+此方から向こうへ、向こうから此方へ-
「以上が、この事件の真相です」
「面白い推理じゃないか、探偵さん君の言い分によれば……僕は」
「素手で煉瓦壁を破って被害者の元に辿り着き、一滴残さず血を吸って失血死させた。その理解で合ってるかな?」
「ええ、その通りです」
「その通りでたまるか」
「”全ての不可能を消去して、最後に残ったものが真実になる”」
「……それが例え、”如何に奇妙な事であっても”です。」
「一番最初に消去される不可能だつってるんだよ」
「おじさん全然面白い推理と思ってなさそう」
「やかましい!!!散れガキ!」
「ちょっと待って下さい。今、不可能だとそう仰いましたね?」
「あ?」
「ソ……助手ちゃん、少し手伝ってもらっていいかな?……あの壁に、そう、そこ」
「うん、わかったおじさん。行くよ」
「は?」
「フンッ!!!」
「え?」
「今お見せした通りです。……ありがとう、ソピア」
「ぶい」
「………。」
「これでもまだ、何か?」
「色々言いたいけどまずはそのバケモンを半径10mから隔離してくれ」
「……ッ。幾ら何でも言っていいことと悪いことの分別というものが……!!!」
「……いいの、いいんだ、おじさん。私、そういうのもう、慣れたから、さ」
「誰か助けてくれ正気を保てる自信がなくなってきた」
「ブラザー!おまたせ~!」
「ダメだ多分トドメが来た」
「ああ、どうだった?」
「バッチリさ!現場周辺の地面を透視したら、埋められてた地下室に魔法陣があるのが確認できたよ!」
「嘘だろ」
「やっぱ便利だなぁそれ」
「……さて」
「覚悟はいいかな、ミスター」
「……今回も無事、事件解決お疲れさまでした。木瀬さん、紅差さん、それに、ソピアも」
「がんばった」
「その後悪足掻きで召喚されたクト―ニアンが起こした地震で生き埋めになったときはヤバかったね……」
「今までで一番ブラザーがワープ能力に感謝してたろうね」
「けど、頑張った甲斐はあったと思ってるよ。なんせこれだけ大きな事件……」
「はい。平穏は何にも代えがたいものですから。……しかし少しだけ残念ですね」
「また実績に載せられない”神話案件”になってしまったのは」
「あ」
+君におはようが言えたら-
「ああ、バカフード。ちょうどよかったこっち来てくれないか」
「ほほう、花のお兄さんに何か御用と……。理紗ちゃん関連かな?」
「……いつも、誘われてばかりでたまには自分の方からと思ってさ。植物園にしたんだけど、ほら、赤夢の端の方の」
「ああ、いいよねえあそこのバラ園。色んな品種が揃ってて飽きないのが素敵だ」
「特にチョイスに問題はないと思うけど?」
「なら、場所選びはいいとして……次の問題は誘い方だな、一応、もう下書きはしたんだけど」
「今度は文面を監修しろってことだね?お兄さんに任せてくれたまえよ」
「ふむ。『来週の土日のどこか、いや、別に前売りチケットを取るわけじゃないから、再来週でもいつでも良いって言うか、そも、趣味じゃないとか、気乗りしなかったら全然断ってほしいんだけど』……ンフフ、予防線長過ぎない?」
「ンフ……ヒッヒフフフ……まだ続いてる……フ」
「幾ら何でも笑いすぎだろバカフード!!!こっちは勝手がわかんないからお前に聞いてんのに……!」
「ごめんごめん、いや、でも首根っこ掴むのは止しなって、ああっほら、そんな揺すぶると危な……」
シュポッ 『送信完了』 |
「あっ」
「えっ」
「ああああああ!!!!!お前!!!!マジでぶん殴るぞ!!!」
「痛い痛い痛い!そういうのって普通、殴る前に言うもんじゃないかな!?」
「うるせえ!!!殺す!!!!」
ピロピロン 『2件の通知が来ています』 |
「レスはっや(畏怖)」
「…………怖くて見れない。」
「……はあ、じゃあ読み上げるよ。」
「………。」
「『いいね!』『土曜のお昼に、そこのテラスでお茶もしようよ』……だってさ。よかったじゃん?」
「……。命拾いしたな、お前」
「おかげさまでね」
+ありふれた目覚めと眠り-
「ごちそうさま……あ、お母さんわたし明日昼から出かけるから。」
「……黒愛。ちょい待ちぃ。持ってけ。」
「え、なにどうしたのこr…0.02mm…?はぁ!!?」
「……ほんまは向こうが用意するもんやけどな、親としては持たせときたいんや。わかってくれや。」
「使わんわアホ!!バカ!!オカン!!!」
「"オカン"を悪口に含めんな。と言うか使えアホ。学生のうちはちゃんとリスクケアをやな…」
「そう言う意味じゃないわ!!と言うかどっから察したんよそれ!!」
「アンタ最近なに始めたか言うてみぃ」
「…スマブラ?」
「お化粧や、お化粧。なんや急に色気付いて……え、まじで出来たん?アンタが???」
「…………出来……た……。」
「……(放心)」
「放心すんなふざけんな。」
「はーーーーー……アンタに男ねぇ、まぁオトンには黙っといたるわ。」
「……男、じゃ……ない……っす。」
「……え?」
「だから…相手、その…女の子……同級生。わたしから告った。」
「…マジか。すげえなアンタ。」
「たはは……親不孝で申し訳ないとは思ってるけどね……」
「そんなこと気にすんな。アンタの人生や。アンタの勝手にしたらええ……んやけども。」
「…ん?」
「……オトンになんて言う?」
「……しばらく内緒で。仕事放棄して帰ってきそうだし。」
「……そうしよか。」
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