王国

エステラード王国

概要

エステラード王国は、テルカリス大陸の人間領を統治する中央集権的な国家であり、主要都市エステラードを首都としています。大崩壊後の混沌から再興されたこの王国は、軍事力と行政権を基盤に秩序を維持し、教団ルクス・エテルナの信仰力とギルド評議会の経済・戦力を補完する役割を果たします。首都エステラードは、裂谷テルスカード（北）と結晶森ミラクリスタ（南）に挟まれた狭い平野に位置し、石造りの城壁に囲まれた堅牢な都市です。王宮、教団の聖堂、ギルドの評議堂がそびえ、三勢力の緊張関係が象徴的に表れています。

歴史

• 建国前（大崩壊以前）: テルカリスの人間は複数の都市国家に分かれ、交易と技術で栄えていました。エステラードは当時の中規模都市国家の一つで、堅固な城壁と聖堂が特徴でした。

• 建国期（大崩壊後～約150年）: 大崩壊で都市国家が壊滅する中、約50年後に生存者がエステラードに集結。教団が魔素を浄化し農地を復活させ、旧貴族と軍人が統治を再編。初代国王エステラード一世が戴冠し、王国を宣言。周辺の小集落を統合し、裂谷の魔物から守る基盤を築きました。

• 成長期（約150年～300年）: ギルドの自発的集団が現れ、冒険者ギルドが防衛やダンジョン探索、商人ギルドが交易で貢献。王家はギルドを「無法者」と警戒しつつ利用し、自治を認めました。この時期、冒険者ギルドの開拓隊が東西未開拓地の調査を開始し、王国の資源基盤が拡大。

• 現在（約300年～）: 約150年前の魔物大襲撃を機にギルド評議会が誕生し、王国は教団とギルドとの三角関係で均衡を保ちます。現国王エステラード三世が統治し、未開拓地の支配を長期目標に掲げています。

統治構造

• 国王: エステラード三世。40代男性で、現行の統治者。現実主義者で、教団とギルドの均衡を重視。

  • 伝統: 歴代国王は戴冠時に「エステラード」を名乗り、首都と王国の統一性を示します。初代エステラード一世から続く慣習。

• 貴族院: 旧都市国家の貴族の子孫で構成。地方統治と軍事補佐を担当。教団への忠誠とギルドへの警戒が混在。

• 軍事院: 正規軍の将軍団が国王に助言。裂谷防衛や未開拓地監視を計画。ギルドの開拓隊を「無法者」と見なしつつ、情報に依存。

• 行政院: 税収と法の執行を担う官僚層。商人ギルドの経済力に頼りつつ、自治拡大を抑える規制を策定。

• 領域: エステラードを中心に約20の小集落を統治。北の前線基地ヴァルガードが裂谷防衛の要。

経済基盤

• 主要資源:

  • 農産物: 教団の浄化農地で小麦と豆類を生産。収穫量は大崩壊前の3割程度。

  • ダンジョン資源: ミラドダンジョンから得たモンスター肉（教団浄化）と宝（魔剣、防具）。

  • 未開拓地の産物: 冒険者ギルドの開拓隊が東の荒野から鉱石、西の湿地帯から薬草を持ち帰る。

• 税収: 貴族が地方から穀物税を、行政が商人ギルドから交易税を集める。ギルド評議会に防衛資金の拠出を要求。

• 課題: 魔素汚染で土壌が痩せ、食料自給率が低い。ギルドの経済力に依存しつつ、税収確保が難航。

軍事力

• 連合軍:

  • 構成: 正規軍約5千人、地方民兵約2千人。裂谷防衛に集中し、監視塔と大砲を運用。

  • 装備: 技術者ギルド製の魔素制御装置を活用。

  • 弱点: 東西未開拓地への遠征能力が乏しく、冒険者ギルドの開拓隊に依存。

• 役割: 裂谷の魔物襲撃を防ぎ、王都の安全を確保。未開拓地の情報収集はギルド頼み。

象徴と文化

• 象徴: 「赤き剣と炎」。

  • 赤き剣: 血と鉄で鍛えられた軍事力を象徴し、魔素の青に対抗する決意を示す。

  • 炎: 教団の信仰と民衆の希望を灯す赤い火を表し、試練を乗り越える生命力を意味。

  • デザイン: 深紅の地に金の剣と赤い炎。王宮の旗や正規軍の盾に刻まれる。

• 文化:

  • 赤の象徴性: 赤は魔素の青への抵抗として親しまれ、祭りや装飾に多用。

  • 再興祭: 毎年開催され、大崩壊からの復興を祝う。赤い旗と灯籠が街を飾り、貴族が剣舞を披露。開拓隊の英雄譚も称えられる。

• 国王名の統一: 戴冠時に「エステラード」に改名し、王国の統一性と希望を民衆に印象づける。

秘密組織：衛兵団

• 表向き: 王都や地方の治安維持を補佐する補助組織。一般的な衛兵集団として認知。

• 裏の目的: 魔素で変質した民衆や貴族を「秩序を乱す穢れ」とみなし排除。

• 構成: 約20人。正規軍の退役兵や私兵から選抜され、王家への忠誠を誓う。

• 装備: 赤いマント、黒革装甲、短剣、弩（クロスボウ）。

• 活動: 夜間や僻地で変質者を追跡し、迅速に処断。遺体を焼却し、「魔物の襲撃」と偽装。

• 立場: エステラード三世が暗に認めつつ、公には関知しない。貴族院や軍事院には関与を隠し、露見しても「治安維持の延長」と誤魔化せる。

教団との関係

• 協力: 教団の魔素浄化と奇跡が農地と食料を支え、王家は教団を「民の精神の守護者」と称賛。聖堂への寄付を奨励し、信仰が統治を補強。

• 緊張: 教団が信仰の優位性を主張し、行政に干渉を試みる。貴族院は教団の影響力拡大を警戒し、王家は軍事力で独立性を保つ。

• 現状: 王国は浄化に依存しつつ、衛兵団が変質者を処理することで教団の負担を軽減。

ギルド評議会との関係

• 協力: ギルド評議会が裂谷防衛や経済を支え、王国は自治権を認める。冒険者ギルドの開拓隊が東の荒野（魔族情報、鉱石）、西の湿地帯（薬草）の資源と情報を提供し、成長に寄与。

• 緊張: ギルドの経済力と戦力が王国を超えつつあり、貴族院と軍事院は開拓隊を「無法者」と批判。衛兵団がギルド内の変質者を監視し、正規軍による統制を模索。

• 現状: 王国はギルドに依存しつつ、税収と軍事指揮で牽制。エステラード三世は評議会の内部対立を利用し、未開拓地の支配を長期目標に。

東西未開拓地への対応

• 東の荒野: 魔族が潜む乾燥地帯。冒険者ギルドの開拓隊が魔族拠点や鉱石を報告。王国は正規軍の遠征を計画するが、情報収集はギルド頼み。

• 西の湿地帯: 魔素濃度が高く、薬草と鉱石が豊富。開拓隊が資源を持ち帰り、薬師ギルド経由で王国に供給。

• 課題と野心: エステラード三世は未開拓地の支配を王国の拡張目標とし、ギルドと教団の力を借りて勢力圏拡大を狙うが、軍事力の限界が壁に。

現状と課題

エステラード王国は、「赤き剣と炎」の下で教団とギルドとの三角関係を維持しつつ、魔素と外部脅威に抗います。しかし、以下の課題が浮き彫りに：

• 教団との軋轢: 信仰の押し付けが貴族やギルドの反発を招いています。

• ギルドの自治: 評議会の内部対立と開拓隊の独立性が統制を困難に。

• 未開拓地の未踏: 東の魔族と西の資源が新たな可能性と危険をもたらす。王国単独では支配が難しく、ギルド依存が課題。

• 変質者問題: 衛兵団が秘密裏に処理するが、薬師ギルドの治療志向との対立が表面化する恐れ。