登録日:2021/10/10 Sun 23:30:12
更新日:2024/06/06 Thu 10:54:52NEW!
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私の、本当の名前は‥‥ニコ。ニコミナ・ボルシビッチ。
‥‥おねがい。ダレにも、言わないで‥‥
ニコミナ・ボルシビッチとは『大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-』に登場する人物である。
■概要
露西亜の名門「ノバビッチ・バレエ団」に所属するバレリーナの少女。一人称は「ニコ」。15歳。
妖精や天使に例えられる金髪美少女。作中の新聞による劇評は『舞台にフワリと舞い降りた、純白の天使』。
やや暗い青色のコートで分かりづらいが15歳にしてはスタイルも良い。
耳にはダイヤモンドをあしらった三日月の耳飾りを付けている。とあるシーンでは黒のロシア帽を被っていた。
元々は船乗りの娘で露西亜の蒸気船の専属ダンサーだったが、2年前にその才能に目をつけたバレエ団により半ば強制的にスカウトされた。
以降ノバビッチ・バレエ団の最高舞踏手として世界中で踊り続けていた。大日本帝国でも公演したことがあり、細長悟は彼女の大ファン。
しかし過酷で自由の無いバレエ団での生活に嫌気がさし、自分を守るためにバレエを全部捨て新しい人生を歩むことを決意。
上海公演中にバレエ団を脱走し、地元の漁師の協力を得て蒸気船《アラクレイ号》に乗船(密航)、大英帝国を経由し亜米利加への亡命の旅をしている。
脱走の際バレエ団の財産である2万ルーブル相当のダイヤモンドの宝冠を持ち出したため、団長は発狂寸前になり、
彼女と宝冠を見つけ出すために英国行きの船が出る全ての港に国際指名手配を要請し、露西亜の新聞でも彼女の失踪が報じられている。
亡命中で頼れる人間がほとんどいないせいで非常に怯えており、常に鬱屈とした表情をしている。
亡命がバレることを何よりも恐れており、周りの人間に詮索されると「ニコ。知らない。」と口を塞いだり強く拒絶したりする態度を取る。
船内の公用語である英語が不慣れなせいか片言口調で喋り、常に左手を握るように手を組んでいる。
「クロッポイ」という名のロシアンブルーの黒猫を飼っていて、亡命中の彼女にとっては唯一の”トモダチ”。クロッポイを抱きかかえて撮った写真は現在とはうって変わって満面の笑みを浮かべている。
口笛を吹いたり、お気に入りのオモチャを使うと夢中になって近寄ってくるらしい。
アラクレイ号の中にも連れ込んでいるが、本来その船内への動物の持ち込みは禁止されているのでクロッポイを旅行鞄の中に隠し入れていた。
■作中での活躍
※ネタバレ注意
第2話「友とまだらの紐の冒險」に登場。
アラクレイ号・壱等船室に乗船後、帽子や付け髭、黒眼鏡などで変装し「グリムズビー・ロイロット」という名の老紳士に変装していた。
船室内でふと新聞を見た時に、自分の顔写真付きで失踪が報じられていたことについ悲鳴を上げてしまい、徹底的に変装するために髪をハサミで切り落とそうとしていた。
その時、悲鳴を聞いて部屋に乗り込んだ成歩堂龍ノ介、御琴羽寿沙都と対面し、シャーロック・ホームズとの共同推理により、正体を見抜かれたことで変装を解いた。
船内で発生した殺人事件の現場はニコミナの隣の船室であり龍ノ介は手掛かりが無いか調査をしようとするが、彼女は事件のことは何も知らないと言い張ったり、部屋を調べようとすると「サワルナ!」と声を荒げたりするなど非協力的な態度を取る。
さらに”トモダチ”の正体や、昨夜港に停泊していない船に乗り込んだ方法などの質問にも口を閉ざしたり、誤魔化したりしていた。
その後部屋に駆け付けた見張りの船員を使って龍ノ介達を部屋から追い出した。
しばらくして、見張りがいない隙に彼女の船室に不法侵入した龍ノ介を発見し、彼を侵入者と殺人犯として細長悟刑事に連行するよう求めた。
だがこのピンチに現れたホームズが「この殺人事件はたった、今。完全に”解決”した。」と高らかに報告し――
※以下さらなるネタバレにつき注意。
第2話で発生した亜双義一真死亡事件の真犯人。
昨夜クロッポイに夜食をあげていた時、慣れない環境で気が立っていたクロッポイはニコミナの左手を引っかき、通気口を通って隣の亜双義の船室に逃げ込んでしまった。
隣の部屋の人間に気付かれぬうちにこっそり呼び戻そうと口笛を吹いたり、まだら模様のネコじゃらしを通気口からぶら下げ誘ったが戻ってこなかった。
仕方なく彼女はクロッポイを連れ戻すために亜双義の部屋を訪ね、彼の協力でクロッポイを見つけることに成功した。
だが、クロッポイを抱えて部屋を出ていこうとした時、亜双義は自分が「露西亜の踊り子・ニコミナ」であることを見抜いた。亡命の失敗だけは避けたかった彼女は、彼を味方につけるために自分の状況を説明した。
それを聞いた亜双義は「相談したい者がいます」と壁にある呼び鈴の方を見た。
…その瞬間ニコミナは亜双義が最初に「刑事と知り合い」というヒトコトを言っていたことを思い出し、”呼び鈴を鳴らして船長を通じて刑事を呼び、自分を逮捕させる”、と考えてしまった。
どうしても人を呼ぶことを止めたい…そう思ったその瞬間、
ニコミナが「待って!」と声を荒げる→クロッポイが亜双義の足元に飛び降りる→亜双義が声に振り向く→ニコミナが亜双義を思い切り突き飛ばす→よろけた上に子猫に足を取られバランスを崩す→ベッドの柱に首を打ち付け頸椎を骨折し死亡
という出来事が”同時”に発生した。
即ちニコミナは混乱状態且つ偶然に偶然が重なったとはいえ、自らの手で人を死なせていた。あまつさえ現場を偽装工作し傷害致死の罪を龍ノ介に擦り付けていた。
だが亜双義の拳の中から三日月の耳飾りが握られていたことで、彼が倒れる瞬間、目の前にいたニコミナから耳飾りをむしり取っていたことが発覚した。
こうして誰も彼女を守る人間はいなくなり、龍ノ介に昨夜亜双義にしたことを追及されると、
Нееееееееееееееееееееееееееееееееет!
と絶叫*1しながらぶっ倒れた。
その後上述の真相を自白したが、龍ノ介と寿沙都は「本当に亜双義は呼び鈴を鳴らしてニコミナを引き渡そうとしたのか」、と疑問視し彼が見ていた昨夜の光景を推理した。
それにより彼はクローゼットの方を見ていたと仮定し、本当はクローゼット内で眠っていた親友の龍ノ介に相談しようとしていたという可能性を導いた。
あくまでもこれは推理であって真実かどうかは分からないが、ニコミナがあともう少し視線を見定めていれば最悪の事態は避けられたかもしれなかった。(普通はクローゼットの中に人がいるなんて想像もつかないだろうが…)
いずれにせよ彼女が人の命を奪ったという”事実”は変わらず、それを龍ノ介に問責されると謝罪しながら泣き崩れ、《倫敦警視庁》に身柄を引き渡されることになった。彼女の亡命に関してはホームズが移民局に掛け合うとのこと。
なおニコミナは元はアラクレイ号の踊り子で、船長・船員は皆で協力して彼女の亡命を手助けしていた。
ある船員は偽装工作にも関わっており、彼女に助けを求められたその人物は現場で眠っていた”密航者”に罪を擦り付けようと計画した。
全てが明らかになると謝罪し、彼女と共に倫敦警視庁に出頭した。
こうしてニコミナの亡命は重い十字架を背負う結末になり物語から退場した。
彼女がこの先登場することは無いが、『大逆転裁判2』のある場面でその後が少し語られた。
この先『大逆転裁判2』のネタバレにつき注意
実は彼女が殺めてしまったとされた亜双義一真は生きていた。
亜双義は記憶を失うという後遺症が残る程瀕死になりながらも、気を失っている状態だった。ある理由により彼を英国留学させまいと動いていたホームズはそれを利用し、「亜双義は死亡した」と偽装していた。
ニコミナには身柄が引き渡される直前、真相を話し亡命の手伝いをしておいたという。
殺人こそしていなかったものの、上述の通り彼女の行いは決して《無実》ではないのでホームズは「いいクスリになったと思うよ」と語る。
この真実を知った龍ノ介は「ヒドいことを言ったような気がする」と心苦しく思いつつ、「(‥‥亜米利加に渡ることができたのかな‥‥)」と思いを馳せていた。
『大逆転1』の時点では亜双義は完全に死んだ扱いであり、主人公の親友、それも前話で主人公(=プレイヤー)を全力で助けてくれた彼を死なせたニコミナには非難の声もあった*2。
しかし『2』で亜双義は完全復活し、彼女も(お灸をすえられたうえで)救われることとなった。
龍ノ介の言うように亜米利加に渡り、幸せな人生を歩んでいてくれていることを願うばかりである。
■余談
- ニコミナが登場する「友とまだらの紐の冒險」はその名の通り、シャーロック・ホームズシリーズの短編「まだらの紐」のネタが多く含まれている。
ゲーム内にあった被害者が口笛を聞きまだらの紐を見たという下りや、ホームズが披露した「ヘビを操ったトリック」の推理は原作通りである。そして彼の推理に対する寿沙都のツッコミも、原作小説に寄せられる読者からのツッコミが元ネタである。
さらに原作の結末では…(この先小説のネタバレ注意)
彼女が変装した「グリムズビー・ロイロット」は原作で毒蛇を用いて殺人をした犯人であった。
つまり、メタ的に言えばロイロットを名乗っていたニコミナが犯人であることは、原作を知っていれば自明だったとも言える。
- 3DS版『大逆転裁判1』から約1年後に発売された『逆転裁判6』にもロシア系の金髪美少女が登場した。
あちらは日本人とロシア人のハーフで、こちらは純血のロシア人という違いがある。
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*2 置かれていた状況から同情的に見るプレイヤーもいる。
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