登録日:2022/07/28 (木) 17:46:35
更新日:2024/06/24 Mon 13:39:19NEW!
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三つ編み ヒロイン ゴブリンスレイヤー 受付嬢 千川ちひろ 内田真礼 鬼!悪魔!ちひろ!←ではない ゴブスレ専門担当官 ギルド職員
あなたは銀等級の、冒険者なんですから
GA文庫の小説『ゴブリンスレイヤー』の登場人物で、ヒロインの一人。
CV:内田真礼
AA版配役:千川ちひろ(アイドルマスターシンデレラガールズ)
●目次
◆概要
ゴブリンスレイヤーが所属する辺境の街の冒険者ギルドの職員として、窓口業務等を務める女性。
彼女の内心を知る同僚たちの計らいで、ゴブリンスレイヤーの報告等は基本的に彼女が担当する。
登場初期の年齢は22か23歳。今作のヒロインの一人。
ひとまとめにした亜麻色の三つ編みが特徴的な美女で、スタイルも非常に良い。
品行方正で、基本的に誰に対しても物腰柔らかに、にこやかに接するが、
怒るとかなり怖く、笑顔は変わらないが怒っていると威圧感が増す*1。
落ち着きがあって気配りも出来る大人の女性として、女神官や牛飼娘からは理想の女性像として見られている節もあるが、
想い人であるゴブリンスレイヤーと接している時は、彼の言動に一喜一憂したり、不機嫌を露わにしたりと感情表現が素直になることもあり、
そういった受付嬢の姿を見た女神官に内心で「この人もこんな表情をするんだ」と驚かれたことも。
また、無頼漢・荒くれ者が多い冒険者ギルドで務めていることもあって、多少脅されても営業スマイルを崩さず接し、
昇級審査で問題行動を咎められ、いきり立つ冒険者相手に一歩も引かずに降格処分を言い渡したりと度胸もあるが、
ある程度は虚勢を張っているところもあるらしく、前述の昇級審査では件の冒険者が退出した直後、
気が抜けたように椅子に沈み込み、「怖かった」と漏らしている。
ちなみに、ギルド職員(文官)を務められるような女性は概ねが良家出身だといい、
その例に漏れず、受付嬢もそれなりの家の生まれのお嬢様である。
両親は「お父様」「お母様」呼びで、現在は一人暮らしをしているが定期的に手紙のやり取りをしている他、
ギルドへの就職祝いで両親から貰った鏡(姿見?)は、今でも彼女の家の玄関に置かれ、大切にしている。
ゴブリンスレイヤーとの付き合いは、彼がギルドに初めて訪れた頃からと長い。
冒険者登録をしに来た、現在以上に偏屈な「何か変なの」に最初こそ戸惑いながら接していたが、
依頼の達成報告を何回か彼から受けているうちに、相変わらずコミュニケーションは取りにくいものの、
「聞けば答えてくれる」「意外と律儀で注意も聞き入れてくれる」ことに気付き、普通に接するように。
同時に、彼が本来パーティで行くべきゴブリン退治の依頼に基本的にソロで向かうことは心配しているが、
低報酬故に数が多いながら受ける者が少ないゴブリン退治の依頼を積極的に引き受けるだけでなく、
毎回ちゃんと達成してくれることに多大な感謝を向けている。
現在ではその感謝に個人的な、異性としての思慕の感情も混じっているものの、
彼が気になり始めたのは意外と早く、彼が白磁から黒曜に昇格する頃には明確に好意を抱いていた様子。
その好意は傍から見てもあからさまであり、露骨に一人だけ非営業スマイルを向けたり、
本来カウンター越しに事務的に受ける依頼達成の報告を、彼の対応の場合のみ特別に時間を作って、椅子とお手製の紅茶を勧めてゆっくり聞くのが常態化するほど*2。
彼の「ゴブリンがいた」から始まるどこか言葉足らずな報告を元に、あれこれ情景を想像しながら書類を仕上げるのが彼女の楽しみの一つになっている*3。
本来窓口業務に専属のような概念はなく、故にどの窓口担当者も分け隔てなく冒険者からの依頼達成報告を受ける*4のだが、
上記の理由から、自分が不在の時に他の受付がゴブリンスレイヤーから報告を受けるのを良しとせず、
言葉では「仕事だから対応してもらっても良い」と語りながら、威圧的な態度で同僚を脅すほどである。
このこともあり、同僚たちはゴブリンスレイヤーが報告に来る際には彼女に一任している他、
どうしても彼女が受けられない時には流石に他の者が担当するが、「後で恨まれる」とこっそりボヤいたりしている。
ゴブリンスレイヤーの方も彼女の好意には気付いているが、牛飼娘と同じく今の自分には答えられないと思っている様子。
一方で、付き合いの長さもあって牛飼娘と同じくらいに自分を支えてくれている人という認識はあり、
あまり表立って表現することはないが、彼女には非常に感謝しており、頼み事は大抵聞き届ける。
なお、ゴブリンスレイヤーの報告を長年受けているうちに彼女自身もゴブリンに関する知識が豊富になってきており、
彼が所属する冒険者ギルドで、ゴブリンの専門家とも言うべき彼のゴブリンに関する話に問題なく付いて行けるのは彼女くらいで、
ゴブリンスレイヤーに依頼を斡旋する際にも、彼が欲する情報*5を特に何も言われずとも彼に伝えるほど精通している他、
他の冒険者が既に受託したゴブリン退治の依頼でも、新人が担当した等の不安要素があるものなら彼にも詳細を伝えたりしている。
文庫に掲載されたゴブリンのモンスターマニュアル*6の挿絵でも、
「新人女性冒険者にはゴブリンの危険性を強調し、鼠駆除などの他の新人向け依頼を勧めるべき」
という旨の、彼女と思しきギルド職員からの注意事項が記述された付箋や、
「依頼を受けた新人冒険者が全滅したから、交代要員を派遣してくれ」という旨の付箋に対し、
「毎回毎回『彼』頼りはどうかと思います」という、これまた彼女と思しき職員の苦言が記述された付箋が貼られている。
槍使いには一方的に言い寄られているが、当人にそのつもりは一切ないため、
報告の際に言い寄られても営業スマイルでシャットアウトし、ポーション等を勧めるのが基本対応。
ただ、あくまで恋人等にするにはちょっと、というだけで、冒険者としては優秀で、一人の人間としても好人物とは認識しており、
流石に邪険に扱ったりまでは出来ず、にこやかに躱している模様*7。
槍使いの相棒であり、彼女の友人でもある魔女が彼に好意を抱いているのも知っているため、
彼のアプローチを躱しつつ、目配せ等で彼女に謝ったりしている*8。
本質的に優しい性格なので、恋のライバルである牛飼娘とも仲が良く、
ゴブリンスレイヤーのパーティメンバーである女神官や妖精弓手とも友人、姉のような関係を築いている。*9
彼女たちと一緒に遊んだり、ゴブリンスレイヤーのパーティに随行して他の町や都に出掛けることも多い。
女神官に対しては、彼女が新人の頃から見ていることもあって指導員のような立場でもあり、
ドラマCDでは師匠よろしく報酬を気にしない彼女に「報酬のことも忘れちゃダメですよ」と言ったり、
将来のために自分で報告書を書いてみるよう勧めたりと、ちょくちょく彼女の冒険者としての成長のために心を砕いている。
牛飼娘同様、冒険者ではない一般人ながら、ヒロインの一人として必ずと言っていいほど出番があるレギュラーキャラクター。
巻末は牛飼娘が暖かいシチューと共に笑顔で彼を迎えたり、
受付嬢が二人分の紅茶を淹れて彼からの報告を笑顔で受けるところで終わるというのが定番の〆の一つである。
◆過去
本編から5年前に都での研修を終え、18歳の時に辺境の街に赴任。
その時に冒険者登録のためギルドを訪れたゴブリンスレイヤーの対応を行ったが、
以降も彼からの達成報告等を受けているうちに、なし崩し的に彼の専属担当官のようになった。
この頃から槍使いからも、彼の好みのタイプだったらしくアプローチを掛けられており、
彼らに対して自分が抽出した依頼を斡旋したりもしている*10。
当初赴任したばかりの時は、業務に四苦八苦しており、特に後を絶たないゴブリン退治の依頼には辟易していた。
そして報酬が少ないので、新人に任せるしかなく、
しかもその新人が帰ってこなかった時は、さらに心が痛め、「仕事を間違えた」と思う程だった。
そんな時に現れたのがゴブリンスレイヤーである。
初対面時は(当然だが)彼の不気味さと威圧感溢れる容姿に委縮したが、
他の冒険に目もくれることなく、最初の依頼からずっとゴブリン退治の依頼ばかりを受ける彼を気に掛けるように。
ただ、この頃からゴブリンスレイヤーは碌に報酬内容を聞かずに依頼を受けていたので、この態度には厳重に注意していた。
これもあって受付嬢が斡旋した依頼については報酬も気に掛けるようになったが、そもそも彼は「ゴブリン退治」そのものが目的なこともあり、
現在でもゴブリンの規模や被害状況ばかり気にして、報酬をろくに気にしないことも稀にあり、その度にやんわりと注意している。
彼が冒険者になってすぐの頃は、せっせとゴブリン退治の依頼を受けてくれることに感謝しつつ、
冒険者である以上、彼も等級が上がればゴブリン退治以外の依頼も受けるようになると思っていたが、
そんな彼女の予想に反して、彼は等級が上がっても変わらずにゴブリン退治ばかりを受け続け、
いつしか『小鬼殺し』と他の冒険者にあだ名を付けられるまでに。
この頃には彼女もゴブリンスレイヤーの対応に慣れると共に、後述の通り元々タイプの異性だったこともあり、
ギルドに彼の昇級を申請するほどには、彼に対して特別な思い入れを持つようになっていた。異性として明確な好意を抱いたのもこの辺り。
ちなみに、元々彼女の好みはストイックな冒険者だったのだが、ギルド職員として都に研修などに行った際、
女性とみれば職員でも平然とナンパしたり、下世話な話をする軟派な男性冒険者が非常に多く、
彼女もその対応に難儀したことから、猶更彼女の硬派好みに拍車が掛かった模様。
また都にいた時は、彼女の先輩がおり、その女性に受付嬢としてのあらゆる礼儀作法を教わった様子。
その彼女がゴブリンスレイヤーの昇格審査のために都に現れた時は、
さすがに焦り色々な意味で、彼の昇格と安否を心配した。
ただこの隻眼の女性は後に登場し、ゴブリンスレイヤーのことを思い出しているので、
ゴブリンスレイヤーとこの女性の関係は良好の様子。
◆作中の活躍
物語冒頭からギルド職員として窓口業務等をこなす姿が描かれ、新人として冒険者登録しに来た女神官の対応も行った。
この後、彼女はゴブリン退治の依頼を受けた新人冒険者の一党に誘われてゴブリン退治に向かうのだが、
彼女らが依頼を受けること自体は承諾しつつも、「もう少しすればベテランが帰ってくる(ので、彼と共に行っては?)」と忠告していた。
結果論だが、この時彼女らがその忠告を受けて待っていれば、彼女以外事実上全滅することはなかっただろう。
この頃は結構腹黒い部分も見られ、報告が終わったのにしつこく窓口に居座る槍使いの冒険譚をにこやかに聞き流しつつポーションを勧めて買わせたり、
彼が突っ伏した机には(この後疲れで自分も突っ伏したくなっても)顔を押し付けないようにすると内心で思ったり、
ゴブリンスレイヤーが言葉の綾であたかも仕事の斡旋をする自分たちを緑の悪魔魔王のような言い草をした際に、
(漫画では角が生えた悪魔の如きイメージの)笑顔で威圧していた。*11
以降も受付嬢として仕事をこなしていたが、ゴブリンスレイヤーが拠点とする牧場にロード率いるゴブリンの大軍が近々襲撃するという一報が届く。
ゴブリンスレイヤーがギルドの冒険者に応援を頼むなど、彼なりにその大軍に抗しようとしている一方で、
彼女も彼女で彼や牧場のために出来ることをしようと奮起し、上に上申して「ゴブリン一匹に金貨1枚」という破格の報酬を出させることに成功。
この時点で女神官、妖精弓手、鉱人道士、蜥蜴僧侶、槍使い、魔女はゴブリンスレイヤーからの「ゴブリン退治の依頼」を受けると公言していたが、
それ以外のギルドに所属する冒険者もこの報酬を聞いて全員参戦を決意し、辺境最強の冒険者連合軍が結成。
受付嬢自身は戦場には出られないながらも、陰の功労者と言えるほど牧場防衛に大いに貢献した。
月日が流れ収穫祭が近くなったある日。
彼女も収穫祭当日の予定を空けて、祭りを回る準備をしていたが、
肝心の相手であるゴブリンスレイヤーを誘えずに苦慮していた。
しかし友人である魔女の発破、牛飼娘や女神官といったライバルの存在、なにより5年も距離が縮まらない状況を顧みて、
遂に一念発起してゴブリンスレイヤーに収穫祭当日の予定を聞く。*12
案の定「ゴブリン」と言いかける彼に、長年の経験で彼の言動を熟知していた彼女は「ゴブリン以外で」と機先を制すと、
「予定はない」という言質を取り、すかさずゴブリンスレイヤーを収穫祭に誘った。
彼は「日頃世話になっているから」という理由で承諾し、彼女の奇襲は見事成功した。
尤も、直後に彼は仲間たちにも誘いをかけたが、酔いつぶれて前後不覚の妖精弓手以外の二人はあまりの朴念仁っぷりに呆れ、
最早抗議もせずに苦笑している受付嬢に気を遣って「自分たちは別の予定がある」として誘いを断り、
結果、午後から一緒に収穫祭を見て回れることになった。
…徹頭徹尾、魔女から魔術を使ってまで喋ること自体妨害された槍使いが泣いたのは言うまでもない。
そして迎えた収穫祭当日。
午前中を一緒に過ごした牛飼娘と別れたゴブリンスレイヤーと合流した受付嬢は、
約束通り午後から合流し、一緒に昼食を取ったり、大道芸を見たりと楽しんでいた。
あらかた見て回った後、彼女はある所に彼を誘う。
それはギルド庁舎の見張り塔で、町のあらゆる景色が見渡せる場所だった。
受付嬢が彼をここに連れてきたのは、彼を安心させるためであった。
平時すら常にゴブリンの襲撃を警戒し、装備を着込むゴブリンスレイヤーは祭りの日にもその姿勢を変えることはなく、
受付嬢と祭りを回っている最中も、警戒を怠らず、ゴブリンが襲ってくる前兆はないかと見回りもしていたのだ。
それを察した受付嬢はここに彼を連れてきたのだが、結局、彼の不安と警戒心を拭えることは出来なかった。
そして夕日が暮れ、地母神に奉げる祭事が始める。
点灯に彩られる景色の中、祭壇の中心には神に奉げる舞踏をする女神官の姿があった。
見張り塔で彼と共にその踊りを見つめて受付嬢は思う。
彼がいつか自分を、もしそれが叶わなくとも誰かを見てくれることを、
ゴブリン退治以外のなにかを見つけてくれることを、
何よりも、ずっとゴブリン退治ばかりに囚われている彼がいつか報われることを切に願った。
祭りが終わった後にゴブリンスレイヤーは一日を振り返り「悪くなかった」と語り、それには彼女も歓喜した。
その後、ギルドに庁舎の鍵を返し、ロビーを出ようとした時、受付嬢は違和感に気付く。
ギルドの建物に入ってきた際、自分は鍵をかけた覚えはなく、
さりとて祝祭で休みのここに自分たち以外の誰かが来ることはないと思われるため、
すんなり開くはずであった扉が施錠され、開かなかったのである。
その瞬間、ゴブリンスレイヤーは危険を察知し、受付嬢を庇う姿勢を取ると、
彼の予想通り、二人は何者かの襲撃を受けた。
ゴブリンスレイヤーは受付嬢を庇いつつ、お決まりの「ゴブリンか?」という問いを投げるが、
襲撃者はもちろん答えることなく、むしろその問いを鼻で笑って、攻撃を仕掛けてくる。
素早い上に毒塗りナイフも投擲してくる襲撃者に、ゴブリンスレイヤーは一進一退の攻防を繰り広げるが、
襲撃者の、囮のナイフも使った手投矢(ダーツ)を投げつけてくるという戦法の前に、
暗闇という悪条件も加わってゴブリンスレイヤーは反応できず、手投矢を喰らって倒れ、沈黙した。
受付嬢は想い人が目の前で倒されるという現実にショックを受けるも、
歓喜しながらなおも倒れた彼の兜を足蹴にする襲撃者から、ゴブリンスレイヤーを庇おうと立ちはだかる。
何やら自分にも恨みがあるらしい襲撃者に冒険者でない自分は嬲り殺しにされるだろうと思いつつ、
せめて精神だけは屈しまいと襲撃者を睨み付けるが…
「楽に死ねると思うなよ…!」
「そうか」
直後、地獄から響くような低い声が響いたと思うと、倒れたと思われたゴブリンスレイヤーが身体を起こし、
死んだと思った自分に背を向けていた襲撃者を剣で貫き、捩じって臓腑を抉り、トドメを刺した。
常日頃からゴブリンどもの毒矢などの対策に、革鎧の下に鎖帷子を着込んでいるゴブリンスレイヤーには、
例えゴブリン以上の技量を持つ襲撃者が放ったものであろうと、手投矢が通用するはずはなかったのである。
つまりは、自分の技量では真正面から勝てないと踏んだゴブリンスレイヤーの迫真の死んだふり→奇襲だったが、
そんなことを知る由もない受付嬢は、彼が死んでしまったと思ったショックと、生きていた安堵に感情が決壊し、
普段の平静な態度をとりつくろえるわけもなく、大号泣してしまう。
彼女が泣くところなど滅多に見ないゴブリンスレイヤーは、流石にバツが悪そうに心配させたことを謝罪するのだった。
その後、襲撃者の正体を確かめると、かつて不正の咎で処罰し、事実上ここのギルドから追放された圃人の元冒険者だった。
実はゴブリンスレイヤーは、この男の素性こそ知らなかったものの、何やら不審な行動をしていることと、
さらには、こそこそと別の何者かと密談し、二人が何か企んでいることに気付いていた。
この男が動いた以上、別の襲撃者やあるいはゴブリンも動き、祭りで浮かれる町が危険に晒されると確信した彼は、
遺体や散らかったギルドの片付けといった後始末を受付嬢に託し、冒険者として敵の撃退に向かうと告げる。
最早祝祭の日は終わりを告げ、自分たちもただの男女から冒険者とギルド職員に戻らないといけないと悟った受付嬢は、
彼から託された後始末を引き受け、戦いに向かう彼を、いつも通り武運と安全を祈りつつ送り出した。
そして、夜の町を駆けるゴブリンスレイヤーの姿を見た彼の一党もすわゴブリンかと彼の下に集結し、
『小鬼殺し』とその一党によって、残る不埒者とその配下のゴブリンどもは殲滅され、収穫祭は無事に終結した。
それから新人用の訓練所が出来たのでその手続きをしたり、
妖精弓手の姉の結婚式に呼ばれたので一緒に随行したり、
休日は牛飼娘と一緒にお茶しながら、楽しく過ごしたりと
ゴブリンスレイヤーにゴブリン退治の依頼を斡旋しながら思い思いの日々を送っていた。
そしてゴブリンスレイヤーがパーティを組んでから、およそ2年半程の才月が過ぎたある冬至の日。
彼女は宣言する。「迷宮探検競技をしようと思うんです!」と。
迷宮探検競技とはなにかだが、簡単に言うと、新人冒険者や冒険者志望の者に、
ギルドが用意したダンジョンを攻略してもらおうという企画である。
罠や敵も仕掛けるが、当然ギルドが用意するものなので、命を奪う程のものは一切ない。
受付嬢は、その催し物の監修をゴブリンスレイヤーにしてもらおうと願い出たのである、
…………が、
ハッキリ言ってこれは彼女の判断ミスである。
なにせ頼んだのは「あのゴブリンスレイヤー」
彼は、まさに「悪質」「陰湿」「非道」の三拍子が揃った罠の数々を立案し、
その内容は新人冒険者に重傷を与え、最悪殺しかねない物ばかりだったのである。
これには彼のパーティメンバーも半場諦めながら辟易し、
頼んだ受付嬢に至っては、原作初期の如き笑顔で、彼の案を否定。
そんな中で彼は四苦八苦しつつ、パーティや他の冒険者の意見を求めて、なんとかダンジョンを完成させた。*13
そんな彼と一緒に彼女もまた楽しそうに競技の準備を進めていた。
そして迷宮探検競技当日。
新人の前には牛飼娘の懇意で普段より小奇麗にしたゴブリンスレイヤーの姿があった。
彼の姿と胸に掲げる銀等級の資格証を見て、新人冒険者たちは目を輝かせる。
そんな状況を受付嬢は当人以上に誇らしく思いながら見ていたのだった。
それから競技が開催され、順調に進んでいたのだが、問題が起きた。
迷宮の中でゴブリンの死体が見つかったのである。
先にも述べたが、迷宮には怪物が配置されており、中にはゴブリンもいる。
しかしこれは妖術師が術で怪物を作ったからであり、倒された怪物は触媒である魔物の牙に戻る。
つまり死体が残るはずがないのである。
これが意味するところは明白であり、迷宮の奥にゴブリンの巣穴があるということだった。
受付嬢もこの緊急の事態に競技を中止しようと考えるが、ゴブリンスレイヤーの口から信じられない言葉が出て驚くことに。
「くそったれめ」
「迷宮探索競技は続けさせる」
「小鬼どもになぞ、好き勝手させて堪るものかよ」
普段ぶっきらぼうで愛想のない言葉遣いの彼でも罰当たりな悪態をつくのは、本当に珍しいことだった。
その上ゴブリン退治と同じぐらいに迷宮探索競技を優先したのである。
そんな風に変わった彼に彼女も喜び、競技を続けると同時にゴブリンを駆逐する流れで策を練ることに。
そして新人には秘密裏にゴブリン退治を遂行。
その依頼を請け負った彼に「前金」という体裁で様々な薬品が入ったポーチを預けるのだった。
それを受け取ったゴブリンスレイヤーはゴブリンの巣穴に行き、他のベテラン冒険者も警戒態勢に入り、
受付嬢も競技の運営を女神官と一緒に真っ当した。
最終的にいつも通りゴブリンは殲滅され、競技の方も犠牲者なく終了した。
後日ゴブリンスレイヤーは受付嬢と話す。
「鞄の中に香草の飴玉が入っていたが、あれは良くなかった。しかしそれ以外は役に立った」と。
ここまではある意味いつも通りの会話だが、次に彼は受付嬢が驚愕する一言を放つ。
「ありがとう」
今までは感謝を述べるにしても「助かる」「礼を言う」「感謝する」といった事務的なことしか述べなかった彼が、
親しい言葉を使って礼を言ったのである。*14
これには彼女も完全に不意を突かれ、咄嗟に席を立ち、真っ赤な顔と動悸を鎮めるのに四苦八苦した。
そして戻って来た彼女にゴブリンスレイヤーは話を続け、
「鞄の中を大分使って仕舞ったから弁償したい。ただ選ぶのを……」と、言いかけた彼に食い気味で
「ぜひ、一緒に!」
と述べ、ゴブリンスレイヤーと一緒に出掛ける約束を取り付けた。
その前に「まずはゴブリンだ」といつも通りに述べる彼に、
彼女は、これまたいつも通りの、しかしいつもより上機嫌に依頼を斡旋したのだった。
最近ではゴブリンスレイヤーへの心配と好意が強くなって来ているので、ゴブリン退治よりも彼の「正当な待遇」を望んでいる。
特に王じきじきから、ゴブリン退治を斡旋された時は、「冒険者」として認められ始めた彼の経歴と未来に傷がつくと考え、
一介の貴族令嬢、一ギルド職員という立場にも関わらず、王に否定意見を述べた程である。
(もっともゴブリンスレイヤーとパーティは当たり前のように引き受けたが)
今でも彼女はギルドに来た時と同じように彼の(事実上の)専門担当官である。
今日もまた最初の時のように思い人にゴブリン退治の依頼を出す。
しかし今は、彼はパーティでゴブリンを退治し、そしてゴブリン以外の『冒険』も行っている。
そんな彼が無事に戻って来た時は、満面の笑顔で出迎え、
口下手な彼の報告を幸せな気持ちで聞くのだった。
◆余談
上記にも記したが、AA版配役では、『アイドルマスター シンデレラガールズ』の千川ちひろが当てられている。
文庫化にあたっても彼女に似たキャラクターデザインになったが、声を担当したのはちひろ役の佐藤利奈氏ではなく、
『シンデレラガールズ』では神崎蘭子役を演じている内田真礼氏。
元ネタのように「鬼」だの「(緑の)悪魔」だのと言われたりしない一方、漫画で怒った際に悪魔のようなイメージにされたり、
元ネタのスタドリよろしく槍使いに何かにつけてポーションを勧めて買わせたり、ログボよろしくゴブスレさんにポーションをあげたりと、
プロデューサー(『シンデレラガールズ』のプレイヤー)にとっては何となく元ネタを匂わせるような描写がある。
ただし、内田氏が担当する蘭子の中二…独特な喋り方、通称「熊本弁」は流石に喋らない。
また、やたらスタドリを勧めてくることからドリンクのイメージも強い元ネタに合わせてか、
彼女も蜂蜜とレモンが入ったレモネードのような飲み物を原作で振舞ってたりする。
ゴブリンスレイヤーには、親代わりを務めてくれたものの、今では故人となった姉がいるのだが、
時折過去の回想で描かれる在りし日の彼の姉の姿は、髪型や雰囲気等がどことなく受付嬢と似ている*15。
ゴブリンスレイヤーさん
ゴブリンか
いえ追記、修正の依頼を……
バンッ!
ああ⁉だからって帰らないでください!
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▷ コメント欄
- スタイル抜群だがそのスタイルを維持する為には相応の努力をしている -- 名無しさん (2022-07-28 19:42:29)
- 牛飼娘や女神官のヒロインレースに食い下がる女。勝てる未来が見えないし、一番大人だしそのうち諦めてしまう気はする。 -- 名無しさん (2022-07-28 21:16:01)
- ちひろさんのデザインに寄せつつ明らかに別人とわかるキャラデザは絶品。 -- 名無しさん (2022-07-28 23:10:45)
- ↑2いいとこのお嬢さんらしいからゴブスレさんとはそこも支障ありそうだし。いい思い出になるのが順当っぽい。 -- 名無しさん (2022-07-29 00:28:04)
- 元AAにキャラデザ似せてるゴブスレキャラの中で『見た目ちっひで声がらんらん』というデレマスPからすると色々脳がバグりそうになるキャラ -- 名無しさん (2022-07-29 08:56:02)
- まぁ女神官は師弟関係? 牛飼娘は身内も同然と考えれば受付嬢がヒロインレースに食い下がってるの納得ではある パンチ力はやや弱いけど -- 名無しさん (2022-07-29 19:11:57)
- キャラデザにおける配色の重要さを教えてくれるキャラ。作中の冒険者ギルドが国営であることを示すキャラでもある。 -- 名無しさん (2022-07-30 03:29:11)
- こっちはちひろさん、監督官ちゃんユッキに似てる -- 名無しさん (2022-07-30 08:47:46)
- 礼言われたくらいですごい喜んでるなと思ったが「ありがとう」が初めてだったのか -- 名無しさん (2022-07-31 18:23:38)
- 「ありがとう」は漫画版のイヤーワン2巻でも一応一回言われてはいるが、アレはほぼ言わせてるからノーカンなんかなw -- 名無しさん (2023-06-13 14:41:40)
- 作中世界観って一夫多妻は無理なんだっけ?ありなら可能性ある気もするけど -- 名無しさん (2023-11-08 06:46:44)
#comment(striction)
*2 ゴブリンスレイヤーは紅茶の香りを楽しむでもなく一息に飲み干すのが常だが、彼女からすると自分の淹れた紅茶を飲んでくれるだけで嬉しいのか、気分を害するどころかその様子を微笑ましく見守っている。
*3 ゴブリン以外の怪物の多くはゴブリンスレイヤーが名前を覚えようとしないため、報告を受けた外見的特徴を元に彼女が情報を補完している模様。
*4 彼女もゴブリンスレイヤー以外の冒険者からの依頼達成報告を受ける描写が(当然ながら)ある。
*5 ゴブリンの群れの推定規模、被害状況の詳細等
*6 内容は大半がゴブリンスレイヤーの報告書から抜粋されたものらしい。
*7 ただし、彼女も人間なので、タイミングによっては邪険にしてしまうこともある。
*8 5年前に槍使いと魔女の仲を取り持ち、一党結成に一役買うのだが、これが彼に好意を持たれる切っ掛けだった模様。
*9 勿論、それが理由で彼女たちを贔屓したりはしていない
*10 とは言っても槍使いは自分好みの依頼を選んで受けに来ることが多いため、依頼の斡旋については、数あるゴブリン退治のうちからゴブリンスレイヤーに任せたい依頼を選別し、彼に斡旋している場面が非常に多い。
*11 以降はこういった描写はない。度々笑顔で(主にゴブスレを)注意するぐらいである
*12 この時、周囲で聞き耳を立てていた野次馬の冒険者たちが一切にざわついているので、彼女の思慕は友人・同僚どころか、このギルド全体に知れ渡っている可能性がある
*13 改修途中で槍使いと重戦士にTRPGとして何度かダンジョンに潜ってもらったのだが、それでも二人は大変な目にあったらしい
*14 作中では女神官は愚か、牛飼娘にすら言っている描写がない
*15 ただし声の担当は内田氏の兼任ではなく上田麗奈氏。
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