アウトラン

ページ名:アウトラン
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テンプレート:コンピュータゲーム

ファイル:Outrun.jpg

アウトランデラックス筐体

『アウトラン』(OutRun)は、1986年に発売されたセガのアーケードレースゲーム。

目次

解説[]

セガが1986年当時に注力していた「体感ゲーム」の、『ハングオン』『スペースハリアー』『エンデューロレーサー』に続く第4弾として発表された[1]。一連の体感ゲームシリーズの中でも『アフターバーナー』と並ぶ代表作である。真っ赤なボディに大きな画面とスピーカーを備え付けた可動筐体は多くの人の関心を集めた。美しい音楽と次々に変化する色彩豊かなステージや、当時の名車を髣髴とさせる姿で描かれた登場する車が大きな魅力のひとつである。自車はフェラーリ・テスタロッサをモチーフにしており、ゲーム上の最高速も当時のテスタロッサが公式発表していた293km/hであった。なお、コース上に登場する一般車両はフェラーリ・365GTS/4デイトナ、フェラーリ・288GTO、フォルクスワーゲン・ビートル、シボレー・コルベットなどに似たものが見られる。

全部で4種類の筐体がある。可動筐体にはデラックス版とスタンダード版の2種類があり、ハンドル操作に合わせて筐体が左右に可動し、クラッシュやコースアウトの際にはガタガタ細かく揺れた。非可動タイプにはBOX型のコクピット版と、小型で立ってプレイするアップライト版があった。アップライト版は輸出用であるため、シフトノブが右に付いている。これは日本国内ではあまり見かけられなかった[1]

ソフト面では新・旧2種類のバージョンが存在し、それぞれステージ構成が異なる。日本国内では、出荷時期の違いによって両方のバージョンが流通した。海外では新バージョンのみのため、旧バージョンは国内版、新バージョンは海外版とも呼ばれる。

ゲーム内容[]

ヨーロッパ各所を舞台にフェラーリ・テスタロッサを模したオープンカーを運転し、制限時間内に次のチェックポイントに到着する。全部で5ステージ。1 - 4ステージの後半には分かれ道が現れ、どちらかを選択するかによって、16通りのルートが選べる。

(以下国内版のもの)

COCONUTS BEACH -- VINE YARD
- WILDERNESS -
- DESERT -- DEATH VALLEY
- WHEAT FIELD -- OLD CAPITAL -
- ALPS -- STONE HILL
- CLOUDY MOUNTAIN -- BIG GATE -
- WALLS -- DUAL WAY
- SEASIDE TOWN -
- LAKE SIDE

操作方法[]

  • ハンドル(左右の反力はスプリングによる。コースアウト時には振動する。)
  • アクセル(アナログ制御)
  • ブレーキ(アナログ制御)
  • シフトレバー(Lo/Hiの2速式。オートマ無し)

ハイスコアに関するエピソード[]

このゲームにはハイスコア集計に影響を与えた裏技として「ギアガチャ」が存在する。これを利用して、通常ではあり得ない大胆なショートカットを行う走法が発見されると、それまでの全国集計ハイスコアランキングが一変した。そしてこの技が雑誌ゲーメストやマイコンBASICマガジンなどで紹介され、波打ち際や、コーナーイン側の障害物の更にイン側を最高速で走る衝撃的な画面写真と共に、全国のゲーマーの間に広まって行った[1]。さらに、スタート直後とクラッシュからの再発進時に車両の回転数を合わせて発進と同時にアクセルを踏み込み、前述のギアガチャと絶妙なタイミングで組み合わせると最高速が294km/h(実際には推定300km/hを超えていると思われる)になるという裏技も発見され、これを行う事によってゴール時に残るタイムがそれまでのものと比べ物にならないほどとなり、比例してゴール時のタイムボーナスが加算された為にハイスコアがさらに塗り替えられた。この裏技は前述の「ギアガチャ」のようにグラベルに乗る手前と乗った後で行うだけでなく、ターマック上でもギアガチャを継続的に行う事で「294 km/h」が維持できるという裏技であり、成功にはかなりシビアなタイミングが必要であったが裏技に成功したプレイヤーは事故を起こすかゴールするまでの間を常に「ギアガチャ」を行った。これらの裏技は「ギアガチャ」という特徴的な名前とその桁外れな効果によって広く知られたが、一方では手順を正しく理解しないまま挑戦しようとするプレイヤーが続出した。さらに、技のやり方を分かっていてもタイミングを合わせるのがそれなりに難しいことも相まって、闇雲にガチャガチャと何度も激しくギア操作してプレイする光景が各所で見られた。このことが原因でシフトレバーを破損する筐体も多く、やむを得ず「ギアガチャ」を禁止する店舗も見られた。また、ゲームに熱中しすぎて「ギアガチャ」を行う際にシフトレバーで指を挟むなどして怪我する人も多かった。

変わった遊び方など[]

チキンレースよく目立つ看板や建物めがけて飛び込んで、ギリギリで停車させることを競う。場合によってはスピンさせて停車させることを条件とすることもあった。接触すれば失格。ゼロクリア各コースのゴールラインは明示されていない。これを活かし、残り時間が0になる直前にゴールラインを踏むようにする。踏めなければ失格。

BGM[]

原典であるアーケードゲーム版BGM(ゲームミュージック) は「MAGICAL SOUND SHOWER」、「SPLASH WAVE」、「PASSING BREEZE」の3曲。レース開始前にカーラジオを模した表示画面で選択する。

※後年の移植時に追加されたオリジナルBGMについては、#移植の節の各機種解説を参照。

これらBGMの楽譜はマイコンBASICマガジンに掲載された他、アルファレコードのGMOレーベルから発売されたサントラLP「セガ・ゲームミュージック VOL.1」などに付属していた。また、セガサウンド部門関係者を中心に結成されたゲームミュージックバンド「S.S.T.BAND」によるアレンジ曲のCDも、後にGMO関係者がポニーキャニオンから立ち上げたサイトロンレーベルより多数リリースされている。

なお、「PASSING BREEZE」のタイトルは最初は「PASSING WIND」で、これは「おなら」を意味する言葉と後でわかり変更を余儀なくされたというエピソードが存在する。さらに、本来「PASSING BREEZE」と「SPLASH WAVE」はタイトルが逆で、製品化段階の手違いで今の形に入れ替わった。

なお、同社の「初音ミク -Project DIVA- Arcade」で、曲者Pが歌詞をつけた「MAGICAL SOUND SHOWER」がプレイできる[2]

続編[]

続編に「ターボアウトラン」、最大8人で競走できる「アウトランナーズ」が登場した。「ターボアウトラン」は、フェラーリ F40に自車が変更になり、シフトレバーに付いているターボスイッチ(旧アウトラン筐体からのコンバージョンの場合はスタートボタン)を押すと、一定時間急加速できるようになったのが特徴。他にもライバル車の存在や、中間地点でのパーツ交換によるパワーアップ(ハイグリップタイヤ、ハイパワーエンジン、スペシャルターボを選択可)などの新要素がある。しかし、旧アウトランの特徴のルート分岐はなくなった。

「アウトランナーズ」はこのシリーズで初めて対人対戦と、性能の違う複数の車から自車の選択が可能になった。ルート分岐も復活した。

2003年、17年という非常に長い時を経て、正統続編として「アウトラン2」が発表された。フェラーリから正式にライセンスを取得して、実に8台もの歴代の名車を堂々と実名で使用している。コースの両脇にはフェラーリF1のスポンサーでもあるAMD、オリンパス、ボーダフォンとブリヂストンの看板が多数現れる。

移植[]

下記ハード、OSに対し移植されている。ホビーパソコンへの一部移植作を除き、基本的にセガが発売。(制作は判明しているものについてはそれぞれの機種版解説文に記載した)

  • 家庭用ゲーム機
    • セガ・マークIII/マスターシステム全体的にキャラクターが小さく、ラスタ処理により道を表示している仕様上、ステージ分岐時は左右の道が1ラインごとに交互に描画される。FMサウンドユニット発売前に出たソフトであり、パッケージなどに表記はないものの、非公式に対応している。
    • PCエンジンNECアベニューからHuCARDで発売された。ルートが海外バージョンの仕様となっており、移植は電波新聞社でFM-7への移植ソフトを多く手がけた、紅林俊彦の手による[3]。ゲーム画面上にタイトルが表示されないほか、コースレコードやスコアなどが画面外上部の黒枠内に表示されている。また、ハードウェアの制約により、ラスタ処理によってコースを描画していることから、ステージ分岐時は1ラインごとに交互に描画されているため道が点滅して見えたり、背景や道路脇の看板・花畑・草原といったオブジェクトの種類が減少しスプライトで補えない分は省略され、分岐後にステージ合流する演出が削除されていたり車が吹っ飛んだ際にドライバーと助手席の女性が消えてしまう、チェックポイント時のボイスがカットされているなどアーケード版と異なる部分がある。
    • メガドライブ移植はシムスが担当している。ゲーム中のメインBGMに1曲新曲「STEP ON BEAT」が追加されており、本作以外では使用されていない。ハードウェアとしてBGが2プレーンあることで、スプライトを併用し海や合流地点などが再現されている。ハードウェアの制約により、全体的な色数の減少やオブジェクトの省略、車のエンジン音がカットされている他、ステージ分岐時に画面が暗転したりチェックポイント時にBGMが途切れたりするなど、アーケード版と異なる点がある。
    • セガサターン移植はゲームのるつぼが担当している。オプションで国内バージョン・海外バージョンを選択できる他、アーケード版以上の低難易度「エキストライージー」やオートマチック変速機能の設定が可能。隠しモードとして60fps(オリジナルのアーケード版は30fps)で描画する「スムースモード」及び、グリップ力の大幅向上機能が用意されており、オリジナルを超えた完成度として話題に。またサウンド面でも、オリジナルに加えてゲーム中の3曲とネームエントリーの「LAST WAVE」の計4曲を、作曲者であるHiro自らがアレンジしたものをCD-DA形式にて収録している。なお、スペースハリアーと同様に、初期ロットには白いセガサターン本体では正常に動作しないバグがある。自車等のグラフィックの差し替えは無し。2014年現在、最もアーケード版に近い移植作品となっている。
    • ドリームキャスト「シェンムーII」のミニゲーム及び書籍「鈴木裕ゲームワークスVOL.1」に収録。自車がテスタロッサではない赤い車に差し替えられており、一般車両のフォルクスワーゲン・タイプ1とポルシェ・911のグラフィックも変更されている。BGMはドリームキャストの内部音源で演奏されている為、アーケード版とは音色が大きく異なっている。
    • プレイステーション2(セガエイジス2500シリーズVol.13)スプライトを駆使した疑似3Dではなく3Dポリゴンでのリメイク。自車がテスタロッサではない赤い車になっている。
    • Xboxアウトラン2に隠しゲームとして収録。ミッションモードをすべてクリアするかプレイ時間が50時間以上になるとプレイ可能になる。フェラーリのライセンスを取得している為、自車はテスタロッサとなっているが、一部一般車両のグラフィックがドリームキャスト版と同じグラフィックに変更されている。
  • 携帯型ゲーム機
    • ゲームギア
    • ゲームボーイアドバンス(日本未発売。セガ アーケード ギャラリーに収録)
    • ニンテンドー3DSセガが2012年から展開している「セガ 3D復刻プロジェクト」第2期第3弾として、3D立体視に対応、『3D アウトラン』のタイトルでダウンロード専売ソフトとしてリリース(後述する『アウトラン3-D』とは異なる)。Xbox版以来、9年ぶりの移植となった。過去の「3D復刻プロジェクト」で実装されているオプション機能は概ね搭載。代表的なものは下記参照。アーケード筐体をプレイした気分を味わえる様に、操作に合わせて映像がローテートする「ムービング筐体モード」(筐体フレームは実際の筐体から3タイプを用意している)、実際の筐体からの動作音を再現する環境音設定。自車がテスタロッサではない赤い車に差し替えられ、一部一般車両のグラフィックがドリームキャスト版と同じグラフィックに変更されている。3DS版独自に実装された新機能は以下のとおり。自車のチューニング要素を追加。3DS版オリジナルのBGM「Cruising Line」・「Camino a mi Amor」 を2曲追加。(作曲は移植を担当した有限会社エムツー所属のコンポーザーによるもの)一定の条件を満たすとアーケード版と同じ30fpsで描画するスペシャルモードが解放される。(ちなみに本作のノーマルモードの描写は基本的に60fpsで構成されている)。アーケード版と同じタイムカウントに関するバグも再現される[4]
  • ホビーパソコン
    • MSX1
    • Commodore 64
    • ZX Spectrum
    • Amstrad CPC
    • Amiga
    • Atari ST上記すべてイギリスのU.S. Gold社からの発売。なぜかすべての移植でBGMの「MAGICAL SOUND SHOWER」のイントロ部分のテンポが悪く、ある程度のfps数を稼ぐため各キャラクターの単色化及び、ドット数ないし色数低減化を受けてリリースされている。
    • MSX2(発売元:ポニーキャニオン)音源はPSGのみに対応。
    • Windows 95/98(セガアーカイブス フロム USA VOL.1に収録。内容はGENESIS(北米版メガドライブ)と同等。)
  • 携帯電話
    • iアプリ
    • EZweb
    • Yahoo!ケータイ

関連作品[]

  • 続編
    • ターボアウトラン 1989年
    • アウトランナーズ 1993年
    • アウトラン2 2003年
    • アウトラン2SP 2004年
  • コンシューマーオリジナル作品
アウトラン3D、バトルアウトラン共に一部BGMがアレンジナイズ収録されている。
  • OutRun 2019とアウトラン2SP以外のコンシューマーオリジナル作品は国内未発売。
    • アウトラン3-D 1988年(海外SEGA MASTER SYSTEM用だが国内用マスターシステムのFM音源にも対応。アナグリフ式の3Dゴーグルをつけてプレイすると立体映像に見える。隠しコマンドで3D効果を切って3Dゴーグルなしで縮退プレイできる。日本版は度重なる発売延期の後に発売中止となった。)
    • バトルアウトラン 1989年(海外SEGA MASTER SYSTEM用。FM音源に対応し、内容的にタイトーチェイスHQベースにパワーアップ要素をプラスしたもの。)
    • アウトランヨーロッパ 1991年(海外SEGA MASTER SYSTEM用。アウトランシリーズの欧州ハードへの移植を担当していたU.S. Goldが欧州市場向けに発売した独自作品。バイク、ジェットスキー、モーターボートで移動。物語が進んだ段階で車に乗り換えられる。)
    • OutRun 2019 1993年(メガドライブ用)
    • OutRun 2006 Coast 2 Coast 2006年(海外Xbox、PS2、PSP、WinPC用)※WinPC、Xbox、PSP版は日本版の本体でもプレイ可能。
    • アウトラン2SP2007年(PS2) ※内容はOutRun 2006 Coast 2 Coastとほぼ同じ。
    • アウトランオンラインアーケード2009年(PSN/XBLA) ※内容はアウトラン2SPとほぼ同じ。オンライン6人同時プレイ可能。

脚注[]

テンプレート:脚注ヘルプテンプレート:Reflist

関連項目[]

  • 鈴木裕
  • 中裕司
  • 太鼓の達人 - メーカーの枠を超え、業務用9に「MAGICAL SOUND SHOWER」が収録されている。
  • HIRO(師匠) - BGM制作担当

外部リンク[]

  • 3D アウトラン |セガ 3D復刻プロジェクト

テンプレート:アウトラン テンプレート:Video-game-stub

  1. 1.01.11.2 『月刊アルカディア』2002年5月号の「オールドゲームミュージアム」より
  2. 初音ミク -Project DIVA-マスターブック p.151
  3. 取扱説明書スタッフ欄参考
  4. 描画60フレーム化、新要素の追加、そして新しくなった自車のデザインの秘密とは? 「3D アウトラン」インタビュー Part1 - GAME Watch


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