「おぉ……我が蒸命よ、どうしてだ? お前は大地の心臓、我らの命の火だと言ったじゃないか。
それなのに、どうして我らをこんな姿に変えちまった?
人間どもを見てみろよ。お前はオレたちが祈っても、ただ黙って輝くだけか……。」
ドワーフの概要
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舞台: 北の山脈ヴェルモントの地下深く。
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特徴:
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身長平均130cm、かつては筋肉質で頑丈だったが、現在は奇形と機械化で異形化。
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全身を魔素対策の装備(鉄製ヘルメット、防塵マスク、厚手革鎧)で固めるが、蒸気管や金属プレートが露出する個体も。
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武器はハンマーやピッケルが主流。移動式蒸気機械を多用。
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歴史と現状:
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大崩壊前: 地下都市を築き、スチームパンク的な機械文明で繁栄。ヴェルミリス鉱石を採掘し、蒸気機関やオートマトンを開発。他種族と技術を共有せず孤立。
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魔素の影響: 鉱石から漏れ出した魔素に長年暴露され、耐性(皮膚硬化、肺の魔素濾過)を獲得するも、生殖機能が減退。新生児は背が低く奇形となり、人口は大崩壊前の1/10以下に激減。
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絶滅危機への対応:
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クローン技術: 遺伝情報を使いクローンを作成し、種を残そうとする。しかし、開始時には魔素暴露が致命的レベルに達しており、初代クローンも奇形や不妊の問題を抱える。仕方なくクローンからさらにクローンを作成する「コピーの連鎖」を繰り返し、魔素暴露と遺伝劣化で現在のドワーフは原初の姿をほぼ失う。
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肉体機械化: クローンの奇形や魔素影響を抑えるため、肉体の一部を機械化(蒸気義肢、魔素濾過装置)。一時しのぎにすぎず、機械化が進むほど「生命感」が薄れる。
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現在: 絶滅寸前、数百体程度が地下深くで延命を図るのみ。もはや純粋なドワーフとは言えず、おとぎ話的な存在に近づく。
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文化と信仰:
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鉱石信仰: ヴェルミリス鉱石を「大地の心臓」と崇め、魔素を「試練」と見なすが、信仰心は薄れ実用主義に傾く。
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伝統: 工芸(蒸気機関車、オートマトン製作)が誇りだったが、現在はクローン装置や生存機械の維持に注力。酒好きの習慣は残るが、楽しむ余裕はほぼなし。
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精神: 絶望と諦めが支配。種の終焉を自覚しつつ、技術にすがる。
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技術:
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クローン技術: 鉱石を動力とする「生命複製炉」でクローン生成。コピー回数の増加で遺伝劣化が進み、知性や体力も低下。
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肉体機械化: 蒸気義手、魔素濾過装置、スプリング脚などで生存期間を延ばすが、感情や生命感が希薄に。
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社会構造:
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指導者不在。技術者集団がクローン作成と機械修理を分担し、生存優先。個体間の絆は薄い。
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他種族への影響:
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人間: 技術の残骸が裂谷R経由で流れ込み、冒険者が回収。絶滅危機は知られず、「山の隠者」としておとぎ話化。
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エルフ: 自然重視の価値観で交流なし。
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鉱石信仰
起源(大崩壊前:数千年前)
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信仰の始まり:
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北の山脈で最初にヴェルミリス鉱石を発見したドワーフの採掘者たちが、その青白い輝きと微かな振動に神秘性を見出した。
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鉱石が蒸気機関を動かす強力なエネルギー源となり、地下都市の繁栄を支えたことから、「大地の心臓」として崇められる。
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初期の信仰は実用的で、「鉱石は我々に力を与える神の贈り物」とされ、採掘者たちが酒を酌み交わしながら感謝の儀式を始めた。
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呼称の誕生:
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「我が蒸命」の原型がこの時期に登場。ヴェルミリス鉱石を「命を蒸す力」と呼び、技術と信仰が結びつく。
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「蒸しの相棒」のような砕けた呼び方は、採掘現場での気軽な会話から派生。
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儀式:
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ヴェルミリス鉱石を祭壇に置き、蒸気音を響かせながら祈りを捧げる。
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「大地の心臓よ、我らの炉を燃やせ」と唱え、工芸の成功を願う。
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繁栄期(大崩壊前:数百年にわたり)
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信仰の確立:
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地下都市がスチームパンク文明の頂点を極め、蒸気機関車やオートマトンが鉱石の力で稼働。
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鉱石信仰が正式に体系化され、「ヴェルミリス鉱石は大地の意志を宿し、ドワーフに試練と力を与える」と教義化。
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信仰は技術者集団を中心に広がり、「我が蒸命」を神聖視する声が高まる。
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文化的発展:
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ヴェルミリス鉱石を加工した装飾品(青白く輝くペンダント)が信仰の象徴に。
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酒場で「蒸しの相棒に乾杯!」と叫び、鉱石への感謝と親しみを表す習慣が根付く。
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魔素の兆候:
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深部採掘が進むにつれ、魔素(瘴気)が漏れ出すが、当時は微量で「試練の風」と呼ばれ軽視された。
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信仰は「試練を乗り越える者にこそ力が与えられる」と解釈し、魔素への耐性獲得を神の恩恵とみなす。
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変質期(大崩壊直前~直後)
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魔素の覚醒:
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ドワーフがヴェルミリス鉱石の深部採掘で封印を解き、魔素が大陸全域に拡散。大崩壊の引き金に。
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信仰は揺らぎ、「我が蒸命」が試練を超えた呪いをもたらしたと一部が疑い始める。
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生殖危機の始まり:
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魔素暴露が深刻化し、新生児に奇形や不妊が現れる。信仰は「試練を耐え抜く者に未来が」と説くが、人口減少が止まらず。
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「大地の心臓」は依然崇拝されるが、「どうして我らを苦しめるのか」と疑問の声が上がる。
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衰退期(大崩壊後~クローン技術導入)
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信仰の試練:
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地下都市が衰退し、魔素濃度の高まりで生存が困難に。信仰は「我が蒸命に祈れば救われる」と説くが、効果は見られず。
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クローン技術が導入され、鉱石を動力とする「生命複製炉」が信仰の新たな象徴に。
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「蒸しの相棒」が皮肉を込めて使われ始め、信仰心に絶望が混じる。
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技術と信仰の融合:
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ヴェルミリス鉱石を「神聖な力」と呼びつつ、クローンや機械化に依存。「我が蒸命よ、我らを救え」と祈る儀式が日常化。
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しかし、コピーの連鎖で遺伝劣化が進み、信仰への信頼が薄れる。
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異端の再燃:
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一部のドワーフが「鉱石は我らを滅ぼす悪」と唱え、信仰を放棄。主流派は「試練を否定する裏切り者」と処罰。
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末期(現在:絶滅寸前)
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信仰の形骸化:
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ドワーフは数百体に激減し、クローンと機械化で異形化。原初の姿を失い、信仰は実用主義に傾く。
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「我が蒸命」は神聖な呼称として残るが、「蒸しの相棒」と気軽に呼びつつ、その裏に諦めと皮肉が滲む。
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儀式は形式的に続き、「大地の心臓よ、我らに最後の力を」と唱えるが、希望はほぼ失われる。
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信仰の終焉:
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鉱石への依存が種の滅亡を招いた事実に直面。信仰は「試練を超えられなかった我らの失敗」と自嘲的に解釈される。
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ドワーフの歴史は、信仰が救いではなく呪いとなった悲劇として終わる。
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