登録日:2026/06/18 Thu 18:15:33
更新日:2026/06/19 Thu 08:59:54NEW!
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〝定説〟は真実なのでしょうか?
『信長を殺した男 本能寺の変431年目の真実』は、原案:明智憲三郎、漫画:藤堂裕による漫画作品。
『別冊ヤングチャンピオン』(秋田書店)2016年9月号から2020年8月号まで連載された。
【概要】
快進撃を続けた織田信長を討ち、今尚その動機は謎に包まれている戦国武将・明智光秀。
その子孫を自称する明智憲三郎氏が著し、ベストセラーとなった『本能寺の変 431年目の真実』(文芸社文庫)を元にコミカライズされたものである。
一見子孫が語るというだけあって信憑性があると感じたかも知れないが…この明智憲三郎という男、本当に光秀の子孫なのかについては多くの人から疑問の声が持たれている。
なにしろ大学では歴史学ではなく工学部を専攻し、情報処理関係の会社員を務めるお方だというものの、彼が直接の先祖と主張する明智光秀の子・於寉丸の存在が史料に確認できないのだ。
主張も後述通り明智側に肩入れしまくったものが多く学者も疑惑の目で見ている人がほとんどであり、歴史学者の呉座勇一氏からは「机上の空論」と一蹴されていたりもする。
その筆調は本作とて例外ではなく、
- 主役の光秀だけでなく織田信長、斎藤利三など彼に与した人物が優男に描かれている一方で、秀吉を筆頭に光秀と敵対した人物がことごとく醜悪*1に描かれている。敵対関係ではなくとも、荒木村重や武田勝頼など比較的光秀の味方寄りにもかかわらず醜悪に描かれた人物もいる。*2
- 明智光秀周りの描写は一次資料を元に「明智風呂」などの細かい部分まで拾っておきながら、武田周りは「山本勘助の部分以外は信憑性が高いと言われている」と主張して『甲陽軍鑑』1冊で済ませるなど史料の取捨選択に著しい偏りが見られる。
- 光秀の母が信長に処刑されたなど軍記由来の考証を廃したと標榜しつつ、処刑された「荒木新七郎」を光秀の孫とするなど軍記よろしく一次資料にない関係を捏造し補完する。
- 「三河国浜松*3」と書いたり書状の画像を取り違えるなど、初歩的なミスも目につく。
など、全体的に公正とは言えぬ歴史考証が行われており、作中において度々フィクションではなく史実であると主張しまくっている事も相まって戦国時代が舞台の漫画の中でも読者内で好き嫌いが激しく分かれる作品でもある。
とは言え、藤堂先生の圧倒的な画力や擬音を全てひらがなにするなどのこだわり、さらに悪役として非常に魅力的な秀吉の存在も相まって歴史サスペンスとして見ればかなり良質な作品に仕上がっている。
明智先生の主張についても、逆賊呼ばわりされてきた事を否定したいという思いが念頭にあるようなのであまり責めるのも酷というものだろう。それにしたって秀吉ら敵対者を必要以上に貶めるのはやりすぎな気もするが…
ちなみに5巻に収録されている、『磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~』を思わせる筆致の『軍記物で見る信長を殺した男』は必見。
2020年には井上和彦や関俊彦ら豪華声優陣による朗読劇が配信された。
2021年3月号からは秀吉を主人公に据えた続編『日輪のデマルカシオン』が連載開始。
【おもな登場人物】
キャストは全て朗読劇のもの。
CV:井上和彦
本作の主人公にして、文武両道の完璧超人イケジジイ。
煕子や斎藤利三、一門衆明智秀満ら多くの人物に慕われるが、秀吉には「説教臭い正論ジジイ」と目の敵にされている。
気さくな好々爺である一方で、戦では厳格な一面もあり欲に溺れる僧侶達を滅ぼすために比叡山焼き討ちを進言し秀吉をも恐れさせた。
サウナ好きで、サウナではその肉体美を存分に見せてくれる。
CV:関俊彦
光秀の主君。光秀とは将軍義昭が襲撃された本圀寺合戦で出会い、彼の力を認める。
若かりし頃より戦の天才として名を馳せ、特に桶狭間の戦いは光秀や秀吉も「神軍」「何が奇跡か…全て計算された勝利よ……」と舌を巻くほどであった。*4
最初の内こそ仲睦まじい様子を見せていたが、非合理的な策を取った秀吉を称賛するなど次第に耄碌を見せ、光秀とは対立していく。
その野望はとどまる事を知らず、中国まで攻め入る「唐入り」を図るもその神算鬼謀を光秀に利用され我が身を滅ぼす事に……
CV:高橋広樹
本作のメインヴィラン。
三木城の捕虜相手に故意にリフィーディング症候群を引き起こす事で非合理的な殺戮を行うなど邪智暴虐な性格で、その悪逆非道ぶりは古代中国の霊獣饕餮に擬えられ、悪い事考えた時には顔面に殺意の波動饕餮文が浮かび上がったり果ては己自身が饕餮と化したりする。
史実通り6本の指を持っていたが、斬り落としてみせた。
光秀が後世の軍記や小説で暴虐の謀反人と貶められたのは、秀吉の画策とされている。
傲岸不遜な性格ながら、内心光秀には思う所があったようで山崎の戦いの後には光秀を愚弄した家臣を叱咤するという意外な一面を見せた。
肖像画そっくりの肥満体。
天下統一の障害になるとして信長に本能寺で暗殺されかけるが、光秀の裏切りにより難を逃れる。
それゆえ光秀に並々ならぬ恩義を感じ、孫たる徳川家光の名は光秀に肖って付けた名だという。信長に暗殺されかかったのに続編では小牧・長久手の戦いで史実通り織田信雄に与しているが、細かい事は気にするな!
- 足利義昭
CV:稲田徹
室町幕府15代将軍。
秀吉と並び醜悪を絵に描いたような性格で、本圀寺合戦で信長に守ってもらった恩をすっかり忘れ各地の大名に呼びかけて幕府再興を目論むも信長、そして光秀の奮戦によりその野望は潰えた。
やたら肉欲が豊富で誰得なベッドシーンもある。
番外編『日輪の告白』では老いさらばえた秀吉の御伽衆・道休として、信長の華々しき活躍を聞き取る。
「信長様の草履を懐で温めたという!」「知らん何それ」
- 斎藤利三
明智家重臣。サウナ好き。
山崎の戦いで秀吉の策により光秀が孤立してゆく中、唯一裏切らず守るために奮戦し処刑された。
- 細川藤孝
光秀の親友にして元主君。サウナ好き。
光秀・家康・利三とともに信長を殺害する策をともに練ったものの、土壇場で光秀を裏切った。その真意とは……?
- 煕子
CV:植田佳奈
光秀の正室。
斎藤道三に生国美濃国を乗っ取られ、越前国へと落ち延びる途中に19歳の光秀と出会い、その後土岐氏再興のための政略結婚により光秀と結ばれる。
天王寺砦の戦いで赤痢にかかった光秀を必死で看取り、その後光秀は奇跡的に快癒するも煕子は彼の身代わりになるかの如く息を引き取った。
- 荒木村重
織田家重臣の有岡城主。
三木城攻めに参加した事で信長の残虐さにいやけがさし、謀反を企てる。
ケツアゴにもっさりした髭という醜悪な外見ながら本来は家族思いの情に厚い人物らしく、包囲されると尼崎城で巻き返すために逃亡。村重自身は逃げ延びたものの、残された妻のだしや孫の新七郎をはじめ一族郎党は斬首された。
光秀はだし達の首を丁重に弔おうとするが、秀吉は首を晒すべきだと主張。しかし信長が秀吉の策を採用したため光秀と亀裂を生んでしまう。
- 武田勝頼・信勝
武田家最後の当主父子。
『甲陽軍鑑』の記述通り謀反を持ちかけてきた光秀と手を組もうとするも老害軍師・長坂長閑斎*5が使者を切り捨てたり真田昌幸を冷遇するなどの妨害にあいピンチに陥る。
織田軍に追い詰められ「余も逃げぬ…」とかっこよく宣言した次のページでアヘ顔を晒しながら討たれた。せめて北条家の者に啖呵切るエピソードとか書いたれよ……
- 彌介
南蛮から宣教師ヴァリニャーノが連れてきたアフリカの黒人で本名はヤスフェ。
本能寺での奮戦ののち光秀に「こやつは動物と同じ…何も知らぬ」と見逃され、「本能寺で違う男が殺される予定だった」と語る。
宣教師たちが流暢な日本語を話すのに対しコイツだけなぜか全文カタカナのカタコトになっている。
追記・修正は信長を殺してからお願いします。
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- ダイ〇クト出版のバナー広告かな? -- 名無しさん (2026-06-18 20:52:03)
- 記事の内容こそ割と偏りが目立つ気がするが… -- 名無しさん (2026-06-18 21:23:22)
- 明智光秀って妙に若く描かれることが多いから、最初から年寄りって結構珍しいかも知れない -- 名無しさん (2026-06-18 22:02:16)
- 本書を読んでいないので分からないが、何で荒木村重が斬首されているんだ? -- 名無しさん (2026-06-19 02:48:12)
#comment()
*2 この事は『信長名鑑』においても触れられている。
*3 浜松は遠江国。
*4 当初は光秀の評であり、秀吉も番外編において受け売りの形でそっくりそのまま称賛している。
*5 長坂光堅。『甲陽軍鑑』特有の表記で一次資料にはこのような名はない
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