レンと六番/Wrenn and Six(MtG)

ページ名:レンと六番_Wrenn and Six_MtG_

登録日:2021/11/08 Mon 22:55:00
更新日:2024/06/06 Thu 13:55:47NEW!
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magic the gathering mtg プレインズウォーカー 禁止カード ドライアド ぶっ壊れ 神話レア モダンホライゾン



「この世界の森は自らを主張することを厭わない。」





レンと六番/Wrenn and Six》とは、マジック:ザ・ギャザリングの特殊エキスパンション、モダンホライゾンで登場した神話レアのプレインズウォーカー・カードである。
イラスト中央の女性部分がドライアドのレン/Wrennで、後ろの部分がツリーフォークの六番/Sixとなっている。



性能


Wrenn and Six / レンと六番 ()()
プレインズウォーカー — レン(Wrenn)
[+1]:あなたの墓地から土地カード最大1枚を対象とし、それをあなたの手札に戻す。
[-1]:クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。レンと六番はそれに1点のダメージを与える。
[-7]:あなたは「あなたの墓地にありインスタントかソーサリーであるカードは回顧を持つ。」を持つ紋章を得る。
初期忠誠度:3


まずこのプレインズウォーカーの最大の特徴はそのコスト。プレインズウォーカーとしては極めて珍しい2コスト。無条件2コストのプレインズウォーカーは《悪鬼の血脈、ティボルト/Tibalt, the Fiend-Blooded》に次いで2体目。
詳細はティボルトの記事に譲るが、ティボルトは「2コストで毎ターン使える程度の、まともなメリットが得られない、というかデメリットにすらなってしまう能力」しか与えられなかったことで、最弱のプレインズウォーカーの座をほしいままにした。
そもそもプレインズウォーカーというメカニズムが強すぎるため、たった2コストで場に出すことには何らかの制約をかける必要があり、どうしても無理が生じてしまうのだ。


最初の+1能力だが、これは一見「コストとして使用した後の土地を手札に戻す」という平穏なカードのように思われる。
しかしMTGの土地は単なるマナの供給源ではなく、様々な能力を持った土地が存在する。たとえばフェッチランド。詳しい話は当該項目に譲るが、要は「生贄に捧げることでライブラリーから土地を直接戦場に出すカード」である。
使用したフェッチランドは墓地に落ちる。この能力と組み合わせると、フェッチランドは毎ターン回収して毎ターン出せるので土地に困ることはなくなる。
つまり土地事故がこの時点で解消されることが確定する上、ライブラリーの土地枚数を減らせるので手札の質の向上も狙える。
手札交換能力を持つ「サイクリングランド」、生贄に捧げてドローできる「キャノピーランド」を介することで単純にドローとしても使える他、《不毛の大地》《幽霊街》《廃墟の地》といったランデス能力を持つ土地を用いて相手のマナ基盤を徹底的に攻めることが可能。
そして対処されない限り毎ターン土地を確実に手札に加えられるため、相手が使用してきたランデスに対する耐性も付く。つまりレン六対策にレン六というのが割と有効。


そもそもこの能力、3コストアーティファクトである《世界のるつぼ/Crucible of Worlds》とほぼ同等の機能である。
2コストPWが+能力を使い続けるだけで3コスト相当なわけで、相当狂っているし、そもそも毎ターン手札が増える+能力は条件付き4コスト無条件5コストが相場であるわけで……


そして「手札が1枚増える能力」という運用もできるため、たとえば《ヴェールのリリアナ》《カラスの罪》のように自分の手札を捨てながら相手のリソースを枯らすカードとの相性が激烈に良い。
これが2マナのプレインズウォーカー、つまり「戦場に定着させて運用するカード」の、忠誠度+1、つまり「定着させる時間を長引かせる能力」である。
「テキストが短いカードは強い」という言葉があるが、それを地で行く能力と言えるだろう。



次に-1能力。
単体1点火力というシンプルな能力で、単発では弱い効果。しかし盤面に定着することを目論んで運用するプレインズウォーカーが持つと話は別。
たとえば対象に一切の制限がないため、システムクリーチャーを焼けるのが非常に優秀。
有名どころで行くと《極楽鳥/Birds of Paradise》など頻用されるマナ・クリーチャーが分かりやすい。序盤に出てくるシステムクリーチャーはえてして強力で、そしてタフネスが1の場合が多い。
しかもレンが使われた下環境では

  • 居るだけで非クリーチャー呪文を1コスト重くする《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》
  • ライフと引き換えに毎ターン手札を増やす《闇の腹心/Dark Confidant》

といったタフネス1の優秀システムクリーチャーが跋扈していたため、見た目よりはるかに強い。
他にも《若き紅蓮術士》《秘密を掘り下げる者》《ゴブリンの従僕》《遺産のドルイド》《呪い捕らえ》といったデッキのかなめとなるクリーチャーにも激烈に刺さるため、クリーチャーに依存するタイプのデッキは大変に苦境に立たされる。
しかもPWやプレイヤーにも撃てるため、いざという時はプレイヤーをちまちま削ったり、相手のプレインズウォーカー(特にレン)に撃ったりすることもできる。+1能力を使うほどの盤面ではない時の裏択としても優秀で、これでじわじわと削って勝ちを詰めてくる。
これが2マナのカードである。最終的にこの能力のせいでレガシー環境からタフネス1のクリーチャーを消失させた
「テキストが短いカードは強い」という言葉があるが、それを地で行く能力と言えるだろう。そんなもんを2つも持たせんなバカ


そして最後に奥義となる-7能力。
「回顧」という能力について説明すると、「追加コストとして土地カードを捨てることで、墓地の回顧を持つカードを唱えられる」というもの。
要するに手札の土地を呪文に変えてしまうというもので、かつてはレガシーでも用いられていた強力なキーワード能力である。1度しか再利用できないなんてどこにも書いていないので、手札に余った土地を呪文に変換していくというコンボにも用いられた。
これを墓地の非パーマネント呪文に与えてしまう。たとえば1マナの呪文である《稲妻/Lightning Bolt》を7回連打するだけで相手は死ぬ。
さらに似た能力のフラッシュバックと異なり「代替コストで唱えることもできる」ため、墓地の《意志の力》を手札2枚で構えたりとやりたい放題である。
そもそもこの能力を使えるということは今までレンの+1能力を最低4回使っていることを意味しており、当然手札には複数枚の土地が揃っているはずだし、そもそも奥義が遠いプレインズウォーカーが奥義を使うというのは相手が攻めあぐねているということでもあるので相性は抜群。
2枚目のレンが出せれば猶更。土地も伸びているはずなので、適当な呪文を雑に連打するだけでも勝負が決まる、十分にゲームを決めうる奥義。
ほとんどのプレインズウォーカーは奥義がインクの染みのように扱われやすいが、こちらは2マナのプレインズウォーカーかつ忠誠度が十分に高いので、長期戦になったときはごく普通に奥義を撃ててしまう。


そして最後に忠誠度。
2コストのプレインズウォーカーでありながらなんと3もあり、ティボルトより1多い。出て+1能力を使うだけで忠誠度4。返しの《稲妻/Lightning Bolt》さえ耐える。


早い話、硬い・強い・軽いと三拍子そろったとんでもないパワーカードであり、それまで2マナのプレインズウォーカーとして最強の座をほしいままにしていたティボルトを王座から突き落とした*1
このように一見地味に見える能力だができることが非常に多く、「赤緑って色はちょっとなぁ」という下馬評を覆してトーナメント環境ですさまじい存在感を発揮してしまった。
同時期に登場した《慈悲深きセラ》は空気だった*2のに、当時は背景ストーリーすらなかったポッと出のプレインズウォーカーの方がはるかに強いというなかなかのホライゾンっぷりを発揮してしまったのである。



環境において

元々はモダン用のセット「モダンホライゾン」で登場したこのカードだが、レガシーでアホみたいに暴れまわった話が有名。


レガシー

Wasteland / 不毛の大地
土地
(T):(◇)を加える。
(T),不毛の大地を生け贄に捧げる:基本でない土地1つを対象とし、それを破壊する。


「自分を犠牲に相手の基本でない土地を破壊する」という非常に強力な効果を持った土地。

+ 不毛の大地というカードについて-

オールドプレイヤーほど話せることが増えていくという歴史を持つカードである*3


現在のスタンプレイヤーにはピンと来ないかもしれないが、実は無造作に使ってもとんでもなく強い土地。
たとえばトーナメント志向の強いプレイヤーは土地を徹底的に絞るため土地事故を起こしやすいため、《不毛の大地》でうまく破壊してやると何もできずに負けてしまうということもある。
相手が白黒のデッキの時に黒マナが出る土地が1枚しかない、という時にそれを狙って破壊してやれば、相手の手札に黒のカードがすっかり腐る。
《ウギンの目》《リシャーダの港》《裏切り者の都》なんかを狙って破壊して相手の目論見を崩すということだってできる。そしてこれを「不要な時には1マナを生み出す土地」の枠として行えるのが本当に強い。
調整版の《幽霊街》《地盤の際》《廃墟の地》ですら強いのだから、調整される前のこのカードがどれくらいおかしいかは推して知るべし。
レガシーでウルザトロンがそこまで流行らないのは、モダンで禁止になった《雲上の座》が現役だからという理由に加えてトロンが3種類そろうことを《不毛の大地》で容易に阻止できるからというのも挙げられるほど。
そして特殊地形ならなんでも対象に取れる。もちろんフェッチランドやキャノピーランドなどを狙うのは難しいが、デュアルランドなんていい的である。
レガシーはフェッチランド+デュアルランドによって多色化が非常に容易な環境だが、多色化に歯止めをかけているのがこのカードというほどに強い。
単体で運用しても十分強いカードだが、これが《世界のるつぼ》などと組んでしまうともう地獄。一時期はこれを主眼に置いて土地をアドバンテージ源にしたデッキというのも存在した*4
レガシーで単色を使うプレイヤーは貧乏だとバカにされやすいのだが、逆に「不毛ハメされるのが大嫌いだから」という理由で単色デッキを使うプレイヤーも珍しくなかったほどである。


ちなみにアンコモンなのに一時期5000円を超える値段で取引されていた。
アンコモンなので当然扱いはぞんざいになりやすく、高値になるなんて誰も思っていなかったという隠れた鉱脈だった。*5

極めて質のいい1:1交換ができるとはいえ、土地のプレイ権を利用した上での1:1交換なのでアドバンテージ的には対等。
しかし《レンと六番》と並ぶと、+1で土地を回収できるためこの土地破壊を毎ターン撃てる。
もちろん自分の土地も伸びないが、相手は「手札にある土地の枚数」、つまり「置ける土地の枚数」が限られているのに対し、レンをコントロールしているプレイヤーは何度でも不毛の大地を回収することができる。
マナ基盤を基本でない土地に頼っているデッキの場合、このコンボを使っているだけで勝てたりする。一応もう一度言っておくが、2マナプレインズウォーカー+1能力である。


そしてランデスハメでなくともいろんな使い道があることは先述のとおりであり、さらに《世界のるつぼ》と違って他にも能力を持っている。
ミラーマッチではレン六をうまく置けないとそこでゲームセットなんてこともありうる。


  • ロック、手札補充、マナ基盤の安定を兼ね備えたプラス能力
  • システムクリーチャーを焼けて忠誠度消費が少ない小マイナス能力
  • 撃てば勝ちに直結する奥義
  • 2コストなのに高い初期忠誠度

と2コストのプレインズウォーカーが持っていてはいけない能力をてんこ盛りにしたレンと六番は環境に非常に強い圧を与えた。
特殊地形に依存したデッキを組むことができなくなり、タフネス1のクリーチャーの存在意義を否定したこのカードはトーナメントの風景をすっかり変えてしまい、MOのレガシープレイ人口にすら打撃を与えた。
なんと使用者からも「レン六はつまらないから禁止にした方がいい」と言われるほどだった。半年くらいで対処されたことといい、Φ時代を思い出しますねぇ


結局+1能力の不毛の大地との相性の良さ、-1能力でタフネス1クリーチャーを環境から駆逐した点が問題視され2019年11月22日付でレガシーにて禁止指定となった。
MTG史上初の「モダンでは禁止にならずレガシーでのみ禁止になったカード」である。


モダン

《不毛の大地》が使えないモダンでは今でも現役。
上述したように不毛ハメがなかったとしても相当なパワーカードであることは間違いなく、「モダンでも禁止しろ」という声も一時期声高に叫ばれていた
そもそも環境に存在するタフネス1のクリーチャーに対する圧力は看過できるものではなく、レン六の(正しくはモダホラ勢の)登場以降は「好きだったモダンがなくなってしまった」としてモダンから離れるプレイヤーが増えたほどの稀代のパワーカードなのである。
レガシーで禁止されたという悪印象も手伝って嫌うプレイヤーも少なからずいるほどのパワーカードであることは忘れてはいけない。
とはいえモダンでは採用できるデッキの少なさや、レガシーほどの暴れっぷりは見せていないこともあり禁止は免れている。


強さについて

《世界のるつぼ》をアドバンテージにするデッキがあったと先述したように、このゲームは墓地の土地を再利用するテクが本当に強く、さらに複雑な運用ができる土地というのも数多く存在する。
代表的な例がフェッチランドであり、フェッチランドの運用をどれくらい理解しているかが環境の理解度を示すバロメーターになるほど*6
そのため無造作につけられている+1能力がMTGの深淵ともいえるほどに複雑であり、この能力についてどれほど語れるか、使いこなせるかどうかでプレイヤーの腕が分かってしまうという副次機能までついている。
たとえばモダンでは一時期、ジャンドコントロールで《ヴェールのリリアナ》と組んだハンデスパッケージが有名だった。
「双方のプラス能力で、レンで回収した土地をリリアナで捨てることで相手の手札だけを枯らしていく」というものだ。
一見とても強そうに見えるのだが、これですら完全に時代遅れ。ジャンドというデッキの複雑さと恐ろしさがよく分かる逸話のひとつである。


つまり単体で十分すぎるほど強いオーコやジェイスに比べると、このカードは他のカードとのシナジーや環境に存在するカードとの相性という点に非常に大きく依存するため、強さの説明がどうしても不十分になりやすい
禁止されていないから適正かというと若干怪しい部分のあるカードで、今後変な土地が登場したら禁止になる可能性も十分ありうる。もちろん禁止にならない可能性も十分ある。
読んでいて情報が足りない・間違っていると思ったプレイヤー諸兄はぜひ気軽に追記してほしい。


このゲームには2マナ以下のプレインズウォーカーは2枚しか存在せず、それ以外のカードは

という条件付きのカードばかり。
そして片方はMTG史上に燦然と輝くネタカードとなり、もう片方はMTGの環境に君臨して禁止カードになってしまった。つまりどっちもやりすぎてしまったのである。
プレイヤーの間には「2マナのプレインズウォーカーは二度と作るな」という論調があるなど、環境以外でもプレイヤーの精神に非常に大きな影響を与えたカードである。


Wrenn and Seven / レンと七番

Wrenn and Seven / レンと七番 (3)(緑)(緑)
プレインズウォーカー — レン(Wrenn)
[+1]:あなたのライブラリーの一番上にあるカード4枚を公開する。これにより公開されたすべての土地カードをあなたの手札に加え、残りをあなたの墓地に置く。
[0]:あなたの手札にある望む枚数の土地カードをタップ状態で戦場に出す。
[-3]:到達と「このクリーチャーのパワーとタフネスはそれぞれ、あなたがコントロールしている土地の数に等しい。」を持つ緑のツリーフォーク(Treefolk)・クリーチャー・トークン1体を生成する。
[-8]:あなたの墓地にあるすべてのパーマネント・カードをあなたの手札に戻す。あなたは「あなたの手札の上限は無くなる。」を持つ紋章を得る。
初期忠誠度:5


スタンダードセット「イニストラード:真夜中の狩り」に登場したレン。かつての反省からか、軽さと火力を放棄してやや重量級の緑単PWとなった。


まず+1能力から見て行こう。
六番同様の「土地を手札補充する能力」だが、墓地1枚から山札の上4枚の土地すべてに変化。
運によっては2枚以上回収できるが、六番のように同じ土地を使いまわすことはできなくなった。
毎ターン手札が増える+能力は5コストが適正なので、六番と違って壊れてはおらず、逆に弱すぎることもない必要十分な能力。


次に+0能力。
手札にある土地を全て場に出せる能力。
土地は自分のターンに1枚ずつしか出せないため、+能力で大量の土地を引き込んでもそのままでは使えない。
タップインであるためそのターン中の行動回数は増やせないが、次ターン以降は大量のマナから攻勢をかけられるほか、-3で出たトークンを一気に強化できる。


次に-3能力。
土地の数と等しいパワーとタフネスと到達を持つツリーフォーク・クリーチャー・トークンを生成する。
レンと七番の主力となる能力であり、最速で出てすぐ起動しても5/5到達と十分なサイズが出る。
スタンダードで同居する屈指のパワーカード《黄金架のドラゴン/Goldspan Dragon》に打ち勝てるサイズであるほか、土地を置くたび強化され、単独で戦況を変えうるサイズになる。
単独でも《野生の魂、アシャヤ/Ashaya, Soul of the Wild》に近い能力を持つ5コスト相応の強力なクリーチャーであり、5コストプレインズウォーカーの能力で即座に5コスト相応のクリーチャーが出るのは何かが間違っているような気もする。+1→-3と繋ぐことで2体目を出すことも容易。


そして奥義である-8能力。
墓地の全パーマネント回収という極めてシンプルなもの。ついでに手札の上限もなくなる。
プラス能力により土地でないカードが大量に墓地に落ちているはずであるため、この能力を使いさえすれば手札に困ることはなくなる。
とはいえ、同コスト帯のプレインズウォーカーの奥義は基本的に勝ちに直結するものであるため、「手札が増えるだけ」のこの能力の優先度はやや低め。


総評として、5コスト相応の能力を持ち、レンと六番のように壊れてはいないが優秀なプレインズウォーカー、と言った性能。緑系のデッキなら非常に強力な1枚となるだろう。



そう、緑なら強いのだ。
レンと七番が出た「イニストラード:真夜中の狩り」当時のスタンダードは緑単全盛期だったのである。
特に、生み出すトークンのサイズが大きく、到達を持っていることで【イゼットドラゴン】に強いことから、これらを苦手としていた【緑単アグロ】にガッツリと噛み合い、【緑単アグロ】を環境上位まで押し上げる一因となった。
更に特筆すべき点として、攻撃するたびにトークン1体のコピーを生成する《エシカの戦車/Esika's Chariot》というシナジー絶大なカードが存在していたことが挙げられる。
しかもエシカは4マナと絶妙のマナカーブで、大型処理能力の低いデッキだとエシカ→レン七の流れが通ってしまっただけでかなり詰む。
こういった事情から、アルケミーでは《エシカの戦車》にナーフがかかった。


Wrenn and Realmbreaker / レンと次元壊し

Wrenn and Realmbreaker / レンと次元壊し (1)(緑)(緑)
プレインズウォーカー — レン(Wrenn)
あなたがコントロールしているすべての土地は「(T):好きな色1色のマナ1点を加える。」を持つ。
[+1]:あなたがコントロールしている土地最大1つを対象とする。次のあなたのターンのまで、それは警戒と呪禁と速攻を持つ3/3のエレメンタル(Elemental)・クリーチャーになる。それは土地でもある。
[-2]:カード3枚を切削する。あなたはその切削されたカードの中からパーマネント・カード1枚をあなたの手札に加えてもよい。
[-7]:あなたは「あなたはあなたの墓地から土地をプレイしたりパーマネント呪文を唱えたりしてもよい。」を持つ紋章を得る。
初期忠誠度:4

スタンダードセット「機械兵団の進軍」に登場したレン。対・ファイレクシアの切札。前回より軽めになった。


まず常在型能力は、すべての土地の5色化。次元壊しの大本である《世界樹/The World Tree》を意識した能力。
色事故を減らせるのは便利ではあるが、当人がダブルシンボル=緑が濃いデッキを必要とするのがやや噛み合いが悪い。
下環境では多色デッキの天敵である《血染めの月/Blood Moon》の対策になる。


そして+1能力は土地のクリーチャー化。警戒と速攻を持つため、出した直後の土地を、マナを減らさずに殴りに行かせられる。呪禁によって、除去によりランデスされづらいのも魅力。
この手の能力としては珍しくアンタップがないため、マナ加速には使えない。また、出たターンにブロッカーとして使うことも困難。


次に-2能力は3枚切削してその3枚の中からパーマネントを1枚回収する能力。だいたい《巧みな軍略/Strategic Planning》。ドローとしては優秀だが、「落とした3枚」からしか選べないため墓地回収にはならず、非パーマネントを多く入れていると不発もありうる。


奥義の‐7能力は「墓地のパーマネントを使える」能力の紋章。
奥義発動で墓地に落ちたこれ自身も唱えられるため再度の展開が容易なほか、普通に使い終わったカードの再利用だけでも強力。
下環境では《水蓮の花びら/Lotus Petal》や《Black Lotus》でもあれば無限マナ。


弱くはないが、現段階ではあまり使われていないプレインズウォーカー。とくに七番時代と違いスタンダードで緑が弱い時代なのが痛い。


キャラクター設定

レン/Wrenn

レン/Wrennは白い髪と青白い肌を持つドライアドのプレインズウォーカー。女性。出身次元は明かされていない。
かつて大火に見舞われたことがあり、その炎は彼女の心臓として燃え続けている。レンと六番が赤緑だったのは緑の自然魔法と赤の炎魔法を操ることに由来している。


PWでありながらレン単独ではプレインズウォークできず、樹木をツリーフォークに変えて融合することでプレインズウォークが可能になるという特殊体質を持つ。
融合する樹木は何でもいいわけではなく、曰く「歌が調和する」樹木でなければならず、そして炎の心臓を持つレンの炎に耐えられる個体でなくてはならない。
さらにレンと一体化するということは常に炎に焦がし続けられるということでもあり、いかに力のあるツリーフォークと一体化したとしても、いずれは別れて新たな旅の仲間を見つけなくてはならない。
そのため樹木が寿命を迎える前に新たな相棒を見繕わないとプレインズウォークできなくなって詰む可能性が高いという不安定さを抱えている。
イニストラードのケッシグの森の木が高品質であると他のプレインズウォーカーから聞いたことで、五番以降はケッシグで相棒を選定するようになった。


レンは相棒のツリーフォークに固有の名前を付けておらず番号で呼ぶ。日本語では便宜上「番」とつけられているが、英語だと数詞のみ(Six、Seven)で呼ぶためなおのこと冷たい印象を与える。
しかし決して軽んじているわけではなく、むしろ強い愛着を持っており、別れの際には彼らの望む場所に植えなおしている。
レンという名前も本人が「レンと呼ばれている」と語ることから命名するという価値観自体を持たないとも考察されている。
……メタいことを言うと、たとえば「ジョナサン」とか「ジョルノ」なんて名前をいちいち付けているとストーリー設定を管理するグループはもちろん、開発陣もプレイヤーもどのカードなのか、ストーリーのどの時点の相棒なのかということが分かりづらくなるので超熱心なヴォーソス以外は喜びづらい。
そんなに頻繁に登場するキャラというわけでもないため、あえて数詞を使うことでゲーム的・ストーリー的な分かりやすさを維持しつつ独特なキャラ付けを行うことにも成功しているというわけだ。


ちなみにプレインズウォーカーであるためMTGアリーナではボイスが実装されている。残念ながらレンのみだが、興味のある人はアリーナで召喚してみよう。


イニストラード:真夜中の狩り

特にストーリーのない特殊セットのモダンホライゾンが初出の為、ストーリーでの初登場はモダホラから2年以上経った『イニストラード:真夜中の狩り』でのサイドストーリーになった。
ストーリーでは六番の終の棲家として、そして七番となる樹木を探すためにケッシグを訪れたレンはイニストラードに訪問していたテフェリーと遭遇する。
イニストラードの怪物の襲撃や時間魔術の暴発などの危機を協力して乗り越え、時間魔術の余波で急成長した若木を七番としてレンは本筋の狼男との戦いに関わることなくイニストラードから旅立っていった。


この短編は初めてレンの人となりが明かされたものであり、プレインズウォーカー覚醒のきっかけとなる大火災の際に炎を取り込むことで難を逃れ、その炎が今も心臓として燃え続けていること、樹木と一体化しなければプレインズウォークできないのだが心臓の炎に耐えられるような木じゃないと一体化できないこと、
樹木を番号で呼んでいるのは別に愛着がないというわけでもなく、愛着を持たないようにしているというわけでもないという独特な価値観を持っていたということ、ドライアドなので言い回しや感覚が独特すぎることなど様々な設定が明かされた。
樹木を番号で呼んでいること、イラストの冷徹に見える表情、環境をすさまじい勢いで荒らしまわっていたことなどから悪人のイメージが強かったこともあり、この思い入れの深い感情的な性格は意外性を持って受け入れられた。
同時にこの短編はメインとなる登場人物2人がそろって「2019年に初登場して以来上下を問わずに環境を荒らしまくったプレインズウォーカー」であり、てめぇら仲良く禁止にされろというネタでも盛り上がった。あとこの短編、実は黒のキャラがいない。



歴代相棒ツリーフォーク

  • 一番

レンの生まれと同じ次元の樹で大火事の後、レンが初めて融合した個体。
融合前後のどのタイミングでレンが覚醒したかは不明だが、融合後にプレインズウォーカーとしての能力を知るきっかけとなった様子。最期は生まれと別次元で別れた。


  • 二番・三番

詳細不明。


  • 四番

レンが「あの勇壮な大木」と語り、六番と別れるときは四番を思い出すなど、思い入れが深かったと思われる個体。
何処の次元で瀕死になり、おそらくレンだけをイニストラードにプレインズウォークさせた。その後は語られておらず、再会した様子もないためこのプレインズウォークが今生の別れとなったと思われる。


  • 五番

イニストラードの個体ということ以外は詳細不明。ケッシグの樹木はプレインズウォーカーからの評判がよく、以降の樹木はケッシグで採取されている。


  • 六番

ここからカード化された個体となる。
イニストラードの個体であり、二本の腕に二足歩行、さらに頭部のような部分などかなり人型に近い。
レンが中央にいることもあり、一種のパワードスーツのようにも見えるいでたち。性別は存在しないが男性的に振舞っていたとのこと。
既に相棒としては限界を迎えており、「イニストラード:真夜中の狩り」のストーリーでは六番の生まれ故郷イニストラードでレンが彼と別れるところから始まる。先の四番よりも別れるのが辛いと語っており、かなり思い入れがあった様子。


  • 七番

レンの「イニストラード:真夜中の狩り」期の相棒でイニストラードの個体。手足があることは六番と似ているが、頭部のような部分は無く、普通に木っぽい見た目となっている。
ボロ布のようなものを纏っており、腕にランタンを吊り下げているのが特徴的。
レンが見初めた時はまだ若木であり、彼女の炎には到底耐えられなかったのだが、色々あってテフェリーの時間魔術で偶然にも急成長したことで正式にレンの相棒となった。
レンと融合できるきっかけをくれたテフェリーには感謝している。
「機械兵団の進軍」において、ファイレクシアによって完成化させられたニッサによって死亡する。


  • 八番/次元壊し

レンの最後の相棒。「機械兵団の進軍」で融合。
次元壊しは新ファイレクシアがすべての次元を侵略するために作りあげた、白磁の金属でできた紛い物の世界樹。この樹自体がポータルであり、ファイレクシアの兵士たちを久遠の闇を超えて送り込むことができる。
元は「カルドハイム」次元に存在する、多数の小世界(領界)をつなぎとめる樹、世界樹の樹液から作られたもの。
その異常なサイズと感染性から一時は多元宇宙すべてを滅ぼしかけたが、『樹木である』という点からレンと融合、ファイレクシアの油による洗脳を乗り越え、「八番」として制御権を奪取することに成功する。



余談

あまり知られていない話だが、一時期レンと六番の奥義がちょっとした未解決問題を抱えていた。というのも回顧を他のカードに与える能力がレンと六番しか存在しないため。
回顧はフラッシュバックと異なりルール的に「代替コストを用いて唱えることができる」ので、たとえば《否定の力》なら「手札1枚を捨て、青のカードを追放して唱える」ことが可能になる。


Daze / 目くらまし (1)(青)
インスタント
あなたは、この呪文のマナ・コストを支払うのではなく、あなたがコントロールする島(Island)を1つ、オーナーの手札に戻すことを選んでもよい。
呪文1つを対象とし、それをそれのコントローラーが(1)を支払わないかぎり、打ち消す。


では、このカードの奥義で自分の墓地の《目くらまし》に「回顧」がついている状況で、手札が0枚の時に代替コストを用いて唱えることができるだろうか?
つまり「コストとして手札に戻した《島》を回顧コストにあてがえるだろうか?」という問題。レン六も《目くらまし》もレガシーで非常に頻繁に見かけたカードなので、未解決だと危ない問題だった。
答えは→「できる」。プレイヤーはコストの支払いを任意の順序で行うことができるというルールが存在し、「コストの支払いを開始する際は必要なリソースが必要である」というルールは存在しないため
ちなみにこの問題、3日で解決した。




「このwikiのオタクは記事を追記修正することを厭わない。」



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  • レンというキャラ自体にも言及して欲しさある。 -- 名無しさん (2021-11-09 10:59:38)
  • エシカの戦車を使ってると、全体除去の返しのレン7がすさまじく頼もしい。 -- 名無しさん (2021-11-09 14:02:57)
  • ストーリーに出てくる前は特に何の根拠もなく悪人だろうと思われてた人(笑) カードがある程度ヘイト集めてた上に顔怖いからね、しょうがないね -- 名無しさん (2021-11-09 17:29:03)
  • 番号変わったのて死んだから?それとも一緒にプレインズウォークできなかったの? -- 名無しさん (2021-11-09 18:46:58)
  • ↑MTG 読み物 もつれたもの で検索すると公式の短編が出るよ -- 名無しさん (2021-11-09 19:20:05)
  • 六番のほうはモダンだと環境最上位クラスではあるけど強さ自体は適正、レガシーだと環境との噛み合いが良すぎて出禁という珍しい立ち位置のカード。そして背景ストーリーではあんな威圧感のある見た目をしておいて実は義に厚い善玉PWという話題には事欠かないキャラクター -- 名無しさん (2021-11-09 19:25:27)
  • 2マナのPWはティボルトが適正だったことを証明した女 -- 名無しさん (2021-11-09 19:40:01)
  • ↑5悪人多いからなPW…今でこそ正義サイドに居るチャンドラも昔はだいぶやんちゃしておりました… -- 名無しさん (2021-11-09 23:09:05)
  • ルールス「ジャンドにヴェリアナ?3マナのデブなんか価値ねえよw」 -- 名無しさん (2022-04-15 00:03:09)
  • ↑7 『モダンホライゾン』での初登場時はマジで唐突すぎた上、あまりに唐突すぎて正体がサッパリわからないせいで公式キャラクター紹介が行われるまでカードイラストの異様な姿がエルドラージに変異させられたイニストラード次元の生物の如くに強い異形やグロテスクさのイメージを与えてしまったからね。しょうがないね -- 名無しさん (2022-10-21 01:31:40)
  • 多次元世界を救うMVPを成し遂げドングリを遺しながら逝ったか・・・男性赤緑は彼女の爪を煎じて飲むべきぐらい活躍したなぁクライマックスで -- 名無しさん (2023-05-05 17:24:01)

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*1 ティボルト1枚しかなかっただけ。
*2 かなり早い段階で公開されていたカードであり、テキストがあまり強くなかったので「なるほど、こういうカードを撒いて環境の多様性を増やす目論見なのか」と多くのプレイヤーに思わせていた。実際はまぁ……ホガークとか天測儀とか……
*3 当時は特殊地形がそれほど強くない上に《基本に帰れ》《寒け》《サファイアの大メダル》などをはじめえげつないカードが多く、このカードの上位互換である《露天鉱床》というカードも存在していたので影が薄かった。さらにこのカードの登場後にコンボゲーのウルザズ時代が来たこと、MTGの黄金期と呼ばれたマスクス~インベイジョン期にはすでにスタン落ちしていたこと、当時のエターナルはお貴族様の遊びとして敬遠されていたことなどもあって本当に影が薄かったのである。
*4 Maverick、New Horizonsなど
*5 「レガシー需要」によって法外な高値になってきた時期には《不毛の大地》の上にプロクシ用の落書きをされたカード(先述のように元は単なるアンコモンなのでそういう扱いもされやすかった)の写真を貼って「カードの価値が分かってないのか」という攻撃的な発言を誘うという荒らし行為まで行われていたほど。そもそも高騰した理由の「レガシー需要」もどうやらバイヤーによる値段操作だったという話もあるなど、暗い話にも事欠かない。有名なカードは変な逸話がついて回るという一例だろう。
*6 ほとんどのプレイヤーにとってカードの運用を理解するための情報源はwikiになるが、上級者になればなるほどwikiのように不特定多数のプレイヤーが見るサイトを編集する時間を自分の練習に使う。そのためwikiを編集するプレイヤーはどうしても一流から質が落ちてしまう。さらに一時期は大手ショップで一流プレイヤーによるデッキの解説コラムなどが連載されていたが、フェッチランドについては常識と言わんばかりの論調だったことや、最近ではその手のコラムも減ってきていることなども相まって実はここが中級者と上級者の非常に大きな壁となる。これ読んでる上級者の方、フェッチランド特集的なのをぜひお願いしますよ!

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