登録日:2016/12/13 Tue 22:55:13
更新日:2024/02/01 Thu 13:42:54NEW!
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jr北海道 駅 札沼線 秘境駅 北海道 鉄道 秘境駅←町公認 1日1往復 新十津川駅 廃駅
— 学 園 都 市 線 —
しんとつかわ
新十津川
< ● Shin-totsukawa |
しもとっぷ
Shimotoppu
〜町の中心駅にして町公認秘境駅〜
新十津川駅とは札沼線終着駅にして1日1往復というトンデモダイヤとなってしまった区間の最も奥に位置する駅である。
- 概要
札幌から伸びる半分閑散ローカル路線・学園都市線こと札沼線の現在の真の終着駅。
そして空知地方にある町・新十津川町の名を冠することからも分かるように、同町の中心駅である……はずなんだけど。
牛山氏の秘境駅ランキングには入っていないものの、一般的に考れば十分秘境駅と言っていいだろう。
何せこの時刻表である(2016年度)。
石狩当別方面 | 到着
9:40 石狩当別 | 9:28
燦然と輝く1日1往復の時刻表である。
朝に列車が1本だけやって来て、12分後にそれが来た道を戻る。それで駅の1日は終わりである。あまりに短すぎる営業時間である(無人駅なので一応終発後も駅内に立ち入ることはできるけどね)。
こんなひどい時刻表および終発時間は全国的に見てもこの駅のある区間くらい(それどころか歴史的にもほとんどない)であり、おかげさま(?)で「日本一終発の早い駅」とか言い出す有様である。
- 実際に行ってみる
※この項目では2016年度に北海道の中心駅・札幌駅から行くことを想定しています。
ただ、2017年度もあまり変わっていないので参考になるかと思います。
まず時刻表から新十津川駅へ行くための予定を立ててみよう。
新十津川行の列車は7:45に始発駅である石狩当別を発車する。これに乗り継ぐことができる列車に乗ればいい。
そう考えると札幌から石狩当別に向かう列車のうち札幌6:21発、6:39発、6:58発、このいずれかの列車に乗る必要がある。
次に切符について。
札沼線は普通列車しか走っていない路線である。そのため特急料金うんぬんは考えなくていい。つまり期間中であれば青春18きっぷも有効である。
それ以外なら、土日祝であれば札幌周辺の駅のみどりの窓口で売られている「一日散歩きっぷ」(札幌周辺の指定範囲での普通列車乗り放題切符)もおすすめである。
つまり、かなり早朝に行く必要がある。いやはや……。
さあ、実行に移そう。
早起きをし、札幌駅で切符を用意したらさっそく石狩当別行きの電車に乗ろう。とりあえず候補の中で最も遅い6:58発の列車に乗ることにしておく。
そうして列車に乗って40分の間のんびり揺られていくと終点の石狩当別駅に到着する。
ここで降りると、乗ってきた電車と比較してずいぶん古めかしい気動車が向かいのホームで待っているはずなのでそれに乗り換える。これが今日の相棒となる普通列車・新十津川行きだ。
さて、ここから札沼線はローカル線としての姿をあらわにする。
石狩当別の駅を出発した列車は川を渡る前とうって変わってのどかな風景を走り出す。北海道医療大学駅までは大学生とおぼしき乗客がいるかもしれない。
しかしその先はまさしくローカル線にふさわしい景色、そして車内となる。
並走する国道の自動車に追い越されながらも田んぼの中をのんびり走り、やがて8:17ごろに石狩月形駅に到着する。
ここでは20分ほど停車する。浦臼方面からやってくる列車と行き違うためだ。
基本的に札沼北線は単線区間であり、列車のすれ違いができる駅は石狩月形(と起点の石狩当別)しかない。一見謎の休憩時間だが、重要な待機時間なのだ。
ちなみにこの石狩月形駅は全国的にも珍しい、スタフ閉塞が行われる駅として一部で有名である。よく見ていれば駅員が運転士に「何か」を渡している光景が見られるだろう。
無事に石狩月形駅に二つの列車が集合したら、今までともにしてきた列車は再び新十津川へ向けて出発する。
その後なぜか山に登り出し、しかも林の中で停車する。これが秘境駅マニアの間で有名な豊ケ岡駅である。
山を下りてしばらくトコトコ走っていくと、(相対的に)立派な駅に到着する。これがこの1本をのぞく札沼線の終着駅となる浦臼駅である。
浦臼駅を出ると、いよいよ1日1本しか入れない線路の上を進むことになる。だからといって大して景色は変わらない。相も変わらず田んぼの中を突き進んでいく。
途中、何個か駅があるが説明は省略する。
そしてさんざん田んぼの中を走ってきた列車は(相対的に)大きな市街地に入っていく。いよいよ終着・新十津川である。
そして。
「おはようございまーす!」
雨天など悪天候でなければ、列車到着時にこんな声が聞こえてくるだろう。
小さな子供達+引率の大人達によるお出迎えだ。駅からすぐそこの病院(空知中央病院)の保育所の皆さんである。
イベントのある日など、場合によっては保育所職員以外の大人もいるかもしれない。なるほどこの駅は地域の交流拠点でもあるのだ。
新十津川駅に列車が停まるのはこの12分だけ。9:40には先程走っていた線路に引き返すのだ。そして丸一日戻ってこない。
君は一緒に引き返してもいいし、しばらく新十津川の町を散策してもいい。この列車に乗らずとも札幌へ帰ることはできる。
なぜなら新十津川駅は函館本線の特急停車駅・滝川駅と近いためだ。距離にして約3km、実際に歩けば少し遠回りになるものの1時間ぐらいで行くことができるだろう。
加えて、駅から少し歩いた町役場の近くからバスも出ている。そして滝川駅に着いたら札幌駅まで普通列車を乗り継ぎのんびり帰ればよいのだ。
それにせっかくここまで来たのだから色々見たり買ったりして下さい。浦臼や月形に用事があるならとにかく。
引き返す場合の車窓は来る時とほぼ同じなので省略。ここからは新十津川散策について記述する。
まずホームを見てみよう。もう一両編成の列車しかやってこないホームであるが、それにしては長い。昔はそれなりに賑わったのであろう。
またホームには駅名標と名所案内の看板が並んでいる。仮にも学園都市線の駅であるため看板の枠には「学園都市線」と書かれているが……まったく似合わない文字列である。
そして線路を見ると北側へと伸びていった先に車止めが置かれている。かつて更に石狩沼田へとつながっていた名残だ。
しかしレールの続くその先には建物がある。もうこの線路が先へ伸びていくことはなくなってしまったのだ。
ホームを眺めたら、駅舎の中へ入ってみよう。なかなか味のあるレトロな建物だ。かつてはもっと立派な建物だったのであろうが、今となってはこじんまりしたものになっている。
ホーム側の入り口には「歓ようこそ新十津川へ迎」と書かれた看板が掲げられている。その下をくぐり扉を開けて中へ入ろう。
壁にはJRからのお知らせ系ポスターはもちろん、札沼線や新十津川駅の歴史について書かれたポスター、駅周辺で行われたイベントの写真などが張られている。
また机には駅スタンプやら、観光パンフレット・地図やら、到達証明書が置かれている。
更に駅ノートもある。これはすぐそこの病院が管理しているようだ。お出迎えをしてくれた保育園があるあの病院である。
ちなみに病院のwebページには新十津川駅のコーナーが特設されており、そこに駅ノートの内容が転載されたりもするらしい。どんだけこの駅のことが好きなんだよ……。
外に出てみれば、意外にも大きな町並みが広がっている。都会というほどのものではないが、少なくとも1日1本しか列車が来ないような町の規模ではない。
また駅前広場にはなぜかポニーが飼われていたりする(冬期以外)。なんでや、と思えば観光のためらしい。
駅からちょっと歩けば町役場に着く。駅にあった到達証明書を役場に持っていくとスタンプを押してもらえる。どうせ滝川までバスで行くにしろ歩くにしろ役場の近くを通るのはずなのでついでにもらっておこう。*1
もし歩いて滝川まで行くのであれば物産館や有名どころのお店であるヴルストよしだや地酒の金滴酒造に寄っていってもいいだろう。というよりわざわざここで降りたのだから何か買っていってください。
ついでに札沼線が文字通り石狩沼田駅まで伸びていた頃の名残を探してみてもいいかもしれない。とはいえ、廃止されたのは40年以上も前のことだから残されているものはほとんどないのだが。
徒歩なりバスなりで、滝川駅にさえたどり着ければ帰り道がはっきり見えてくる。特にもう少し札幌に近づいて岩見沢にまで来れば特急ではない列車の本数も多くなる。
それとフリーきっぷの類いを使っていれば途中下車も自由である。後は自由な旅程で無理のない程度にお帰りください。
おつかれさまでした。
そしてまた新十津川にきてね!
- これからの展望
暗い。以上。
……これだけだと端的すぎるので補足説明を以下で行う。
この「札沼線の向こう側」というのはJR北海道最大の「金食い虫」にして「目の上のたんこぶ」路線である。
維持困難でぶん投げたい路線の一つだの、それどころか廃止&バス転換筆頭候補路線だの言われている。
この傾向は別に最近出てきた話ではなく、それどころか札沼線が生まれてから続く話である。
開通したはいいものの「今はいらないでしょ」と休止させられたり、「鉄道の役目は終わったから」と一部区間(新十津川〜石狩沼田)を廃止されたり……。
なにかにつけていらない子扱いされる札沼線カワイソス。かろうじて北海道医療大学以南は通学需要からJR北海道随一の優等生路線(ただしそれでも赤字)だからいいものの。
以後、残った路線(北海道医療大学以南をのぞく)もことあるごとに廃止の話があがっている。特に末端はかつて廃止された他の路線すら超える赤字路線だし、まあ無理もない話である。
北海道医療大学以南が近郊輸送路線として覚醒&電化されようが、浦臼〜新十津川間は1日3往復という時刻表スカスカ(ついでに車内もスカスカ)の閑散路線であり続け、とうとう2016年のダイヤ改正で1日1往復となってしまった。
だが当の新十津川町はそれを逆手にとって「日本一最終列車の早い町」と売り出し始めたのだから、なんとまあたくましいというか……。
そして今でも廃止の話はつきまとっている。というかここまできたらもはや廃止待ったなしと言わんばかりの状況であろう。加えて台風被害もあって経営もいよいよやばいし。
もちろん新十津川としては(あと浦臼も月形も)線路をひんむかれることに対しては断固抵抗の姿勢である。
こんな通勤・通学に到底使えないダイヤではあるものの、新十津川の皆さんは今では開き直って住民の足としての価値ではなく町の観光用入り口・観光客と住民との交流の場所・町の活性化の拠点としての価値をこの駅に見い出している。
……これが果たして新十津川町やJR北海道の金になるのか、そしてJR北海道が納得してくれるのかはさておき。
果たして新十津川駅や札沼北線は生き残れるのだろうか?
はたまたやっぱり廃止となってしまうのか?
新十津川の戦いはこれからだ!
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しかし残念!
2018年10月12日廃止決定。
北海道医療大学~新十津川間の札沼線非電化区間は全て廃止が決定してしまった。
沿線自治体もバスの方が都合がいいらしい。
ゴールデンウィークに合わせ2020年5月6日に最終運行、翌日7日に廃止が決定。
しかし、実際には新型コロナウィルスの影響を受けラストランイベントは中止。最終運行は4月17日に繰り上げられ、本来より19日早く新十津川駅その役目を終えた。(届出上の廃止日は変更されていない)
駅舎は解体撤去されてしまったが、跡地には記念公園が整備されるようだ。
新十津川駅のあの日を偲んで追記・修正お願いします。
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▷ コメント欄
- ここの子供たち、一般的な駅には列車が1日に2本以上来る事を知ったら驚くんじゃなかろうか… -- 名無しさん (2016-12-14 12:20:28)
- 上白滝はあくまで一駅だけだったけどそれが区間単位とかおかしなことやってる -- 名無しさん (2016-12-14 17:36:49)
- 一往復12分とか写真撮影に夢中で乗り過ごしたら帰れん、と思ったらなるほど -- 名無しさん (2016-12-15 12:16:03)
- あの保育所の園児達のお出迎えが一生忘れられない。街自体は滝川から近く、住むには良いところ……かな? -- 名無しさん (2022-12-01 06:34:02)
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