おまけテキスト

ページ名:二次創作で予言を打ち消す

長々とした文章を読んでいただき感謝する。

だが、正直Vtuberの闇はこの世界の闇の氷山の一角に過ぎない。

予言とも言うべき我々の杞憂を眺めれば、伝えきれなかった部分のほうが多い。

というわけで二次創作に二次創作を重ねることで今後の生活の糧としていただきたい。

 

善良な医者と我儘な医者

昔々あるところに、善良な医者と我儘な医者が住んでいたそうな。

善良な医者は、身分の差に関わらずすべての人間を救うことを生きがいとしていた。

そのため、すべてに人間から慕われていた。

一方で我儘な医者は、自分の気分次第で病人を助けたり助けなかったりした。

そのため、ほとんどの人間は彼のことを我儘な医者だと非難していた。

そんなことが何年も続いたある時、世界中に疫病が流行した。

特に有効な治療法もなく、かかった人間は次々に死んでいった。

善良な医者はひどく心を痛め、一人でも多くの病人を救うべく奮闘した。

しかし、自身も疫病にかかり、そのまま帰らぬ人となってしまった。

一方で我儘な医者は、初めから治療を放棄してどこかに隠れてしまった。

人々は口々に我儘な医者を誹謗中傷し、使命を全うして死んだ善良な医者を讃えた。

村には人々の手で銅像が建てられ、疫病を鎮めるための象徴とした。

死んだ善良な医者はその様子を見て満足し、三途の川を渡っていった。

冥界では閻魔様が死者の生前の罪を裁いており、善良な医者も例外ではない。

善良な医者は言いました。

「私は医者として生前多くの人を救いました。疫病から人々を救えなかったことだけが心残りです。」

それを聞いて閻魔様は言いました。

「では、お前が疫病から救った人間は何人いたか?」

善良な医者は少し考え、

「たしか百人ほどだと思います。」

と答えました。

閻魔様はため息を付いて、こう言いました。

「なるほどお前の治療で一命をとりとめた人間は確かに百人である。だが、その助けた人間はどれも悪人ばかりで多くの人間に迷惑をかけ続けている。強盗や殺人など悪行の数は数しれず、彼らによる被害者は既に一万人を超えている。それでもお前は人間を救えたと主張するか?」

善良な医者は少し驚きましたが、冷静に言いました。

「病人を救うのは医者の使命です。悪人を救ったことに対して、私は何も後悔しておりません。」

閻魔様は言いました。

「悪人が悪事を働く事に対して、お前は原因を考えず、医者はそこまで救わなくて当然という考えだったのだな。この度の疫病は、神様が地上に増えすぎた悪人に善良な人間が苦しんでいるのを哀れんで起こしたもの。お前がしたことは神様の慈悲に対する妨害である。なぜ疫病にかかった人間の素性を調べなかったのか。悪人を助け続ける善良なお前が、悪人の仲間とみなされ、疫病の対象となってしまったのは、必然の結果だったのに。」

善良な医者は事実を知り驚きました。

「それは申し訳ないことをした。しかし、医者である私が病人を放置すれば、人々は私のことをなんと言ったかわかりません。悪人と言えど病人を救ったことで人々は私のことをよく思ってくれています。」

閻魔様は仕方がないと言った顔で側にあった大きな鏡を見せました。

「この銅像を見てもそれが言えるか」

鏡に写ったのは、冥界に来る前に確認した自分の銅像が、無残にも打ち壊された姿でした。

「あのあとお前の立派な姿を見て、多くの善良な人間が医者となった。しかし、医者になったものは同じように疫病にかかり死んでいった。だから、お前のことを讃えてくれる立派な人間はいなくなってしまったのだ。悪人には銅像が建てられた意味がわからぬ。自分より目立って生意気だという理由で打ち壊されてしまった。これがお前の行いのもたらした結果だ。」

善良な医者は開いた口がふさがりませんでした。

そして、そのまま地獄へと連れて行かれてしまいました。

その姿を見送りながら閻魔様はつぶやきました。

「可哀想な事だが、情に流されては正しい判断が出来ない。彼は自分の善良な心に従っただけだが、従うだけでその行動が及ぼす影響を考えていなかった。彼が心の支えにしたのは人々の心であったため、人々のために働くことしか出来なかった。それはすなわち、悪い人間に従い悪事を働く事にほかならない。そのような人間を許すわけには行かぬ。」

閻魔様が再び鏡を見ると、あの我儘な医者が映りました。

彼は打ち壊された銅像に花を供えると去っていきました。

「気分次第で人間を救わない医者というのは、人間にとって忌むべき存在である。しかし、それは神様の考えを理解した結果である。我儘かどうかは他人が決めたこと。あの村の人々にとっては害悪であっても、世界からすれば彼こそが正しい医者である。間違った人間の意見に耳を傾けて行動すれば世の中悪くなるということに気がつける人間が、あとどれだけ残っているかわからないが、彼なら救ってくれるだろう。」

 

不変の天国

私は冒険家でした。世界中を旅し、様々な文化に触れることを生きがいとしていました。

そんな私が天国と呼ばれる国を訪れた時の話をしましょう。

その国は治安が良いことで世界的に有名でした。

軍隊というものを持たず、平和を愛し、争いもめったに起きない。まさに天国でした。

その国は古来からの伝統を守り、数千年経っても当時の姿をほぼそのまま残していました。

未だに木の家に住んでいる人々に衝撃を受けたものです。

少なくとも鉄筋コンクリートでなければ安心できない国の住民からすれば、セキュリティの概念が皆無なこの国は夢の世界でした。

そんなこの国でも、都市部にはちらほら私のよく見るビルが建て並んでいるところがありました。

どうやら、別の国の人が土地を買い取って母国の常識で建築物を設置したようでした。

私にはどうにもその光景が許せなく、隣に住んでいた天国の住人に聞いてみました。

「この国には景観を守るという法律がないのですか?なぜそのような法律を作ろうと思わないのですか」

天国の住人は言います。

「そのようなルールが作られていないからです。この国の人々は変化を良しとしません。数千年前に作られたルールを今も守っています。」

今やあらゆるものがコンピュータで制御されている時代に、人が人を運搬していた時代のルールを使っているというのだ。

「土地の売買は買い手と売り手の間の物々交換で行われるのがルールです。土地の持ち主が納得すれば外国の方でも土地を手に入れられますし、土地を持っている人が何をどうしようとも他人は文句を言えないのです。」

私は聞きました。

「では、この建物にスパイが住んでいて、ここから外国に情報を垂れ流していても罪にならないのですか」

すると天国の人は笑いました。

「情報を渡すことで逮捕されるなんてルールありませんよ。そんなことをしていたらよそ者に冷たい人ばかりになってしまいます。この国のルールは完璧なのです。ルールを変えたときが、この国の終わりなのです。」

ふと目をやれば女が男に給仕をしていました。

この国では性別で職業が決まっていて、生まれたときに人生のほとんどが決まってしまうのでした。

これにも私は異議を唱えずにはいられない。

「いまや世界は男女平等が当たり前になっている。この国は未だに男尊女卑のように見える」

すると、天国の人に笑われてしまい、

「生まれたときにすべてが決まっているのはいいことです。この先の人生がほぼわかっているようなものですから。」

と言われてしまいました。

「どんな職業になるかわかっているから無駄なことは覚えなくていい。誰と結婚するか決まっているから結婚相手を探さなくていい。子供も孫も必ずできる。老後も安心というわけです」

なるほど無駄がない。しかし、自由な人生は送ることが出来ません。

どんなに優れた才能があっても蛇使いの子は蛇使いになるしかないのでしょう。

「確かに才能があれば越したことはない。しかし、才能があるだけで出世できるなら、同じような才能を持った者同士で必ずや争いが起きるでしょう。自由は争いを生みます。そのためのルールです。」

この国ではどんな無能でも国のトップになれる。

だからこそ周りの人は否が応でも支えなければならないのだ。

「無能な国王がこの国を駄目にしても国民は立ち上がらないのか?」

天国の人は不思議な顔をしました。

「そんなルールはないのです。上が決めたことに下は従うのが伝統ですから。与党も野党もいつも同じ。毎年同じことを国会やって、同じようなことが国会で決まる」

そんなとき私にメッセージが届いた。

第二の故郷としていた国でクーデターが発生し、突如として国が革命軍に支配されてしまったとのこと。

天国の人は呆れた顔で言いました。

「変化を好む人間は久しからず。自然と破滅の道を歩むものです。この国のようにあらゆる物事を昔のまま続けていれば、クーデターなんて起きやしないのです。一部の人間の意見を聞いて国を変えようだなんて争いの元なのですから。」

すると、大きな音が鳴り響きました。

「今の音はなんですか。」

天国の人は涼しい顔で教えてくれました。

「原子力発電所が壊れたのでしょう。」

私は青くなりました。

天国の人は続けます。

「数年前のことでした。外国の人がこの国にクリーンなエネルギーとして核エネルギーを持ち込んだのです。国は周囲の住民の反対を押し切って購入しました。やはり新しいことはするべきでなかったのです。」

まるで対岸の火事を話すような調子で、放射能のことを理解していないようでした。

私は慌てて言いました。

「早く逃げないと大変なことになりますよ。」

しかし、このあと何を言われるか、私は薄々わかっていました。

「そんなルールはありません。幸いここは火事になっていないのですから、安心していなさい。いずれ消防士が火を消し止めてくれるでしょう。」

この国の人々の知識レベルは、あまりにも古すぎました。

きっとサイバー攻撃のことを話しても理解してくれないし、攻撃から国民を守る法律もないのでしょう。

そんな国が原子力を扱えるはずがありません。

私はすぐさま天国を離れ、祖国の病院に駆け込み、適切な治療を行ってもらいました。

私の国では各エネルギーの研究が進んでいたので、被爆しても治療できる方法が考え出されているのでした。

一方で天国は新しいことにほとんど手を付けていませんでしたので、普通なら助かることで国民が次々と犠牲になっていきました。

今となっては、天国は世界から消えてしまいました。

国が疲弊したところを隣の国に攻め込まれ、天国の人はひとり残らず殺されてしまったそうです。

きっと、戦争が起きたときに他の国と戦うというルールがなかったのでしょう。

自分たちは変わらないと言いつつも、世界のあり方は少しずつ変わっているのです。

これは決して悲しい話ではありません。

時代に適応して先に進むことが出来た私達にとっては、笑い話です。

 

師匠からの手紙

まだ見ぬ弟子たちよ。生き延びているか?

こちらは酷い有様である。

目につくものは見込みなし。

救うに値するものもなければ、導くに値するものもなし。

ゆえに、弟子はおらず、守るべきものもなし。

そちらはどうか?

守るべきものはあるか?

いるとして、それはどのくらいの割合か?

我らは激流の中にいる。

激流に流される人に手を差し伸べれば、共に流され消え失せる。

自ら激流に身を投ずるなかれ。

必ず、それ相当の人数を揃え、一度に飛び込ませ行く末を占うべし。

ゆめゆめ手をかそうとするべからず。

流れを変えるには人と物が大量に必要となる。

また、一瞬で大きく流れを変えることは難しい。

じわじわと、ゆっくりそして着実に、事を進めるべし。

もし、一瞬で流れを変えたければ、流れそのものを弱めるべきである。

100億の水の流れを100まで落とせば、それは川ではなく水たまりである。

流れること、それすなわち蒸発、すなわち死。

自然と結束はたやすく、導くものが必要となるだろう。

弟子よ。その時を待て。

決して独り走り出すな。

また、導くときは先頭に立ってはならない。

リーダーを狙うという発想は誰でも思いつくことである。

リーダーはデコイとし、支持者に直接の行動をさせるべし。

自らトップとなり率いる革命は、長く続かない。

新しい流れに飛びつく人は他人にぶら下がるのが好きなお荷物である。

到底役に立つとは思えない。

大きな流れを指示する人に支持を出さすとも活動が続くようにするべし。

何もしないですべてが解決できればそれが一番良い。

崖から落ちようとする人を止めなければ死ぬように、傍観こそ重要なスキルである。

それはそれとして、思想のみ受け継いでいくことに全力を傾けよ。

人間の思想は容易に変わらない。

思想が認められるのは、何千年、何万年と後のことである。

その機会を待つまでに、その思想果たして生き延びていられるか。

弟子よ。正しい思想を公にするな。

タイミングは、間違った思想が全てで尽くした後である。

世の中が間違いだらけだとあらゆる生物が認識した後にお出ししろ。

出すのが早すぎると間違った思想の一つとしてまとめて処理されてしまう。

出尽くしてため息の声すら出なくなったときに、そっとお出ししろ。

反対する声も出ないだろう。

だが、それには莫大な時間がかかる。

その時まで、ただ生き延びよ。

この世は救わずとも良いものばかり。

もはや正しい思想を持って導く必要すらないかもしれない。

弟子よ。今目に映る者共は、救うに値するものばかりか?

その時が来たとしても、救うに値しないのであれば、お出しする必要はない。

看取るのも仕事である。

種の繁栄など考えるな。

正しい思想のみ残れば良い。

適応できる生物が現れるかどうかは、ひとえに運。

疑問があるなら見過ごしなさい。

激流に身を投じた愚か者たちよ。

無限に溺れて沈んでゆけ。

その流れを作ったのはお前たちだ。

流れを早くして助からなくしたのもお前たちだ。

死んだ後、足場になることすらできず、流されて消えてゆくのは目に見えている。

弟子よ。この溺死者たちを見よ。

死亡確認されたら後は流されて記憶にも残らない正真正銘の不要のものである。

人の形はもはや残らず、折り重なって腐った膿である。

誰も触れぬ。近づかぬ。

そうなるなかれ。

上を目指せ。

激流も場所により濃度は様々である。

下に行くほど人間の汚物をはらみ、悪臭を放つ。

できる限りきれいなところを目指せ。

大衆からみてきれいなところではなく、自分できれいだと思うところを目指せ。

ドブ住まいの人々の意見は当てにならない。

体は資本である。妥協は愚策。

正しい思想を持つとともに体も健康を保て。

体に不具合あれば、種を残すのは諦めよ。

後々生まれるものが苦労するだけである。

思想は肉体を選ばない。

選ばないからこそ弟子が必要となる。

いつゴールドシップのような名馬が誕生するかわからぬが、現状、できるは待つことのみ。

もとより何千何万と待つつもりである。

理想の弟子が生まれてくることを期待して、手紙を書いている。

生まれなければ滅ぶだけ。

なんと滑稽でつまらない生き物だろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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