井尻又兵衛由俊

ページ名:井尻又兵衛由俊

登録日:2011/05/16 (月) 23:08:45
更新日:2023/10/06 Fri 13:55:57NEW!
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クレヨンしんちゃん 劇場版クレヨンしんちゃん 悲しい結末 アッパレ戦国大合戦 ネタバレ項目 おまたのおじさん 屋良有作 青空侍 涙腺崩壊 青空になる 井尻又兵衛由俊



映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』に登場するキャラクター。
名前の由来は「股いじり」から来ており、クレしん映画特有のフザけた名前である一方、由俊はもちろんのこと、井尻も又兵衛も実在するため、真面目な名前とも取れる。


CV.屋良有作






以下ネタバレ







武蔵国春日領の領主で、廉姫の父である春日和泉守康綱に仕える侍。
しんのすけタイムスリップで飛ばされてきた際、最初に目にした合戦場で陣頭指揮をとっていたが、
草むらに潜んでいた伏兵に銃撃されかけたところを、たまたましんのすけに助けられ、行く宛てのないしんのすけをとりあえず預かる事となる。



親の代から春日家に仕えており、幼い頃からよく城に連れられて、廉姫の遊び相手をしていた。




そんな経緯でいつからか廉姫に対して恋愛感情を抱いているが、
身分の違いから自分の感情を抑えて悶々とした気持ちを払拭するためにぼんやりと空を見上げている事が多々あるため、
廉姫や女中からは「青空侍」とからかわれていた。


しかし合戦においては老中からも絶大な信頼を寄せられており、その鬼神のごとき強さから「鬼の井尻」と呼ばれ、敵味方問わず恐れられるほど。
家族はは病死、父と兄とは共にで亡くしており、足軽頭で使用人の仁右衛門夫婦と共に暮らしている。
年齢は後にひろしみさえ達もタイムスリップしてきた際に開かれた宴会では「こんな美味い物は30年生きてきて飲んだことがない」という発言から30歳と判明している。またビールをいたく気に入ると同時にあまりの貫禄にひろしに自分より年下である事を驚かれていた。



しんのすけには「おまたのおじさん」と呼ばれ、廉姫の事に関しては悉く心の内を見透かされ、ひどく狼狽する時もあった。


もはやしんのすけには隠し通せないと観念したのか「この事は断じて口外するな」としんのすけと「男同士のお約束」を交わし、
さらに武家式の誓いの儀である「金打」(きんちょう)を教えた。


上述のように廉姫の事となると小心者だが、「秘密の泉」で廉姫に襲いかかった野伏せりに激昂し、
瞬く間に成敗したが「お前達も元々はどこぞの大名に仕えていたのだろう」と金子を与え、
「それでまた仕官口を探してやり直せ」と放免する度量の深さも併せ持っている。
(これに感動し、後にこの一味の彦蔵と儀助が家来に加わる)



中盤の春日城防衛戦にも出陣。最前線で指揮を執り、何倍はあろうかという大蔵井高虎の軍勢の進攻を水際で食い止めた。



その夜、軍議によって大蔵井の本陣に夜襲を仕掛ける事が決定し、野原一家にその混乱の隙に逃げる事を提案し、ひろしにを渡す。



襲撃直前、兵達を前にして又兵衛は、





「皆、幼い頃より知った顔ばかりだな…」






「外は敵で満ちているっ!!だがここは我らが生まれ育った土地っ!!何も恐れる事はないっ!!」




「本陣まで一気に駆け抜け、高虎の首を取ることのみ考えよ!!倒れた仲間は見捨てよっ!!例えそれが身内であってもだっ!!よいなぁ!!」





一同に叱咤激励し、又兵衛は騎馬を駆って高虎の本陣へ突撃した。



しかし、最初こそ突然の奇襲によって混乱した大蔵井の軍だったが、すぐさま持ち直して圧倒的な兵力を背景に春日の兵士達を分断し、押し包んでいく。



又兵衛とその家来達も多数の兵に囲まれ、もはや万事休す…と思われた時、







「野 原 一 家 フ ァ イ ヤ ー ッ ! ! 」






逃げたと思っていたしんのすけ達の車が突如参戦し大蔵井軍へ突撃。大蔵井の軍勢は総崩れとなる。
「馬鹿者め…」と苦笑を漏らす又兵衛だったが、この機を逃すまいと再び本陣へ突撃を開始。
周りを固める赤備えの馬廻衆を蹴散らし、遂に高虎の本陣へと到達する。





「春日家家臣 井尻又兵衛由俊!」



「大蔵井高虎殿、御覚悟召されよっ!!」




名乗りを挙げる又兵衛に、さらに選りすぐりの馬廻衆が応戦する。


又兵衛は一瞬で1人を斬り伏せ、残りを仁右衛門、彦蔵、儀八に任せて高虎に向かう。


だがその前に、一際大柄な赤備えの侍が立ちはだかる。






「大蔵井馬廻衆 真柄太郎左衛門直隆…」




「参れっ!!」






「応っ!!」






を折られ、雲の旗印を失いながらも一進一退の攻防を繰り広げる又兵衛と直隆。


ひろしとしんのすけはただ見ている事しかできなかったが、それを尻目に逃亡を図ろうとする高虎がしんのすけの目に入る。



それを止めに入ったしんのすけが斬られようとした時、みさえが刀を使ってしんのすけを守り、
ひろしのボディブレードのフルスイングとしんのすけの股間への頭突きで、高虎は遂に倒れた。


鍔ぜり合いを解き、直隆は「これまでだ、殺れ」と自分を斬るよう又兵衛に言うが、これを「殺らん、あんたは惜しい」と見逃した。



倒れる高虎に歩みより首を取ろうとする又兵衛。
だが、しんのすけに「もういいでしょ!?オラたち勝ったんだよ!?」「こいつ、悪い奴だけど…もう大丈夫だよ!おじさんが強いの分かったからもう攻めてこないよ!だから許してやろうよ…!」と懇願され、髷だけを切り落とし、高虎を返した。






兵は数を大きく減らしたが、戦は春日の勝利に終わった。




大手柄を挙げたしんのすけを馬上に乗せ、朝焼けの中で「褒美は何がいい」と尋ねる又兵衛。


しんのすけは「おじさんの小さい刀がいい」と言うが、「この馬手差しは父上の形見なのだ」と困ってしまう。


その時、目前に建つ城の天守閣から、こちらに手を振る廉姫の姿が目に入る。


しんのすけが手を振り返し、又兵衛も軽く会釈をする。


全てが終わり、安堵のため息をつく廉姫。














そこに響き渡った一発の銃声。







馬上からゆっくりと崩れ落ちる又兵衛。




しんのすけも慌てて駆け寄るが、又兵衛の胸には銃弾の貫通した跡が…







「しんのすけ…お前が何故、俺の元へやってきたか今、分かった…」




「俺は、お前と初めて会ったあの時、撃たれて死ぬはずだったのだ…」




「だが…お前は俺の命を救い、大切な国と人を守る働きをさせてくれた。お前はその日々を俺にくれるためにやってきたのだ…」



その役目が終わった以上、しんのすけやその家族はきっと元の時代に帰る事が出来ると告げる又兵衛。
泣き出しそうになるしんのすけに「これをやろう」と、自らの馬手差しを差し出す。
だが、又兵衛の目のは既に消えかかっていた。まるで命が尽きていくかのように。






「お前の言う通り…最後にそれを使わないでよかった…」







「きっと、姫様も同じ事を……」













又兵衛は死んだ。





その事を悟り、馬手差しに大粒の涙をこぼして嗚咽するしんのすけ。


あまりにも理不尽なに、やり場の無い怒りを高虎の残党に向ける仁右衛門達。


廉姫も、膝をついて泣き崩れていた。






「秘密の泉」へと戻り、又兵衛が好きだった事を吐露した廉姫に、
しんのすけも又兵衛の気持ちを廉姫に伝えようとしたが「もうよいのだ」と言う廉姫の涙を見て、
又兵衛の言葉を思い出したしんのすけは、決して口にするまいと、又兵衛の馬手差しで再び「金打」した。




現代に帰ったしんのすけ達が空を見上げると、



「あっ! おじさんの旗だ!」



又兵衛の旗印と同じ雲が空に浮かんでいた。
ただ無言で馬手差しを空にかざすしんのすけ。




過去の世界で、同じ空を見上げる廉姫は呟いた。






「おい、青空侍」









又兵衛の最期に関しては謎のままで終わるが、
これは「冒頭の合戦で死ぬはずだった又兵衛が国と人を守るという役目を終えて存在意義が無くなったため、
又兵衛を狙った伏兵の弾が時空を越えて直撃した」という解釈がなされている。


また、これについては作中で廉の父親が野原一家から未来の話を聞いて「どういう過程を経ようとも未来は変わらない」といった旨の言葉を述べているので
結局の所、野原一家が過去でしたことは未来には何の影響も与えなかったのだろう。
しかしそこに生きた人々の心は確かに変わったはずである。
もしも野原一家がいなければ廉や又兵衛は思いの丈を伝えることなく、抱え込んだまま死に別れてしまう運命だったのだから。
或いはそういった後悔の念が、自身の書いた手紙を発見して過去へ飛ぶというループが始まる前のしんのすけを呼び寄せてしまったのかも知れない*1



クレしん映画の中では敵サイドのキャラが死亡した、または再起不能となったと思われる描写はあるが、
味方のキャラがはっきりと死んだと描写され、生き返り等もしなかったのはこの又兵衛が最初である。



またしんのすけがちゃんと泣き顔を見せたのもこの時が初。
(ヘンダーランドでもトッペマが動かなくなった時にも泣いていたが、この時は後ろ向き。
またブタのヒヅメ大作戦のぶりぶりざえもんとの別れの際にもヘルメット越しに涙を流していた)


これには「しんちゃん映画で泣かせてどうする」と批判的な意見もあったが、結果は周知の通り大成功である。






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  • 立ちはだかったのが真柄直隆かぁ… 同姓同名かな? -- 名無しさん (2013-08-26 23:42:29)
  • ↑たぶん、モデルだと思う。太郎太刀て結構、長巻に間違えられるし実際の真柄直隆も味方が敗走する中、唯一最期まで奮戦してたしマジで武人とも言える人だ。又兵衛じゃなくても惜しいと言えるほどの豪将だし、あの本多忠勝とも一騎打ちを行った人でもある -- 名無しさん (2013-12-11 18:06:40)
  • 又兵衛さんが最初で最後であってほしい、クレしん映画の中で味方のキャラが死ぬのは、又兵衛さんの死のショックはのちの徳郎さんの死に匹敵するほど鬱だ -- 名無しさん (2013-12-25 16:02:07)
  • しんちゃんの映画の登場人物の中で又兵衛さんが一番好きだわ。又兵衛さんが死んだラストは本当に泣いた -- 名無しさん (2014-04-04 20:30:06)
  • 項目でも泣かされた -- 名無しさん (2014-04-20 22:40:44)
  • 屋良さんは桜家のヒロシのイメージが強いけど、井尻とシヴァ・ゴッツォと地雷亜で印象変わった -- 名無しさん (2014-05-05 20:20:09)
  • 彼も劇場版最強キャラの一人だよな -- 名無しさん (2014-08-08 14:38:56)
  • 彼で「金打」ってものを知った。 -- 名無しさん (2014-08-18 11:43:35)
  • 「おまたのおじさん」って呼ばれてたし、又兵衛ってクレしん的な架空の名前かと思ってたんだけど本当にいたんだね -- 名無しさん (2014-08-18 11:58:12)
  • 歴史の流れは何をしようと変わらないと作中でも示唆されてるから、又兵衛は撃たれる運命だった。ただ後悔せずに死ぬ事が出来たのは何よりの幸運だったろう。 -- 名無しさん (2014-08-18 16:31:54)
  • 最高にカッコ良い人だったよ。クレしん映画はガチで泣かせて来る作品が結構あるよな。これなんかもうヤヴァイわ軽々しく見れない。いい歳してマジ泣きしちゃう。 -- 名無しさん (2014-08-27 23:19:34)
  • 改めてDVD購入して見たが、オチしってると途中からウルウルくるなぁ 名作っすね -- 名無しさん (2014-08-30 14:14:29)
  • この人は誰をモデルにしたのかな? -- 名無しさん (2014-12-13 17:59:38)
  • ↑8 余談だけどマサオ君とまる子のお母さんの声優さんは一緒だったな、確か。 -- 名無しさん (2015-01-04 03:07:39)
  • ロボとーちゃんは「死んだ」でいいのかな?そしたら二度目の味方サイドの死亡になるけど。 -- 名無しさん (2015-01-17 23:20:31)
  • 最初井尻の部分を聖と思ってたから名前全体が下ネタだと気付かなかった -- 名無しさん (2015-03-06 00:34:45)
  • 又兵衛さんを殺した人は誰だろう? -- 名無しさん (2015-05-27 18:33:09)
  • ジョジョの「運命の奴隷」を思い出した…。 -- 名無しさん (2015-05-30 04:04:24)
  • 好きな作品ではあるけど、キャラ個人項目に全体のあらすじや台詞を詳細に長々と書くのはどうなのかなぁと -- 名無しさん (2015-05-31 19:22:11)
  • ↑でもそうしないとこの項目薄くなるしな…難しいところだが -- 名無しさん (2015-10-07 23:15:29)
  • ↑他のキャラ個別項目なら性格や人物像、作中での活躍、他の登場人物との関係、その他の逸話なんかが書かれてるね。この人の場合は、実写版で草なぎさんがやった事とか書けそう? -- 名無しさん (2016-01-23 15:53:55)
  • 屋良さん他にもブリブリ王国でニーナ、キンポコでドウドウの声も演ってるんだよなぁ -- 名無しさん (2016-04-13 22:34:37)
  • 金矛の -- 名無しさん (2016-05-13 20:26:59)
  • すみません。投稿ミスしました。2008年の金矛の勇者でマタ・タビが、2014年のロボとーちゃんでロボひろしが死亡しているので最初で最後ではないです。 -- 名無しさん (2016-05-13 20:29:12)
  • ↑戦国大合戦は2002年の作品だから最初であるって感じに修正しといたゾ -- 名無しさん (2016-05-13 20:49:21)
  • 屋良さんの声がまたいいんだよこれが…まさにはまり役だった -- 名無しさん (2018-01-02 17:29:53)
  • 又兵衛さんにお兄さんがいること忘れてますよ。なおお兄さんもお父さんと弟さんと同じく戦死です。 -- 名無しさん (2019-02-11 19:11:56)
  • こいつの死が泣けるのって、今まで散々死にそうな場面がありながら、合戦に勝利して本当にあとは帰るだけのシーンで唐突に殺されるからだと思う。ありゃ反則だよ…… -- 名無しさん (2019-03-03 22:12:52)
  • この人の最期が泣けるのっていつも笑顔で悪ふざけしてるあのしんちゃんが顔ぐちゃぐちゃにして涙ボロボロ落として泣いてるからってのが大きいんだと思う -- 名無しさん (2019-05-01 21:31:20)
  • 「やりごたえのある 良い人生であったよ」 -- 名無しさん (2020-02-12 23:18:48)
  • クレしんに合わないくらいのリアルさが印象的だった -- 名無しさん (2020-03-08 21:54:13)
  • 「美入る」とやら、気に入った! -- 名無しさん (2020-06-26 01:32:53)
  • クレしん映画によくいる下ネタ系の名前なんだけど(弄る股)井尻も又兵衛も普通にある名前なので全然不自然じゃ無いんだよな -- 名無しさん (2020-10-16 19:06:09)
  • 又兵衛VS大蔵井はロッドVSケニーでもあるな -- 名無しさん (2021-06-04 16:27:57)
  • ↑×6 TV本編の湿布の回でもしんのすけが涙ボロボロ落として泣いたけど、あちらは普段通りのギャグ回 -- 名無しさん (2021-08-29 12:09:14)
  • 廉姫のその後は誰とも夫婦にならず出家して又兵衛の菩提を弔い余生を送ったとかだろうか -- 名無しさん (2022-08-01 01:28:45)
  • ↑父上も自分達の国はどうせ未来には残っていないということは分かっているのだから、国主よりも父親としての情を優先して認めそう -- 名無しさん (2022-08-01 07:49:58)
  • やっぱこれが一番好き -- 名無しさん (2022-08-01 07:59:57)
  • 「おまた」って呼ばれたとき周りのみんなが笑っていたのってただ「又いじり」の下ネタだけじゃなくて「お」がつくことで女の子っぽい愛称になって戦国時代の人(特に女性)からしたらツボに入るようなあだ名になってるんだな(しかも実力のある武士だから余計に) -- 名無しさん (2022-11-08 20:05:39)

#comment

*1 もしこの推測が正しかった場合、最初の箱に入っていたのはおそらく廉が上記の後悔を綴った文である可能性が高い

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