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再出現直後のShub-Niggurathの画像
識別名:Shub-Niggurath
鎮圧状態:OoC(制御不可)
管理方法:赤夢市森林部はカバーストーリー「隔離環境観察保護区画」を適用し、構造物を模したバリケードの設置及び上空を含めた該当区画を侵入禁止エリアに指定します。
樹海などの6か所の指定した地点に設計した祭壇に、牛などの大型哺乳類を解体し得る血液を5頭分用意し、8~12人の対策チームによる定型句と儀礼措置を行ってください。
説明:Shub-Niggurathは異常な生殖・置換能力、及び認識した対象に精神汚染を引き起こすミーム感染ベクターの性質を持つ、巨大な近有機物的実体です。
全体に不規則に生える蹄などの構造を含んだ触手状の器官で周囲一帯の生物を捕獲・貪食し、Dark Youngと呼称される黒い樹木と生物の中間の生物を排出するという一連のサイクルを習性して持ち、後述するShub-Niggurathの物理的な持続性とDark Young自体の凶暴性、そしてそのどちらも目視すると錯乱を来すことから、ひとたび居住区域近辺で出現すると甚大な被害を齎します。
2023/05/■■に赤夢市北部15km地点の森林部にて最初の出現が観測され、5時間12分後、出向したエージェントが近隣区画の精神病院から押収に成功した文書「無名祭祀書」によって現在識別名に指定された呼称や管理法の手順が確立されました。対処初期段階では偽装工作が実施されていたものの、度重なる破壊と情報漏洩の限界から現在では社会ヒステリーの可能性を踏まえた上での情報開示がなされています。
通常火薬ではサーモバリック爆薬であっても殺傷どころか損傷も与えることができず、第7次作戦時の核弾頭の投入にてようやく構成体を一時的に霧散させることに成功しましたが、その直後から再凝集を開始、13分後には完全な復元が確認されました。4回の試行にも関わらず、エネルギー・ポテンシャルの一切の低下がみられないことから、事実上、現代人類の文明水準による兵器での殺傷は不可能であると判断されました。
ただしこの際、sophíaを名乗る人型の知性実体が出現しており、相互不可侵による”停戦協定”が提案され、この合意によって暫くの小康状態が続きました。その後の観測により、実体が3体のDark Youngに強い執着を持ち、周囲を頻繁に徘徊するなどといった傾向を見せたことと、対外感情の高まりなどの問題から、該当Dark Youngの奪取による有利条件での講和ないし実体の排除による根本的な解決を目的にした第8次作戦が決行される予定です。
第8次作戦は実体の即時再生に起因する失敗に終わりました。知性実体は非常に人類に対し攻撃的な性質へと変化し、これまで見せることのなかった積極的なShub-Niggurathの移動・捕食を開始。またその体積と質量にも関わらず、飛行能力を有していることが洋上を越えた際に判明しました。
第9次作戦を計画すべく、現在残存する主要国家4か国の
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前略。世界は滅んだ。
どこからともなく降ってきた空飛ぶ理不尽に、或いは自らの愚かしさによって。
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人類のたゆまぬ努力は叡智の粋は悉くが完膚なきまでに敗北した。その中でも皮肉だったのは虫食い本のインチキの方がずっとずっと人類を延命したことだった。1回の儀式で1時間はそれを遠ざけることができた。死の灰以外何も残さなかった”粋”とえらい違いだ。まあ、それだって長くは保たなかったわけだけど。
俺は生き残った『マトモ』な人間として、他の生存者を探す使命を賜った。儀式に必要な頭数を揃えるため、今度こそ世界が救われるかもしれないからと。誰の目にも、そんなわきゃあないのはわかる。けれど、俺達には必要なことだった。
今日も正気でいる為の治療薬。俺だって、今すぐにでも首を括りたいところをずっと堪えて歩いてるんだし。
黒い粒がべっとりと頬を伝った。今日はここまでらしい、近場の屋根を探す。
寝てる間に雨漏りするのが一番最悪だから、できる限り形が残ってるやつがいい。
あそこのスーパーがいいだろう。ちょうどよく転がっていた足をガラスのドアに叩きつける。これなら不自由はしても通れないこともない。
抜けた先には死が満ちていた。腐汁の溜まりと集る蛆蝿は不快ではあるが、初めて見たわけでもない。
食糧の大半は腐っていても手が付いている様子はなかったから、奪い合いだとかそういうのではなかったらしかった。ただ狂気と錯乱のままに殺し合ったのだろうか。彼らは人に殺されたのだと思うと、だいぶ上等な死に方だ。
「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。」
缶詰コーナーの手前に差し掛かるところで足を止める。
転がる子供の死体が、ついさっきまでの惨状と比べれば随分綺麗すぎるように思えた。
もしかして。
もしかするかもしれない。
俺は急いで駆け寄って、彼女の肩を抱き、脈に手を伸ばした。それを確かめるよりも先に、答は出た。
「んん……」
息がある。負傷の跡もなく、眠っているだけだ。(さすがに幾らか衰弱してるようではあったけれど。)
眉を顰めて、それからゆっくりと瞼が開く。
「……うぅ。おじさん、だぁれ?」
「お兄さんと呼べ」
「おいちゃん料理上手だね、おいしいよ」
「だろ?お湯を沸かしてこの道20年だからな。」
ボロネーゼ、カレーにチリコンカーン、麻婆豆腐。食べ切れるか怪しい量を紙皿に盛りつける。
食糧は、特に保存食は大事に大事に消費するべきだ、そんなことはわかっている。
だが同時に、明日どころか今次の瞬間にもあのクソッタレが垂れたクソにぶち殺されるかわかったもんじゃない身だ。
あの世に愉しみは持っていけない。
「……今の間に腹いっぱい食っとけよ。明日からは節約するんだから」
それに、服の上から見てわかるくらい、捻れば折れてしまいそうなほどにやせっぱちなのが目に付いてしまったから。
「ケチケチするなおいちゃん」
「まあ明日も同じこと言ってそうだけど」
「今なんつったクソガキ、っていうかお前野菜も食えや。貴重なんだぞ」
「ぐらは葉っぱなんか食べない」
ここは奇跡的に冷蔵庫の電源が生きていて、相当久しぶりにカットとは言え生野菜にありつくことができた。それはもう神に感謝と祈りを捧げながら口にしている次第だが、目の前のアンポンタンは微塵もその有難みを理解していないようだった。開けた以上あとはもう傷むだけだし、もったいないから食うか。
「はあ~~じゃあこっちに寄越せ」
「うん」
受け取ったサラダを黙々と口に運んでいると、わしわしと頭を撫でられる。なんでまた、と思いながら箸を止める。
「よーしよし、葉っぱうまいか?」
「マジで一発ぶん殴るぞクソガキ」
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