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バルカン人又はヴァルカン人(Vulcan)はアメリカのSFテレビドラマ『スタートレック』シリーズに登場する、架空の種族(異星人)である。母星はバルカン(ヴァルカン)。
『スタートレック』シリーズを通じて登場する異星人で、尖った耳とつりあがった眉毛、つむじからまっすぐに伸びた髪型、細身の体形が外見上の特徴であり、(スタートレック:エンタープライズでは太目のバルカン人も出ている)高い知性を有するヒューマノイド、論理的で自制心が非常に強いという特徴で描かれている。ベータゾイド人(1701-Dのカウンセラーディアナ・トロイおよびその母親ラクサナ・トロイ)ほど強力ではないが、ほど長く種族間で磨き上げたテレパシー能力があり、触れた相手と精神的にも接触することができ、使い方によっては気絶させる事も出来る。心臓の位置が人類と逆の位置にあり(TOS第14話「宇宙軍法会議」では心臓の鼓動音が確認されているのに、TOS第54話「細菌戦争の果て」では心臓そのものが無いと描写される等の矛盾がある)、血液が銅を元とする緑色で、母星は大気が地球より希薄な上、高重力に適応しているために強靭な身体機能(筋力、瞬発力は人間の三倍とされている)を持っている。寿命は二百数十年である。
テンプレート:ネタバレ
地球人とのファーストコンタクトは2063年4月5日であり、これは公式上地球人初の異星人との接触となる(あくまで公式なのは、1947年にはクワークらが、1950年代にはトゥポルの曾祖母がすでに地球に降り立っているため)。恒星間航行を習得した人類(地球人)の先輩格にあたる種族で、技術的な成熟過程にあった人類に精神的な成熟を要求し、恒星間航行を2151年まで差し止めた歴史もある。感情的な反応を強力な自制心で押さえ込むことを、強い思想的信条(宗教的戒律?)としており、論理的であることを尊ぶ。儀式による精神性の追求を行い、宇宙探査も彼等にしてみれば、他種族との交流によって自らの精神性を高める修行のひとつであるようだ。そのため、ヴァルカン船は攻撃力も防御力、解析力もあまりなく、時代差による技術の問題もあるであろうが、『スタートレック ファーストコンタクト』ではU.S.S.エンタープライズEを探知できなかった。論理的であるが非情ではなく、人類のことは感情的で未成熟な種族と見なすことも多い半面、活力に溢れた魅力的な種族とみなすこともある。論理的でない相手・事象には「非論理的だ」というのが有名である。また歳を重ねることも、経験によりさらに高次な論理的精神を有することができると考え、人間のように加齢に対する嫌悪感は全くなく、寧ろ肯定的に捉えている。
『スタートレック』シリーズの世界では、その論理的な判断力が副長スポックの要職や学究的姿勢が科学士官に打って付けという暗黙の了解もあるらしい。カーク船長と(ハーフ・ヴァルカン人の)科学士官スポックのコンビ(宇宙大作戦シリーズ)は有名だが、これもアーチャー船長と科学士官/副司令官のトゥポルという前例があってこそ、という説が出ている。精力的で機知に富む地球人と精神性と論理を尊ぶヴァルカン人の組み合わせは、興味深い相互作用効果を生むようだ。熱血漢のカークが思わず漏らしたスラング(例えば「光子魚雷をぶちまけろ!」など)にスポックが「船長、その表現は非論理的です」などというやりとりも面白い。
ファイル:Kohanim hands blessing photo.jpgヴァルカン・サリュートの手
人指し指と中指・薬指と小指をくっ付け、中指と薬指の間と親指を開いて、相手に掌を見せ、「長寿と繁栄を」"Live long and prosper"というヴァルカン式挨拶(ヴァルカン・サリュート)は有名で、スタートレックファンなら常識だが、しばしば他のSF作品などの中でも、パロディとして登場している。また、片眉を吊り上げて否定的驚きを表すこともありスポックがよくしていた。さらにヴァルカン・アタック(Vulcan nurve pinch, ヴァルカン神経掴み)と呼ばれる、首の付け根の辺りを強く掴んで神経を圧迫することで相手を気絶させる攻撃ができる。この技はヒューマノイド型であれば種族は問わず有効である(ただしボーグは例外)。戦闘を好まないヴァルカン人にとっては、やむをえない時にのみ使用するようだ。このヴァルカン・アタックは非常に強い握力と繊細な指先の感覚が必要であり人間では習得が難しい。映画『ST3』においてドクター・マッコイに乗り移ったスポックが試みているが失敗している。TNGに登場するアンドロイドであるデータが簡単にやってのけたので、スポックが「やるね(Not bad)」と言っている。
ロミュラン人とは古い血縁関係にあるが、ロミュラン側は非常に感情的で攻撃的である(後述)。
TOS時代の後付け設定では「男性名はかならず『S―』、女性名はかならず『Tu-』からはじまる」とされていたが、TOS劇場版以降の後発作品ではなかったことにされている。
ポンファーと呼ばれる7年毎の発情期があり、本来感情を抑制することを尊ぶヴァルカン人にとっては、自己嫌悪や屈辱的な気分に襲われることもあるようだが、それ以上に身を焦すような焦燥感を含む苦痛を味わい、生殖活動(精神的な接触も含まれるようだ)を行わないと、苦しみの内に死ぬ事もある。このため7歳の時に婚姻した相手と交わるか、船内娯楽設備のホロデッキと呼ばれるバーチャルリアリティで性的な葛藤を処理することになる(VOYのトゥヴォックは、妻に会えないのでポンファーの時期をホロデッキで過ごした。さらにトム・パリスやハリー・キムにポンファーの時にできた娘から年齢を計算されている)が、特定の異性に熱烈に迫る傾向が強過ぎて、ホロデッキで処理することができない場合もある。また、クナット・カリフィーと呼ばれる決闘でも発情を収めることができる。(これは主に婚姻に異議のある者との配偶者を取り合う死闘である)この期間のヴァルカン人は感情的で少々危険ですらある。なおこの期間が過ぎれば(多少の自己嫌悪は残るものの)元に戻る。
元来、ヴァルカン人は感情的な部分を強く持っており、非常に好戦的ですらあった。しかし哲学者スラクの提唱したイディック(Idic)という思想に基いて、テレパシーを用いた精神融合により感情をコントロールする術を学んだとされる。血気盛んな青年期には感情が暴走する傾向も強いため、このイディックを学ぶ事が必須とされ、論理を否定する者にはヴァルカン・マスターと呼ばれる長老的人物がイディックを教えることになる(VOYのトゥヴォックもこの経験がある)。また高齢になるとベンダイ症候群という病気(一種の加齢による精神障害)等によって、感情の抑制が効かなくなることもある。
なお、このイディックに不信を抱き、ヴァルカン人と袂を別ったのが、後のロミュラン人とされている。
この生来の感情は、人類のそれよりも遥かに強烈な物で、TNGのピカード艦長は惑星間平和調停の付いている最中の、ベンダイ症候群で感情の抑制が効かなく成り始めていたヴァルカン大使サレク(スポックの父)の感情を抑えるべく、イディックの真髄とも云える精神融合を行い、そのあまりに強烈な感情に翻弄され、危うく人格を破壊される寸前にまで追い込まれた。無事で済んだのはピカードが長年の訓練によって習得した自己抑制の結果であって、普通の人間なら、あまりの感情の強さに死に至る危険のある行為ですらあった。
自室でも瞑想(日本の座禅と考え方が近い)や、論理的思考力を養うゲーム等をしている。また、精神融合をするにもこの瞑想をして精神をより研ぎ澄まさなければならない(精神融合が諸刃の剣のため)。
バルカン人の中には感情を開放すべき、または感情を抑制せずに論理の調和を求めるべきと考える者達も存在するが、彼らは多数のバルカン人から異端として扱われている。しかし、後にバルカンの精神修養で重要となる精神融合を古代の文献から再発見したのは彼ら異端派であった。
また逆にバルカンの論理を守るために惑星連邦からの脱退を求める一派も存在する。
cs:Vulkáncide:Völker im Star-Trek-Universum#Vulkanieren:Vulcan (Star Trek)es:Vulcano (Star Trek)fr:Vulcain (Star Trek)it:Vulcanianinl:Vulcan (Star Trek)pt:Vulcano (Star Trek)
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