後閑氏

後閑氏の家紋（足利二つ引）

後閑氏（ごかんし）は、陽成源氏（河内源氏）流足利氏（下野源氏）一門の岩松氏（上野源氏）の庶家。同族に上野村田氏・上野寺井氏・上野金井氏[1]・田部井氏・薮塚氏・上野田島氏などがあった。

概要[]

岩松泰家（満親）の子の満泰が上野国碓氷郡後閑郷[2]を拠点としたことから始まる。しかし、満泰の子の満家に嗣子がなく、後閑氏はいったん断絶したが、満家の従兄の岩松満純の曾孫の後閑顕純が、後閑氏と称して復した。

顕純の子の憲純を経て、憲純の子の景純（主水正）は、弘治元年（1555年）に惣領家の岩松氏の執事であった由良氏（横瀬氏）と対決して、敗れて永禄２年（1559年）に、遠縁筋の武田信玄（晴信）の傘下にくだった[3]。永禄６年（1563年）に、景純は甘楽郡丹生城主[4]である北条政時（土師姓大江氏流越後北条氏一門）を破り、彼は箕輪城主の長野業政に属するようになった。また景純は風雨に曝され荒廃していた長源寺を再興し、弘治２年（1556年）に寺領若干を寄進したという[5]。

永禄10年（1567年）の景純の子の信純（信継[6]/宗重（宗繁）[7]）のときに、越後国守護であり関東管領の上杉憲政を奉じて、関東に出兵した上杉謙信（長尾景虎/政虎/輝虎）の侵略を受けて、その幕下にくだった[8]。

信純には三人の子がおり、天正５年（1578年）に、長男の信重は分家して石倉城主となり、下野守を称した。翌天正６年（1579年）に、信純が死去すると、次男の重政が後を継ぎ、三男の信久は武田勝頼（信玄の子）の命で武田氏（甲斐源氏）一門の甲斐一条氏の庶家の甲斐上条氏を継いだ[9]。

天正10年（1582年）３月に、武田勝頼は織田信長・徳川家康の連合軍の侵攻によって滅亡し、信長の武将の滝川一益が厩橋城に入城した。一益は家臣の津田小平次を松井田城主として、小平次は後閑城を攻めて、上条真純（信久の子）を滅ぼしたという。その一方、『日本城郭体系』後閑城の記述によれば、武田氏滅亡後に、真純の伯父の下野守信重は、越後国の豪族の北条高広（上記の政時の同族）に従い、弟の重政・信久（真純の父）兄弟は相模国の相模北条氏（北条伊勢家/相模平氏）に従ったという。以降の後閑氏の動向は不詳であるが、江戸時代以降は井伊氏の家老になったようである。

歴代当主[]

1. 後閑満泰 ： 岩松泰家（満親）の子、満国の弟。
2. 後閑満家
3. 後閑顕純 ： 明純[10]の子、尚純[11]の弟。
4. 後閑憲純
5. 後閑景純
6. 後閑信純（信継[6]/宗重（宗繁）[7]）
7. 後閑重政 ： 信重の弟、上条信久[12]の兄。

脚注[]

1. ↑戦国時代の金井秀景はこの系統である。
2. ↑ 現在の群馬県高崎市新後閑町
3. ↑ 『安中志』
4. ↑ 現在の群馬県富岡市丹生地区
5. ↑ 依田政知が開いた長源寺の寄進状より。
6. ↑ 6.06.1 『上野志』
7. ↑ 7.07.1 『上州治乱記』
8. ↑ 『関東幕注文』
9. ↑ 『安中市史』の記述によれば、永禄12年（1569年）に、武田信玄が駿河国の今川氏真と戦ったとき、信純と嫡子の信久は信玄の武将として出陣し、信純・信久ともに戦死した。そのため、家督は信久の子の真純が継いだとも記されている。
10. ↑ 岩松満純の孫、家純の子。
11. ↑ 昌純・氏純・覚現（僧侶）の父。
12. ↑ 真純の父。

関連項目[]

• 岩松氏

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