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キネマ倶楽部( - くらぶ)は、1980年代中盤から2000年代初めまで活動した日本のビデオソフト販売機構。東宝、日活、大映、国際放映の4社による共同出資で設立され、4社の旧作や未ソフト化作品を「日本映画傑作全集」と銘打ったシリーズで多数製作、販売した。
日本映画の旧作において未ソフト化作品の普及を目的に、会員制のビデオソフト通信販売機構として設立された。当初は邦画旧作全体の作品提供を志向していたが、旧作の版権を持つ主要6社のうち東映と松竹の2社は「自社作品は自社で製作、販売する」という方針に則り参加せず、結局、東宝、日活、大映、国際放映(新東宝作品の著作権を管理)の4社による共同機構として設立された。戦前戦後の諸作品を中心に多数の傑作を評論家の解説を付して販売し、リアルタイム世代を中心に多くの会員を獲得した。
発足当初は各社の目玉とも言える作品のリリースを行い、東宝の黒澤明監督作品、日活の石原裕次郎主演作品などが発売された。しかし、旧作邦画では大幅な収益が見込めない作品が大半であり、ビデオ1本が9600円という高額だったこと(しかし、機構発足当時はまだビデオの発展期で、当時の各社から発売されるビデオソフトは1万円以上するものが多かった)、単品での販売を行わないという方針(初めてビデオを購入する際には4本以上纏めての購入が条件となっており、2回目以降は2本以上から購入可能となる)、加えて会員制のためほしいソフトが少ない(あるいは購入できない)人間には容易に購入できないシステムであったこと、などにより閉鎖性は否めなかった。ただし各作品のそれまでの視聴困難さに加えて、販売した諸作品は当時可能な最高峰の技術を用いてテープの修復に努めた上で製作されたため、ソフト本体への評価は非常に高かった。
最盛期には300名以上の会員を擁し、会員同士の親睦会も行われるなど販売機構の枠を超えた躍進を遂げたが、ビデオソフトの低価格化が進み(前記の黒澤作品や裕次郎作品は、キネマ倶楽部で廃盤になった後に価格を下げて各製作会社本体から再発売された)、会員の高齢化による脱退や逝去による減少、上記システムにより若年層への浸透と会員獲得が困難だったこと、一定のソフトを製作し終えたこと、更にはDVDの台頭によるビデオ市場の後退などにより、2002年に新規ソフトの製作を停止し、活動を終了した。活動終了以前は個人向けの通信販売のみでレンタルを禁止していたが、活動終了に伴い売れ残りの在庫がレンタル解禁となり、現在はTSUTAYAの一部店舗や個人経営の店舗などでレンタルされている場合もある。
ちなみに山下達郎、大滝詠一、倉阪鬼一郎はキネマ倶楽部の会員だった。
リリースされた作品はトーキー以降1960年代頃までの名作を中心としていた。分けても小津安二郎の松竹以外の作品を、生誕百周年で大きな話題となった2002年以前に販売したことや、同じく2005年に生誕百周年で話題となった成瀬巳喜男の諸作品を販売したことは高く評価されている。また国内にフィルムが存在しない内田吐夢の「土」など極めて視聴困難な作品もリリースされ、現在でもDVD化されていないものなど好事家によって高く取引されている場合がある。またDVD化された作品も、このときに施された修正作業を基にしているものが多い。
(一部、監督別順不同)
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