<キャスト>
工藤ジュンジ(ジナン):名探偵の弟、見た目はイケメン、頭脳は残念。
毛利鈴(りん):ジュンジの兄の幼馴染。唯一の突っ込み役。
四彦くん:容疑者のひとり。多重人格の疑いあり?スナイパーライフルを愛用する射撃の名手。過去に両親を失っているが、何があったのか?
綾美ちゃん:容疑者のひとり。マザコンで買い物が大好き、天然美少女。
<本編>
工藤:俺は高校生探偵、工藤ジュンイチの弟、工藤ジュンジ。
工藤:ある日、兄が兄の幼なじみで同級生の毛利鈴(もうりりん)と遊園地に遊びに行った時、黒ずくめの怪しげな服装のまま兄は鈴に告白してしまった!
工藤:100%振られる結末に気づかなかった兄は当然のように振られ、この失恋がきっかけで引きこもりになってしまった兄に代わって、気が付いたら……
工藤:俺が名探偵になっていた!
工藤:見た目はイケメン、頭脳は残念、その名は名探偵次男(ジナン)!
工藤:♪てれれーれー、てれれーれーれれー(某テーマ曲)
りん:(曲の途中で割って入る)そんな事はどうでもいいから、早く事件を解決してよジナン君!
工藤:バーロー、慌てちゃダメだぜお姫様。
りん:もー、早く解決してよ!
工藤:バーロー、もうほとんど解決済みさ。
りん:本当!?
工藤:バーロー、俺は名探偵のジナンだぜ?バーロー。
りん:それで、犯人は誰なの?
工藤:容疑者をここに全員集めてくれバーロー。
りん:バーローって言ったらそれっぽくなると思ったら大間違いだからやめた方がいいよジナン君。
工藤:……バーロー!バーローバーロー!
りん:まあいいけど。はい、容疑者を集めたよ!
四彦(よつひこ):僕はやってません!
綾美(あやみ):私もやってないわ!
工藤:あなた方のどちらかと俺の三人の中に、教室で飼育している金魚のエサふりかけにして食べてしまった犯人がいる!
りん:……って、いやそんな事件じゃないし!しかもジナン君も容疑者なのね。もしかして食べたことあるの?
工藤:…………バーロー!ジョークだよバーロー!
りん:もう!違うでしょ!今回の事件は四彦君か綾美ちゃんのどちらかが、イソノさんの家の盆栽(ぼんさい)を割ってしまったんでしょ!
四彦:僕じゃありません!僕はまず、事件があった16時頃、塾に向かっていました!
綾美:あ、綾美だってその頃はママとお買い物に行っていたわ!
工藤:なるほど、二人ともアリバイがあるってことか。そもそもどうして容疑者をこの二人まで絞り込めたんだい?
りん:キャストの人数的にこれ以上は難しいからよ。
工藤:…………バーロー!メタいんだよ!
四彦:僕は学校が終わった15時過ぎに校舎を出て、犯行現場とは反対方向にある塾へと向かいました。だから関係ありません!
綾美:私も同じく15時過ぎに学校を出たけど、学校の近くにママがいるってラインが来ていたから合流してそのまま商店街に行ったわ!
工藤:なるほど。四彦君が塾に向かったことを証明できる人は?
四彦:そ、それは……いませんが……
綾美:綾美のせいじゃないもん!四彦君がやったんだったら、ちゃんと謝らなきゃダメだよ!
工藤:バーロー!誰が四彦君が犯人だって言ったんだよバーロー。
りん:えっ、ジナン君、どっちが犯人なのか完全にわかったの?
工藤:真実はだいたい1つ!
りん:いや、いつも1つだよ。
四彦:でも、塾には遅刻せずに到着しています!これは塾の先生が証明できるはずです!
綾美:塾に行くまでに盆栽を壊して、それから塾にダッシュしたかもしれないよね!
工藤:バーローの極みだぜバーロー!そんなことはできない。なぜなら四彦君は走るのが破壊的に遅いからさ。
りん:じゃあ、綾美ちゃんが?
工藤:ママは身内だ。金を積まなくても話を合わせることくらいできるだろ?
綾美:そんなっ!綾美じゃないよ!本当だもん!
四彦:綾美ちゃん、観念してください!
りん:じゃあ、綾美ちゃんが……?
工藤:バーローの極みだぜバーロー!
りん:もうバーローは良いって。
工藤:そこに今回のトリックがあったんだよバーロー。
綾美:トリック?
四彦:どんとこい!超常現象(ちょうじょうげんしょう)!
りん:おいやめろ。
工藤:四彦、お前が背負ってるそのバッグはなんだ?
四彦:こ、こ、こ、こ、こここ、ここっこっここ、ここ、これ?
工藤:明らかに動揺してるみたいだなバーロー。
りん:確かに、野球のバットにしてはちょっと大きなバッグよね。
工藤:その中はおそらく……スナイパーライフル。
綾美:えっ!?
りん:す、スナイパーライフル?!
四彦:ぐっ……!
工藤:犯行現場と塾は、学校を挟んで真逆の位置にある。しかし塾は山沿いで、街を見下ろせる高い位置にあるんだぜバーロー。
四彦:そそそ、それがどうしたんですか?それが僕が盆栽を射撃した証拠にはならないですよね!!
工藤:射撃、ね?
四彦:しまった!
工藤:四彦は大きなミスをいくつか犯している。
りん:ミス?
工藤:バーロー。最初に犯行があった時間を16時頃と言ったが、その情報を知っているのは犯人だけだぜバーロー。
四彦:なにっ!
工藤:イソノさんが盆栽の破壊を確認したのは仕事から帰ってきた夜だったが犯行時刻は誰もしらなかったんだぜバーロー。
四彦:それなら綾美ちゃんだって!その時間は買い物に行っていたって言っていましたよ!綾美ちゃんだって16時だって知っていたんじゃないですか!?
綾美:あ、綾美は四彦君が16時頃って言っていたから、その時間ならママとお買い物に行っていたって、言っただけだよ。
工藤:塾に向かった四彦君は、塾に入る直前に背負っていたスナイパーライフルを構え、イソノさんの庭にあった立派な盆栽を狙撃(そげき)した……。
四彦:(急にキレる)ど、動機は!動機がないじゃないか!俺がどうして盆栽を狙撃する必要があったんだ!ああ!?言ってみろよ!
りん:おいキャラ変わってるぞ~四彦。
工藤:動機は十分にあるはずさ?……あの盆栽に恨みがあったんだろ?バーロー。
四彦:くっ……!
綾美:どういうこと?
工藤:バーロー。その背負っているスナイパーライフルをちょっと見せてみろよ、バーロー。
四彦:な、なに?
工藤:ほう。これは19世紀の末、ドイツで実用化されたボルトアクション式ライフルAPS-2だなバーロー。
工藤:弾薬をチャンバーに押し込み、丈夫なボルトで閉鎖、発射まで手動操作が必要とされるが命中精度が高く安定性に長(た)ける。
工藤:シンプルでありながら実践でも高い評価を得ていた、信頼性の高いスナイパーライフルだ。
工藤:それだけじゃない、これは歩兵の主力武器として第一次世界大戦のみならず第二次世界大戦の時でさえ、世界の軍隊から愛された……
りん:(途中で割って入る)はいストップ!!
工藤:バーロー……いいところなのに。
りん:それと推理は関係ないでしょ、早く進めて!
工藤:…ごほん。
工藤:このスナイパーライフルなら、塾からイソノさんの盆栽を狙うことができたはずだ。
りん:いや遠すぎるし、射撃スキルが軍人並みなんだけど、そんなことある?
工藤:バーロー。四彦は一等射撃兵だ、バーロー。盆栽くらい目を閉じていても射抜ける。バーロー。
四彦:……ここまでか。俺様が盆栽を狙撃したこと、いつわかった!
りん:だからキャラ変わってるって。
工藤:背中に……スナイパーライフルが背負われていたからさ。
りん:推理、雑じゃない?
四彦:くそぅ……そんなミスをするなんて……
りん:四彦君も四彦君だよ、スナイパーライフル背負ってたら怪しいでしょ。普通に。
工藤:バーロー……四彦の両親は、あの盆栽に殺されたんだよ。
綾美:うそっ!
りん:えっ!?……は?
工藤:バーロー……あとは、察してやれよ。
綾美:四彦君……大変だったんだね……。
四彦:こうするしか……なかったんだよ!!
りん:え、どういうこと?盆栽に?親を?は?
四彦:どうしても許せなかった……!
りん:ちょ、え、私だけ?追いつけないんだけど。
工藤:あの盆栽が、最後にダイニングメッセージを残していたよ。
四彦:えっ?
工藤:砕けていた盆栽の近くに、血で文字が書かれていたぜ、バーロー。
りん:もうどこから突っ込んだらいいか。
工藤:「これでよかったんです」ってな。
四彦:うっ、うう……盆栽さああああん!!!
綾美:ううっ。(涙)
りん:え、あの、なんか解決した感じだけど私だけよくわかってないんだけど。
工藤:バーロー……。
りん:いや、決まってないよ、どういうこと?
四彦:自首します。罪を償ってから……両親の墓参りに行ってきます。
工藤:それがいいぜ、バーロー。
綾美:綾美、面会にいくからね!ちゃんと罪を償ってね!
四彦:ああ、心配かけたな綾美。じゃ、俺……警察にいくわ。
0:少し間を開けて。
りん:…………どういうことーー!!!!
工藤:せーの…
全員:(タイミング合わせて)ちゃんちゃん。
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