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コルベットは宮崎駿原作の漫画及びアニメ作品『風の谷のナウシカ』に登場する架空の航空機(架空の兵器)。
独特な風貌を持つ前翼と後翼の面積がほぼ等しいタンデム翼機である。漫画版・映画版共に戦闘艦(作中では航空機はすべて船あるいは艦と呼ばれる)としての「コルベット(装甲コルベット)」が登場したほか、漫画版では王族が搭乗する戦闘艦としての「重コルベット」も登場した。本稿では両者について記述する。尚、現実世界でも小型の戦闘艦船の通称としてコルベットという名前が古くより用いられている。詳しくはコルベットを参照されたい。
多目的戦闘艦で、多人数が乗る船としては中型の部類に属する。劇中で単にコルベットと呼称した場合は、この装甲コルベットを指す。
機体は細長く機首は尖っており、下方の視界確保を重視した風防の直後に操縦席がある。機体中部では配管等が外部に露出しており、不時着時のクロトワの行動からエンジンがここに収まっていることが伺える。また、乗員の迅速な出入りの為に後部は大きく開口している。ほぼ同じ大きさの前・後翼を機体上面に肩持式に持ち、それぞれの左右の下部にエンジン噴射口・逆噴射口を持つ垂直な補助翼が備わり、これは着陸脚を兼ねた構造をしている。また後部の補助翼は機体との間にさらに水平な補助翼を持つが、これは後述の重コルベットには存在しない特徴的な構造。
武装は機首下部に前方固定の4基のロケットランチャーの発射器を持つほか、機体の前後左右と上部に複数の機銃座が配置され、劇中の航空機としては火力は比較的大きい部類に属する。また上部の銃座は主に上方への見張り台、つまりマストトップを兼ねている。見た目の大きさの割に機動性は低くはなく、クロトワの様な腕のある操縦士ならばガンシップやバムケッチ等の身軽な戦闘機を追い回すことも可能。不整地への着陸が可能であり、またタンクの破損や後翼に被弾しても飛行可能など多少の耐弾性を持つ。しかし一般の外壁はペジテのガンシップから機銃掃射を受けた際は機体に多くの穴が空き、内部に相応な犠牲者を出している。
艦内は後部開口部への扉がある描写があるが気密性は低く瘴気の中を飛行する際はマスク装着が必須になる。但し食料庫等、一部は密閉が可能な区域がある模様。艦内での連絡には伝声管を用いる。荷室にはナウシカのトリウマやメーヴェ等軽量であるなら多少の物資ないし人員の搭載も可能。しかしペイロード的には離陸重量の制限枠分程度の余裕でしかなくあまり重い物は運べない。そのため、傷ついた王蟲の子供を吊下し岸まで空輸した際には一旦艦内の重量物を外に降ろす必要があった。
クシャナ率いる親衛隊の旗艦・クシャナの搭乗艦として物語序盤から登場し、ペジテから逃走したブリッグの追跡や周辺同盟国のガンシップの先導、バカガラスの船団護衛などに当たった。アスベルの操るペジテ市のガンシップと交戦した際は、当初は銃座から射撃を行うばかりで護衛していたバカガラスは甚大な被害を受けるが、クロトワが操縦を代わったことで見違える動きを見せ、以降戦闘での局面ではクロトワが主に操縦桿を握った。
艦隊壊滅後は単独で腐海を南進、これにはナウシカも同乗している。物語前半の多くの場面に登場して活躍したが、最後はトルメキア占領中のサパタに着陸中に土鬼の砲撃を受けて大破炎上、火薬に引火して爆発を起こした。
以後、カボへの移動などには、将軍所有だったケッチを用いることになる。
機体上部にはクシャナの戦旗が収納されている。
機体は上述した漫画版の装甲コルベットと殆ど同じ描写がなされるが、機体中部に露出する配管等の描写は簡略化されている。また漫画版と異なりホバリングする機能を有しているが、通常の滑走による離陸も行っている。
序盤にクシャナ率いる艦隊の護衛機として登場している点は漫画版と共通ながら、クシャナは搭乗せず旗艦としては扱われていないのが大きな違いとなっている。また兵隊も装甲兵ではなく軽装の強襲兵で、風の谷を急襲した際は後部の開口部から城に兵士が乗り移るなど、強襲揚陸艦の様な働きもした。
中盤でペジテのガンシップと交戦した際は機動性に劣るのか苦戦(漫画版と異なりクロトワは搭乗していない)、バカガラスに乗っていた装甲兵を苛立たせている。最終的にはアスペルがナウシカに気を取られた隙にロケット砲で撃墜するものの、艦隊のバカガラスは全滅してしまった。
物語後半では単艦で作戦行動をとり、遭遇したペジテのブリッグに砲撃を加えたり雲に押し付けたりするなどの攻撃を行い、後部開口部からロープ伝いに兵士を乗り移らせてブリッグの接収を試みた。またブリッグからメーヴェで脱出したナウシカを追い回す。しかし風の谷のガンシップと遭遇、真正面から砲弾を受けて撃墜された。
漫画版に登場するコルベットを改良したと思しき大型機で、主に王族が搭乗。装甲コルベットと似たシルエットを持つながら、その性能や外見は全体的に大きく変化している。
大きさは装甲コルベットに比べるとかなり大きく、全長に限ればバカガラスのそれを凌ぐほど。機首の操縦席がコルベットの上方視界に劣る特徴的なものから格子状の窓のようなものになっている。直後の操縦席には現実の帆船のような巨大な舵輪があり、巨神兵に機首を抑えられた際は2人がかりで操舵する描写が見られた。機体色は映画版の薄いブルー系や漫画版の明るい薄色系から暗くてより力強い色みになっている。エンジンの噴射口を備える垂直の補助翼兼主脚は非常に太く、着陸時は装甲コルベットが胴体も地面に接していたのに対して、この補助翼のみが接地している描写が見られる。補助翼の主翼への付け根には、左右にそれぞれトルメキア王家の紋章が入る。装甲コルベットの項で記述した様に、後部の垂直補助翼と機体を結ぶ補助水平翼は存在しない。但し小さな水平の補助翼が機体の後部から突き出している。乗員の搭乗は左右斜め下に開くタラップから行われている模様。
武装は窓から機銃を構えて覗く通常の砲塔ではなく、B29のような一種の火器管制装置が用いられており、機体各所に装備されたドーム型の二連装機関砲塔を射手が遠隔操作する。機体下部のロケット砲も四連装一門から三連装二門を左右に装備する形に変更された。また装甲も大幅に強化されている。そのため風の谷のガンシップが重コルベットを攻撃した際は機体ではなく翼の付け根を狙ったが、反撃せずに敗走こそしたものの煙を噴く程度で撃墜されるには至らなかった。尚、特徴的な角のようなパーツは嚮導旗(他の船を先導中であることを示す旗)を掲げるためのもの。
船内は王族の搭乗艦に相応しく、大きなベッドや豪華な装飾の存在が伺える。風呂もある模様。
物語中盤から終盤にかけて3回登場しており、少なくとも2機から3機の存在が確認できる。
最初はカボに駐屯するトルメキア第3皇子の搭乗艦として登場。部隊からバカガラスの接収を目論むクシャナの作戦を信号機と発砲による警告で頓挫させ、さらにクシャナとクロトワが乗ったケッチに体当たり、これを大破させた。しかし蟲の襲来からの逃走に失敗、空中で破壊され墜落した。
2回目は上述した経緯で行方不明となった第3皇子の捜索を単機で行う様子が描写されている。クシャナが『兄の船か』と呟くが、具体的に誰が乗っていたかの描写は無い。墜落地点で風の谷のガンシップと遭遇、砲火を浴びせるが反撃に出たガンシップから翼の付け根を攻撃され炎上し、煙を噴いて逃走した。
3回目は第1・2皇子の搭乗艦、艦隊の旗艦として登場。土鬼の聖都シュワを目指しナウシカも人質に取るが、巨神兵により上部装甲を破壊されナウシカと2人の皇子をさらわれた上に進路を妨害され、敗走した。2回目にガンシップに攻撃された機体と別のものかどうかは不明。
漫画版では将軍や貴族がバカガラスやケッチに乗る描写が多いのに対し、クシャナや三皇子ら王族は装甲コルベットないし重コルベットを使用している。
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