪文の支配下に置いた。クラウチ・ジュニアによれば父親は妻だけを愛しており息子への愛情は無かったと後年主張していたが、これは彼の主観的な見方である。息子を救う為に母親を監獄へ置き去りにする行動は幾ばくかの愛情が父親にはあったことを示唆している可能性がある。息子の犯罪により、父は魔法大臣へのキャリアは断たれ、地位も降格した。
クラウチ・ジュニアは父親を残忍なものと看做し憎んでいた。アズカバンに1年投獄され、脱獄後も父親の下で12年間も精神的な支配下に置かれたことはますます父親への恨みを募らせるだけであった。
母親は父親とは異なり、クラウチ・ジュニアを愛情を注ぎ息子をアズカバンから脱獄させるよう夫に説得した。アズカバン投獄時、彼女は死に掛けていたためポリジュース薬を飲み息子の代わりに獄中で亡くなった。その亡骸はアズカバンの外に埋葬された。しかし、母親の期待とは裏腹に彼はその機会をヴォルデモート卿探索に利用した。
ウィンキー、クラウチ家の屋敷しもべ妖精
ウィンキーはクラウチ家の屋敷しもべ妖精として家の者に非常に忠誠があり、その忠誠心は屋敷しもべ妖精の範疇を超えるものであった。クラウチ・ジュニアが脱獄した際には世話人になり、彼の日常生活を支えた。世話人として彼女は母親のように接して献身的に振舞い、父親に息子の素行善良な振舞いに何かしらの見返りを与えて欲しいと懇願したこともあった(素行善良な振舞いは服従の呪文の副産物である)。ウィンキーはクラウチ・ジュニアを1994年のクィディッチ・ワールドカップに連れていくよう何か月もシニアに懇願した。
一方で、クラウチ・ジュニアはウィンキーの母親的振舞いは哀れみと屋敷しもべ妖精の義務から由来していると考えていた。彼は不忠の死喰い人を怖がらせるためにモースモードルを使い、彼を匿うという彼女も努力を無視した。また、彼はヴォルデモート卿に仕えるという目標のために彼女の愛情を利用した。
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リーマス・ルーピン (1993年~1994年) 前← | 1994年~1995年 | ドローレス・アンブリッジ (1994年~1995年) →次 |
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