ヒュームは一夫一妻制を取り、そのため貴族は家系同士の繋がりを重視して幼い頃から誰と婚姻を結ぶかを定める者も少なくない。
しかし平民でそこまでのことをする者は滅多におらず、基本的には自由に結婚の相手を探すことが大半である。
また、長命種に分類されるヒュームは番いとなった後も、相手の死後は新しい相手を探すこと珍しいことではない。
体躯もよく、様々な仕事をこなせる器用さを持ったヒュームは奴隷としての需要が高く、見目麗しいものは娼館に売られることが多い。
また、人口の多いヒュームはそれに比して娼館での需要も高い。
その反面ヒュームの価値観では娼館勤めは低い身分の者の仕事であるという見方が強く、実際に貧農が人買いに売られていく例も少なくない。
ドワーフは職人気質の者が多く、結婚については淡泊な見方をする。
別に気が向けば結婚をするし、そうでなければ別に気にならないとする見方だが、そうはいっても適齢期には適当な相手を見つけて身を固める例がほとんどである。
ほとんどが職人として加工や細工、あるいは戦士や膂力を生かした仕事をする者が多いので、一夫一妻で終わることがほとんどだが、多くの妻を娶ることも否定はしない。
反面、娼館勤めには否定的な見方をし、本人よりも娼館勤めをさせる両親や家庭に非難の矛先が向く。
もっとも、筋骨隆々で短躯なうえ、外見も厳ついドワーフは娼館でも人気がない。
奴隷として売られる場合も、需要のほとんどが労働力としての価値である。
ノームは短命種のため、子どもに出生時に親が結婚相手を見つけることが通例。
親がいない場合は、養育者が結婚相手を探すのが普通であり、自分で相手を決めることは少ない。
短命であるノームは一夫多妻を認めながらも、ほとんどの場合は一夫一妻に落ち着く。
これはほとんどのノームが多くの家族を養うほど経済的に恵まれた者が少ないためであり、多妻のノームは一部の貴族のみである。
娼館勤めをするものはやはり奴隷として売られてきたものが多いが、短命なノームは労働奴隷としてはあまり好まれない反面、体格が小さく外見の幼いノームには、娼館では一定の需要がある。
エルフは種として性に対して閉鎖的な方に寄った考え方をしており、他種族との性関係をあまり良しとしない。
これは背景として、エルフが長命種であり、他種族の子や孫より長く生きることが珍しくないためである。
また、ほとんどのエルフは一夫一妻制であり、ひとたび番いとなったら生涯その相手のみを愛し、死別した後も新しい相手を選ぶことはない。
また、種として魔術の才に恵まれた者が多く、薬草や加工の知識を持つものが多いエルフは他に生きていく術を探しやすく、娼館勤めをするものは極端に少ない。
そうした事情もあり、眉目秀麗なものの多いエルフは娼館では特に需要があるが、そこに勤めるエルフはやはり奴隷出身か、本当に他に生きる術を持たないかのどちらかである。
サンドフォークは厳格な一夫一妻制で、性に対しても閉鎖的な考え方が主流。
これは婚姻で氏族同士の血の繋がりを作り、氏族を強くすることを重要視するためである。
また、サンドフォークの娘は父親の所有という考え方が強く、未婚の女子は肌をさらすことを許されないという文化がある。
そのため、サンドフォークは娼館勤めを当然のように忌避すべきものとして考え、身内に娼館勤めをさせるなど、まっとうなサンドフォークであれば考えられない。
サンドフォークにとって未婚の娘は氏族の内外の絆を強めるための資産であるという側面があるためで、逆に娼館勤めをしているサンドフォークというのは奴隷として売られてきたか、氏族が滅んで他に生きる術を持たないかのどちらかである。
卵を出産後は、妻となった女性が家庭内で育て、あまり外にそのことをひけらかさない。
これは陸生で敵の多いサンドフォークにとって、卵を抱えているというのは弱点であることに他ならないからだと言われている。
ツリーフォークは発情期の周期が一年以上ある者が多く、滅多に妊娠をしないこともあり性に対してはおおらかで開放的な考えのものが多く、衣服も最低限で体を淫靡なものとして考える文化がない。
また、長命な種であるツリーフォークはあまり結婚して番いになるという考え方が薄く、その意味では多夫多妻に近い考え方をする。
娼館に勤めることも「そういう職業の選択肢もある」くらいの考えの者が多く、娼館以外での性交の機会も多いため、娼館では逆に人気がない。
奴隷としても長命で頑丈な樹人種のツリーフォークは他にいくらでも需要があるため、わざわざ娼館に売られてくるものは少ないが、花人種のツリーフォークは短命で、美しいものが多く、こちらは娼館でも需要が高い。
マーフォークは、北海種と南海種で性に対する考え方が大きく異なる。
北海種のマーフォークは出産とは種の維持のために必要なもので、誰の子でも産み、誰の子でも育てる、という文化思想がある。
また、誰の子どもであるかはあまり問題にはされず、子育ては集団で行い、誰の子でも育てる。
それは北海マーフォーク全体が「龍の末裔である種」の数を増やすことが目的として大きいというのが理由として挙げられ、そのための余裕が少ないという北海の厳しい環境が背景にある。
そのため、はっきりと多夫多妻制で、種族全体で余裕のある時は子を増やし、余裕がない時は全体で統制する。
一方、南海種のマーフォークは逆で、相手を選ぶ余裕のある生活を送っている、という理由が考えられる。
南海マーフォークは特に身分制度がはっきりしており、基本的には同程度の身分の相手から結婚相手を選ぶという文化がある。
また、卵を出産した日を祝い、孵化した日を祝う風習を持ち、一般的なマーフォークは共同孵化場を利用して卵の世話をする。
個別の孵化室を用意できるのは一部の貴族だけである。
基本的には一夫多妻制で、余裕があれば多く家族を作ることを咎める感覚はないが、それを養うためには多くの財力が必要で、それが賄える限りは許される、というだけなので平民は概ね一夫一妻制に近い形態に落ち着く。
種としては性に開放的な考え方に寄り、娼館勤めも気軽に行う。
暖かい南海では肌の露出が多くなる傾向にあるが、羞恥の情は持ち合わせており、要所を隠すことは忘れられていない。
種族全体の特徴として、乾燥や熱に弱いマーフォークは海から離れては生きられない。
そのため奴隷としての販路は西方諸島に限られ、娼館でマーフォークを見ることができるのも南海と西方諸島、あとは南域のフォイファン程度である。
ゴブリンは一夫多妻制をとっているが、概ね力のある長や実力者が同種の娘を独占して娶る。
そうでない者は異種族の娘を攫ってきて、繁殖用家畜として飼育する。
この時、出産の負荷に耐え切れず命を落とす者も多いが、ゴブリンはそれを惜しむことはない。
繁殖に貪欲なゴブリンに子どもは誰の子、という概念はなく一族全体で、主に長の妻たちが育てる。
短命で貪欲、凶暴なゴブリンは奴隷としての価値はほとんどなく、娼館という概念もないため、多くの場合は奴隷にしても儲けが出ないため、殺される。
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