SCP-3477

ページ名:SCP-3477

登録日:2017/10/09 Mon 19:24:53
更新日:2024/02/15 Thu 13:32:26NEW!
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SCP-3477とは、怪異創作コミュニティサイト「SCP Foundation」に投稿されたオブジェクトの一つである。
オブジェクトクラスはEuclid。


概要

SCP-3477は、第17代オーストラリア首相を務めたハロルド・ホルトという実在の人物に関連している。
我々の世界のホルト氏は1967年12月、海水浴中に行方不明になるという不明瞭な状況で姿を消した。
むろん不幸な水難事故に遭ったと考えるのが自然だが、ホルト氏が溺れた瞬間を見た者はおらず遺留品も見つかっていないことから、
今でも拉致説・亡命説・生存説など様々な陰謀論がささやかれている。


しかし、表沙汰にはされていないが…数年後、ホルト氏はちゃんと生きた姿で財団に保護されていたのだ。


ちなみにその翌年にも見つかった。


より正確に言うと、失踪から現在までの50年間で延べ34人ものホルト氏が発見されているのである。



ある日突然、オーストラリアに34人もの元首相が帰ってきたらどうしますか?
それも……とびっきり記憶が確かで
とびっきり面影も一致していて
とびっきりの同一人物。
しかも、そのうえ……彼らはみんなみんな、とびっきり!
異常特性を備えているんです!



SCP-3477とは、彼ら34名(2017年現在)のホルト元首相につけられた総称である。



SCP-3477

本物のハロルド・ホルトさんはご起立願います。
Will the Real Harold Holt Please Stand Up?



個体一覧(抜粋)

原文では、全34体のSCP-3477個体のうち12体に関する情報が公開されている。順番に見てみよう。


SCP-3477-1

サメのような肌と歯、エラ、サメ並みの長寿命*1といった特性を持つ水棲元首相。「グレートバリアリーフ亡命帝国」を名乗る知的イルカ集団と取引して改造手術してもらったのだという。
1970年に発見された最初の個体。海で失踪したホルト氏が海岸で見つかったということで、当初はこの個体が本物だと考えられていた。


SCP-3477-2

SCP-742(「レトロウィルス」*2)に感染して不死性を得たと主張する元首相。
ただしホルト氏にこのウイルスを伝染した「親」は何らかの理由で先に死んでしまった模様。ひょっとしてオリジナルより強くなってる?


SCP-3477-3

かつてO5-7を務めていた元首相。
「海水浴で行方不明になった」というのはカバーストーリーであり、本物は財団の最高幹部に着任するために表社会から姿を消した、というわけだ。なおO5昇格に伴い、財団の秘蔵オブジェクトの一つSCP-006(「若さの泉」*3)による不老化処置を受けている。
…と思ってたところに前述の個体-1が出現。「いや俺は普通の人間だよ!あっちはたまたま俺に化けてるSCiPだよ!」と弁解するも、また新しい個体が見つかるにつれてどんどん周囲の目が冷たくなり、ついには賛成12:反対1で異常認定されてクビ→収容。せちがらい。


SCP-3477-8

ガイコツの元首相。発声器官がないため、手話でコミュニケーションを行う。よくホルト元首相だってわかったな。
どこかのネクロマンサー的な秘術師と契約してこの姿になったらしい。


SCP-3477-11

糖蜜を用いた特殊な錬金術によって不老不死化した元首相。
アメリカに同じ錬金術の被験者と思われる元国務長官(SCP-3872)がいるので調べてみたが、特に接点はなかったらしくどこで知ったのか謎。
あっちはずっと抑鬱状態なのに、こっちは元気なものである。


SCP-3477-13

歯車仕掛正教によって改造された、四肢と感覚器官が機械仕掛けのサイボーグ元首相。だんだん嫌な予感がしてきたぞ。
サーキック・カルトとの武力衝突の最中に後述の-14と遭遇し、抗争そっちのけで宗教的議論を交わしていたところをまとめて保護される。


SCP-3477-14

体表に触手など多数の名状しがたい変異を有する「概ね、元首相」。
サーキック関連教団のヴォルタール(高位信徒)としてメカニトとの抗争に参加していたが、-13とは意気投合したのか紳士的な態度で接している。


SCP-3477-19

物理実体を持たない幽霊元首相。独学でオカルト研究を重ねた末にこの形態に到達したらしい。
この人実はすごい才能の持ち主なんじゃないだろうか。


SCP-3477-23

MC&D社の後援で製造された元首相型オートマトン。自我は本人のものを転送してある。
代価は労役で払うという契約だったらしく、同社の施設で働いていたところを捕獲された。
世界史に詳しい皆さんなら、アメリカの初代大統領ジョージ・ワシントンがロボット(SCP-2776)であったことはご存じかと思うが、それに触発されて開発したらしい。


SCP-3477-25

身体の一部を植物性パーツに置き換えたエコロジーな元首相。光合成で栄養をまかなうことが可能。
体表にはSCP-3140(「植物戦争」。古代の木人戦士)にみられるのと同じダエーバイト文明由来の紋様が描かれている。
ホルト氏は独力でこの技術の再現方法を発見したそうだ。もうこの人研究員として雇った方がいいのでは…?


SCP-3477-30

切った部位が(59歳の時点まで)若返って再生する、プラナリアみたいな特性を得た元首相。
GOCによって捕獲されたが、外交上の重要人物であったことからGOCにしては珍しく破壊を保留。財団へ引き渡されることになった。


SCP-3477-34

地獄より来たるオカルトウィッカーウィッチ元首相。
燃料なしで永久に燃え続ける炎に包まれているが、本人はちょっと焦げてる程度で平気。この火が消えない限り命が保たれるらしい。



インタビューと実験記録

由来する技術もバラバラなら特性もバラバラ、実にバリエーション豊かな面々である。
だがお気づきの通り、明確な共通点が一つある。すべてのホルト氏は何らかの形で不老性・不死性を獲得しているのだ。


これについて各ホルト氏にインタビューしたところ、全員が異口同音に同じ動機を語ってくれた。なんでも彼は若い頃から死に対する恐れが強く、かねてより不老不死に憧れていたのだという。
やがて国家元首という立場に就いたホルト氏は、そこで財団をはじめとする様々な超国家的組織からの接触を受け、この世には人知を超えた神秘が確かに存在することを知らされる。彼は「これだ!」と膝を打ったに違いない。
ホルト首相は新たに得たパイプをフル活用して不死化の技法を収集し、集まった選択肢から吟味の末に一つを選んだ。
そして1967年11月20日。彼は協力者を自宅に呼んで契約を結ぶと、いよいよ計画を実行に移す。すなわち自ら失踪を装って姿を隠し、不死化施術を受け、第二の人生をスタートしたのだ。


…その人生が34パターンに分かれた理由は謎のままだが。


ホルト氏自身、別の自分の存在にはまったく気付いていなかったし(偶然出会っていた-13、-14は例外)、選んだ方法も一つだけのつもりだった。
また、ホルト氏と契約した各団体の協力者を何人か突き止めることに成功したのだが、彼らも全員「11月20日にホルト氏の自宅に招かれて契約を結んだ。そこにはホルト氏と自分しかいなかった」と認識していた。
同じ日時、同じ場所で、矛盾する複数のことが起きている。どこかでパラレルワールドの分岐が発生しているのだが、誰もそのことを認識できていないという状態なのだ。



パラレルであることにさえ目をつぶれば、とりあえずどのホルト氏も一貫した発言をしているし、それぞれ証人もいるし、全員が正しいように聞こえるのだが…
果たしてすべての個体を本物のホルト元首相と認めてしまっていいものだろうか?それともどれか一人がこの世界出身の本物で、残りは別世界から転送されてきたのだろうか?
そこが気になった財団は、全員を一つのミーティングルームに集めて会談させるという実験を行うことにした。
有名な「自分をキリストだと思っている患者3人を一つの部屋に放り込む実験」では、全員が自分こそ本物と主張して譲らず殴り合いになったそうだが、全員が自分をホルト元首相だと思っている場合はどうなるだろう?


-3、-13、-14を除く全個体「おお! 他の自分がいると聞いてはいましたが、今まで真に受けていませんでしたよ。妙な事が起こるものですなぁ。」
-13と-14「ああ、またお会いしましたね! どうやら前にお互い会った経験があるのは私たち2人だけらしい!」
全個体「私たちは全員同じように考えるので、反応も全て一緒という事ですか。」
全個体「全く、偉人は皆同じように考えるとはよく言ったものです!」
全個体が笑い始める。


会談は終始なごやかな雰囲気で幕を閉じた。…全員がまったく同じ台詞をまったく同じタイミングでユニゾンするという異様な光景だったが。
どうも彼らは素体や記憶のみならず、思考についても本質的に同質のようである。もちろん不死性獲得の経緯を紹介する時などは異なる発言をしたが、それ以外の場面では台詞も同じ、笑う声までおんなじであった。
余談だが実験の一環でパズルを解かせてみたところ、全員ぴったり同じ所要時間で解いたという記録もある。これじゃどれが本物だとか偽物だとか考えても無駄そうだ…。


何かあったら嫌なので実験はこれきりにしておくが、なんだかんだでみんな財団には協力的だし、特殊な収容プロトコルも要らないので、もう放っておいても大丈夫なんじゃないかな



事件

案の定事件発生。
会談からわずか数日後、34体のSCP-3477個体が一斉に脱走するという収容違反が起きてしまった。
どうもこれ、示し合わせて計画したわけではなく、全員がたまたま同時にまったく同じ脱走方法を思いついたのではないかと推測されている。
毎年のように類似個体がやってくるもんで、深く考えずに「はいはいまたホルトさんね」と収容プロトコルを使い回していたゆえの失態であった。いま職員は大慌てで追跡とプロトコルの練り直しを行っているところだが、後の祭りである。


報告書はここで終わっており、脱走したホルト氏たちの目的や行き先については言及されていない。単に自由を謳歌したかっただけなのだろうか?
それにしても、すべてのホルト氏は本質的に同じということで話を進めてきたが…改めて各個体の特性を見直してみると、不老不死のクオリティにはだいぶバラつきがある。
たとえばサメ元首相やサイボーグ元首相はあくまで長寿・頑丈なだけで不老ではなさそうだし、プラナリア元首相は脳の加齢まで防げるかどうか定かでない。
揃って長年の悲願を叶えたホルト氏たち。揃って収容サイトにぶち込まれ、揃って脱走するホルト氏たち。しかし思考パターンが一緒でも、この先の運命まで一緒だとは限らない。いつか再び避けられない分岐に直面する日も来るのかもしれない…



余談と関連オブジェクト

収容違反オチで終わるとはいえ、それで財団の明日がヤバくなったわけではないし、特に深みのあるストーリーが隠されているわけでもない。むしろ個体リストの部分だけでおおよそネタが成立しているという、3000番台の記事にしては軽い読み口の作品である。
しかしその中には新旧さまざまなオブジェクトや要注意団体へのリンクがちりばめられており、小ネタながらもフレーバー豊かな内容に仕上がっている。皆さんも未読のリンク先がないかどうか探しつつ、近年大きくふくらんだ財団世界の設定に思いを馳せてみてはいかがだろうか。



なお本家SCP Wikiにはもう一件ホルト首相を題材にしたオブジェクトがあったのだが、評価がふるわず削除されてしまっている。SCP-3477作者はこの記事を読んでいなかったため特に関連性はないとのこと。
日本語訳は残っているので、せっかくだからご紹介する。


着用者をオットセイに変身させるマント状のなめし皮。ただし知性も生存能力も失ってすぐ死ぬ。
元の所有者(2967-Aと指定)はこの悪影響を受けずに自由に活動できる唯一の人物であり、以前から定期的に海水浴に活用していたらしい。たまに使わないと「身体がホームシックになる」そうだ。
オーストラリアへの財団の介入が首相命令により妨害されるという事件をきっかけに、このオブジェクトの持ち主が明らかになった。豪政府機関と財団との間で協議が行われ、今後このようなことが起こらないよう2967-Aを拘留・移送することに合意。2967-Aは水泳中に失踪したとするカバーストーリーが流布され、SCP-2967ともども財団に引き渡された。
言うまでもないが、2967-Aとは…



その後の書き足し

残り22体の特性については「別紙参照」という名目の未設定であり、読者の想像に任されていたわけだが…
その後別の著者とのコラボにより、ついに全34体の完全な個体リストを載せた「別紙」が完成した。さすがにもうお腹いっぱいです
ただし項目執筆時点ではこの完全版は未訳。また言及されている他のオブジェクトにも未訳のものがちらほらあるため、正式な翻訳が出揃うまでの覚え書きのつもりで以下に追加内容を書き留めておこうと思う。もっといろんなホルト氏に会いたい!という方は囲みを開いてもらいたい。


SCP-3477-4

マントを着ることでオットセイに変身することができる元首相。変身中は歳を取らない。
収容当初はただの(?)知性オットセイと認識されていたため、別のオブジェクト番号が振られていた。
前述の削除済みオブジェクトに対する直接的なオマージュである。


SCP-3477-5

ハーマン・フラーの不気味サーカスに雇われていたピエロ元首相。
同じサーカス団員であるSCP-3036(未訳)と同じ身体構造をしているそうだが、SCP-3036の説明をそのまま適用すれば「人間の肉、筋繊維、体液のみで構成された、神経系も骨格も持たないヒューマノイド」となる。ある意味サーキックよりにくにくしい。
サーカスでは自身のキャリアを活かした政治家ジョークを持ちネタにしていたようだがいまいち客ウケが悪かったらしく、クビになって途方に暮れていたところを発見された。
これほど多才多芸な元首相だが、さすがにパフォーマーとしての適性はなかったらしい。


SCP-3477-6

全個体の中でも特に魔術の知識に秀でており、その魔術を駆使して若さを保っている個体。
発見された当時、彼はGOC系の研究機関である「国際統一奇跡論研究センター」の教授となっていた。ホルト氏がオカルトに興味を持ったのは首相の座に就いてからのはずなので、毎度ながら凄まじい学習能力と向上心である。


SCP-3477-7

クラスIIの現実改変能力を獲得した元首相。その能力を自分の寿命を延ばすことのみに使用している。欲があるんだかないんだか…
この能力は「いかに現実を操作するか」というタイトルの3時間の無料体験セミナーを受講したら使えるようになったとのこと。そんな簡単でいいのか!?俺も受けたい!


SCP-3477-9

現代医術の延長と思われる何らかの医学的処置によって長寿を得た元首相。
特に異常性との繋がりはみられない、単に変わり者というだけのどこかの研究者グループがこれを研究していたらしい。
ホルト氏を実験台として試したこの長寿化施術は見事に成功。研究者たちは喜び勇んで自分たちにもこの処置を施したが、どういうわけか今度は失敗して全員死亡してしまい、結局この技術は永遠に失われることになった。


SCP-3470-10

本人に異常性はないかわり、謎めいたベリリウム青銅の懐中時計をキーアイテムとして使いこなす元首相。
この時計のネジを操作すれば自分の肉体を自在に加齢させたり、反対に若返らせたりすることができる。年齢を巻き戻すと記憶も失われてしまうが、年齢を進めれば突然未来の知識が飛び込んでくる。
彼はこの時計を進めたり戻したりしながら膨大なノートを書き記しているが、そもそもどうやってこの時計を獲得したかについてはどこにも書かれていない。


SCP-3470-12

一見して単なる野球帽。しかしこの中にホルト元首相の自我が宿っており、野球帽に接触した人間は意識を乗っ取られて新しいホルト元首相になってしまう。これブライト博士じゃねーか!
しかも誰にもかぶられていない時は「これをかぶると不死になれる」と信じさせるミーム的効果を見た者に及ぼすため手に負えない。
検査によると、この帽子はオリジナルのホルト氏のDNAに一致する神経繊維で編まれているとか…


SCP-3447-15

水槽に浮かぶホルマリン漬けの脳の状態で生きている元首相。水槽には八本の手足とスピーカーがついており、移動や会話ができる。本人いわく、中国の潜水艦に回収された後この姿に改造されたとのこと。
これは我々の世界で流布している陰謀論のパロディ。現実ではアンソニー・グレイというライターが「ホルト首相は実は中国のスパイであり、溺れたように見せかけて中国の潜水艦に回収されたのだ」というトンデモ本を書いた。
というかそもそも中国のスパイが中国で脳みそ摘出されてるってどういう状況なの…?実験?粛清?


SCP-3447-16

赤土をこねて大まかな人型を象り、その胸に自らの心臓を埋め込むという由緒正しい方法で作られたゴーレム元首相。
ユダヤ教のラビに作ってもらったので、ホルト氏自身も熱心なユダヤ教徒に改宗している。額の文字を削ったら活動停止するんじゃないかなこれ。


SCP-3447-17

ヤギのような脚や角を持つ、いわゆるサテュロス元首相。人に幻覚を見せたりというちょっとした魔法も使える。
なんでもコーギー鉄道*4に乗ってシーリーコート*5に会いに行き、いじわるな王子様との謎かけ合戦に勝った報酬としてこの姿にしてもらったという、幼女先輩も納得のドキドキワクワクな冒険物語があったそうな。


SCP-3477-18

クラスIVの現実改変能力者。個体-7よりヤバい感じだが、獲得手段のガチ度も高い。
彼は独力でオリュンポスの山頂に登り、そこでアンブロシアを発見したことによってこの力を得たという。世が世なら叙事詩が作られるレベル。
財団世界においてオリュンポス山頂は 1.2×10^-██ という観測史上最低のヒューム値を持つきわめて剣呑な領域であり、SCP-3480に指定されている。


SCP-3477-20

ハロルド・ホルト元首相の生まれ変わり…を自称する1967年12月17日生まれの個人。記憶や心理テストの結果は確かに他のホルト氏と一致している。
「あの有名人の生まれ変わりを発見!」というTV番組に出演していたせいで財団エージェントに見つかり、確保された。


SCP-3477-21

御年109歳でありながら、健康を損なう要因を運良く全回避したおかげで長生きに成功している首相。
本人はこれを「量子的不死性」、わかりやすく言えば「無尽蔵の幸運」だと表現している。
世間から隠れつつ定期的に宝クジを当てることによって暮らしてきたが、さすがに連続して派手に当てすぎたため財団エージェントに怪しまれて確保されることになった。
…え、もしかしてSCP-181*6も無限に生きられるの?


SCP-3477-22

こちらは109歳相応のよぼよぼに衰弱した姿となっているにもかかわらず、なぜか生き続けている元首相。
ジンを呼び出して不死の願いを叶えてもらったのだが、うっかり不老を願うのを忘れてしまった模様。個体群の中でもかなりかわいそうな存在である。


ちなみに「ジン」の部分はORIA関連の文書(未訳)にリンクされている。これはSCP-1173*7がらみの内部文書であり、実は不死の件とは何の関係もないのだが、ここに「ジン」が公式に登場しているので参考までに言及したのだろう。
ORIAの定義によれば、ジンとはイスラム教の拡大に伴って自然発生した知的ミーム生命体である。その出自ゆえ現実改変と精神感応能力に長けており、たびたび人間と交流ないしは抗争を行ってきた。「人の願いを叶える」という伝説はここから生まれたのだ。
ORIAは友好的なジンを「タイプ2特別職員」として雇用し、異常性調査に送り込んでいるので、国家元首クラスなら中東に適切なコネがあれば会いに行けるのかもしれない。


SCP-3477-24

自分の細胞組織や臓器を自由に分離し、他人のものと交換して寿命を伸ばせる脱着かんたん元首相。手術は要らず、拒絶反応も決して起きない。


SCP-3477-26

あらゆる種類の外傷を受けず加齢もしない、シンプルに無敵な元首相。大量の放射線に曝露したことでこの特性を得た。
財団に確保されるまでの間は、自身の異常なフィジカルを活かして夜な夜なブリスベンの通りをパトロールしていたらしい。アメコミのヒーローかな?


SCP-3477-27

概念と化した元首相、あるいは「タルパ」。ハロルド・ホルトという存在が人々の記憶の中にある限り存在しつづけることができる。
自分の不死のコピーが出現したことで一番生存率が上がった人かもしれない。
仏教寺院で数年にわたる修行をした結果、解脱に成功してこの姿になった。


SCP-3477-28

「急速に若返る」というきわめてストレートな不老能力を発動させることができる元首相。発見時点では9歳の姿であった。
どうも若返りの能力は自身でのコントロールが難しいようで、つい戻りすぎてしまったらしい。乳児まで戻らなくてよかったね!


SCP-3477-29

普通にダメージを受けたり死亡したりするが、その後まばゆい光と共に(59歳時点の無傷の姿で)何度でも蘇生する元首相。
ロンギヌスの槍から採取した生体組織のゲノムを接合することでこの能力を得た、と主張する。
ワターシーニーカーエーリナーサーイー


SCP-3477-31

他者の「生命力」を吸い取る黒マナソーサリー能力を得た元首相。
ここで吸い取るエネルギーは「第六生命エネルギー (Elan-Vital Energy)」と表現される。これはGOCハブの記事で解説されているので、理論に興味がある方はご覧いただきたい。正直読んでもよくわからないが。
本人の弁解によれば、普段はすでに死にかけている人からしか生命力を吸っておらず、積極的な殺しには関与していないというが…


SCP-3477-32

常に体温を137ケルビン(約-136℃)に保つことによって、生きたままコールドスリープ状態を維持している元首相。
発見時は-90℃程度だったのだが、収容後も自分で肉体をコントロールしてどんどん体温を下げ続けている。
絶対零度が理想的状態らしく、そこを目指して日々鍛錬に励んでいるそう。


SCP-3477-33

エントロピーに対して完全な耐性を持つ」元首相。どういうことなの…
酸素や養分といった外的要素を一切必要とせず、また老廃物を排出する必要もない、完全に自己完結した存在となった。
肉体を永久運動機関に置き換える実験の一環でこの姿になったらしいが、誰がこの実験を行ったのかは不明。



追記・修正は34人で同時にお願いします。



SCP-3477 - Will the Real Harold Holt Please Stand Up?
by stormbreath
http://www.scp-wiki.net/scp-3477
http://ja.scp-wiki.net/scp-3477 (翻訳)


Document 3477-2
by DrChandra, stormbreath
http://www.scp-wiki.net/document-3477-2


(Deleted) SCP-2967 - Australian Selkie
by Freudian
http://ja.scp-wiki.net/deleted:scp-2967 (翻訳)


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*1 ある種のサメは400年以上生きるとされる。ましてや やひろのわには いつまでか それよりも はるかに
*2 吸血鬼みたいな生態になるウイルス。罹患すると人間の骨髄を欲するようになるが、骨髄を摂取し続ける限りは不老不死を保てる
*3 文字通り不老かつ健康になれる泉。副作用は何もない。最初期のオブジェクトなのでSafeだが、今ならThaumielでもおかしくない代物
*4 SCP-2952。長ーーい犬の姿をした地球一周鉄道。妖精さんが移動手段として活用している
*5 「良い妖精」を意味する古英語。これに対してイタズラ好きな悪い妖精のことは「アンシーリーコート」と総称し、たまにRPGのクリーチャー名に使われたりする
*6 「ラッキー」。Dクラス職員なのだが異常な幸運に恵まれており、どんな生命の危機も運良く脱してしまう
*7 「サモトラケ東部イスラム共和国」。ミーム災害なのだが、「サモトラケ以下略という国の存在を忘れさせるミームだ」派と「存在しない国を妄想させるミームだ」派で財団が真っ二つに分かれてしまっており、互いに相手を感染者とみなす争いを引き起こしている。ジンから見ると、サモトラケ島現地は「現実と非現実が折り重なった地」に見えるようだ

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