7.テロリストの造船所
ベネック星系でテロリストの戦艦を撃破した第1艦隊は調査船を要請、船体や内部構造の調査が行われた。
その結果、なんと彼らは異星人の遺した古い造船所を発見しており、これを占拠して稼働させることで艦隊戦力を得ていたらしいことが判明した。恐らくライテウス級戦艦の設計図も、そこに残されていたものだったのだろう。
造船所の大まかな位置は同時に特定できたため、調査船でそこまでの航路を探査した後に第1艦隊が破壊作戦を行う事になった。
それから二か月後、航路上の星系の探査を終え、セークスーミア星系に入った調査船が造船所を発見したとの報告を送ってきた。
...今度はシタデル級要塞なの?
シタデル級星系要塞は、本来かなり技術力が進んでいないと建設できない規模の星系基地だ。
「最後の坩堝教」が調子に乗っていたのは、どこかの異星人が遺したこの大型造船基地と、そこに残されていた技術を得たからなのだろう。
もちろん放置するわけにはいかない。相手が星系基地、さらに防衛艦隊にまたしてもライテウス級戦艦がいるという事も考慮し、武装をアップグレードした上で増産したコルベット15隻の第1艦隊で破壊作戦を決行。
↑造船基地と敵戦艦のレーザー砲を受けながら突撃する第1艦隊。
↑防衛艦隊を退け、造船基地を包囲して新開発の反物質ミサイルを一斉射撃する第1艦隊。
造船基地もレーザー砲で必死に反撃しているが、多勢に無勢なのは明らかだ。
不幸にも15隻のコルベットのうち一隻が撃沈されてしまったが、造船基地を破壊。
捕虜にしたチーフエンジニアから造船基地に眠っていた技術情報を入手できた。(工学ポイントだが)
だが、まだ教祖は逃亡を続けている。造船基地で建造された最後の戦闘艦に乗っているらしい。
8.最後の抵抗
半年後、ついに最後の坩堝教の旗艦を発見したとの連絡が入った。
首都星系にほど近い未探索の星系に潜伏していたようだ。
最後の坩堝教の旗艦、それはライテウス級よりもさらに強力な武装を搭載した、神の栄光級戦艦「創造の夜明け」だった。
神聖ヴァルートではまだ研究中の兵器「青色レーザー砲」や「改良デフレクター」など、多数の効果的な武装を搭載している。
だが、第1艦隊も半年間ただ待っていたわけではない。
先の戦いで喪失したコルベットを埋める形で、第1艦隊旗艦に新設計の駆逐艦を先行配備したのである。
↑艦隊の先頭を往くライケスター級駆逐艦「バクー」
多数のコイルガンを備え、シールドだけでなくセラミック装甲も搭載している。
さらに、第1艦隊出撃と同時に、母星ヴァルートの空に突如として彗星が姿を見せた。
「我々には母なるヴァルートの神々だけでなく、無限の宇宙に輝く星々の加護もある」
空を見上げたヴァルートの人々は、第1艦隊の勝利を確信しただろう。
この知らせは第1艦隊にも届き、艦隊の士気をより高いものとした。
そして数か月後、第1艦隊はレーダーに最後の坩堝教主力艦隊を捕捉。ミサイルの一斉射撃を皮切りに艦隊決戦の火ぶたが切られた。
↑エタン・ステラ星系にて、最後の坩堝教の主力艦隊に突撃する第1艦隊。
艦隊旗艦 バクー は敵旗艦 創造の夜明け の青色レーザー砲を受けながらもコイルガンで反撃している。
敵艦隊の攻撃は旗艦であるバクーに集中。
旗艦喪失による士気と後の戦力低下を危惧したミシェル・パッラヴィチーノ提督は、船体へのダメージが深刻になる前に緊急FTLによる戦闘離脱を決意する。
だが、坩堝教の教祖がバクー離脱に喜んだのも束の間、創造の夜明けに突如として次々とミサイルが襲いかかった。
何のことはない。これこそが第1艦隊とミシェル提督の狙いであり、バクーに攻撃が集中している間に第1艦隊の精鋭シュライク級コルベット14隻が的確に敵コルベットを攻撃し、次々に撃沈。
バクーが離脱したときには、既に坩堝教艦隊は旗艦ただ一隻になっていたのだ。
旗艦自ら囮になるという危険な戦術でもあったが、最後の坩堝教の艦隊と戦い続けその動きを熟知したミシェル提督の経験がこの戦術をうまく働かせることに成功した。
激しいミサイル攻撃の末、とうとう戦闘能力を失った旗艦 創造の夜明け は沈黙した。
突入のため、ただちに首都ヴァルートより精鋭の陸戦隊が招集され、彼らを乗せた輸送船が沈黙した敵旗艦に横付けされた。
↑横付けされた輸送船。この時敵艦内部では最後の坩堝教の教団員らが文字通り最後の抵抗を続けていた。
陸戦隊の指揮を執るシャーロット・リヴァース将軍は召集の際、部隊指揮官を強く熱望していた。
過去に彼の親族が最後の坩堝教の起こしたテロに巻き込まれて亡くなっており、親族を殺した最後の坩堝教に自ら最後の引導を渡すためだという。
将軍だけでなく、第一輸送艦隊に乗り込んだ精鋭陸戦隊兵士は皆、最後の坩堝教撲滅を強く願う志願兵ばかりであった。
こうして、帝国の銀河進出と同時に始まった最後の坩堝教との本格的な戦いは、30年の年月を経て終結した。
そして、第1艦隊の多数の反物質ミサイルを受けてなお原形をとどめていた頑強なこの戦艦を、艦隊司令部は再利用する事に決定した。
陸戦隊兵士や最後の坩堝教の被害者遺族のうち幾何かから反対もされたが、艦隊司令部は修復の際に艦内に残された最後の坩堝教のシンボルなどを全て撤去し、一連の事件による被害者の名を刻むと発表し、彼らを説得した。(無論説得だけでなく実際にこれらはすべて実行された)
そして、艦名は「創造の夜明け」から「ライテウス」へと変わる事になった。
創造の夜明けという名前自体は最後の坩堝教が付けたものである事が主な理由であり、ライテウスとはあの異星人の遺物造船所に遺されていた設計図に書かれていた艦名である。
そう、本来は神の栄光級戦艦こそが「ライテウス級戦艦」という名で設計されていた。
永き時を経て蘇った戦艦は、ついに真の名を取り戻したのだ。
↑首星ヴァルトロスをバックに並ぶ第1艦隊のシュライク級コルベット、駆逐艦バクー、戦艦ライテウス、第一輸送艦隊
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