中村氏_(下野国)

曖昧さ回避

この項目では、源姓鎌倉氏（相模源氏）一門義経流について記述しています。その他の氏族については「中村氏」をご覧ください。

中村氏の家紋（丸に剣片喰）

中村氏（なかむらし）は、河内源氏の嫡流の源姓鎌倉氏（相模源氏）一門。下野中村氏とも呼ばれる。下野国芳賀郡中村郷[1]を拠点とした（下野源氏）。

同族に下野堀江氏（摂津堀江氏）（下野源氏）・源姓木曾氏（信濃源氏）・源姓吉見氏（武蔵源氏/伊勢源氏/能登源氏/石見源氏）が、庶家に下野八幡氏・粕田氏・柳林氏・加倉氏・他田氏・芽堤氏・若旅氏・八木岡氏があった。

概要[]

もともとは藤原南家玄明流常陸伊佐氏（常陸藤原氏）一門の伊達朝宗の弟の中村行政を祖とした。しかし、行政に嗣子がなく、甥の中村資綱（資経とも、朝宗の子）婿養子に迎えたが、子の資光に先立たれていた。そこで、鎌倉頼朝の異母末弟の義経（鞍馬冠者）の子の義宗（中村冠者）を資綱の姉妹の婿に迎えて、中村朝定と改称させて、その後を継がせたことから始まる。

領地に赴任した朝定は荒れ果てた土地開拓を奨励して、領民のための治世を行なった。しかし、朝定は鎌倉幕府に反逆したとされる義経の遺児であることを理由に北条得宗家の警戒を受けて、領土を没収されて義理の叔父にあたる伊佐為家（朝宗の子）の預かりの身となり、鎌倉に軟禁状態のままで、その波乱に満ちた生涯を閉じた。

南北朝時代～室町時代の経長の代に同族である足利氏（下野源氏）の当主の足利尊氏（高氏）の傘下として活躍して、父祖代々の念願であった領土を北条得宗家から取り戻して安堵させた。しかし、姻戚関係にある常陸伊佐氏一門の伊達氏の当主の伊達行朝の介入で、経長は後醍醐天皇とおなじく同族である新田義貞に帰順して、遠縁筋の北畠家（伊勢源氏）とともに尊氏と戦うことになった。経長は尊氏の命を受けたおなじく遠縁筋の大高師冬の包囲を受けた。しかし、経長を評価した物部姓十市氏流中原氏一門の宇都宮氏の当主の宇都宮公綱と芳賀高名の仲介で、経長は難を逃れた。

しかし、その代償は大きく、経長は同時に上記の源姓鎌倉氏一門で「征夷大将軍」就任の資格があり、尊氏を祖とする足利将軍家から、警戒されて露骨に冷遇されたという。経長はそのまま、宇都宮公綱の家老となった。

戦国時代に親長（玄角入道）・時長父子は藤原北家秀郷流の結城氏の当主の結城政朝の家老の水谷正村に攻められたが、これを撃退している。しかし、その晩に正村の軍勢に夜襲されて、親長は壮絶な戦死を遂げた。子の時長は父の戦死の報を受けて、居城の中村城を敵の軍勢に渡さないように城に火を放ち、態勢を整えなおすために、主君の宇都宮尚綱を頼って落ち延びた（『猿山の戦い』）。

江戸時代初期の時長の子の国長の代になると、おなじく遠縁筋の徳川家康によって直参旗本となるが、国長には嗣子がなく、家臣の中村吉兵衛を婿養子として迎えて、下野中村氏の男系は断絶した。吉兵衛は帰農して、豪農となり庄屋（名主）も兼ねた。

幕末の中村吉左衛門・林平父子と、林平の曾孫の充（農学者・福井県立大学名誉教授）は中村吉兵衛の直系で、下野中村氏の女系である。

歴代当主[]

1. 中村朝定（鎌倉義宗（中村冠者）） ： 鎌倉義経（鞍馬冠者）の子。
2. 中村朝綱 ： 時綱の兄。
3. 中村頼長
4. 中村義元 ： 八幡資宗[2]・粕田盛綱・柳林家綱・加倉朝政・他田貞綱・芽堤義綱の弟。
5. 中村経長 ： 若旅経家の兄。
6. 中村定行 ： 八木岡経久の弟。
7. 中村家定 ： 経宗の兄。
8. 中村家朝 ： 資長・亮順（僧侶）・亮灌（僧侶）の兄。
9. 中村家長
10. 中村綱長
11. 中村宗長 ： 慶範（僧侶）・仲海（僧侶）の兄。
12. 中村行長
13. 中村為長
14. 中村義長
15. 中村親長（玄角入道）
16. 中村時長
17. 中村国長 ： 中村吉兵衛室の父。断絶。

脚注[]

1. ↑ 現在の栃木県真岡市中村大字
2. ↑ 景宗の父。

関連項目[]

• 常陸伊佐氏
• 伊達氏

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