元々は中央の都市国家同盟に所属する小国だったササンだが、現在は東域に属する農村である。
都市国家同盟は力の強弱はあれど建前上は対等な国であり、平時には基本的に相互不干渉の約定があった。
しかし、当時ササンを治めていた領主であるイスタールは、帝国の第十三次南征に協力し、西から東域を攻める兵を挙げ、シェラハザードを衝いた。
帝国の主力が上顎連山を迂回し、ウェルテミド方面を攻める動きに呼応したのは、帝国から金で懐柔されたのだとも、帝国大学に留学した娘のタラミアを人質に取られたのだとも、元来親帝国派なのだとも言われているが、真相は定かならぬままである。
結果としては東西交易路を五日で駆けた砂漠の狼と謳われたイルイザーク将軍率いる軽騎馬兵隊による迎撃が間に合い、イスタール率いるササン軍は敗走。
イルイザーク将軍の追討は徹底的なもので、イスタールは再びササンの地を踏むことなく討たれた。
さらにイルイザーク将軍はシェラハザードを攻める帝国軍の後背を衝き、帝国の南征を阻んだ。
この大返しにも関わらずイルイザーク将軍の精鋭軽騎馬兵には脱落者がほとんどなかったとされる。
後日、ササンは東域軍の侵攻を受けたが、主力を失い領主を討たれたササン軍の士気は低く、以後ササンは東域に吸収されることになった。
現在ではササンは東域の主要な小麦の生産拠点であり、中央からは塩の生産拠点が失われることになった。
東域に吸収されたと言っても、基本的な生活は中央領であった頃とほとんど変化はなく、牧歌的な生活が営まれている。
しかし支配層はそうはいかず、特に領主であったイスタールの家系は断絶、資産の没収などがあった。
ササンの件を契機として、都市国家同盟も反帝国が主流となり、都市国家間の連携も強化されることとなった。
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