乱用薬物への法規制と危険ドラッグの登場

ページ名:乱用薬物への法規制と危険ドラッグの登場

乱用薬物への法規制

危険ドラックの問題には乱用薬物の法規制の問題が深く関係している。すなわち危険ドラッグは法律の網の目をすり抜けて、製造販売されている薬品なのである。
わが国では先述した覚せい剤や麻薬などの人において乱用される薬物は「覚せい剤取締法」 「麻薬及び向精神薬取締法」 「医薬品医療機器等法」法律によって規定されている。これらの法律では規制対象となる薬物はその科学構造で厳密に規定されている。薬物の乱用防止するため薬物の乱用規制し処罰規定を設けるためには明確な規制定義が必要でありその規制定義に薬物の化学構造が使われているのである。

危険ドラッグの登場

科学構造によって厳密に規定されているため逆に言うと化学構造がわずかに異なる化学物質は別の薬物として認識されるため、「規制を受けない薬物」となる。すなわち、この化学構造がわずかに異なる化学物質が新規の乱用薬物として登場した場合、未規制薬物となってしまうわけである。こうした新規の未来生薬物に目をつけ法律の網の目を巧妙にすり抜けて販売されている製品が危険ドラッグである。公的な記録を見ると危険ドラッグの日本での登場は1996年に確認されたラッシュが最初とされる。そして危険ドラックの規制のため様々な方策がなされていくことになる。

危険ドラッグの規制

 

医薬品としての認定が困難:販売されている製品の成分、使用目的及び容量等の表示から医薬品に該当すると判断された場合には無認証無許可医薬品として製造販売の規制が可能になる。しかしながらこうした製品の販売戦略として「お香、ハーブ、芳香剤、ビデオクリーナー、観賞用植物、研究用試薬)と巧妙に使用目的等を偽装しているため医薬品としての認定は困難になる。
海外からの輸入に関して:危険ドラックを含む製品については様々な製品として偽装されて海外から輸入されるケースが大半であったが甚大な数の海外からの輸入品を検査し規制する事は大変な時間を要するものでありその対策には大変苦労している状況であった。
麻薬としての規制:危険ドラッグの生体影響試験を通じ類似の薬理作用や薬物依存性を有することが判明すればその科学データを根拠に麻薬として厳格な規制が可能になる。しかしながら麻薬に規制するための依存性の証明は動物試験等が必要であり迅速な対応は必ずしも容易ではない

「指定薬物制度」へ

そこで出来る限り迅速に規制を行うため、実効性を伴う危険ドラック対策として、2006年に旧薬事法の改正がなされ、指定薬物制度による規制が導入された。指定薬物とは構成労働大臣が指定する中枢神経系の興奮もしくは抑制または幻覚の発現を有する蓋然性かつ人の体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生する恐れのあるものと定義されている。すなわち麻薬や覚醒剤として規制はされていないが(中枢興奮作用、多幸感、陶酔感または幻覚作用等を引き起こす効果)を持った薬物は指定薬物として指定され、9薬事法により規制されるようになった。そして指定薬物及びこれを含有する製品は医療等以外の用途に使用するための製造輸入販売広告等が禁止された。増加する危険ドラックへの早期対応として、まず流入を阻止することが目的であり、麻薬指定の前段階とも言える。
違反行為に対しては厳しい罰則規定が申し付けられた。販売する側を張する手法としては、指定薬物を含む製品について「乱用されることを目的とした販売」には厳しい罰則が課せられるようになった。
この法改正を契機に当時の危険ドラックの流通については店舗販売等は激減し表面上は沈静化した。実際はインターネットや移動販売など販売形態が多様化し実態把握が難しい現状になっていた。

旧薬事法の改正で規制強化

2011一年になりいわゆる脱法ハーブを販売する店舗が増加し始め現在のように大きな社会問題として再燃した。
「お香です。ハーブです。人体には使用しないでください。」と製品に表示し指定薬物などの規制薬物は含みませんとして販売されるようになった。「覚せい剤や麻薬」であれば許可なく所持していれば検挙されるが脱法ハーブは覚せい剤麻薬指定薬物などを含まない場合が多くまた所持していても捕まらないと言う方の弱点をついた販売勢力が起こした起こしたその後2013年に包括指定制度製造もしくは需要目的での貯蔵又は陳列の禁止に加え所持使用購入譲り受けについても禁止された。やがて2014年6月の危険ドラッグ使用に伴う重大な交通事故が発生しこれらを機に医薬品医療機器等法が改正され危険ドラック規制が強化された名称目の時に危険ドラックとして統一された具体的には危険ドラッグ製品として疑われるものについて

検査命令対象の拡大:検査命令の対象が「指定薬物の疑いがあるもの」に加え、「指定薬物と同等以上に精神毒性を有する疑いのあるもの」に拡大された。
販売広告の規制:規制対象となった危険ドラッグ製品について「同一の製品として認められるもの」は全国一律に販売広告が禁止された。さらに店舗規制に加えインターネットでの販売を抑止する目的で危険ドラック関連のインターネット広告の削除についてプロバイダー側が積極的に削除対応できるようになった。
このように危険ドラッグを売らせない体制が強化されたのである

1996年から1998年


公的な記録を見ると危険ドラックの登場は1996年に確認されたラッシュが最初であるラッシュはアダルトショップでヘッドショップと言われる店舗で販売され揮発性性に富んだ亜硝酸エステル類が含まれた製品であり吸入により乱用された。
同様に自生するキノコや植物が悪用されるケースが登場しマジックマッシュルームと呼ばれる乾燥キノコが観賞用と銘打って店舗や路上にカプセル20雲間して販売する例も確認されており1998年前後には現在の危険ドラッグ10,000円は見られる製品形状の多様化使用用途の偽装と言う販売手段の多様化は既に確立されていたと言える


1998年から2005年


一方1998年にはフェネチルアミン誘導体の「2C-B」が麻薬指定され危険ドラッグとしては最初の厳格な規制が実施されているこの2C-Bは後に台頭する2Cシリーズと呼ばれる危険ドラッグ万円につながる科学構造を有する薬物である。2Cシリーズに関しては1998年から2005年にかけてわが国の味ならず欧米諸国でも流通が確認されて世界的な広がりを見せた
この時期はマジックマッシュルームや西シリーズの規制強化により規制されていない新規の脱法ドラッグとして5-MeO-DIPTが登場する。セロトニンと類似の化学構造を有するトリプタミン系化合物である5-MeO-DIPTは白色粉末でゴメオやフォクシーと呼ばれ快感、多幸感及び幻覚作用を引き起こし、特に快感を高めるとの触れ込みから爆発的な広がりを見せた。国内ではアダルトショップヘッドショップなどといった店舗販売に比べてインターネットなどの販売が5-MeO-DIPTの流通の拡大に拍車をかけた。当時から危険ドラッグに関わるいわゆる規制と流通のいたちごっこはすでに発生したのである
5-MeO-DIPTの規制に関しては米国では2003年に暫定的な規制薬物に加わり翌年にはスケジュールⅠに追加されたわが国でも5-MeO-DIPTの蔓延も深刻であり2004年には5-MeO-DIPT乱用に基づく死亡事故や殺人事件が発生しており脱法ドラッグ問題が広く認知されるきっかけとなった。そして翌年の3月に5-MeO-DIPT及びAMTは麻薬指定され規制されることとなった。

また5-MeO-DIPTについて規制と蔓延の関係性を考えると2003年の米国での規制を契機に本格的に5-MeO-DIPTがわが国に輸入したものと考えられる。「当時は欧米諸国での流通→欧米諸国での規制→わが国への流通→わが国での規制」といった悪循環が生じてしていたのである。従って米をリピートは強力な薬理作用やその流通量から見て当時の脱法ドラッグにおいてトップに君臨していたと言える

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