船舶電話

ページ名:船舶電話

船舶電話(せんぱくでんわ)とは、船舶に搭載の電話機により海上からの電話を行う移動体通信である。陸上の海岸局(基地局)を使用した公衆交換電話網と接続されたものである。

日本では、衛星電話に移行したり、海上での携帯電話・第三者無線の使用が解禁されたため、2003年以降専用のシステムが存在しない。なお、船舶電話から110番通報した場合は、海上保安庁に接続されていた。

目次

手動交換方式船舶電話[]

手動交換方式であり、周波数変調で150MHz帯を使用していた。

1959年3月1日サービス開始、1986年3月サービス停止。

自動交換方式船舶電話[]

通信中に海岸局を切り替えるハンドオーバー可能な、自動交換方式のものである。音声通信は周波数変調、制御はプッシュホンと同じDTMF信号で行われていた。

船舶の電話番号の前に、海域ごとの市外局番を付け課金制御を行っていた。

周波数は、海岸局 253.0375~273.7875MHz・船舶局(移動局)268.0375~268.7875MHzを25kHz間隔で使用していた。

1979年3月27日サービス開始、1993年9月30日サービス停止。

新方式船舶電話[]

自動車電話と中継網を統合し、通信制御方式を統一したもの。音声通信は周波数変調、制御はモデムによるデジタル信号で行われていた。

その頃の自動車電話と同じく、距離によって030と040の市外局番を付け課金制御を行っていた。また、テレホンカード型公衆電話と携帯型電話機も利用可能であった。

周波数は、海岸局 271.175~274.975MHz・船舶局(移動局)262.175~265.975MHzを12.5kHz間隔で使用していた。

1988年11月16日サービス開始、1999年3月31日サービス停止。

マリネットホン[]

マリネットホンは、新規参入電気通信事業者であるマリネットホングループがサービスを行っていた、第三者無線と同じ、大ゾーン方式で、ハンドオーバー不可能なものである。音声通信は周波数変調、制御はモデムによるデジタル信号で行われていた。可搬式端末(電話機)であり、基地局付近であれば、船舶上や陸上で移動しながら通話可能であった。

また、同じ基地局のマリネットホン同士では、送受信切り替えスイッチ(PTT : Press to talk)を押して送信する半復信方式であり、同報通信も可能であった。公衆交換電話網や違う基地局のマリネットホンとは、普通の電話と同じ同時送話可能な複信方式であった。

一般電話からマリネットホンへ発信するには、センターの代表番号へ電話し、セカンドダイヤルトーンを確認し、プッシュトーン(DTMF)で5ケタの加入者番号を入力していた。

移動局の最大出力は10Wであった。周波数は、海岸局(基地局)832.0125~833.9875MHz・船舶局(移動局)887.0125~888.9875MHzを12.5kHz間隔で使用していた。なお、この周波数はIDO/DDIセルラーグループの携帯電話サービスに使用された後、2005年現在ではNTTドコモのFOMAプラスエリア対応携帯電話機の送信に使用されている。

1988年9月1日サービス開始、1997年サービス停止。その後、第三者無線の海上使用が解禁され役目が引き継がれた。

国際無線電話[]

KDD(後のKDDI)が行っていた、遠洋航海をする船舶用のサービス。短波のSSBを使用した手動交換方式のものであった。

1936年8月7日サービス開始、2003年3月31日24時(JST)JBOのサービス停止。

インマルサットの衛星電話に移行した。

略歴[]

  • 1936年8月7日 - 太平洋航路就航の「秩父丸」と日本初の国際無線電話の開始
  • 1953年8月 - 旧日本電信電話公社により「港湾電話」(ハーバー・サービス)として、東京湾と大阪湾に停泊中か航行中の船舶を対象にサービス開始
  • 1958年 - 「沿岸電話」(コースタル・サービス)として、瀬戸内海でサービス開始
  • 1959年3月1日 - 五島航路の日本初の船舶公衆電話と「港湾電話」と「沿岸電話」とを統合し、「船舶電話」の名称となる。
  • 1964年11月 - 150MHzを利用した、手動交換方式サービスを開始し全国沿岸へ拡大。
  • 1979年3月27日 - 250MHz帯を利用した、自動交換方式船舶電話サービス開始
  • 1986年3月 - 手動式のサービス停止
  • 1988年
    • 9月1日 - 東京湾マリネットのサービス開始
    • 11月16日 - 自動車電話と中継網を統合した、新船舶電話(250MHz帯アナログ)方式サービス開始。カード型公衆電話と携帯型端末提供開始
  • 1989年12月1日 - 関西マリネットのサービス開始
  • 1991年4月26日 - 瀬戸内マリネットのサービス開始
  • 1992年10月 - IDO(現KDDI)による東京マリネットの吸収合併
  • 1993年9月30日 - 旧船舶電話方式のサービス停止
  • 1994年8月1日 - DDIセルラーグループによるマリネットグループ2社の吸収合併
    • 関西マリネット → 関西セルラー電話(現KDDI)
    • 瀬戸内マリネット→中国セルラー電話(現KDDI)
  • 1996年3月29日 - 日本の領海専用の衛星電話のサービスと、その端末の売り切り制度開始
  • 1997年 - 旧マリネットをサービス停止にし、その電波帯域を携帯電話で使用
  • 1999年3月31日 - 新船舶電話(アナログ)方式サービス停止
  • 2003年3月31日24時 - 国際無線電話(JBO)サービス停止

以後は、衛星電話参照



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