登録日:2026/02/14 Sat 17:01:12
更新日:2026/07/16 Thu 15:27:45NEW!
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ジェット ジェット機 乗り物 戦闘機 機械 空 航空機 飛行 飛行機
飛行機は、ジェットやプロペラなどといった動力より得られた推進力を基に、固定翼から発生する揚力で飛ぶことのできる乗り物を指す。
概要
世間一般では「空を飛ぶ乗り物全般」を飛行機と呼ぶこともあり、児童書ではわかりやすい表現としてよく使われがちだが、飛行船やヘリコプターは本来飛行機の定義から外れる。
このため飛行機を含め、空を飛ぶ乗り物のことは「航空機」と定義される。この意味合いでの"飛行機"のニュアンスに一番近いのはこれだろう。
そのうち、翼を持つ機体は『固定翼機』に分類される*1。動力を持たない固定翼機はグライダー(滑空機)である。
余談ながらヘリコプターは見たまんま『回転翼機』となっている。
V-22オスプレイのような離陸時にはヘリ、巡航時は固定翼機の特性に可変出来る機体は『パワード・リフト機』となり、飛行機・回転翼機とは区別される。分類上はF-35Bのような、エンジンの推力偏向を用いて垂直離着陸できる機体もパワード・リフト扱いである。
飛行機には主に民間向けの旅客機や貨物機、軍事向けの戦闘機や攻撃機、爆撃機、軍民両方で使用される練習機*2などが存在する。
飛行機には陸上から離着陸を行うものと、水上から離着水を行うものがあり、前者は「陸上機」、後者は「水上機」と呼ばれる。水上機の中でも、フロート(脚)ではなく胴体で離着水を行うものは「飛行艇」と呼ばれる。
ただし、軍用など、飛行機の中でも特に合理性が求められる機種には、陸上・水上両方を使用できるものもある。例としてゲーム『艦これ』でもおなじみのPBY飛行艇には一部のサブタイプに地上着陸用の車輪と着水用のフロートと両方がついているものが用意されていた。
原理
概要で示した通りだが、細かく説明する。
動力により得られた推進力によって飛行機が前進すると、主翼に空気が当たる。この時主翼は進行方向後方向に傾いており、飛行機の後ろに下向きに空気が流れるようになっている。
主翼上部は膨らんでおり、前側では上に浮かぶように空気が流れ、これによって揚力が発生し、飛行機の重量に対し揚力が勝ることで初めて離陸できる。
主に固定翼機の動力となるプロペラ及びジェット・ロケットエンジンは数に応じて『n発』と表される。
戦闘機や(一般語彙としての)セスナのような身軽さがセールスポイントである機種は単発(1発)、爆撃機や旅客機、貨物機のような大柄であることが求められる期待は2~4発が主流。
戦闘機でもジェット機が当たり前の世代では「お尻部分にポンと並べた双発(2発)」のものも多め。F-4やF-15なんかがこれである。*3
当然ながら加速や制動時の負荷に耐えうるよう、部材も選ぶ必要があり、過去には木造、現在はチタンやアルミ合金、炭素繊維プラスチックへと置き換わり、緻密に重量比を計算して製造される。
RPY角
飛行機は他の乗り物には見られない三次元的な動きを行うため独特な回転用語を用いる。
俗に「RPY角」と呼ばれ、それぞれロール・ピッチ・ヨーに分解される。
ゲーム等でも航空機や宇宙船を操縦する際に登場する概念なので軽く解説する。
- ロール
進行方向に対してねじりのような方向の回転。向かって正面に時計があるとして、時計回りが右ロール、反時計回りが左ロールとなる。ロール角はその角度を示す。
360度以上ロールすればアクロバット飛行で言う所のエールロン・ロールとなる。
関連用語としてバンク角がある。これは地平線に対して何度ロールしたかorしているかの角度。
前述の通り原理上飛行機は自身の上面に向かって上る仕組みになっているので、例えば右ロールすると揚力が右斜め上を向くため、機体は右側へと滑るように曲がり始める。
旅客機では乗客の快適性や安全のため、通常はあまり大きくロールすることはないが、離陸直後はこの限りではない。理由は後述。
- ピッチ
飛行機を横から見た時に上を向いているか下を向いているかの角度。
関連用語として迎え角がある。これは風向き(≒進行方向)に対してどれだけ上を向いているかの角度。
迎え角を取ると主翼の前面が上を向くので揚力を稼ぎやすい。故に一般には高度を上げたい時はピッチ角を上げ、更にエンジン出力も上げる。*4
高度を下げたい時はその逆……なのだが余りピッチ角を下げ過ぎると重力の影響で急降下してしまう。緊急時以外はピッチ角(機首)を少しだけ下げ、主にエンジン出力を絞ることで緩やかに高度を下げていくのが主流。
特に着陸の際はむしろピッチを上げて迎え角を取っていることが多い。これは着陸寸前のごく低速でも揚力を残すため。
- ヨー
飛行機を上から見た時に左右に振る角度。車のハンドル操作に近い。
ただ飛行機は前述の原理で説明した通り主翼の正面から風を受ける前提で設計されているため、無理にヨー角を取ってしまうとその前提が崩れ、失速や制御不能に陥る危険がある。
そこで左右方向に大きく進路変更したい場合は、「曲がりたい方向にロールし、ピッチ角を調整して旋回し、曲がり終わったらピッチ角とロール角を水平に戻す」と言う手順を踏むのが一般的。
ヨーは主に巡航中の微調整や離着陸時の横風調整で用いられる。
前述の旅客機も、風向き等の関係で目的地と違う方向に離陸しなければならなかった時は、高度を上げるタイミングで大きくバンク角を取って進路調整している。
離陸直後は常に加速度が座席や床に押し付けられる方向に働くため(窓の外を見なければ)バンク角を大きくとっても不快は感じにくいのだ。
歴史
航空機自体の発明は真偽が不明なものを含めても紀元前からあり、アルキタスの鳩(ロケットのようなもの)、諸葛亮孔明の天灯(気球)、レオナルド・ダ・ヴィンチのオーニソプター(羽ばたき式航空機)などといったものが考案・開発されていった。
1780年代に入るとオーニソプターや熱気球での有人飛行に成功する例が上がり、1799年にジョージ・ケイリーが固定翼の概念を考案した。
1840年代、ウィリアム・ヘンソンが飛行機の特許を取得し、試作した模型では滑空に成功している。
1882年にアレクサンドル・モジャイスキーが飛行機の浮揚に成功するも、すぐに墜落してしまった。このため、有人飛行機の初飛行としてはカウントされていない。
1903年12月、ライト兄弟によって開発されたライトフライヤー号によって、飛行機が初めて有人飛行に成功した。
1914~1918年の第一次世界大戦では、偵察目的の使用から始まったが、敵側からすれば陣地や戦力配置が丸見えになるのは戦略的にたまったものではなく、野放しにしておけないので、航空機同士の接近時のレンガや石の投擲、手持ち火器での銃撃による撃墜が開始。副次的にこうやって持ち込んだレンガや石などによる「爆撃」も発明された*5。
やがて飛行機自体に兵装を搭載した戦闘機や爆撃機が登場し、海上でそれらを運用する航空母艦も到来。
1927年、チャールズ・リンドバーグ操るスピリットオブセントルイス号により、大西洋無着陸横断飛行に成功する。
1930年代に入るとボーイング247やDC-3が登場し、旅客機の大型化が始まる。
1939~1945年の第二次世界大戦では飛行機の活躍はより重要なものとなり、同時に空母も一気に近代化し、戦略上の制空権が最重要項となる。
航空機に於いてはB-17ではタービンエンジンを、Me262ではジェットエンジンを搭載し、エンジンの近代化が進み始めた。
第二次世界大戦終戦後の1947年、ロケットエンジンを積んだX-1によって史上初の超音速飛行が行われた。
旅客機も1949年のコメット以降ジェット機の普及が進んだ半面、そのコメットにより連続して墜落事故を起こし、その調査の結果はじめて発覚するという最悪の形で「緻密な強度計算」の重要性が示された出来事も起きてしまったなど、進歩が速かったゆえの負の側面もこの時期には存在している。
1960年代に入ると技術の進歩により垂直離着陸機のハリアー、超音速旅客機のコンコルドなどが登場。
1981年には世界初のステルス戦闘機F-117が登場し、1984年に登場したボイジャーは1986年に無給油での世界一周飛行に成功している。
1990年代には無人機の軍用利用が進み、MQ-1(プレデター)やRQ-4(グローバルホーク)が登場した。
2026年現在、飛行機の性能こそ過去の劇的な向上の傾向こそ無いものの、新技術を導入した飛行機の進化は続いている。
分類
- 輸送機
物資や人間を輸送するための飛行機。狭義では「軍用輸送機」を指す場合が多いが、民間向けの貨物機もれっきとした輸送機である。
その特性上から輸送力にステータスを振ってあり、
「大量の荷物を積める」「長い航続距離を持つ」
が主に重視される。
ただし輸送量と航続距離を大きくする=デカい輸送機になり離着陸できる場所が減るし燃費も悪化するので、そこは事情に合わせて調整される。
武装?んなもん積んだらその分積載量が減りますので要りません。……鉛玉を敵に向かって輸送するというネジが外れたような何かは存在する*6。
また、あまりに大きすぎて爆撃機には搭載できず大量の貨物を積める輸送機でないと運用できないというイロモノ爆弾も存在する*7。
…と言ってはみたが、実は民間機でも特注の輸送機を使用する品物が存在する。
たとえばNASAのスペースシャトルは専用の輸送機に背中にくくり付けることで搭載・輸送していたケースがあったし、エアバスA300-600ST「ベルーガ」などの荷室が広く・積み下ろし用のランプも大きい機種はこの利点を使って分解や解体をしては絶対にならないもの…例えば非常にサイズが大きい美術品の輸送に駆り出されることがある(本来はエアバスの工場間で製品・部品のやり取りを行うためにこうなった)。
- 旅客機
輸送機の一種。我々一般人にとって最も身近な飛行機の一つ。
性能や設備は旅客輸送に特化しており、
「機内の快適性・安全性」「運用時の経済性」
を重視している。経済性はもちろん燃費も重要な要素であり、少しでも燃費を向上させるため大抵は機体強度はギリギリのものしか与えられていない。
もっとも、例えば空中衝突事故を起こして装甲で耐えられる飛行機なんてものは現実的に製造困難なので、「運用システムをガチガチにして事故がそもそも起きないようにする」「多少機体が損壊しても飛べるだけの冗長性を持たせる」のが基本となる。
1960年代までは料金も高く乗ること自体ハードルの高い存在だったが、ボーイング747の誕生で一挙に大衆化が進み、すっかり身近な存在となった。
ちなみに輸送機の一種とは書いたが、大体の輸送機は人員輸送も出来る。
ただしあちらは取り敢えず運べるくらいの能力しかなく、快適な空の旅とは程遠い。
例外的に旅客機を転用した「政府専用機(国の首長or王族の公務専用機)」は日本以外含めて軍の管轄となっている国が多く、これらは性質上、特殊な輸送機と扱っているケースがほとんど。
用途として本来想定されている者も当然であるし、機内での取材を行うマスコミスタッフなども搭乗するため、こちらは快適性を重視した構造…というか民間旅客機の流用で快適性を維持するケースが大半となっている。
- ビジネス機
旅客機の一種。企業や金持ち個人が自家用機や社用機として扱うことを前提とした飛行機。
人員輸送という性格上、旅客機を小型化したような機体になることが多い。
というよりCRJのように「ビジネス機の胴体を伸ばして旅客機にでっち上げたもの」や、逆に「比較的小型の旅客機を内装の変更でビジネス機と言い張って個人向けに販売する」という例もあり、結構境目は曖昧である。
単に定期航空路のダイヤに縛られずに運用できる以外にも、機内を空飛ぶ会議室として使用することもできる。殿下がトレーナーをアイルランドにお持ち帰りするためにも使われることがある
あと約1名、自分が運転したいからという理由で買った奴もいる。
- 戦闘機
男の子ホイホイの戦う飛行機。
「空戦して勝つ」のが至上命題であり、
「高い機動性」「先進の空対空戦闘システム」、20世紀末以降は「対レーダーステルス」「状況認識力」「多用途性能」
が重視される。
特に戦闘機のマルチロール化、すなわち対地攻撃や偵察任務も同一機種で行えるようにする傾向は戦闘機という概念に大きな影響を与えており、現代において純粋な戦闘機は存在しないという声もある。
もっとも黎明期より対空用途の機銃を対地攻撃に用いる例は多々あり、また専門機ほどではないにしろ爆弾を搭載できる戦闘機というのもまた普遍的に存在していたので、むしろ純粋な戦闘機こそが稀と言えるかもしれない。*8
なお、一時期は最高速度も重視されていたが、実戦では最高速度そのものはほとんど出さないし出せないことが分かったので、現在はF-104やMiG-25のような「高速で突っ込んで、スピード差を活かして迎撃」の世代に比べるとそこまで重視されていない*9。
武装時の巡航速度や加速性能はいまだ重要事項だが。
ちなみに高速性や運動性能が何よりも求められる関係上、基本的に戦闘機は全て「飛行機」である*10。
- 爆撃機/攻撃機
敵地や都市部に侵攻して爆弾による攻撃を行う飛行機。比較的大型のものは爆撃機、小型のものは攻撃機と呼ばれる。
ただ後者に関しては前述した通り、戦闘機のマルチロール化にともなって曖昧な機種もある。
昔は魚雷を装備した「雷撃機」もあったが、もともと爆弾も使える機種が多かったことに加え*11、対艦ミサイルの発展とともにカテゴリー自体が消滅した。つまり敵艦を沈めることを主眼に置いた・地上の基地から発進する・日本の軍用機であるF-2はある意味では「現代の陸攻」。
敵軍の砲火に晒されながら敵地に大量の爆弾や、時に重量のある核兵器を輸送するため、
「対地攻撃能力」、場合によっては「防御力」「敵に見つかり辛くする能力(ステルス性など)」
が求められる。
長距離を飛翔する弾道ミサイル・巡航ミサイル技術の発達により、わざわざ敵に撃たれるのを覚悟で有人の爆撃機を飛ばす必要があるのか?と言われることもあるが、
「移動目標を精密攻撃できる」
「戦域付近に滞空させておけば、不意に敵を発見しても即応出来る」
「発射したらもうどうしようもないミサイルと違い、無線で『戻ってこい』と中断させられる」
「必要な所に直ぐに攻撃を届けられるので小回りが効く」
などの明確な利点もある。
もっとも爆撃機はともかく攻撃機は無人化が著しいカテゴリであり、現代で開発中の純粋な攻撃機は一部の特殊作戦機を除くとほとんど無人機ではある。
- 偵察機
戦場の情報収集を行う飛行機。
極論、人を1人飛行機に載せられれば成立出来るので、飛行機の最初の仕事は偵察だった。
情報を収集して持ち帰るということから、
「情報収集能力」
が重視される。
ただし偵察任務自体が多種多様な関係上、偵察機に求められる特性はシチュエーションによって大きく異なる。
例えば
「敵地の深部に到達して重要拠点を偵察したい」→「超高速で飛行し敵の追撃を振り切るか、強力なステルス性で見つからないようにする」
「特定の範囲を長時間偵察したい」→「高速性を捨てて滞空性能に振り切った機体にする」
など。
その特徴から割ととんでもない形状の機体が生まれることも。
航空自衛隊では下記の哨戒機に近い用途…「災害時に事態を確認する第一陣として飛ぶ飛行機*12」と兼任していた時期も長い。
創作物だと『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』の最初にちょっと見えたのはおそらくこれ。
21世紀に入ると純粋な偵察機は偵察衛星とドローンにパイを喰われたのと、上のような高高度、高速でもミサイルが届くようになってしまったので発展は止まっている。
ただ災害派遣のような非紛争地での需要はあるので、ビジネスジェット程度の大きさの機体にカメラ等の偵察機材を艤装した物が現役稼働している。
- (対潜)哨戒機
主に潜水艦の捜索・撃退を目的とする飛行機。
どこに潜んでいるかわからない潜水艦を見つけ出し撃破するため、
「潜水中の潜水艦を探り出す捜索能力(磁気探知機や音響測距装置)」「広範な洋上を捜索する能力」「魚雷や爆雷といった対潜攻撃能力」
が重視される。
この意味では現在ほぼ唯一の「雷撃機の生き残り」と言える。さすがにWWⅡ中の雷撃機や魚雷と比べるとはるかにお利口さんな性能を備えている(潜水艦を探す装備そのものの発展・高性能化、魚雷が自分で誘導する*13ように進化、など)が。
過去には基本的に対潜特化だったのだが、現代では洋上目標の捜索、攻撃を行える多用途性を獲得し、単に哨戒機と呼ばれることも多くなった。
創作物でも、例えばネット小説サイト発のメディアミックス『日本国召喚』では海上自衛隊の哨戒機が「状況を把握するためにとにかく領海外を飛行する」任務として登場しており、潜水艦探しとその始末だけが任務ではなくなっていることがよくわかる。まぁお察しのように、自衛隊に責任を持つ部署たる内閣ですら、にわかには信じがたい内容…日本列島が国民やらなんやらごと異世界転移した、ってのを裏付けるものを見て帰ってきちゃうわけなんだが。*14
- 軽飛行機
実は公式に定義されているジャンルではないが一応。
飛行機(固定翼機)の中でも特に簡素な構造のもの。
「とりあえず飛べればいい」程度の仕様である。地上の乗り物で言えばスクーターみたいなポジション。
しかし、簡素ということは言い方を変えれば機体価格が安い(とはいっても超高級車並の値段、日本円で言えば数千万単位はするが…)、操縦性が良好ということでもあり、練習機やマスコミの取材用、農業機、場合によっては自家用機などと幅広い用途がある。
ちなみに日本で軽飛行機というと「セスナ機」「セスナ」とも呼ばれるが、これはセスナ社が製造している「セスナ172 スカイホーク」という機種が圧倒的なシェアを占めた結果の話である。要は東南アジアでバイクが何でもかんでも「ホンダ」と言われるのと近い
- エアロバディックス機
こちらも公式という訳ではないが専用機を用いるので一応。
空のフィギュアスケートやアクロバットとも言える「エアロバティックス」という競技に使われる機体。
運動性能のため固定足・尾輪式にするなどの軽量化と面積を大きくしたり舵角を取れるようになっている動翼、10G超という負荷に耐えるための機体強度、速度を即座に回復させるためのハイパワーエンジン等、このジャンル専用の機体が用意されている。あとこれだけ盛った性能だが「大型トラックに積んで帰れるように主翼は分解可能」というパターンもある。
近年ではほぼ使われない複葉機もこのジャンルではまだまだ現役。
以前行われていた「レッドブル・エアレース」で使われていたのもここに属する「エッジ540」という機種。
なおエンジン付きの方が有名だが、グライダーのエアロバティックス機も存在する。こちらはエネルギーの回復が高度を落とすこと以外にできないため、綿密なプランニングと操縦技術が求められる。
航空計器類
- 対気速度計(ピトー管)
機首や主翼などに突き出ている金属の管。軍用機についているものはよく機関砲の砲身と勘違いされるが、実際はただの筒である。
正面からぶつかってくる空気の圧力(動圧)と、周囲の気圧(静圧)の差を測ることで、機体の対気速度*15を割り出す装置。
非常に古典的でアナログな装置ながら実用飛行機で対気速度を直接測れる装置はこれ以外なく、今でも現役で使われている。
そしてこれが攻撃や鳥との衝突で壊れたり、氷やレバノン料理異物が詰まって正しい対気速度がわからなくなると、どんな機体だろうと墜落する原因となりえる。
超重要なただの筒である。
余談ながら、ある程度工学に詳しい人の間では「ふつうは飛行機につけるパーツ」と考えられているのでここで紹介しているが、高速度試験のためのテスト用試作品のような精密な速度測定や気流の観測がいる場合には、離陸しない乗り物に搭載されることも。
- 気圧高度計
高度が高くなると気圧が下がるという性質を利用して高度を測る装置。
ピトー管と同じく空気の圧力を利用する計器の一種で、古典的ながら現在でも飛行機の基本装備となっている。
安定して海抜高度を測れるメリットがある一方、地面からの高度は直接測定できないというデメリットも。
- 電波高度計
レーダーを利用して高度を測る装置。
こちらは海抜ではなく地面から何m離れているかが測れるため、地面に接近して飛行する際に重要となる。
民間機であれば離着陸時くらいしか使い時がない(ただし一番危険な瞬間なので重要なことには変わりない)が、軍用機にとってはレーダー探知を避けるために海のすぐ上や山間部を低空で高速飛行しなければならない場面もあり、より使用頻度の高い装備となっている。
最近のTVゲームだとこれに連動した「地面・地形に近寄りすぎです」の警報音声をキチンと再現していることも。…ほとんどは戦闘機でドッグファイトするゲームなので大抵は無視されちゃうけど。
- 姿勢指示器
水平線を基準として、機体がどのように傾いているかを表示する装置。
機首が上を向いているのか下を向いているのか、左右にどれだけ傾いているのかをパイロットへ伝える。
明るく視界が良好なら外の景色から姿勢を把握しやすいため重要性は下がるが、夜の闇や雲、霧などで視界不良の状態になると途端に重要性が増す*16。
こういった状態では緩やかに降下などの墜落につながる危険な状況が判別できないほか、パイロットが平衡感覚を失う「空間識失調(バーティゴ)」に陥ることがあり、そういった場合はこの姿勢指示器に従って飛行することになる。
というか、「姿勢指示器を見なければ、自分がバーティゴに陥っていることすら分からない」というパターンも珍しくない。なにせ当人からすれば正常に飛んでいる感覚なのだから。
地上や海上にいる人間は常に「概ね足の方向へ重力を感じる」環境で生きているため、天地の区別がつく。
しかし空では例え横向き状態や天地逆さまの背面飛行状態でも、そこからピッチアップすれば「頭の上から足に向けて重力がかかっている」状態を再現できてしまい、横方向や地面の側が「上」だと錯覚してしまう状況が生まれるのだ。
視界が良好であれば目の情報を統合して誤りだと気付ける余地が生まれるのだが、そうでないと勘違いしたままとなってしまう。飛行機の場合、そのまま墜落の原因となることも珍しくない。
ちなみに空を飛べる鳥類は種にもよるが三半規管と視力が発達しており、優れた空間認識能力によりバーティゴは起き辛いとされている。しかしそんな鳥類でも、極端に視界が悪い状況では飛ばないものなのだ。
そこで陸生成物たる人間が感覚を信じて空に挑めば何が起こるかは想像がつくだろう。
見方を変えれば視界不良での安全飛行を可能にする姿勢指示器は、ある意味では人間が鳥を超えることができる道具とも言える。
バーティゴは人間の身体の構造そのものが原因なので根本的に改善できず、訓練では「異常を早期に察知すること」と、「決して自分の感覚を信じず、計器に従うこと」を徹底的に叩き込まれる。
「自分の直感を信じろ!」は典型的な名台詞だが、飛行機の操縦において直感は時に死神の囁きとなるのである。
- 迎え角(AoA)センサー
機首の側面などに付いている、小さな風見鶏のような突起。
機体や翼に対して、空気がどの角度から流れ込んでいるか(迎え角)を測る装置である。
飛行機は迎え角を大きくしすぎると、空気が翼に沿って流れなくなり、揚力を失う「失速」に陥ってしまう。
- 慣性航法装置(INS)と全地球測位システム(GNSS)
自分の現在位置を把握するためのシステム。
INSは内蔵された高精度なジャイロスコープと加速度計を使って、「出発地点からどっちの方角へどれだけ動いたか」を自力で計算し続ける装置。
システムが機体の中で自己完結しているので信頼性が高い代わりに、長時間使うと少しずつ誤差が蓄積するという弱点がある。
GNSSは人工衛星が発信する電波信号を利用して位置を計算するシステム。いわゆるGPSはこれに含まれる。
衛星を基準に位置を測定できる関係上、精度のいい位置情報を、誤差を補正しながら取得し続けられるメリットがあるが、外部からの電波信号に依存するため、信頼性はINSに劣る*17。
と、お互いに一長一短なので、これらを組み合わせて弱点を補いあう運用がされている。
飛行機の安全性
飛行機は一般的に陸上交通や船舶よりも死亡事故発生率が非常に低く、安全な乗り物と言われており、統計上は雷に打たれて命を落とす確率と同じ程度といわれている。
もちろん徹底的な製造時の管理体制や乗務員への教育制度、空港での厳しい保安検査、高頻度のメンテナンス、多重のフェールセーフ設計などの積み重ねで安全性が保たれているのは言うまでも無い。
商業機の事故率は50万フライトに1回あるかないか、死亡事故は1000万フライトに1回あるかないか程度と非常に低い。
しかし、飛行機が事故を起こした場合の被害は陸上交通の自動車や鉄道のそれの比ではないので、過信してはいけない。
と言うのも前述の揚力を生み出す原理上飛行機は止まることができないため。
自動車や電車は異常を検出したらとにかくブレーキで減速する事で事故を防いだり、防げずとも被害を軽減することができるが、
飛行機は常に前進していないと揚力を生み出せないので空中でエンジンを完全に止めたり静止したりする事はできない*18。
それ以前に何百トンもの重量の物体が空を飛んでいる時点で人を何百人と死に至らしめる位置エネルギーを保持し続けているので、どんな異常が起きようと最終的にはそれを制御して逃がさないと安全を確保できないのである*19。
事故によっては飛行機の安全性に疑念を持った著名人が搭乗を拒否して助かったなんて例もある。
今日の安全性が確保されるまでには数多の試行錯誤や、起きてしまった事故から得られた教訓が活かされている。
航空業界の安全規則ほど「マニュアルは血で書かれている」と言う格言を体現しているものはないだろう。
ちなみに統計上は事故発生時に尾翼側に搭乗していた旅客の生存率は前方座席より約40%高いとされているが、逆に尾翼側が全員死んで一番前にいた人たちは助かったということもあるので過信は禁物。
主な関連作品
飛行機はフィクション・ノンフィクション問わず題材になりやすい。
男性が主人公であれば戦争映画やパイロット、女性が主人公であれば客室乗務員…と古くから題材にしやすく男女とも憧れの存在だったこと大きいだろう。
ノンフィクションでは前述したように事故の歴史や先端技術の紹介だけでも様々なアプローチが出来る。
ここではアニヲタwikiに記事のある作品を一部抜粋する。
- エリア88:親友に裏切られ、中東の外人航空機部隊に入隊させられた男、風間真を描いた漫画。
- 紅の豚:豚になった飛行艇ノリ、ポルコ・ロッソの活躍を描いたスタジオジブリのアニメ映画。
- トップガン:トム・クルーズ主演の米国海軍戦闘機兵器学校を描いた映画。続編『マーベリック』も公開されている。
- マクロスシリーズ:可変戦闘機の登場するロボットアニメ。
- メーデー!:航空機事故の真実と真相:実際に発生した航空機事故について取り上げるドキュメンタリー番組。地上波番組で本番組を編集したものが放送されることがあるため、タイトルを知らずとも映像を見たことがある方も多くいるだろう。前述の「マニュアルは血で書かれている」と言う航空史を分かり易く映像化している番組でもある。
関連項目
追記・修正は離着陸時にはおやめいただきますようお願いいたします。電波法違反の可能性があります。
&link_up(△)&aname(メニュー,option=nolink){メニュー}
項目変更&link_copy(text=項目コピー )&link_diff(text=項目変更点 )&link_backup()&link_upload(text= アップロードページ)
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▷ コメント欄
- イナイレ人気投票で1位になったやつ -- 名無しさん (2026-02-14 20:28:41)
- 永遠の男のロマン どんな機体であれ素晴らしい -- 名無しさん (2026-02-14 20:56:01)
- 例の彼が最後に作った項目がこれなのか… -- 名無しさん (2026-02-15 06:33:28)
- 飛行機じゃないわ! 羽の付いたカヌーよ!! -- 名無しさん (2026-02-15 12:19:32)
- ↑だったら漕げばいいだろ!!! -- 名無しさん (2026-02-15 12:21:31)
- 飛行機テーマのジブリといえば風立ちぬ……と思ったらアニヲタに記事なかったのか -- 名無しさん (2026-02-17 17:20:29)
- 日本でも記録上ではライト兄弟より早く飛行機を設計した二宮忠八という人がいる。飛行機の原案を軍に提出するも予算がもらえなかったので自分で稼いでコツコツ作っていたのだが、ライト兄弟に先を越されたことで落胆し自分で壊してしまったらしい。後に設計図は技術的には正しかったことが証明されており軍から表彰と謝罪を受けたんだとか。 -- 名無しさん (2026-02-18 13:00:15)
#comment()
*2 軍が圧倒的に有名だが、初歩の初歩にあたる段階や、クルー同士の連携など心理面では再現の難しい科目などでは民間でも「練習のみの機種」を使うことはある。後者はシミュレーターではどうしても「失敗してもいい」がマイナスになりうることからで、逆にメカ的な故障対処などはこの「失敗したところで、お叱りとフィードバックを受ければそれで済む」が利点になるためシミュの比重が非常に多い(もちろん?昔はこれも実機を飛ばして訓練していた)。
*3 実は構造上ほとんどが単発になりそうなヘリコプターも、高級な汎用ヘリや大型輸送ヘリ、攻撃ヘリなんかはわりと多くの機種が並べたタイプの双発だったりする。
*4 細かいことを言うとエンジン出力に応じて自然とピッチ角も変わるがここではややこしくなるので割愛
*5 この意味では「最初から想定した装備で図面が引かれている」機種としては偵察機→爆撃機→戦闘機の順に発明されている。戦闘機が生まれたのは遅めなのだ
*6 AC-130等「ガンシップ」と呼ばれる航空機。普通の攻撃機には持てない大量の弾薬を搭載するために輸送機がベースになっている。
*7 GBU-43/B MOAB。かのグランドスラムより”は”小さく、現有されている通常爆弾としてはトップクラスの爆発力を誇る。そのうえ、実戦投入済み
*8 MiG-21の一部の型など「設計上空対空ミサイルしか搭載出来ない」機種は原理的に対地攻撃が出来ないので純粋な戦闘機と言えるだろうが、現在ではF-16やJAS39グリペン、MiG-29などマルチロール機の安価化もあって主力機としている空軍はごくごく少数になってきている。
*9 当時は制空権を奪い合うドッグファイトではなく、核爆弾を抱えた敵爆撃機を阻止することが各国空軍の最重要任務であったことには注意。つまり大柄な爆撃機が相手と見なされていたため旋回性は最低限でも問題なかったし、「敵爆撃機に(投弾されるよりも先に)追いつく」のが実質的にメインミッションなので速度は速ければ速いほどよかった
*10 本当にごく一部だけパワード・リフト機もあるが、「戦略面で垂直離陸ができること自体に強みがある」という背景があったパワード・リフト機の黎明期に少数が艦載機として採用されたケースを除けば、固定翼で強力なジェットエンジンを装備した飛行機に近いタイプである。前者も実質的には「割となんでもできるので、一応ミサイルを使って空戦もできる」程度であり、同時期の最初から戦闘機のつもりで設計された固定翼機の軍用機よりは性能は低かった(どちらも艦載機である英軍のシーハリアーとファントム(F-4のイギリス型)が好例)。
*11 極端なケースだが、一般的には「(急降下爆撃ができるから)艦爆」「爆撃機」とされることが多いSB2Cヘルダイバーや、一般的に「急降下爆撃機」と紹介されるJu87スツーカには一部のサブタイプ限定ながら魚雷の運用能力もあるし、流星のようにもともとどちらもこなすつもりで設計された機体もWWⅡ時点ですでに登場している
*12 例えば火災が発生しているか否か、発生している場合どのあたりがどれくらいの面積で火事になっていそうかの判別だけでもかなり大きな情報になる。
*13 たいていはスクリューの音など「船である以上絶対に音が出る」ことを利用した音響ホーミング。要するに人間は入っていないが耳はついている
*14 文章での説明だけながら、「ホワイトハウスまで含めた指揮系統上不用意に動けない。だから原則軍事力を行使しない」という取り決めを米軍基地と交わした様子があるため、おそらくこちらの哨戒機も「状況を把握する」ミッションとして飛んでいた可能性が高い。…竹島とか北方領土四島はどうなったんでしょうね?
*15 空気に対する相対的な機体の速度のこと。ざっくり言えば、対気速度は飛行機が空を飛ぶ(揚力を得る)条件を探るのに重要な指標となる。車などで測定される「何分でどこまで進める」ことを意味する速度は飛行機で言えば「対地速度」となる。
*16 例え明るくて視界良好でも、「一面に広がる空と海」のようにどっちも青くて区別がつき辛い状況も危険である。
*17 特に軍用機は妨害電波(ジャミング)や欺瞞電波による偽情報送信(スプーフィング)などでの妨害工作が行われることが度々あるため、信頼性はなおのこと落ちる。
*18 燃費を軽減するためにエンジン4つ中2つを低負荷時に止めるという物は実用化されている。
*19 過去にはこのエネルギーが意図的な悪意によって惨事(アメリカ同時多発テロなど)に転用された例もある
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