偽造防止技術(貨幣)

ページ名:偽造防止技術_貨幣_

登録日:2023/02/08 Wed 22:38:51
更新日:2024/07/05 Fri 10:43:03NEW!
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偽札 技術 いたちごっこ 終わりなき戦い 偽造防止技術 特殊インキ 透かし マイクロ文字 ホログラム 潜像模様 ニホン 超細密画線 重罪



偽造防止技術とは、文字通り貨幣の偽造を防止するための技術のことである。



【概要】

現代における我々の経済活動に欠かせないお金
物々交換をしていた時代から、モノやサービスの流動性を高めるために作られたのが、現在の硬貨や紙幣と言った貨幣である。
かつては金などをふんだんに使った文字通りの金貨や小判もあったりした。
しかし、産業革命などの要因から地球の人口は大きく増加し、経済規模も大きくなったことで金などの高価な材料での硬貨では足りなくなって来た。
そこで、紙で作れるために原材料費を大幅に抑えられる紙幣が生まれることとなったのである。


だが紙幣は高い額面になることも多いため、理由は様々だがあの手この手で通貨を偽造して使おうとする不届き者が現れるのは自明の理。
そんな事を許してしまってはたちまち市場に不正な紙幣が蔓延し、その価値や信用が瞬く間に地に堕ちてお金として機能しなくなる。それだけは絶対に避けなければならない。
そこで彼らに対抗するために、さまざまな偽造防止技術が考案されては取り入れられてきた。




【そもそもなぜ金属板や紙を貨幣と呼べるのか】

硬貨は言ってしまえばただ模様と数字が描かれた金属板であるし、紙幣はちょっと複製しづらくしただけの紙切れである。
それなのになぜ皆が「これはお金」だと思ってやまないのか?
それはそのただの金属や紙に国が「これは貨幣である」という価値を保障し、国民に対し信用を持たせているために他ならない。


日本での歴史を遡ると、かつての紙幣は銀行に持っていけば書いてある分の金と交換する仕組みであり、「兌換券」と呼ばれた。
要するに「このお札を持っていれば、いつでも金に交換してもらえる」という安心、言い換えれば信用があったからこそ、お金として信じて使うことができたのである。


だが、その過程で悪いことを考える銀行も出てくるわけである。
もし金の量が少ないのに大量の紙幣を発行されてしまうと、心配になった民衆が銀行に押し寄せることで銀行が持っている金が足りなくなってしまう。
この対策のために、紙幣を発行できるのは信用できる一つの銀行だけにしようということになり、1882年に日本銀行(日銀)が誕生することとなる。


だが「銀行が保有する金の量次第で紙幣の発行量が決まる」これらのいわゆる「金本位制」には限界があった。
金という資源が有限である以上、これを採用し続けると経済発展がやがて頭打ちになることを意味していたのだ。
これを防ぐために日銀はこの制度を撤廃する運びとなり、今日のような貨幣経済がこの時確立したのである。
1871年には日本の通貨が「円」と定められ、1885年に「日本銀行券」が初めて発行された。
この「日本銀行券」は日本銀行法第四十六条2により、無制限に通用する。
「通用する」とは「日本銀行券が支払いの最終手段として相手は受け取りを拒否できない」ということである。これを強制通用力という*1
ただし、強制通用力を持つからといって「金持ってるんだから売れ」と強要することはできない。売買契約を締結するか否かとは別の問題である。


まあこのように「貨幣は価値がある」という信用によって成り立っているわけなので、どこの馬の骨が造ったのか分からない偽造の蔓延で信用が毀損されると国家転覆に直結しかねない。
完全に信用と価値を失った貨幣は正真正銘『ただの紙切れ』と化し、どこぞのモヒカンに「ケツを拭く紙にもなりゃしねぇってのによぉ!」と唾棄されながらゴミのようにそこいらにばら撒かれる運命である。ちなみに後述の通り紙幣は本当にケツを拭く紙としては不適。モヒカンが知っていたかはともかく。


そのため、基本的にどこの国でも通貨の偽装は厳罰に処される。
日本では刑法148条において、「通貨偽造の罪」があり、無期懲役または3年以上20年以下の懲役に処される。
最低で懲役3年というのはちょっと前までの殺人罪と同等*2といえばその重さがわかるだろうか。
また偽札であると知りつつ行使すると、刑法第152条の収得後知情行使等の罪に問われる。
たとえ使うつもりが無くとも、個人的に飾るだけであってもコピー機などでコピー*3しただけでも同条2項に違反し上記と同様の刑罰が定められている。通貨の偽造はダメ、ゼッタイ。


ちなみに「紙幣っぽいもの」を作るのも当然違法。そのため、いわゆる「こども銀行券」はちゃんとぱっと見で本物の紙幣とは別物であることがわかるオモチャであることが一目瞭然な作りになっている。
ただ、どのレベルからが本物の紙幣と混同されないのか、について統一的な基準は存在しないため、所轄の警察署に「このレベルなら大丈夫」と確認した上で発行された「紙幣っぽいチケット」が別の警察の手で摘発された音楽グループの実例もあったりする。不安なら「最初から作らない」が正解だろう。



【通貨を偽造する目的】

◆単純に利益にするため

これが作られる一番の理由。働かずともモノやサービスを購入できるという単純明快なものである。
端的に言えば「リアル所持金無限モード」をしたいが為である。
実際基軸通貨として世界中で流通するアメリカドルは、こういった目的の偽札作りのターゲットとしては最良である。
日本と比較して300倍ほど偽札が見つかりやすいとも言われているとか。
上述の通り発覚すれば当然ながらどこの国でも厳罰が待っており、その上高度な偽造防止技術が取り入られた現在においても偽札事件は後を絶たない。
近年の日本の10年間だけでも15000件を記録しているあたり、彼らの執念はすさまじいものがある。
ていうかそんなものを作るのに努力する暇があったら働け!とツッコミたくもなる(それが嫌だからそっちの方向に努力している訳だが)。


◆対立する国の通貨の信用を毀損させるため

通常、通貨の偽造は何らかの経済的利得のために個人もしくは犯罪組織が主体で行うものである。
しかし戦時などの特殊な状況下では、敵国の通貨の信用を毀損させて経済に打撃を与えるという戦略の一環として国ぐるみで偽造が行われることがある。
自ら紙幣の製造技術を持つ国が偽造する訳なので、大抵の場合その辺の素人によるものとは比較にならないほど高精度の偽札が出来上がる。
有名どころでは、

  • アメリカ独立戦争時のイギリス政府による紙幣偽造。
    独立戦争時、独立側の大陸会議が戦費調達のため紙幣を発行することになったのだが、それに対してブリカスイギリスがこれを偽造。
    バラ撒いて信用を下落させて通用させなくした。
  • その直後のフランス革命でも革命政府が発行したアッシニア紙幣*4をイギリスが大量に偽造。革命政府も戦費調達の為にアッシニアを乱発した事も重なり大インフレーションが爆発。結局、ナポレオンがイタリア戦線で獲得した賠償金を原資に中央銀行であるフランス銀行を設立し、ナポレオン金貨を大量製造して何とか治まった。
  • 第二次世界大戦中にナチス・ドイツが、イギリスのポンド紙幣を偽造した「ベルンハルト作戦」
  • 日中戦争当時に大日本帝国陸軍の「第九技術研究所」が中心になって国民政府の法幣を偽造した「杉工作」。
    これに使われたとされる紙が2015年1月に静岡県の巴川製紙所工場に現存していることが判明している。
  • 中国、北朝鮮が関与しているという疑惑のある「スーパーノート」と呼ばれる精巧な偽ドル札

などがある。


◆愉快犯

偽物作りが困難なものがあるなら偽物を作って他人を騙してみたい!」と妙なところで挑戦精神を起こしてしまう犯人もいる。
日本でも、写真印刷の技師が「技術を試したい」という理由で作った偽札を使って検挙された事件もある。


また、偽札の登場は多かれ少なかれ警察や世間を騒がせるので、騒ぎを見て楽しんでいるのではと言う推測もある。
偽札事件の中には、明らかに製造コストが紙幣の額面より高いとしか思えないものも存在したりする。
そうした事件の犯人の動機は、経済的利得や国家的な陰謀には無関係な愉快犯の類ではないかとも推測されている。




【主な偽造防止技術】

貨幣の偽造は通貨の発生と同時に起きたとも言われている。どの時代でも考える事は一緒なのだ。
科学技術や便利な機械が発明されるたびに精巧な偽物が作られ、国側はそれを対策して新仕様の貨幣を作って行く……
といういたちごっこ状態は今日まで続いている。
貨幣の歴史とは贋金との戦いの歴史といっても過言ではなく、ありとあらゆる方法での偽造とその対策が試みられてきた。
現在の日本の偽造防止技術は世界最高水準と評されているが、それでも年月が経つとやがて偽造する側の解析技術なども追いついてしまいかねないので、偽造防止のため20年に一度*5新紙幣が発行される。


◆すかし

おそらく知らない人はまずいないであろう代表的な技術で、ほとんどどこの国の通貨でも採用されている。
傾けたり明るい場所にかざすと模様が浮かび上がるという仕組みになっている。
現在の日本で使われているすかしは白すかしと黒すかしに大別される。
前者は紙の一部分を薄くすることで淡く見せ、後者は厚くすることで濃く見せるもの。
両方を組み合わせることでどちらか片方だけを使うよりも濃淡の差が生まれ、よりハイクオリティな絵を再現することが可能となっている。
また肖像画のすかしの他に、現在発行されている紙幣には「すき入れバーパターン」も採用されている。
千円札、五千円札、一万円札でそれぞれ1、2、3本右側にタテの棒線が入っている。
一見するとただの縦棒だが、背景と重なっているためより偽造を困難にしている。
なお、偽造予防のため一部分を厚くする黒すかしは法律によって規制されている。


◆特殊インキ

紙幣の肖像画や背景模様、裏の絵には13〜15色がふんだんに使われているいうカラフルな仕様となっている。
1970年代になるとカラーコピー機も出てきたため、それの対策で赤や青と言った単純な色ではないものが採用されている。
特殊で単純ではない色のインキを採用することでコピー機に通しても色が若干黒くなり、完全に偽造することは極めて困難となる。
また1993年には磁性インキを悪用して機械に偽札を通す偽造手法への対策にもインキが使われた。
印鑑マークや表裏面の模様にブラックライトや紫外線を当てると光るインキを使用した新紙幣が発行された。


◆深凹版印刷

紙幣の額面の部分でインキを高く盛り上げる技術。触るとざらざらした感触がある。
また右下には指で触って確認できるように一万円札は鍵型、五千円札は八角形、千円札は横棒、二千円札は点字の2が採用されている。


この性質により、仮に紙幣で体を拭こうものなら汚れは取りづらいわ皮膚が傷つくわで本当に使えない。


◆ホログラム

五千円札と一万円札で採用。紙幣の銀色の部分を角度を変えて見ることで額面数字、日本銀行の「日」の文字をデザイン化したものと桜の画像が見える。


◆潜像模様

紙幣を傾けると、表面には額面数字、裏面には「NIPPON」の文字が浮かび上がって見える。
また

  • アラビア数字と漢数字をそれぞれ一定の角度に傾けることで見ることができる潜像パール模様
  • 正面からは見えないが傾けると左右両端にピンク色の光沢が見えるパールインキ

も採用されている。


この技術は2代目以降の500円硬貨にも採用されている。
1982〜1999年の間に発行されていた初代500円硬貨にはこれがなく、また韓国の五百ウォン硬貨と材質・直径が全く同じで質量が僅かに違うだけだった。
そのためドリルで穴が貫通しない程度に表面を僅かに削ることで自動販売機・券売機で通用させる偽造事件が多発した。
当時の自動販売機は投入した硬貨とは別の硬貨が返却口に出るという仕組みを悪用したものである。
硬貨刷新と併せて対策で自動販売機の仕様が改められ、初代500円硬貨は多くの自動販売機で使用できなくなった。
2021年からは二色構造の3代目500円硬貨が発行開始となったが、自販機の対応は遅めで2024年現在も使えないこともしばしば。


二千円札には額面数字の部分を傾けると文字色が緑から紫色に変化していく光学的変化インキが使われている。
が、二千円札の流通量が沖縄県以外ではとても低いため知名度は低い。


◆マイクロ文字・超細密画線

紙幣をよく見ると、肉眼で判別することは難しいほど細かい文字が描かれているのがわかる。
この文字は1文字あたり0.4ミリにも満たず、一目見ただけでは横線と見間違えてしまうことも。
マイクロ文字には「NIPPON GINKO」と書かれており、一万円札の場合6つも散らばって配置されている。
そして肖像画の顔は極めて細密な線で描かれており、さらに各紙幣には「ニホン」の文字が背景模様に隠されている。
これらの非常に細かい線や文字はコピー機で印刷すると潰れてしまいやすく、再現するのは極めて困難である。
この技術が登場する以前はヒゲを蓄えた男性の偉人ぐらいしか主に採用されていなかったが、登場してからは女性も採用されるようになった。


この偽造防止技術についてトリビアの泉で取り上げられたことがあり、実質「隠されている」ではなくなってしまった。
偽造者に有利になるのでは?と思う人もいるだろうが逆に「このレベルの内容は一般公開可能」とする事で「非公開部分で更に優れた偽造防止技術が使われているよ」という
抑止力目的で公開しているのだろう。



◆記番号

紙幣には頭に1文字または2文字のアルファベット、次に6桁の数字、最後に1文字のアルファベットで構成された、「記番号」と呼ばれる製造番号が記されている。
ただし、アルファベットは「I」と「O」は使われておらず、24種類となっている。これは数字の「1」「0」と紛らわしいため。
数字は000001~900000の90万通りで、始めにA000001A~Z900000Zまでが割り振られ、その後AA000001A~ZZ900000Zと続く。
これにより129億6000万通りの組み合わせが存在する。
全ての組み合わせを使い切ると、文字の色を変えてまた使い回すという仕組みとなっているが、同じ文字色の番号は1回しか使われない。
そのため、同じ色・番号の紙幣が発見されたら必ずどちらかは偽札ということになる。
例えば千円札は2023年現在3巡目で、黒→と色が変化している。
なお2024年に発行予定の新紙幣からは記番号のアルファベットが1つ増えて最大がZZ900000ZZとなる予定なので、番号が2巡目以降に入って文字色が変わるのは珍しくなるかもしれない。


◆ユーリオン

カラーコピー機や画像編集ソフト等に紙幣を認識させるための模様。
黄色、緑または橙色の円形が5つ以上、特定のパターンで並んだもの。
現在発行される日本の紙幣にももちろん仕込まれており、千円札(野口英世)の「千円」の文字付近にあるサクラがそれ。
これを認識すると警報が鳴ったりソフトウェアが警告メッセージを出したりして不正利用を防ぐ。
もちろん対応は機械・ソフト制作側の善意に依存するため、組織的な犯行を防ぐ効果はそれほどでもない。
しかし、コンビニでお札をコピーなどと甘いことを考えた人間を痛い目に遭わせる程度の効果はある。
上述の通り、貨幣の偽造は滅茶苦茶重罪なのでどんな目的であろうと絶対にやらないように。





【フィクション作品における偽造防止技術】

サスペンス、推理もの、その他数多のジャンルにおいて「偽札」にスポットが当たる作品は多いが、偽造防止技術に焦点を当てた作品は少ない。
そのほとんどが、偽造防止に取り組んだor取り組んでいる人物の伝記・ドラマ・ドキュメンタリーといった、物語とは違うジャンルになりがち。


偽造通貨が出てくる作品では大抵


  • 偽造防止技術がそもそもない(あったとしてもやたら稚拙だったり「凄い技術」の一言で片付けられたり)
  • それを掻い潜る技術的な背景などが満足に扱われない(チートな技術などで一瞬で解決…程度にしか語られず、それ程のものを擁する凄い組織だという事を誇示する展開になったり。)
  • それら技術が扱われていても、いずれにしても「強力な防止技術があったはずなのに偽造されて…」と不可能が破られたことで話が動く

といったように、偽造防止技術という高く厚い壁がある点については触れられなかったり、詳しく語られないことも多い。
これらの作品の多くが『偽造通貨の流通を止めたり製造元を潰す展開』に焦点を置いており、それを防ぐ技術やそれとの攻防というのは言ってしまえば『それまでの一過程』に過ぎず、しかも作劇上組織同士の内々の事情開示に終始しがちで盛り上がりを見せるのも難しい。無理に仔細を描いたところで話の軸が不自然に逸れたり単なる中だるみになりかねないのもあるかもしれない。


《偽造防止技術を扱った作品》

ここでは、偽造防止技術そのものに焦点を当てた作品のみを掲載し、単に偽札が出てくる作品の掲載は省略する。

・『龍が如く7 光と闇の行方』(ゲーム)

一万円札の偽造防止技術の優秀さと、その漏洩が物語の根幹に関わっている。


+ 物語終盤のネタバレ注意-

国家機密であるはずの一万円札の偽造防止技術がとある政治家に漏れており、それによって、精巧な偽札を製造できる闇組織『異人三』が発生。
異人三は、日本国内最大の極道組織『近江連合』が唯一手を出せない縄張りをもつ反社会組織として横浜に縄張りを構えている。
作中で近江連合は西日本・東日本を事実上征服するほどに肥大している中、異人三はその圧力に耐える肉の壁として、主人公春日一番の物語に深く関わっていくことになる。それだけ漏洩した偽造防止技術の会得とは強力なアドバンテージとして描かれているのである。


作中では「日本円の紙はみつまたという植物から特殊配合で作られており、その手触りは滅多に真似できない」という説明がなされている。
この項目で説明している通り、日本の偽造防止技術はそれだけで突破できるものではないのだが、漏洩の経緯から考えると、素材以外の偽造防止技術も全て漏洩・複製されており、作中で春日一番に説明されることがなかっただけである可能性が高い。
実際、作中では大部屋1つ占領するほどバカでかい偽札用印刷機がSFじみたレーザー印刷を行っている描写がある。


ちなみに、作中では「人民元は日本円と比べて偽造防止技術が低い」とも説明されており「異人三の末端が偽札の材料をくすねて勝手に人民元の偽札を擦って輸入資金源に用いるマネーロンダリングじみたことを行っている」という描写もあったりする。


言うまでもないが、作中に出てくる偽札防止技術の突破方法はあくまでフィクションである。
……もちろん、そんな国家機密が政治家に漏れているなんてこともフィクションのはずである……!


・『ハイパーインフレーション』(漫画)

偽造通貨を軸に展開する、経済がテーマの作品。
奴隷解放のために戦う主人公は無尽蔵にお金を作る超能力を持つのだが、全く同じ札しか作れない。
つまり製造番号が同じになってしまうという大きな弱点があった。さっそく初歩的な偽造防止技術に引っかかっている…
そうした不完全な贋札でどうやって戦うか、敵サイドもどうやって偽造通貨を判別し流通を防止するかなど、駆け引きを繰り広げることとなる。
今まで313人もの贋札製造者達を抹殺してきた「贋札殺し」の暗躍など、序盤からラストまで「偽造の"異能"vs偽造防止の"技術"」が続く作品である。


・『万能鑑定士Qシリーズ』(松岡圭佑の小説)

実質的な1話目*6において、ありとあらゆる鑑定技術を使っても本物と区別できない偽札が出現し、日本のお札の信頼性が消失した大事件を描いている。
その性質上「ここまですごい技術を使っていたのにそれを越えられた」という意味合いであるが、偽札の偽造防止技術や鑑定技術がいくつも紹介されている。
実際にどうやって「偽札」を用意したかは本編を見てもらうとして、
この万能鑑定士Qシリーズは詐欺や窃盗などを主眼にした「人が死なないミステリ」を売りにしているが
このハイパーインフレ事件は直接殺してないかもしれないがこの犯人のせいで首を吊った人間は10人や20人じゃ足りないだろという被害を出しており
後発のシリーズ作品で無かったことにはなっていないが扱いにはちょっと慎重になっている話である。
偽造トリックにはツッコミどころがあるものの、通貨を偽造されてその信頼性がなくなったらどうなるのか?という恐ろしさはたっぷり描いているのでお勧め。



【最後に】

このように様々な偽造防止技術を用いて、あの手この手で偽造をしようとする者たちの攻防は今日でも続いてる。
技術が進歩していくにつれてそれを逆手に取った手段で偽造を試みていく者たちとの戦いは、決して終わることはないのだ。


皆さんも怪しいと思ったらすぐに警察署や交番に届け出よう。



追記・修正は本物を完璧に見分けてからお願いします。


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  • 建て主へ:できればそれぞれの作品の貨幣偽造がどういうシチュエーションだったかというのを入れてくれればなおありがたいです。 -- 名無しさん (2023-02-08 22:44:29)
  • ↑そもそも「偽造防止技術」という項目で貨幣偽造を扱うこと自体不自然。「偽札」という項目名ならともかく、この項目名なら一覧自体不要だと思う。 -- 名無しさん (2023-02-08 23:30:24)
  • 例えば、「フィクションではこのような偽造防止技術が使われているよ」っていう例ならともかく、偽札が登場するだけのフィクション作品はここに載せるには趣旨がズレている -- 名無しさん (2023-02-08 23:33:16)
  • マイクロ文字・超細密画線はトリビアの泉で紹介してたな 投稿者がたまたま発見 -- 名無しさん (2023-02-09 00:27:36)
  • 遊戯王カードの右下のホログラムも偽造防止の仕掛けあるんだっけ -- 名無しさん (2023-02-09 01:09:11)
  • 御曹司マン(とっても!ラッキーマン)のアレは偽札なのだろうか? -- 名無しさん (2023-02-09 01:24:45)
  • 一覧にするなら「偽造防止技術を取り扱った一覧」にすべきじゃないか? -- 名無しさん (2023-02-09 09:00:40)
  • ↑とりあえず、「貨幣偽造を扱った作品」では該当する作品が多すぎる懸念もあるし、これについては削除でいいと思う -- 名無しさん (2023-02-09 09:02:17)
  • ↑5 番組が造幣局に確認取ろうとしたら回答が「お答えできません」と取材拒否だったやつな -- 名無しさん (2023-02-09 09:11:21)
  • 一覧項目としての相談はされてなかったし、貨幣偽造を扱った作品はない方が良い。 -- 名無しさん (2023-02-09 10:07:31)
  • なるほど、コピーしただけでも犯罪なんだな。 踊る大捜査線映画1作目で 身代金の番号控え作業が面倒くさくなった青島、札を並べてコピー→署員「オォー」(拍手)→課長激怒顔 というシーンがあったけど、そりゃ法の番人が率先して刑法違反しちゃいけないわな。 -- 名無しさん (2023-02-09 10:18:47)
  • 踊る大捜査線は撮影自体どうやって許可とったんだろうなって思ったけど、出てきた紙は小道具担当が手書きで作ったのかな -- 名無しさん (2023-02-09 10:30:50)
  • お札の技術しか入ってないけど、2代目500円で使われた潜像も入れたほうがええんかな? -- 名無しさん (2023-02-09 10:41:34)
  • お金ってたしか、コピーやスキャンができないんだっけ? 仕組みが自分にはよく分からんから追記はできないけど -- 名無しさん (2023-02-09 11:25:04)
  • ミナミの帝王の萬田は、ちょっと触っただけで判断できるという。 -- 名無しさん (2023-02-09 14:44:07)
  • 「GTO SHONAN 14DAYS」という漫画では主人公の仲間が偽造通貨の刑罰を逆手に取る形で下劣なDV男を制裁してたな -- 名無しさん (2023-02-09 17:56:47)
  • ブラックジャックで貨幣の概念を知らない相手に手術料払わせようとした時に、見本の紙幣を通し番号まで完コピされた物を渡された事があったなあ -- 名無しさん (2023-02-10 07:34:53)
  • ↑ これを大量にくれって説明したら完コピしたのくれたんだよね -- 名無しさん (2023-02-10 08:56:45)
  • 漫画「ゼロ」で偽造紙幣製作を強いられた主人公が完璧な偽札を作りながら後で偽札の区別がつくように意図的に紙の繊維にしか見えない模様を入れておく話があったと思う。単独でどれだけチェックしても分からないけど、こことこことここに繊維風の印がありますと教えて後で流通経路を一網打尽にする罠な感じで(何巻かまでは覚えてない……) -- 名無しさん (2023-02-10 09:02:37)
  • ここはアニヲタwikiなので、サブカルの話が全くないのも不自然だよね 偽札が登場する作品一覧にするんじゃなく技術の観点でまともに扱われてる作品を挙げるのはいいんじゃないか、割と少なそうだし -- 名無しさん (2023-02-10 09:05:44)
  • ハイパーインフレーションという漫画では、主人公の行いが弱者を苦しめ強者は無傷で終わることを明確に掲げていた -- 名無しさん (2023-02-10 10:02:09)
  • ハイパーインフレーションだと偽造技術そのものを結構取り上げてたよね -- 名無しさん (2023-02-10 20:20:25)
  • コメントアウトに警告文を書いている方、勘違いしてるかもしれないけど、禁止されているのは分類分け・例示・一覧を「主とした」項目であって、既に完成した項目に関連事項を列挙することは禁止されてないよ。まぁ偽札が出てくる作品を列挙したらきりがないというのはその通りなんで反対はしませんが -- 名無しさん (2023-02-10 20:28:09)
  • ちなみにユーリオンの基本特許はオムロンが持ってるみたい。 -- 名無しさん (2023-02-11 04:42:29)
  • 単に偽札が出てくるってだけの作品の列挙については削除で異論ないですが、純粋に「偽造防止技術」が題材になっている作品について挙げてるところは記載復帰させたいんですがいかがでしょう。具体的には龍が如く7(偽造防止技術がある政治家から流出していたことが異人三の運営の核)もし反論なかったらその点だけ再度追記します -- 名無しさん (2023-02-20 11:18:07)
  • 偽札と違い、「偽造防止技術」に焦点を当てた作品は、文学的にはともかくアニヲタwiki的にはあんまりないハズなので、際限なく無秩序に増えるという事も無さそうなのでいいかと思います。異論がある方がいたら相談所に持っていきますが -- 名無しさん (2023-02-20 11:24:48)
  • 当該作品をやっていないのでわかりませんが、消された記述を見る限り悪徳政治家の陰謀で悪人に「何かすごい技術が流出した」以上の扱いをされてるようには見えず、記載するほど価値があるようには思えません。 -- 名無しさん (2023-02-20 11:25:24)
  • ↑ネタバレになるのであまり詳細には書けませんが、実際にはステレオタイプの悪徳政治家がしでかした悪事というレベルの話ではなく物語の中枢に関わっている要素です。内容が薄いのは、ゲームの中での演出をあまりここで長々と書くのが野暮だからというだけで、こればかりは実際にゲームをしてみないと分からないという面もあります。何より、様々なネタを掲載するWikiで「記載する価値の有無」で掲載するかどうかを決めるのもいかがなものでしょう -- 名無しさん (2023-02-20 11:30:23)
  • ネタバレを避けた結果アレより詳しく書けないのであれば、(技術的な話をすっ飛ばして)すかしが再現された偽札が出てくる程度の作品にしか見えないんですよ。というか悪事の規模やゲーム内の存在感ではなく、技術の方に解説がついてるかどうかを問題視してるんですが。 -- 名無しさん (2023-02-20 11:35:46)
  • ↑作中で偽札防止の技術の話が関わっているかどうかと言えば、作中で「日本円の紙はみつまたという植物から特殊配合で作られており、滅多に真似できない」という説明がなされています。(ついでに、人民元はそれよりもっと偽造防止技術が低いので三下が勝手に材料くすねて人民元の偽札を刷るとかいうやらかしをしていたなんて話も…)ですが、その点は物語的には副次的なものであるうえ、物語が盛り上がるところで登場人物から丁寧に説明があるのでここで挙げても反復になるかと考え記載はしていません。兎に角、ここに記載していないだけで(あるいは記載するのが野暮、蛇足と考え省略しているだけで)掘り下げは非常になされており、それはもう一度申しますが「どのくらい偽造防止技術が関わっているか」はゲーム本編をしていただかなければ分からない」かと思います。やったことないけど関係ないと思う、という意見の一点張りだけでは「記載すべきでない」という理由としては聊か弱いかと。 -- 名無しさん (2023-02-20 12:08:45)
  • それくらい記述するならアリ、元のままならナシだと思いますよ。前の記述のままでOKなら、すかしが入っているが通し番号が一緒だから偽札だ!(どうやってすかしを再現したかはぼかされてる)みたいな流れの作品全部書けるじゃないですか。 -- 名無しさん (2023-02-20 12:20:39)
  • そもそもすかしの話は龍が如く7ではほぼ出てないですが…注釈に「特殊な素材が用いられている」ことは既に記載しています。要は記載すべきでないと思っていらっしゃった理由は「ゲームプレイをしていないとどのくらい偽造防止技術が物語に関わっているか分からないから」が理由でしょうか。それこそ、再三申しますが「ゲームをプレイすればわかる」であり、作中で丁寧に説明していることをわざわざここで転載するのは野暮かと思いますよ。 -- 名無しさん (2023-02-20 12:25:13)
  • ↑2偽造防止技術の優秀さが関わってるって冒頭に書いてあるじゃん… -- 名無しさん (2023-02-20 12:37:46)
  • 逆です逆。そこを詳しく書かないと作中でもちゃんと触れない作品も掲載できる、というか偽札が出てくる作品の多くに「すかしがないから偽物」「すかしが再現された高度な偽物」程度には偽造技術の扱いがあります。正直材料の情報が流出した程度がそれらを退けて掲載する必要があるものかはかなり疑問です。 -- 名無しさん (2023-02-20 12:38:13)
  • 再四申しますがゲームプレイをすれば分かります。日本の偽札防止技術が優秀であるという背景があるからこそ、それが漏洩した先の闇組織の存在が強固なものとなり、それが巡り巡って主人公を救う&主人公と登場人物のめぐり逢いが発生する物語です。偽札が出てくるというだけではありません -- 名無しさん (2023-02-20 12:43:01)
  • 自分も龍が如く7はプレイ済みだけど掲載には賛成。技術がどうとかじゃなくて、物語に日本の偽造防止技術の漏洩が関わってんのよ。たぶんraine137は偽造防止技術の技術面の描写にしか興味ないから話通じてないんだと思う -- 名無しさん (2023-02-20 12:47:15)
  • すかしは高度な偽造防止技術なので、すかしがある偽札→敵は強大な組織だ!みたいな展開は割とよくあるものです。そういうのが全削除されている状態でそれだけ復活させるほど詳しく技術に触れているのか?という点が気になっています。 -- 名無しさん (2023-02-20 13:00:11)
  • ブラックラグーンの偽札編で、ジェーンが技術面についてもウンチク垂れてたな。まあ、項目に書くほどの内容でもないような気はするが -- 名無しさん (2023-02-20 13:04:16)
  • ↑2技術を詳細に掲載しているかが判断基準とすべきかよりも「偽札でなく偽造防止技術そのものがどれほど物語に関わっているか」のほうが重要かと思いますよ。あと、これも先ほど言いましたが、すかしの話は出てきません。すかしによって偽札だと暴く描写があるわけでもないです。(最初にちょっとあるくらいかな?)あとこれだけ言ってるのになぜゲームの本編をご確認いただいたうえでの話にならないんでしょう。気になるかどうかをすべて人に説明させる前にご自身で調べて見てはいかがでしょう。 -- 名無しさん (2023-02-20 13:05:13)
  • 龍が如く7については単に偽札でてくるってだけじゃないからひとまず追記していいと思う 自分で調べもせずだと思う、これはどうなの、ばかり突っかかってくるので止められるんじゃ話がすすまない。反対多数だったらまた考えればいいし、追記したい人が反対されないようより工夫して書けばいいんじゃない? -- 名無しさん (2023-02-20 13:13:09)
  • とりあえず口頭説明で埒があかなそうなので記載を追記して復帰しました。 -- 名無しさん (2023-02-20 15:26:28)
  • 紙幣だけであって硬貨の偽造防止技術に触れられてないのもなんかアレだな -- 名無しさん (2023-02-20 15:42:39)
  • 硬貨を偽造するうまみがあまりないから偽造防止技術も少なく、そのせいで偽造防止技術に対応できる安い機械が出回らない、という問題もあるからなぁ -- 名無しさん (2023-02-20 17:05:04)
  • 近代の硬貨偽造は500ウォンの話以外あまり聞きませんね。金貨の時代なら目方や金の割合誤魔化したのが無数にあるけど。 -- 名無しさん (2023-02-20 17:34:29)
  • raine137の人は反論展開したんだから普通のコメントするまえに自分の意見を畳むなりさらに広げるなりするのが先では? -- 名無しさん (2023-02-20 17:40:41)
  • 正直シナリオ上重要なのはわかる一方「素材がバレた」「それ以外はなんかすごい技術が使われてるけどたぶん描かれてないだけで漏洩したんだろう、すごいSF機械でなんとかした」という技術面の雑な扱いに不満はありますが賛成多数である以上これ以上反対する気はないです。 -- reine137 (2023-02-20 17:45:55)
  • そりゃ偽造防止技術が重要な舞台装置として登場する、のであって偽造防止技術を語るストーリーではないから、「偽造防止技術が登場するならちゃんと詳細に説明がいる、さもなくば偽造防止技術が作中に登場していると認めない」なんて正直あなたの我が儘だと思うんですが -- 名無しさん (2023-02-20 17:54:18)
  • あんまり続けるのもアレなんですが発言曲げられるのも・・・ 私が気にしてたのは『それを掻い潜る技術的な背景などが満足に扱われない(ご都合主義な代物で一瞬で解決…など)』って批判的記述に該当してしまっていないか、それをこの文章の直後に代表例として紹介するのはいかがなものかという観点です。初手で掲載の価値と言葉選びを間違えてしまったので誤解を与えたかも知れません。 -- 名無しさん (2023-02-20 18:11:21)
  • 自分が書き手ですが…誤解もなにも「批判的記述に該当してしまっていないか」という懸念点って初耳なんですが… それならそうと「技術の方に解説がついてるかどうかを問題視してる」とか目先の不満じゃなくて最初から言ってもらわないとそれは話が拗れるの当たり前です。以後気を付けてほしいです -- 名無しさん (2023-02-20 18:31:20)
  • どこかの国の紙幣には偽造防止のためにICチップが入ってるって聞いたことがあるな。検索してもソースが出てこなかったので追記できんが… -- 名無しさん (2023-03-15 23:48:12)
  • こち亀で紙幣には非常に細かい文字が隠されているということを知った。かなり前だから今とは詳細が違うだろうが。 -- 名無しさん (2023-06-27 10:45:48)

#comment

*1 日本銀行券とは日本銀行が発行している「お札」のことで、造幣局が作っている硬貨については根拠となる法律が違い、その法律により強制通用力の及ぶ範囲に制限がある。
*2 現在の殺人罪は最低で懲役5年である。
*3 そもそもコピーしようとすると警報がなる機能付きのものもある。
*4 没収した特権階級の財産を担保にした紙幣
*5 大きな偽造事件が起きるとマイナーチェンジされる場合もある。
*6 いわゆる主人公の生い立ちや成長過程などを描いたストーリーがこの前に入っている。

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