SCP-989-JP

ページ名:SCP-989-JP

登録日:2020/07/14 Tue 14:08:38
更新日:2024/05/20 Mon 11:18:55NEW!
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scp財団 scp foundation scp-jp 性教育 keter コウノトリ 子供の作り方 収容不能 scp-989-jp



SCP-989-JPとは、怪異創作コミュニティサイト「SCP Foundation」に登場するオブジェクトの一つである。
項目名は「ふコウノトリ大作戦」。%%トマト%%はお帰りください
オブジェクトクラスは「Keter」で、JPのコードが示す通り日本支部の管轄にある。


概要

keterクラスオブジェクトと言っても色々あるが、コイツはあまり害のない「単純に収容しようがないからketer」というパターン。
あとはちょっと困った異常性を持っているが、基本的には人類滅亡とか大量虐殺に直結するような危険性はなくketerとしては比較的安全なタイプ。


で、コイツが何かというと、意思を持ったコウノトリの群れである。
群れ全体で統一された意思を持っており、さらにそれぞれの個体は代謝活動を行っておらず、摂食や排泄の必要性はない。
不明な方法で日本語を話し、高度なコミュニケーション能力を持っていることが確かめられている。
ただ外見的には一般的なコウノトリ個体と大差はない。


SCP-989-JPは日本の排他的経済水域内に突如として出現する能力を持っており、自由に出現と消失を繰り返すことが可能。
なお、なぜか排他的経済水域外に連れ出そうとしても瞬時に消滅するため連れ出すことは不可能。
同時出現数はSCP-989-JPの任意で調整可能であり、SCP-989-JPの協力のもと、財団の敷地内で実験を行ったところ最大約300万羽の同時出現が確認された。数えた人も大変だっただろう
SCP-989-JPは「これが最大数」と言っているが、当然100%信頼することはできないので財団はこの発言の真偽を調査している。


……これでコイツがどうしてketerかがわかっただろう。日本国内どこにでも現れて、いつでも消えて、そしていくらでも増える、おまけに人間クラスの知能を持つコウノトリ。そりゃ収容不能でketerなのも納得である。


一応、財団には比較的友好的で、自発的に収容もされている。また後述の活動も、財団との協定により20XX年某日までは自発的に停止する、と約束している。
ただし、あくまで一個体だけであり完全に収容されているとはとても言えない状態である。この自発的な収容は、SCP-989-JPから財団への信頼の証(兼財団の監視)ぐらいに思った方がいいだろう。
そのため特別収容プロトコルも、内部からの脱走を防ぐよりは外部からの侵入を防ぐことに重点が置かれており、SCP-989-JPが財団に不信感を抱かないよう毎日カウンセリングを行うこと、と定められている。


コウノトリ軍団の目的

その気になれば人間に反逆して日本を征服することも可能そうなこのコウノトリ軍団だが、実は現在のところその異常性の全ては「ある目的」のためにしか使っていない。


そのある目的とは………





性教育






……うん、本当に性教育である。
このコウノトリたち、その辺の子供たちに「正しい子供の作り方」を教えて回っているのである。なんじゃそりゃ。


具体的に報告された事案では、

  • 複数の子供たちへのゲリラ的性教育(SCP-989-JP個体同士による模擬性交実演付き)
  • 「正しい子供の作り方」を書いたビラや「性的使用を目的とした娯楽品(要はエログッズである)」および「性的内容を主体とした書籍(要はエロ本である)」の頒布
  • テレビ局などのマスコミや政治家たちに自身の主張を認めさせ、公表させるための説得、交渉、および脅迫
  • 「コウノトリが子供を連れてくる」と記した書籍や娯楽作品の窃盗および遺棄

……などをやらかして回っているらしい。


要はコイツら、正しい性教育を広めるデモ活動(一部テロ活動)を行っているのである。


一応直接的な暴力手段に打って出ないだけの良識と理性はあるようだが、やっていることはどう見ても犯罪である。あと、コウノトリの模擬セックスを無理矢理見せられた子供たちは多分トラウマになっているだろう。


ちなみに、自分自身を量産する異常性はあるが、エロ本を作る異常性は持っていない(というかそんなの持っているSCPオブジェクトがいたら嫌だが)ので、これらの作業に使われる物品は基本全て盗み出したものである。
その被害額は財団が把握しているだけで数億円規模に上っているらしい。エロ本盗んでいるだけなのに被害額が何気にヤバい。
前述の特性もあって、窃盗を阻止することはできておらず、財団は「大規模な性的物品の消失事案が発生したら調査する」という消極的対処手段しか構築できていない。


ただし、本人たちに言わせると性教育を行っているのはあくまで「手段」であり、本来の目的は「コウノトリが子供を運んでくるという伝説を抹消すること」らしい。コウノトリの癖に。


財団は、SCP-989-JPに、なぜこのような行動を行っているのかのインタビューを行っている。



日付: 20██年██月██日
対象: SCP-989-JP
インタビュアー: 根本博士


根本博士: それではインタビューを始める。


SCP-989-JP: はい、よろしくお願いします。


根本博士: 何故君達は、「コウノトリの迷信」の消滅のための活動を行っているんだ?


SCP-989-JP: この地を呪いから解放するためです。そして、再び我々が住むことのできる土地に戻すためです。


根本博士: それは以前にも聞いた答えだな、今日はその辺を詳しく教えて欲しい。


SCP-989-JP: はい、かつて我々の種は、この地で暮らしていました。他の命あるものと同じようにこの地の一部として存在していました。しかし、あの忌々しい呪いがこの土地に来たことによって我々の生活は変わりました。


SCP-989-JP: ある朝、目覚めるたとき、我々は赤く薄暗い湿った場所にいました。あたり一面は肉のようなものに覆われていました。何か水のようなものが流れる音が絶え間なく続いていました。そして、我々の足からは良く実った稲穂のような赤と白の肉の塊が生えていました。稲穂には豆ほどの大きさ歪な肉の塊がいくつも生えており、細かく震えていました。稲穂は我々の足と完全に一体化しているように見えました。


SCP-989-JP: 稲穂を千切ろうとした時、我々の頭の中に何かの生き物の鳴き声が聞こえてきました。しばらくしてそれが人の幼子の鳴き声だということが分かりました。鳴き声は鳴りやみませんでした。我々はたいへん苦しみました。


SCP-989-JP: しばらくして、我々はとある方向へ向かえば、鳴き声が僅かに小さくなることに気が付きました。それはそれぞれが違う方向でした。最初は皆渋りましたが、すぐに鳴き声に耐えきれずそれぞれの方向に向かうことにしました。その方向に行けば行くほど、声は小さくなりました。道を間違えると声はすぐに大きくなります。景色は変わらず、昼も夜もありませんでした。


SCP-989-JP: しばらくすると、高く細長い桜色の筒のようなものが見つかりました。近くによると稲穂についていた実の一つが離れ、中に入っていきました。そして、また頭の中で別の人間の幼子の鳴き声が聞こえてきました。我々は次のところへ向かいました。


根本博士: それで、君たちはずっとそれを繰り返していたのか?


SCP-989-JP: はい、しかし仕事は少しずつ複雑になっていきました。


SCP-989-JP: しばらくは人間の幼子の鳴き声だけが聞こえていました。時間の感覚もなくなってきたころ、人間の声に交じりアブラセミの鳴き声が聞こえてきました。その次はヒヨドリの鳴き声、その次は水の跳ねる音、その次は名前も分からない何かの鳴き声、聞こえる声は次々増えていきました、稲穂の数も増えていきました。一つの声に従うと、そのほかの声が耐え切れないほどの叫びをあげ始めました。しかし我々はそれでも前に進むしかありませんでした。休まず止まらず眠らず変わらず、我々は実を運び続けています。


根本博士: では何故君はここに存在することができているんだ、君の話の通りだと、今も君は働いているはずだろ?それに我々は君たちが日本国内で絶滅した理由を人間による乱獲と都市開発や農薬による環境汚染によるものと考えている。君たちにその記憶はないのか?


SCP-989-JP: 我々には死んだ記憶はありません、動かなくなった我々はまだいません。我々がここにいる理由は分かります …ここが次の仕事場だからです。


根本博士: それはどういう意味だ?


SCP-989-JP: 我々には聞こえます、実を運べと要求する人や虫や水の鳴き声が。人の子の元へ運べと願う鳴き声が…。きっとそれが我々のここでやるべき仕事です。


SCP-989-JP: だけど同じように聞こえます、我々には聞こえます。我々の解放を望む我々の声が。実を運ぶことを要求する何者かの鳴き声よりずっと大きく、強烈に、絶えず我々の頭の中で鳴り続けます。それに答えるため、我々は動きます。


根本博士: 仕事の内容は君たちはもうわかっているのか?少なくとも君たちの話に出てきたような実はついていないようだが。


SCP-989-JP: いいえ、変わらず我々の足には実はついています。そして恐らく仕事の内容は変わらないのでしょう。実を運び、植え付ける。ただ今度は人の幼子、そしてまだ生きていない人の子に植えつけることとなるでしょう。まだ我々は一度も仕事はしていませんがそんな気がします。


根本博士: 分かった、なぜ君たちが「コウノトリの迷信」が自分たちの身に降りかかった異常の原因だと考えているのかは・・・まぁ、自分たちの体験と照らし合わせれば察しがつくのかもしれないな。


根本博士: それで、なぜ性教育なんだ。


SCP-989-JP: 始めはそうするべきだと考えました。多少の時間が必要であってもそうするべきだと考えました。我々の大半はそう考えました。確実にこの呪いを消し去るためにはあらゆる可能性も捨てるべきではないと考えました。場合によってはあなた方人間たちの助けが必要であるかもしれないと考えました。期待通りの結果で我々は嬉しく思います。


根本博士: そうか、正直こちらとしても君たちの冷静な判断のおかげでかなり助かっている。


SCP-989-JP: 今はまだ我々に聞こえる二つの鳴き声はあの世界で聞こえていた鳴き声ほど大きくはありません。しかし、それも少しづつ近く大きくなってきています。この呪いさえ消え去ればきっと我々は救われます。あなた方は我々の成しえない方法でこの呪いに立ち向かうことができるでしょう。


SCP-989-JP: あなた方が不幸な我々を救ってくれることを期待します。


根本博士: 我々が必ずその迷信を日本から消し去ることを約束しよう。ではこれで今日のインタビューを終了する。


SCP-989-JP: ありがとうございます、お疲れさまでした。



どうやら、彼らは「自分たちがここにいるのは『呪い』をかけられているから」「人々が正しい子供の作り方を知れば自分たちは解放される」と考えているらしい。


一体どうしてそんな妙な考え方に至ったのかはよくわかっていないが、とりあえず財団としては彼らが機嫌を損ねないよう、調子を合わせておくしかないだろう。



追記・修正は子供にコウノトリの伝説を教えながらお願いします。



&link_up(△)メニュー
項目変更&link_copy(text=項目コピー) &link_diff(text=項目変更点)&link_backup()&link_upload(text=アップロードページ)



[#include(name=テンプレ3)]
















































このオブジェクトの報告書には、SCP-989-JPの担当者しか閲覧できないファイルが添付されている(もちろん第四の壁の向こうにいる我々には丸見えである)。


それが隠されているのは、起きた事案があまりに衝撃的であるからと同時に、この事実をSCP-989-JPが知ってしまえば彼らとの信頼関係が即座に崩壊すると想定されており、事実を隠蔽するべく知っている人間を極力減らすためである。



言ってしまえば、今現在のSCP-989-JPの境遇は、全て財団の失策が原因なのだ。



真の概要

かつて財団はコウノトリが人間の乳児や胎児を襲い、怪物に変異させる怪奇現象を確認していた。財団はこれをSCP-████-JPと呼称して収容しようとしていた。
これが「コウノトリが子供を運んでくる」という伝説に由来する情報災害であることを知った財団は、
本来の「確保・収容・保護」の理念を自ら捨て日本国内の全てのコウノトリを絶滅させる作戦、「不幸ノ鳥作戦」を実施。このままでは出生率の低下による日本滅亡も遠くなかったので仕方のない判断だった。
1986年、最後のコウノトリを殺害し絶滅させることに成功した財団は、同時に収容の失敗も確認。SCP-████-JPはEXクラスに再分類され、SCP-████-JPにまつわる一連の情報は、「一般的な迷信」として世間に広まった。
またコウノトリの絶滅は、「乱獲及び工業化によるもの」とするカバーストーリーが広められた。


これで一連の事態は収束したかに見えたが、数年後、以前より発生率は下がったものの再び乳児や胎児が怪物化する事象が発生し始める。
以前よりも件数は低下していたので、情報統制そのものは可能だったが、SCP-████-JPが無力化していなかったことを財団は認識した。


そして、SCP-989-JPの「仕事」を財団の監視の下行わせたところ、「種」を植え付けられた新生児・胎児が怪物になることが確認され、SCP-989-JPとSCP-████-JPに密接な関係があることが示唆された。ところで財団の実験でサラッと何の罪もない子供及び母親が犠牲になっているのだけれど……「財団は冷酷だが残酷ではない」


結局何が起きたの?

壮大な財団のやらかし事案


「現実に存在するコウノトリが子供を怪物化させる情報災害」に対し、情報災害自体をなんとかするのではなく「コウノトリを絶滅させる」という安直な手を打った結果、コウノトリそのものが超常の存在と化して帰ってきてしまった


ただ、人間並みの知能を得た彼らにとってこの仕事は大変不本意なものであるようで、「できればこの仕事から解放されたい」と願っており、そのために彼らが選択した(比較的)穏当な手段が「人々からコウノトリの伝説を抹消する」であった。


現状、SCP-989-JPが財団に比較的協力的で、人間に対して暴力的な手段を取っていないのは、あくまで彼らが「人間を滅ぼさず、自分たちが『仕事』から解放されるならそれがベスト」「財団の協力もあればそれはスムーズにいく」と考えているからに過ぎない。
仮に彼らがSCP-████-JPにまつわる一連の事実を知った場合、財団にこの事象を終息させる能力はないと見限る可能性が極めて高い。
……否、単に財団が見限られるだけならまだマシだが、日本人そのものが見限られたら……
何せ、彼らにとって最も手っ取り早く「仕事」から解放される手段は、日本人を皆殺しにすることで、彼らの能力からして財団にそれを阻止することは不可能なのだから……。


財団は、SCP-989-JPもしくはSCP-████-JPの完全な収容を目指して道を模索している。SCP-989-JPの理性が限界を迎えるその前に。そしてその日はSCP-989-JPが約束した日よりも早く訪れるだろう、と予想されている。



余談

ところで、コウノトリのインタビューを見ると少し気になるキーワードがないだろうか?

  • 赤く、薄暗い肉のようなものに覆われた場所
  • 稲穂のような赤と白の肉の塊

そして、生まれてくる異形と化した赤子……


……なーんか、にくにくしい奴らの影がチラホラ見えているような……
元記事には「サーキック・カルト」のタグは付いていないのであくまで推測だが。



追記・修正は子供にコウノトリの伝説を教えないようお願いします。




CC BY-SA 3.0に基づく表示


SCP-989-JP - ふコウノトリ大作戦
by HURUMOTO65
http://scp-jp.wikidot.com/scp-989-jp


この項目の内容は『クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス』に従います。


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  • 「オブジェクトの収容のために一つの動物を絶滅させるのって酷すぎじゃね?」と思うかもしれないが、SCP-1012などでも収容のためにスヴァールバルクジラを絶滅させている。GOCとは違うのだよ、GOCとは! -- 名無しさん (2020-07-14 16:13:58)
  • 違った形のSCP-1000なのかー、というかプロトコルにタイムリミット書かれててゾワッてした -- 名無しさん (2020-07-14 17:10:01)
  • これインタビューしてる根本博士がSCP-████-JPの研究責任者でもあるんだよね…。インタビューだと冷静に見えるけど内心絶望してたんじゃないかな… -- 名無しさん (2020-07-14 19:07:19)
  • 人間以外の声も聞こえてる以上、日本人を絶滅させても恐らく仕事は終わらないだろうな...。元凶の████を何とかしないとコウノトリも人類も救われない -- 名無しさん (2020-07-14 20:20:42)
  • アホっぽいオブジェクトかと思ったらとんでもなかった…これ結局████は「コウノトリ」ではなく「コウノトリを媒介として生じる異常性」だったってことで良いのかな? -- 名無しさん (2020-07-14 23:06:58)
  • ヨッシーアイランドも絶滅してまう -- 名無しさん (2020-07-14 23:25:59)
  • はははーと思って読んでたら思ったよりかなり大変なオブジェクトだった・・・ところでKeterって最初のkは大文字じゃないですか? -- 名無しさん (2020-07-15 16:14:57)
  • 「子作り支援をするコウノトリ」というのが登場するギャグマンガが昔あったなあ -- 名無しさん (2021-05-14 19:35:00)
  • 余談見た時緋色の鳥かと思った。 -- 名無しさん (2024-04-12 14:30:41)

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