03：夕焼けに寄せて

状態：公開待ち
脚本：獣牙歌劇団

出演：
・春介　役
　空白歩冬

・蓮太郎　役
　リーヴリ

・ナレーション
　太影

公開日：2025/02/01
動画URL：https://youtu.be/vpvd-fJfCHs

テーマ曲：暁
動画URL：

歌詞URL：
作詞：リーヴリ
楽曲：suno

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（夕焼けの見える土手。二人が並んで腰を下ろしている。）

春介
「夕焼けってさ、なんだか…ぽんぽん弾ける気持ちにならない？」

蓮太郎
「……は？　ぽんぽんって、なんだよ。」

春介
「うーん、説明が難しいなぁ。胸の奥で、ぽんぽんってさ。あったかいものが弾ける感じ。」

蓮太郎
「お前、また変なこと言ってるな。」

春介
「そうかなぁ。でも、蓮太郎もさ、本当はそう思うとき、あるんじゃない？」

蓮太郎
「……まぁ、否定はしねぇけど。」

（沈黙が流れ、二人で夕焼けを眺める。）

蓮太郎
「お前んち、今日の夕飯は何だ？」

春介
「母さんが『お吸い物』作ってるって言ってたよ。お吸い物って、ぽんぽんの次に“ほっとする味”だと思わない？」

蓮太郎
「お前、ほんと“ほっとする”ばっかだな。俺はもっとガツンとしたやつがいい。」

春介
「ふふ。でも、疲れたときは、優しい味のほうが染みるよ。」

蓮太郎
「……まぁ、たまにはな。」

（風が吹き、春介が少し寒そうに身を縮める。）

蓮太郎
「寒いなら早く帰れば。お布団が待ってるぞ。」

春介
「蓮太郎は？」

蓮太郎
「俺はもう少しここにいる。」

春介
「一緒に帰ろうよ。なんだか、こうして別れるのが、ちょっと……痛い。」

蓮太郎
「痛い？」

春介
「うん。胸の奥がチクッとするんだ。」

蓮太郎
「お前って、ほんとに大げさだな。」

春介
「そうかな。でも、蓮太郎と一緒にいると、ぽんぽんって弾けるし、離れるとチクッとするんだよ。」

蓮太郎
「……お前は、俺を困らせる天才だな。」

春介
「困った？」

蓮太郎
「いや。……ありがとな。」

春介
「うん。じゃあ、帰ろう。お吸い物、冷めちゃうよ。」

蓮太郎
「……そうだな。」

（二人は立ち上がり、夕焼けを背に家路へと歩き出す。）

――夕焼けの中で、二人の足音がぽんぽんと響いた。