頭頸部がんー緩和照射ーQUAD SHOT

ページ名:頭頸部がんー緩和照射ーQUAD SHOT

化学療法
免疫療法


<第2相試験>

Corry J et al. Radiother Oncol. 2005. PMID 16260054
・治癒不能頭頸部扁平上皮がんに対するQUAD SHOTによる緩和照射
・第2相試験、オーストラリア
<結論>治癒不能頭頸部がんに対するQUAD SHOTによる緩和照射は毒性が少なく、奏効率は良好で、患者の生活の質(QOL)の改善が認められた。
・QUAD SHOT:14Gy/4回(6時間以上の間隔を空けて1日2回)、腫瘍の進行がない場合には4週間隔でさらに2コースを追加。
・QOL評価:EORCT QLQ-C30を省略したものを用いた。
・30例(IV期 29例、PS 2-3 20例)に対し1サイクル以上の照射を行い、16例は3サイクル全ての照射を完遂した
・客観的奏効率:53%(完全奏効 2例、部分奏効 14例)、病勢安定 7例
・全生存期間(中央値)5.7ヶ月、無増悪生存期間(中央値)3.1ヶ月
・治療の忍容性は非常に良好で、11例(44%)QOLの改善がみられた。


<後ろ向き研究>

Toya R et al. Radiat Oncol. 2020. PMID 32460865
・治癒不能の頭頸部がん(HNC)に対する強度変調回転照射(VMAT)によるRTOG 8502レジメン QUAD SHOT
・後ろ向き研究、日本
<結論>VMATを用いたRTOG 8502 QUAD SHOTレジメンは、治癒不能頭頸部がんに対して有効で、毒性は非常に軽減されていた。良好な治療効果および生存成績を得るためには複数サイクルの治療が推奨される。
・対象:1サイクル以上のRTOG 8502レジメンのQUAD SHOTが行われた頭頸部がん患者34例
・放射治療:強度変調回転照射(VAT)、14.8Gy/4回(6時間以上の間隔をあけて1日2回)
・3~4週毎に繰り返し、最大3サイクルの照射を行った。
・全身療法の併用は行われなかった。
・完遂サイクル数:1サイクル(18%)、2サイクル(15%)、3サイクル(68%)
・腫瘍奏効率:85%、症状緩和率:77%、全奏効率(腫瘍奏効または症状緩和):94%
・2サイクル以上の照射が行われた患者では、全例で全奏効が得られた。
・全生存期間(中央値)5.7ヶ月
・多変量解析にて、3サイクルの治療完遂と全生存が有意に関連していた(SS)
・治療関連毒性(G2)を12%に認めたが、グレード3以上の急性期/晩期毒性の発生を認めなかった。

 

Finnegan TS et al. J Community Support Oncol. 2016. PMID 26870840
・根治不能頭頸部がんに対するQUAD SHOTレジメンによる緩和照射
・後ろ向き研究、米国
・対象:QUAD SHOTレジメンによる治療を受けた頭頸部がん患者70例
・照射法:強度変調放射線治療(IMRT)36例、3次元原体照射(3D-CRT)34例
・QUAD SHOT:14.8Gy/4回(1日2回)、3週間ごと、合計3サイクルまで(総線量 44.4Gy)
・疼痛の奏効率:61%
・疼痛の平均スコアは治療前と比較して、治療後に有意に低下した(5.81 → 2.55)
・嚥下障害の平均スコアも有意に改善した(2.20 → 4.77)
・粘膜炎:グレード2 26%、グレード3 9%
・12例に腫瘍再発が認められ、1年無増悪生存率:21%
・生存期間(中央値)3.85ヶ月、1年全生存率 23%
・疼痛の奏効(HR 2.69, 95% CI 1.55-1.77)、照射サイクル数(3サイクル完遂)(HR 1.71, 95% CI 1.00-2.01)が良好な全生存と関連していた。

 

Lok BH et al. Oral Oncol. 2015. PMID 26282714
・頭頸部がんに対するRTOG 8502 QUAD SHOTレジメンによる緩和照射
・後ろ向き研究、米国
<結論>RTOG 8502 QUAD SHOTレジメンは、治療関連毒性を最小限としつつ、優れた症状緩和効果が認められた。多くの照射サイクルを行えた患者では緩和効果および全生存が良好であった。
・QUAD SHOT:1回 3.7Gy、1日2回を2日間、4週間隔で最大4サイクル
・75例の患者に対して1サイクル以上の照射が行われた
・年齢(中央値)76歳(範囲:23~97歳)
・主な組織型は扁平上皮がん(55%)、未分化がんを除く甲状腺がん(10%)、唾液腺がん(9%)
・30例(40%)は緩和部への照射歴があった。
・28例(37%)に対しては3サイクル以上の照射が行われた。
・全患者の65%に緩和効果が認められ、全生存期間(中央値)5.7ヶ月(範囲:0.2~34.5ヶ月)
・治療関連毒性(G3)が4例(5%)に認められ、急性皮膚炎および粘膜炎であった。
・緩和効果と照射サイクル数と有意に相関していた(SS)が、全身状態、放射線治療歴、化学療法、手術歴、組織型、病期との相関を認めなかった
・緩和効果、全身状態(KPS>70)、照射サイクル数が生存成績と有意に相関していた。

 

 

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