登録日:2021/12/23 Thu 16:30:00
更新日:2024/06/17 Mon 13:13:07NEW!
所要時間:約 15 分で読めます
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スケバンパリピラブコメ椎橋寛 完結漫画週刊少年ジャンプ
『神緒ゆいは髪を結い』は、2019年に週刊少年ジャンプにて連載されていた漫画。
作者は『ぬらりひょんの孫』を代表作とする椎橋寛、単行本は全4巻。
3月に連載開始し、次の新連載が5月スタートだったため、平成最後のWJ新連載にあたる。
◆概要
金・容姿・スペックの全てで恵まれている圧倒的勝ち組な高校生園宮鍵斗が、
鎖で出来た髪飾りの有無で正反対に変貌する二重人格者神緒ゆいと出会い、
彼女を巡る騒動に振り回されてんてこ舞いになる物語。
連載開始時既に読者層を食い合う作品が2作品も好評連載中であったなど前途多難な掲載環境でスタートした本作は最終的に打ち切りENDとなったが、
序盤は”いけ好かない嫌味なイケメン”的な部分が目立っていた主人公鍵斗の変化を描き切り物語としてはきちんと完結している。
ヒロイン造形の可憐さ・凄みを感じさせる筆絵など椎橋作品の魅力に惹かれる方には一読の価値あり。
現在、漫画アプリ『ゼブラック』で全話無料で読むことも可能なので興味がある人は是非。
◆登場人物
- 園宮鍵斗(そのみや キィト)
主人公。私立帝葉学園のスクールカースト頂点に立つパリピ。
黄色い声を上げる女子に囲まれる日々に辟易とし刺激的な出会いを求めていた折、”二人のゆい”と予期せず遭遇することに。
自意識過剰気味で嫌味なところも目立つ一方、何かと常識外れなゆいに振り回されキャラ崩壊することも多々。
- 神緒ゆい
メインヒロイン。髪飾りとして纏う霊験あらたかな鎖、その有無で人格も髪や服の色も入れ変わる巨乳美少女。
鎖を纏い髪を結えば純白の優等生”白ゆい”、鎖を外し髪を解けば漆黒のスケバンはごr”黒ゆい”の人格が現れる。
- 恵比寿野 奈央(エビちゃん)
ゆいの幼馴染であり、鍵斗の取り巻きと衝突してゆいと鍵斗を巡り合わせた元凶。
白ゆいの日常を守るべく髪飾りでの人格調整を担っているが、うっかり黒ゆいの発現を許すこともしばしば。
人格の秘密を知ってしまった鍵斗をゆいのサポートに抱き込み、彼にスペアの髪飾りを託し高速髪結い術を伝授していく。
- まいにゅん
黒ゆいにお礼参りに訪れたヤンキーギャル。
かつて天才空手少女として鳴らすも初戦でボコられ舎弟全員の性癖を壊された屈辱に燃えている。
力とビジュアルの両方で打ち負かすべく修得した渋谷スペイン坂に伝わるヤンキーギャル奥義を炸裂させるも敗北。
黒ゆい曰く本物のスケバンには付け焼き刃の技は通用しないとのことだが……?
- 松蔵院カーラ
鍵斗を中核とするエリート集団「ライフラバー」の紅一点。鍵斗とは幼稚舎以来の幼馴染。
ゆいに首ったけ状態の鍵斗を訝しみ、その鍵は彼女の髪飾りにありと判断。色物精鋭SPを刺客として白ゆい目掛け送り込む。
- 細川餓羅紗&清原マリア
黒ゆい親衛隊を名乗る変態舎弟二人組。なお黒ゆいにはイマイチ存在を認知されてない。
黒ゆいの発露を阻む軟弱男こと鍵斗を排除せんと勝負の建前でゆいにセクハラを仕掛ける。
特殊な瞳術により相手の肉体を見透かすことができ、それぞれ主にゆいの肢体&ゆいと餓羅紗お姐様との絡みを注視している。やっぱただの変態だわ
- 山羊沼こやぎ
「鍵斗さんファンクラブ」会長。夢は玉の輿な貧乳。
確実に鍵斗を射止めるべく、黒魔術でゆいに成りすまし既成事実作成を目論む。
- 山羊沼豪人
私立帝葉学園生徒会長。こやぎは妹だが兄妹仲は劣悪。
”高貴”への執着が凄まじく、ライフラバーとそのフォロワーたちを「外面だけの俗物」として忌み嫌っている。
自身と白ゆいの姿を規範とする生徒矯正による学園浄化計画を目論むが……。
※※※以下、『神緒ゆいは髪を結い』の重大なネタバレを含みます※※※
ところで本作のジャンルについて説明を忘れていたが、
『神緒ゆいは髪を結い』は怪奇スプラッターバトル漫画である。
[[神緒ゆいは髪を結い>神緒ゆいは髪を結い]]
登録日:2021/12/23 Thu 16:30:00
更新日:2024/06/17 Mon 13:13:07NEW!
所要時間:約 15 分で読めます
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漫画 椎橋寛 週刊少年ジャンプ ラブコメ スプラッタ パリピ スケバン イケメン 二重人格 怪奇 ぬらりひょんの孫 寄生虫 表紙詐欺 集英社 打ち切り 怪作 佳作 2019年 神緒ゆいは髪を結い スケバン猛将伝
お前らまとめて…パリピにしてやるぜ!
『神緒ゆいは髪を結い』は、椎橋寛によりWJに連載された漫画。初期タイトル案:スケバン猛将伝。
●目次
◆本物の概要
それぞれの事情により「外面と内面の食い違い」に悩む鍵斗とゆいの二人が徐々に心を通わせて行くも、
ゆいを巡る因縁により次々と彼女の命を狙うスケバンが襲来。
およそ人を逸脱した存在であるスケバンの暴威から惚れた人を救うべく、イケメンであることだけを武器に鍵斗が粉骨砕身(物理)する物語。
可憐かつ蠱惑的な美少女神緒ゆいの言動に翻弄されつつ、主人公鍵斗が己の”外面頼りな生き様へのコンプレックス”と向き合っていくドタバタ系学園ラブコメとして始まったはずの本作が、
人の衝動を糧とする寄生蟲に取りつかれた少女「スケバン」が繰り広げる無差別流血デスマッチ(たまに口から蟲を吐く)からゆいを救出すべく、鍵斗が身一つで飛び込んでいく怪奇バトル漫画へと急転換する様は
すわ某あててんのよの再来かと読者を慄かせ打ち切りへの致命傷となったが、
どうも本作はスケバンバトル移行後が本筋であり、序盤のラブコメパートはそれぞれ二面性が強い鍵斗とゆいのキャラを掘り下げる序章という構成だったらしく、
駆け足気味なのは否めないが物語自体は『外面と内面』をテーマとし破綻なく纏まっている。だったら序章に単行本2巻弱も費やすな?それは……その……
一度目にしたら忘れがたい強烈な肩書を引っ提げた濃ゆいスケバン達、
その”攻略”方法が主に「蟲に増幅された衝動を突っつくことで、スケバンの心身に肉薄し髪飾りで蟲を拘束するためのスキを作る=イケメン行為によるタラシ込みバトル」になるというラブコメとバトルが渾然一体とした超展開、
徐々にまごうことなきイケメンへと成長していく鍵斗の劇的な告白シーンなど独特な魅力も多く、
椎橋先生の美麗な画力も相まって打ち切り漫画ではあるものの一見の価値あり。
◆用語
- ハラノムシ
主に年若い女性に寄生し、その衝動を糧とする蟲。
取り憑かれた者は人並外れた肉体を持つ超人と化し、蟲が衝動を増幅することで異能の技を振るうことも可能となる。
かつて蟲の力で統一を為した邪馬台国以来、日本の歩みに陰から影響し続けてきた存在であり、
今なおすべての蟲は邪馬台国跡地に君臨する”裏番”の支配下にある。
明確に知性を持ち危機的状況では宿主からの一時離脱&潜伏を躊躇わないため、完全な無力化には弱点である霊験あらたかな物品。
本作ではもっぱら緊箍児に由来するゆいの髪飾りを用いた捕獲が不可欠。
- スケバン
本作で本物のスケバン・蟲憑き・ご当地スケバンなどと呼称される、ハラノムシを宿した少女たち。
極めて致命的な異能をハラノムシを通じて行使する危険な存在であると同時に、
寄生蟲によって恣意的に増幅された衝動、そして一方的に共生関係を嘯く蟲の意思に振り回される被害者的側面も強い。
蟲が外されると異能こそ振るえなくなるが、超人的肉体はそのまま残る。
なお当人たちは実力の目安をアルファベットでランク付けして表現するが、具体的にどういう指標なのかは説明されなかった。
◆本物の登場人物
- 園宮鍵斗
本作主人公。筋金入りのネアカパリピ。
容姿・財力・才能の全てに恵まれた、誰もが羨む人生イージーモードの男という外面を全力で維持し続けている努力家。
例えるなら男版照橋さん。
容姿・特技・ファッション・思考・言動、果ては「ライフラバー」としてつるむメンバーに至るまで、「どうすれば皆が憧れるイケメンになれるか」という観点で磨き上げ続けている。
一方で磨き上げすぎたばかりにこのセルフイメージに自分が振り回されることも多く、「学園のカリスマが必死に努力してるなんてダサすぎる」という自己矛盾染みたコンプレックスを拗らせており、この結果自意識過剰に陥りやすい。
素の人格としては生き物好きだが生き物には嫌われやすい、やることなすことが極端なポンコツという面が強く、
ポンコツぶりを憂いた父に伝授された帝王学「まずは外面を磨き人望を集める」を幼少期から律儀に守り続けた結果現在の鍵斗が出来上がった。
努力の成果は伊達ではなく、素直に振る舞えば一挙一動にイケメンぶりが染みついている男。
最初は拗らせから迷走することが多かったものの、ゆいとのハチャメチャな日々を経て「体裁を取り繕うことなんかよりゆいの方がずっと大事」という想いが育つにつれ、心身共にますますイケメンになっていく。
なおプレイボーイを自任しているが、実際は1対1の真剣な付き合いに全く免疫がなく割とウブ。
- 白ゆい
メインヒロイン(白)。品行方正にして純真無垢な優等生。
鍵斗の努力家としての側面を知る数少ない人物であり、その在り様を素直に認めたことから鍵斗は大いに彼女に惹かれていくことに。
髪飾りを外すと自分が自分でなくなること自体は認識しているが、その時現れる黒ゆいには「きちんと本心を出せる憧れの姿」とむしろ好意的。
蟲憑きとなった神緒ゆいが鎖の髪飾りによって封印を施された結果、衝動を表に出さない人格が発現したのが白ゆいの始まり。
元々内心をため込む性質なぶん、自身の発現の経緯を思い出して以降ともすると「自分がいるから”本当のゆい”や大切な人たちが辛い思いをする」と思いつめがち。
- 黒ゆい
メインヒロイン(黒)。自由奔放にして天真爛漫なスケバン。
(白)ゆいを守るべくいつでも全力な鍵斗のことを、大変からかい甲斐のある相手として振り回している。
とかく手が出るのが早い腕白娘だがこれでも鍵斗と出会う前よりマシな様子。
宿主と共生する意思を全く持たず、隙あらば衝動を糧に宿主を乗っ取ろうとする特殊な蟲に憑かれた神緒ゆいが、自己防衛として衝動をその場で余さず発散するようになった結果が黒ゆいの正体。
宿す蟲の宿命により中2にして各地のスケバンと戦い全国統一を果たした伝説のスケバン”蟲狩りの神緒ゆい”であり、今なお活動可能なすべてのスケバンに狙われる身。
白ゆいを護れるのは結局スケバンたる自分だけと自負しており、鍵斗を力不足と遠ざけようとすることも。
……なのだがリベンジマッチに極端に相性が悪く*1、本編での対スケバン勝率0%(除く回想シーン)。星取りまで黒くしてどうする。
ここまで白と黒とを分けて書いてきたが、行動への現れ方が違うだけで「周囲の人が傷つくことを嫌がり、一方で自分自身に関しては割と無防備隙だらけ。そして思い立ったら曲がらない」という気質はあまり変わらない。
或いはそれこそが神緒ゆいという少女の根本的パーソナリティというべきか。
- 恵比寿野奈央(エビちゃん)
ゆいの親友。家伝の髪結い術を駆使しつつ敬愛するゆいのメンタル管理に勤しむ。
鍵斗と共にゆいをサポートしていく中で、スケバンとの死闘に巻き込まれていくことに。
成り行きで戦友状態となった鍵斗とは距離こそ近いが、ポンコツな側面を目撃しすぎた故か割と雑な扱い。
鍵斗は鍵斗でエビちゃんの変態の域に踏み込んだゆいLOVEやネジの外れた行動に引き気味ではあるが。
- 淡魂炎火
和歌山県 日本人形スケバン。
どこか陰のある楚々とした転校生、その正体はかつて黒ゆいに敗北するも再び蟲の寄生を受けたスケバン。
内には「美しい物に対する破壊願望」を抱えており、その衝動が反映された呪い人形の異能により、相手が人形に恐怖するたび逃れられない傷を与えていく。
相手を本拠地である人形境内*2に引きずり込む・自らを呪い人形に変化させるなどの大技も持ち、
変化中の幽鬼の如き形相とまさしく異界である境内の風景は『神緒ゆいは髪を結い』の本性を否応なく読者に理解させた。
白ゆいを孤立させて精神的に追い込み重傷を負わせ、鍵斗の救援後も人形化からの相討ちを目論むが、
「傷だらけの呪い人形」を「キレーな女」に引き戻す鍵斗の高速髪結い術(と殺し文句)により蟲の寄生が維持できなくなり、陥落。
鍵斗に惚れ込み、以後は鍵斗の対スケバン戦を、陰に日向に甲斐甲斐しく支えていく。
- 橘城アヤ子
静岡県 死のヴァイオリンスケバン。
天使のヴァイオリニストとして知られる天才演奏家。裏の顔はハラノムシ根絶の使命を抱えるエリートスケバン。
ハラノムシを憑かせた死奏琴を通じ、聴いた者の命を奪い去る”死の旋律”を奏でる。
かつて黒ゆいと戦った死のヴァイオリンスケバンは姉のユリ子であり、厳密には2代目。
いずれ蟲に乗っ取られ修羅と化す危険のあるゆい抹殺を誓い襲来。
姉を超える演奏技術による耳を塞いでも無駄な旋律と鍛え上げた脚技で黒ゆいを圧倒するも、
手駒づくりに使った手段が祟り「協奏により旋律が中和可能」という弱みが露見、死奏琴の破壊を許す。
無差別殺戮もやむなしと死のパイプオルガンスケバンと化して戦闘を続行するも、鍵斗決死の連弾&肉弾戦を通じ互いの本心を理解、遂に矛を収めた。
以後、最後の可能性として邪馬台国跡地の”裏番”討伐に賭け、普段はツンツンした態度ながら鍵斗達と共闘することに。
料理経験は皆無。
最終話ではそのせいで大事な指に怪我をしてしまい、鍵斗から口移しで治すための蟲を移された。
が、心の準備ができてないまま鍵斗にキスされたので立てなくなっていた(炎火曰く「堕ちたわね」)。
- 松蔵院カーラ
東海道新幹線 人造スケバン。
めっきり鍵斗が自分を相手してくれなくなったことへの鬱屈を利用され、黒幕によりハラノムシが寄生。
修学旅行を機に邪馬台国跡地捜索を目論む*3一行のもとへ、学帽・マフラー・咥え枝の蛮カラスタイルで現れる。
異能は別個に寄生を行い、親蟲が無事な限りそれぞれの宿主を回復・復活させられる子蟲の放出。
抱える衝動が大きすぎた故か蟲による人体強化が本人の限界を越えており、埒外のパワーと自壊していく体を併せ持つ哀しき戦士。
子蟲の寄生により強化したSP軍団とコスタリカ由来の毒蜂の群れを伴い奇襲を仕掛け、ゆいとエビちゃんに致死毒を投与。
密室と化した貸切新幹線で血清を餌に鍵斗を自分のもとへ誘うも、鍵斗が多くの女子の助けを得ながら迫ってきたことにより徐々に精神の均衡が崩壊。
「私を、私だけを見てほしい」想いを暴走させたカーラの生放送監禁劇は、彼女の想いを受け止め四肢を粉砕された鍵斗との口づけ……からのハラノムシ引きずり出しで幕を下ろす。
- 阿修羅寺あす香
奈良県 怪光線お釈迦スケバン。
黒ゆいも発見できなかったという幻のスケバン。邪馬台国跡地へと単身飛び込んだ白ゆいを追う一行の前に立ちはだかる。
四腕・空中浮遊・当たるすべてを無に還す後光など最早人間かどうか疑わしい。
一連の事件解決の瞬間突如発光して消えたとのこと。何なんだアンタ。
- 卑弥呼
邪馬台国跡地 日本最古の女王。本作のラスボス。
鏡の中にある世界、邪馬台国(跡地)に今なお君臨する女王。
見た目は10代の儚げな美貌の美少女だが、背後の鏡に映る本性は数十メートルはあるかというほどの巨大な蟲であり、性格は慈悲深く見えて実は冷酷非情。
邪馬台国が過去の遺物であることを認めておらず、妄執のまま(あるいは最早蟲そのものとなった本性のまま)自らの尖兵として蟲憑きを作り続ける蟲の母。
彼女の討伐こそが全ての蟲の終わりの時であり、ハラノムシとの訣別を目指す一行の最終目標となる。
戦闘シーンこそないが、スケバンとしては最強と言っても過言ではなく、鏡の世界を支配し、外界の様子を知るばかりでなく、そもそもハラノムシが宿っていないとこちらからは出入りはおろか一切干渉できない。
(実際に卑弥呼と直接会えたのはゆいとカーラの体内から口移しで出した蟲が胎内に宿った鍵斗のみ)
さらに卑弥呼が「消えて」と言えば相手が映る鏡ごと対象は粉々に破砕するため、たとえ中に干渉できたとしても事実上手も足も出せないという兇悪な能力者である。
これ以上鍵斗が傷つくことを厭い邪馬台国へと吶喊した白ゆい、というよりゆいに宿した特別なハラノムシ三尸九蟲の到来を歓迎するも、ゆいは尖兵として未完成であった。
決定的に彼女の精神を崩壊させるべく、救援に訪れた鍵斗を木端微塵に粉砕する。
完膚なきまでに砕け散った鍵斗の体とゆいの心あと精神攻撃の類だと思ってた読者の想定。
呆然自失のまま卑弥呼の声に呼び寄せられるゆいを、しかし食い止めようとする腕が、それをまだ見ている眼があった。
鍵斗を邪馬台国に導いた蟲はカーラの蟲……宿主が男だろうが、再起不能だろうが、否応なく復活させる子蟲を生み出す蟲。
状況に奇跡的に合致した蟲を体内に入れていた鍵斗は、五体を引き裂かれ、頭が半分に割れ、脳が零れて尚、死んでいなかった。
おい舌…早く戻ってこい!
ゆいに伝えなきゃ…
今こそ…ずっと思ってたこと… ゆいの悩みのこと…言ってやらなきゃ…
挽肉同然の姿で、鍵斗は目の前で苦しむゆいに声を掛けようと懸命にもがく。
辛うじて繋がった上半身だけの姿で、ゆいに対する想いを必死に叫ぶ。
そこにはもう取り繕い続けた外面は、外面を取り繕うことが全てだった過去の鍵斗の姿は、どこにもなかった。
その渾身の告白は、遂に消え失せようとしていたゆいの意思を繋ぎ止め……蟲に打ち勝った神緒ゆいと蟲の王卑弥呼は改めて対峙することになる。
打ち切り漫画特有の決着シーンスキップにより卑弥呼の結末は不明。
最終回時点で鍵斗の蟲の力は消えていないので恐らく依然生存中……まさか”討伐”じゃなくて”攻略”したのか……?
実はぬらりひょんの孫でも、ある人物が暗殺された際に彼女と天竺寺関係者と思しき二人の影が実行犯たちの背後に映り込んでいたり、次回作の岩元先輩の推薦状の日本陸軍が特殊能力者たちを軍事利用しようと考える切っ掛けとなった、年頃の娘にのみ起きる謎の凶暴化パンデミックの原因である蟲を送りこんだりと疑惑ではあるが椎橋博世界で起きた事件の黒幕と思われる邪悪ヒロイン。一方で羽衣狐様やマーダックが家族愛が動機なのに対して愛国心が行動原理という珍しいラスボスで邪馬台国のみならず現在の日本を皇国と呼び守護しようとするなど冷酷非情な言動とは裏腹に、その信念は他の悪役とは一線を画して善よりではある。
- 天竺寺のセガレ
ゆいに鎖の髪飾りによる封印を施した寺の跡継ぎ坊主。
スケバンから離れたハラノムシを滅ぼせる貴重なツテとして鍵斗ら一行に助言する一方、
1800年物の処女様こと卑弥呼を我が物にせんと彼女に取り入っており、裏で一行を追い詰める手を打っている。
恐らく本作の黒幕にあたる人物だが話の裏側であっさりやられた。
そこそこ登場した割に本名が一度も出てない。本編未登場の未確認スケバン達には名前あるのに
経緯は不明だが、花開院分家の立場を悪用して蟲の人体実験を行い、陰陽師の機密を卑弥呼にリークしてきた最側近なのだが、鏡のスカイプ会議で気色悪いモーションしてくるために当の卑弥呼からは忌み嫌われており、その都度「消えて」されて死にそうな目に遭うのだがそれでさらに興奮してモチベーションアップして行くある意味すんごいお方。
なお事件の時系列を考えると一族代々こんな暗躍をしてきたらしく
恐るべき処女専一家である。
- 法師様
陰陽師。
自身の在り様に悩む白ゆいへの助言者として登場。鍵斗に彼女を救いうる可能性を見出した。
天竺寺の施した封印は「ヤブのやり口」と切り捨てており、後に蟲サイドだった跡継ぎ坊主を人知れず撃退している。
その正体は花開院竜二、作者の前々作からのゲスト出演。
◆余談
第一話時点での顔造形が似ていたことから、本作のキーワード「スケバン」になぞらえて一部の読者から鍵斗が「番長」と呼ばれることがある。
事実上スケバン(男)になったので奇妙にマッチしていたり。
追記・修正は外面を粉々に砕いた上でお願いします。
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▷ コメント欄
- 打ち切り漫画の中では人気があるほうなイメージ -- 名無しさん (2021-12-23 17:50:17)
- 出てこなかったけど事前にかなりの数のスケバンがキャラとして考えられてたっぽいな -- 名無しさん (2021-12-23 19:31:50)
- 続いてほしかった -- 名無しさん (2021-12-23 20:54:45)
- 週刊ジャンプで最初の2巻分もぐずぐずしてたらそりゃ打ち切られる -- 名無しさん (2021-12-23 21:39:47)
- 塾に行くか!! 自分をアゲにな!! -- 名無しさん (2021-12-23 21:48:25)
- スケバン勝負のあたりからは楽しんで読んでた。スケバンたちの肩書きとか笑えたし、お話も意外と筋が通っていたしね -- 名無しさん (2021-12-24 00:25:59)
- スケバンバトルになってからの方が全然評判いいよな本作 -- 名無しさん (2021-12-24 10:28:11)
- 前半の少し残念なイケメンから成長し内面も文句無しのイケメンになる鍵斗さんの格好良さは純粋な評価点。でも前半もスペック自体は低くないよね。 -- 名無しさん (2021-12-24 10:46:55)
- >本編での対スケバン勝率0% そのせいで炎火・アヤ子が魅力的に見えてくるんだよな。「設定に雁字搦めにされたメインヒロインより、自由に動けるサブヒロインの方が生き生きしている」ラブコメあるあるだったけど、ゆいを好きになったファンにはキツい展開だったかもな -- 名無しさん (2021-12-24 12:11:54)
- ジャンプラに移籍連載してくれるもんだとばっかり思ってたわ… -- 名無しさん (2021-12-24 14:09:04)
- スケバン勝負になってからの方が面白い。でもその展開は単行本2巻分の時間で辛うじて掴んだファン層とかけ離れてるからアンケはまず来ない。ならラブコメ分を短くするべきだったんだがそうすると鍵斗のキャラを煮詰めきれない。果たしてどうなるのが正解な作品だったのか。 -- 名無しさん (2021-12-24 20:08:22)
- 打ち切り作品いじりのyoutuberに取り上げられた時は「いや、これはさすがに他よりもまっとうに人気あったろ?打ち切りだけど」と思った -- 名無しさん (2021-12-24 21:47:31)
- ↑大抵は「面白い(部分はあった)」って評価だったけどね。それに申し訳ないが、この作品が得ていたのは「まっとうな人気」ではなく「ネット上の局所的人気」だった。この2者は必ずしもイコールにならないんだよ -- 名無しさん (2021-12-25 11:22:22)
- ハジけたんじゃなくて既定路線だったのか・・・ -- 名無しさん (2021-12-25 11:33:07)
- ↑3 ニコニコのゆっくり打ち切り漫画紹介でこの漫画を取り上げるのを「(動画の方針からすると)本来はルール違反」なんて作者自ら言うくらいには、打ち切り漫画の中では名作と評価されてると思う -- 名無しさん (2021-12-25 11:47:07)
- 卑弥呼様がラスボスなのにSjを腹心に狙われてて草。天竺寺一族ってヤブ以外も邪馬台国の工作員してたんだろうな -- 名無しさん (2022-08-03 13:18:04)
- 岩尾先輩と並んで読むと、世界観やべーぞ…卑弥呼様も陸軍も妖怪や能力達を使い捨て兵器 -- 名無しさん (2022-08-04 13:38:43)
- 後半は鍵斗・エビ・ほのか・アヤ子が話を回す場面が目立ったあたり、ゆいはちょっと扱いの難しいキャラだったのかもしれない -- 名無しさん (2023-08-04 15:26:21)
- 鬼太郎に出てほしい裏番 -- 名無しさん (2024-06-04 11:02:07)
#comment
*2 モチーフは和歌山県に所在し、供養として2万体以上の人形が境内に鎮座することで知られる淡嶋神社と思われる
*3 修学旅行先は近畿エリア。本作では鍵斗の口から邪馬台国畿内説を有力説と紹介していたが、後述の展開上結果的には邪馬台国は近畿にはなかった。連載が順調なら九州説を追っていた可能性もあったのかも……?
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