大ダーク

ページ名:大ダーク

登録日:2022/01/18 (火) 12:56:26
更新日:2024/06/17 Mon 13:41:21NEW!
所要時間:約 19 分で読めます



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漫画 林田球 ゲッサン sf コメディ 宇宙 小学館 みぼすぱん にににめし 大ダーク




宇宙、惑星、大冒険。

無限に広がる闇また闇



『大ダーク(DAI DARK)』は日本の漫画作品。
2019年より『ゲッサン(月刊少年サンデー)』で連載開始、単行本は既刊7巻(2024年1月時点)。
話数カウントは「ボーン」で、単行本書き下ろしは「ボーナスボーン」。


●目次


【概要】

作者は『ドロヘドロ』『魔剣X』などで知られる林田球。
ダークかつグロテスク、しかしどこかコミカルな作風を存分に活かしたダークSFコメディ作品。
特にコメディである事が強く意識されており、インタビューでの作者曰く「『ドロヘドロ』にもコメディ要素はありましたが、『大ダーク』は本当にコメディだと思っています」との事。
主人公達が4人組であるという設定も「ザ・ペンギンズfromマダガスカル」など、アメリカのコメディアニメが由来だという。


主人公のサンコ達は「闇」、敵組織である光力塊は「光」がキーワードとなっており、作中用語として「闇の骨」に「闇の皮」、「光土」に「光油」といった感じでとにかくそれらのワードが頻出する独特な言語センスも特徴。
これにより、SF特有の独自用語が頻発する分かりにくい雰囲気が緩和されているのも本作のウリの一つである。


作者が「エイリアン」好きを公言しているだけあってデザインは大いにH・R・ギーガーの影響を受けており*1、またゲーム「DEAD SPACE」などにも影響を受けている模様。


作者の「単行本」への強いこだわりもあって、単行本はプラ製の透明カバーに印刷されたイラストとカバー裏イラストが組み合わさっており、カバーを取ると裏側のイラストが露わになるという豪華な仕様になっている。なので本棚にキチンとしまわないとカバーが変形して大変な事になる。
また次巻予告は作中用語を用いたクロスワードパズルになっている。正解は次巻の巻末で発表される形式。


【あらすじ】

宇宙というどこまでも広がる黒い暗闇のどこか。
「手に入れればどんな願いも叶う」と言われる骨を持つ14歳のザハ=サンコと、相棒の「闇のニーモツ」・アバキアンは、全宇宙人からその命を狙われていた!
その陰には、同じく宇宙の嫌われ者、死神・死ま田=デスとサンコたちを「4匹の害悪」と呼び、全宇宙に幅を利かせる巨大企業・光力塊の存在があった。
サンコは、襲い来る宇宙人の骨を奪いながら、ある目的の為に旅を続けるのだったが…?!


(単行本2巻より)


【用語】

  • 光力塊こうりょくかい

宗教組織「ライトヘッド教団」を前身とする巨大エネルギー企業。
光油や光土といった独自のテクノロジーを有しており、宇宙の始まりとされる場所「ゾーラー」について秘密裏に研究している。
全宇宙に幅を利かせる巨大企業であり、各地に光力塊やその息のかかった勢力が存在している。
サンコ達「4匹の害悪」を付け狙う、本作におけるメインの敵組織。


  • ライトヘッド教団

光力塊の前身となったカルト教団。始祖は「光=アレン」。
現在は一応光力塊の部署の一つ「儀式室」という扱いらしいが、基本的には内外問わず専ら別組織扱いされている。
教団側は現在でも光祖への忠誠心で動いているが、光力塊側はカルト組織だった過去を疎ましく思っているため関係はよろしくない模様。
他者の生命力を抜き出したエネルギー体「ライトコア」の精製術など、ゾーラーに由来する独自の技術を持っている。
彼らもやはり「4匹の害悪」を狙っているため、サンコ達からすると敵にあたる。


  • 「4匹の害悪」

光力塊が追い続ける、4人の「宇宙の嫌われ者」。
メンバーは願いを叶える骨を持つ「ザハ=サンコ」、闇のニーモツ「アバキアン」、死神「死ま田=デス」、不死身の男「一=ダメ丸」の4人。
彼ら全員が揃って行動を共にするようになったのは本編開始から暫く経ってからだが、光力塊は何故かそれ以前から一括りで「4匹の害悪」と呼んでいる。


  • ゾーラー

「宇宙のはじまり」とされる場所。
死ま田によれば「この宇宙の中心とも果てとも言われる場所」「未知の『何か』があるとされている」らしい。
一般にはどこにどういった形で存在するのかも不明とされているが、光力塊は設立当初からゾーラー研究に巨費を投じており、ライトヘッド教団もゾーラーから伝わる秘術や遺物を所有しているため、彼らはゾーラーについて何らかの事情を知っている模様。
また、教団信者が礼拝などで口にする呪文*2もゾーラーに所縁あるものではないかと推測されている。


  • タイボクガン

光力塊の息がかかった巨大小学校船。
宇宙中の有力者の子供が集まる学校で、生徒数は約200万人ほど。
子供達は入学時に体内に埋め込まれる「護符束」で管理されており、就寝と起床もこれによって時間通りに行わせている。
セキュリティの関係で大人は一人もおらず、光油ロボが先生役を務めているが、光力塊系の権力者であればお忍びで訪れる事はできるようだ。
作中では回想でのみ登場する。


  • クライ

ブラックホールの中に存在する、一切の光が存在しない闇の世界。
普通の宇宙人からすれば生存すら許されぬ過酷な世界であり、更に当然ながらブラックホールでもあるため重力は他の惑星とは比較にならないほど強いが、サンコのような「闇の生物」からすると心落ち着く故郷のような場所。
クライの住人は大抵がゾンビのようなグロテスクな見た目をしており、やはりサンコの骨を狙っている。
どうにも物理法則からして普通の宇宙とは異なるようで、宇宙人がクライに入るとたちまち死ぬか「シャドー」という黒い塊のような生き物に変貌してしまう。


  • ニーモツ

この世界における宇宙人の必須装備。
宇宙服や通信装置、収納など、宇宙で生きるために最低限必要な機能が全て詰まったバックパック型の装備であり、所属や階級などに応じた様々なバリエーションがあるが、ダメ丸のナグールンのようにアーマーに変形したり自律稼働するタイプは相当珍しい模様。
生命維持装置を兼ねたタイプも存在しており、ライトヘッド教団の幹部達は専用のニーモツに接続する事で下級幹部の末カイガンですら100歳越え、上級の幹部になれば数千年もの時を生きている。
それ以外にも多彩なニーモツがあるが、「闇のニーモツ」を持っているのはザハ=サンコただ一人と言われている。
名前の由来はもちろん「荷物」で、作者のリュック好きが高じた設定らしい。


  • 宇宙人

この世界における「人類」のこと。いわゆるホモ・サピエンスと同類なのかは不明だが、少なくとも多くは二足歩行の人型生物である。
一応は出身惑星により「〇〇星人」という呼称がされることもあるが、一括りで「宇宙人」扱いされるケースの方が多い。
光力塊の幹部や海賊などは自らの肉体を改造していることもザラなので、一般人とはかけ離れた異形であることも多いが、やはり「宇宙人」として扱われている。


読んで字の如く、生き物の骨の事。
闇の武器商人である店谷=ボックスは宇宙人の骨などを代金に商売をしているため、サンコ達は宇宙人の骨を集める事を旅の目的の一つにしている。
滅多に出回らない種族の骨や極度の身体改造を施している骨など珍しい骨は高値がつくほか、通貨代わりという事情を抜きにしてもクライなど闇の世界やその住人は骨や骨を意識した意匠を好んでいるらしい。逆にクライ住人の骨は「10キロで酒まんじゅう1個」というとんでもない安値で扱われている。
また、サンコの骨は「手に入れればどんな願いも叶う」と言われ、宇宙中から狙われている。


  • 食事

基本的にはスパゲティやまんじゅう、ステーキといった我々の世界と変わらないものが食されているが、宇宙船用の食料は殆どの材料が粉や圧縮パックなどなんらかの形に加工されており、それらを適宜専用のマシンなどで食材の形に戻して調理するのがこの宇宙での常識である。
たとえばひき肉を作る際には「ひき肉粉末」「油ペースト」「うまうまゼリー」に水を加えて撹拌し、レンジの「肉作りモード」にかけるのが一般的。手間をかければ美味しくなるのはこの宇宙でも変わらないようだ。
また、ライトヘッド教団の寺院では宇宙人の生命エネルギーを抽出した「光の汁」なるものが供されている。



【登場人物】

●「4匹の害悪」と仲間たち

  • ザハ=サンコ

「地獄でもかまわないよ! ぼくの人生すでにけっこう地獄だし」


主人公である14歳の少年。「4匹の害悪」の一人。
190cmを超す大男な上に普段は真っ黒なローブのような「闇の皮」を被っているが、素顔は年相応かそれ以下の印象を与える童顔で、内面的にも明るく呑気で子供っぽい。
見た目は人間のようだが、クライに適応した「闇の生物」であり、極めて高い身体能力を持っている。


何故か「ザハ=サンコの骨を手に入れればどんな願いも叶う」という伝説が宇宙中に広まっており、その伝説を広めた誰かを探し当てて殺し、自由を手にいれるために旅をしている。


好きな食べ物はミートボール・スパゲティ、及びそれをただのパンで挟んだ「みぼすぱん*3」と、店谷=ボックスの酒まんじゅう。
それ以外の好きな物はアニメ「異次元死亡RUN」と唯一の友達である死ま田。
特に死ま田は自分を「ザハ=サンコ」だと知った上で殺そうとしなかった初めての相手であるため、「死ま田クン」と呼んで慕っている。


本編の6年前にはアバキアンの計らいでタイボクガンで小学生をしながら身を隠していた。死ま田と出会ったのもこの頃。
その時の偽名である「ミートボール=スパゲティ」は登録の際に餓死しそうな程にお腹の減っていたサンコがつい口にしたうわ言だが、広い宇宙にはヘンな名前をつける文化もゴマンとあるためか特に疑われなかった模様。


主な武器は斬りつけた相手から骨だけを「ベローン」と抜き取って殺害する「闇の肉の斧」。普段は持ち手である「闇の骨」だけをアバキアンに入れて持ち歩いており、これを掲げて「闇の肉よ、こいっ」と唱える事で「闇の骨」に「闇の肉」が纏わり付いて斧の刃を形成する仕組み。
本人の身体能力も極めて高く、頑丈な肉体はナイフ程度では傷一つ付かず、並の宇宙人相手なら素手の膂力だけで惨殺できる。
更に再生能力も常人以上で、大抵の傷はその内治ってしまい、腕の一部を骨だけ残して溶かされた際にも「闇の肉」と「闇の血」を使った治療だけで元通りに快癒してしまったほど。
また身につけた「闇の皮」は光土銃の銃弾すら通さないが、使い続けると穴が開く消耗品であるため、定期的に買い換える必要がある。


  • アバキアン

「サンコ大丈夫か? 悪いな…オレが魅力的なニーモツなばっかりに…」


サンコの相棒である「闇のニーモツ」。ニーモツではあるが人格を持っており、彼も「4匹の害悪」の一人に数えられている。
折りたたんでいる手足を伸ばす事で自律稼働もでき、ニーモツとしての機能も一通り以上に備えている。


子供っぽいサンコの保護者であり、サンコが幼い頃から行動を共にしてきた。
そのためサンコに比べると頭は良く、死ま田の噂やタイボクガンのセキュリティなどについても知っていたが、それ以上に博識な死ま田や異様に高い技術力を持つダメ丸には今一歩劣る。


何やらサンコとは「ニーモツと所有者」以上の繋がりがあるらしく、本人曰くサンコが死ぬとアバキアンも死んでしまうらしい。そのためかサンコの行動に関してはやや心配性な面があり、行動原理もサンコの安全が第一。
基本的に無警戒なサンコとは対照的に死ま田やダメ丸を信用しておらず、利用価値のあるダメ丸はともかく、死ま田に関してはサンコを利用して「死」を集めようとしているため本気で嫌っている。


戦闘能力は高く、口から火を吐く他、サンコと同様に「闇の肉の斧」を使う事もできる。
また、相手に触れて「闇の肉」を呼ぶ事で相手の姿形をコピーする力も持っている。ただし頭の取っ手をごまかす事はできないので、単純な機械認証などを誤魔化すのが関の山のようだ。


  • 死ま田=デス

「オレ様には叶えたい願いなんぞないからさ!」


宇宙人の「死」を食べる死神であり、「4匹の害悪」の一人。
闇の世界から生まれたとされるバケモノであり、闇の住人ですら正体を知らない謎の生物。
一人称の「オレ様」通りの傲岸不遜さで自分以外の相手全員を見下しており、実際その態度に見合うだけのいくつもの「特技」を持っている、全能に近い怪物である。本人曰く「(たぶん)不老不死」。


サンコとは、タイボクガンで起きた奇病騒ぎに乗じて「死」を食べに来たところを見つかって以来の知り合い。
基本的には自分本位だが、自分に対して好意的なサンコの事は少なからず気に入っているらしく、サンコが殺されそうな時などには手助けをする事もある。
ただし完全な善意ではなく、サンコの周りには「死」が付き纏っているため都合が良いという面もあるようだ。


普段は真っ黒なローブに赤い覆面、三対六個の目を持つ怪人の姿をしているが、目の数こそ変わらないもの眠る前後にはローブを脱いで全裸に近い格好をした長身で体格の良い美女の姿になる。またか。
どちらかの姿に変身しているという訳ではなく、本人曰く「どっちもオレ様の真の姿」であり「どんな姿にもなれんのよ」との事。実際に作中では子供やライトヘッド教団の信者などの姿にも変身している。


「瞬間移動」や物体をすり抜ける「インビジブル移動」、「相手の年齢が分かる」などいくつもの「特技」を持っているほか、光力塊の成り立ちや宇宙で初めて作られた言語にも詳しいなど頭脳も優れている。
また、死神である死ま田の周りでは「死」の概念が髑髏模様の骨つき肉といった見た目の「死の肉」として可視化する。
この「死の肉」が死ま田の主食であり、死に方や死んでからどれくらい経ったかなどで味が変わるらしい。
更にはこれから誰かが死ぬであろう場所から「死の香り」を感じ取る事もできる。


能力的にはブッチギリ文句なしの最強であり、死ま田に対してはあらゆる攻撃が効かず、逆に死ま田からは相手に触れて「爆死」「斬死」などと唱えるだけで相手の耐性も状態も無視して唱えた通りの死因で殺害できる。「瀕死」で死に具合を調整するなどの応用も可。


  • はじめ=ダメ丸

「俺は得体の知れない力で この名前に取り憑かれているんだ」


「4匹の害悪」の最後の一人。
肉体の強度や耐性こそ常人並だが、いくら死んでも蘇り、環境要因による死であればそれに対する耐性すら得てしまうという不死身に近い体質を持っている謎の男。
見た目は髭面の中年男性の癖に16歳の子供を自称し、しかし死ま田の「特技」を以ってしても本当の年齢を読み取れないなど、年齢に関しても謎だらけ。
本編開始時点で唯一サンコと面識がなく、一人で光力塊やライトヘッド教団から逃げ回っていたが、駆け込んだ闇医者に騙されてライトヘッド教団に捕まったところをサンコ達と出会い、なし崩し的に行動を共にするようになる。


「一=ダメ丸」という自身の名前を酷く嫌っているが、どういう訳かいくら改名しようが、偽名を使おうが、必ず本名で呼ばれる事になるという運命を背負っている。
そのため、サンコの骨を手に入れたら叶えたい願いは「改名」。世知辛い。
改名したら「ヘルマスター」と名乗りたいらしい。


光力塊から追われ続けている事もあってか、仲間になったフリをしてサンコ達を利用しようとするなど計算高く狡猾な性格。
一方で都合が悪くなるとすぐ年齢を持ち出すなどして弱者ぶるなど変わり身も早い。


ハッキングが得意で、その腕前は闇の船モージャ号や光力塊のコンピュータですら容易くハッキングしてしまうほど。
更に極めて優秀な科学者にして発明家でもあり、身の回りで使用するアイテムは全て彼が製造・改造した一品モノ。
特に幼い頃から一緒だというアーマー変形タイプのニーモツ「ナグールン」の事は友達同然に思っているらしい。
このナグールンもダメ丸同様に耐性を得て復活する能力を備えており、闇の空間にもすぐに適応した。
好物は香ばしく焼いた3枚のステーキ肉を板状のご飯で挟んだ「にににめし*4」で、これもやはり自分で改良した合成食材や自作の「にににめしマシン」を使った逸品。


一方で上記の通り不死性を除けば「4匹の害悪」では唯一の常人であるため戦闘能力は低く、せいぜいナグールンを纏ってちょっとした格闘戦ができる程度。
真に恐ろしいのは「目を合わせた相手を操る」能力であり、これはただの宇宙人は元より、サンコのような「闇の生物」や光核人間マグマライドンといった超人ですら抗えないほど強力。


  • モージャ

「爆発するならお金払わなきゃよかった!!」


サンコが購入したダークコア駆動の宇宙船「モージャ号」、及び船の「本体」である人工知能、及びその分身である小型ロボット。
基本的に作中で単に「モージャ」と言うと小型ロボットの方を指す。


「モージャ号」は頭のみが骸骨と化したイノシシが岩山風の建造物を背負ったような見た目をしており、足部分からジェット噴射を行なって移動する。出入り口はオケツの穴。
「本体」は建造物部分を取り払った以外は船とほぼ同じ見た目をした、推定2mちょっとの像。頭部の中にダークコアをセットできる。
「モージャ」は小型犬程度の大きさのチビロボで、オケツに挿したコードで本体と繋がっている。コード無しでもバッテリーで72時間程度は稼働可能。性格はフレンドリーだが、モージャ号をハッキングした前科のあるダメ丸や、自分よりも性能の低いロボット相手には辛辣。


非常に多機能かつ高性能で、モージャ号はバリア機能や船体を闇に沈ませるステルス機能を搭載。
モージャも必要な設備があれば事前に買い物リストにリストアップし、中に運び込んだ設備は模様替え含めて自動で配置してくれる。セキュリティ用に自己判断でアンコクヌシムシを拾ってくるなど自己判断能力も高い。
クライのような闇の空間に置く事で家具を闇に「なじませる」事も可能で、「なじんだ」家具はクライ風の不気味なテイストに様変わりする。


欠点は動力源にしているダークコアの影響で船内にどうしても「謎の部屋」ができてしまう事。


  • ホロボス

「ミミーミミミー。ミミミーミー。」


モージャがクライで拾ってきた害虫「アンコクヌシムシ」の子供。オスの1歳。
見た目は毛深い蜘蛛のような生物だが、知性が高く「ミミミー」という鳴き声のような言語で意思疎通を行う。
モージャ号のクルーでは死ま田だけがこの言語を理解する事ができ、「ホロボス」という名前も死ま田の通訳によって判明したもの。
普段はモージャ号に張り巡らされた落とし穴の中に巣を作って暮らしている。


好物は宇宙人の肉で、サンコ達が回収した骨から肉を剥ぎ取って綺麗にしてくれるほか、成長すると立派な殺人マシンに育つとされているため侵入者を襲ってくれるセキュリティとしても期待されている。
過去にはどこかの惑星で異常繁殖して星を滅ぼしたとも言われているが、自力ではクライを抜けられず、クライでは生態系的にも下位の存在であるため絶滅寸前とされており、詳しい生態には謎も多い。


サンコ用の眠眠ゼリー*5がお気に入りで、しばしば侵入してはゼリー内に抜け毛を残していく上にサンコが寝ていると追い出そうとしてくる事すらあるが、まだ小さいためゼリーの異物検知に引っかからず、サンコも手を焼いている。


  • 店谷みせたに=ボックス

「いらっしゃいまっせー」


クライの武器商人。
見た目は黒いローブの下に肋骨状の露出の多い服を身に纏った痩身の少女。またか。


常に張り付いたような笑みを浮かべた、自他共に認めるポーカーフェイスが特徴。
「信用商売」を主張する割にはズル賢く、珍しい骨を前にするや否や、嘘とハッタリとポーカーフェイスで安く買い叩こうとするなど不誠実な面がムクムクと首をもたげる信用ならない商売人。


宇宙人の骨や生皮などと引き換えに「闇の皮」や「闇の肉」、「闇の骨」といった武器や防具、「闇の船」を完成させるのに必須の「ダークコア」、名物の酒まんじゅうなどを商っており、サンコは常連の取引相手。


普段はクライで行動しているが、「店谷の土鈴どれい」という特別なアイテムを買えば他の場所でも呼び出せるようになる。
ただし「暗くて不気味な場所」にしか出現しないため、たとえば「単に暗いだけの場所」では呼べず、死体を側に置くなど不気味さを演出しなければならない面倒な仕様。
商品は「骨ボックス」と呼ばれる巨大な髑髏状のコンテナに詰めて携帯している。



●光力塊

  • 「会長」

「4匹の害悪を抹殺せよ」


「惑星光力塊本社」の「光アレン城」に住む、光力塊のトップ。
ライトヘッド教団時代の教主「光祖」でもあり、現在でも教団からは「光祖」と呼ばれ敬われている。
光力塊の面々は空中に浮かぶ巨大な棺に納められたミイラを「会長」として意思疎通を行っているが、これが本体なのか、何らかの端末で本人が別にいるのかは不明。
「4匹の害悪」を抹殺するように命じた張本人でもあり、それに強く執着しているらしい。


  • 「社長」

「会長と呼べ! 光祖さまなどと… ライトヘッドと我が光力塊はもはや無関係だ」


光力塊の実務面のトップを務める人物。
他の社員と違いローブから目元を晒しており、恐らくは壮年以上の男性と思われる。
ライトヘッド教団を敵対視しており、敢えて技術供与を行なって自滅を図るなど積極的に教団を切り放そうと画策している。


  • 浄化隊

「浄化!!」


光力塊が所有する私兵部隊であり、いわゆる威力部門。
装甲服と専用ニーモツ、光土銃で武装した精鋭軍団なのだが、死ま田相手では「死の肉」が無限湧きするザコ軍団に過ぎず、浄化隊の宇宙船は死ま田にとっては「定食屋」である。



●ライトヘッド教団

  • ビッグ=ピカス

「ありがとー だピカ」


教団の現在の教祖。
見た目はまだ年若い少年だが実年齢は4014歳であり、言動も老人めいているエクストリームショタジジイ
語尾は「ピカ」、笑い声は「ピカカカカ」。電気ネズミでも悪魔超人でもない。


一見柔和に見えるが、信者の命を単なる資源としか扱っていないカルト教祖らしい思想の危険人物。
古代ゾーラーの秘術に精通しており、修行を積んだ信者の「元体(魂のようなもの)」と大量のライトココア(=信者の命)などを使用して最強の戦士「光核人間」を生み出す「生と死の壺」の儀式などを行う事ができる。


  • 大カイガン

「とうとう我らにチャンスがめぐってきました」


教団の最高幹部。
装飾のついたローブで顔含む全身を覆い隠した人物であり、光力塊との折衝役も務めている。
マグマライドンのデモンストレーションで全身を粉砕骨折する重傷を負い、生命維持装置に繋がれた芋虫めいた姿にされてしまった。
「大カイガン」は階級名で、他にも「カイガン」「中カイガン」「小カイガン」「末カイガン」といった幹部がいる。


  • マグマライドン

「害悪の4匹…… その闇、ライトヘッドの光で消し去ってやる」


ビッグ=ピカスの秘術によって生み出された「光核人間」。
サンコ達を逃してしまった汚名を雪ぐために志願したカイガンの元体を素体に生み出され、「大地からの、そして空からの力強い光を合わせ持つ名」を与えられた最強の戦士。
自身の力に絶対の自身を持っており、ピカス以外には尊大に振る舞う。


不死身の肉体の上にピカスから与えられた聖なる装備を身に纏っているため大抵の攻撃は効かない。
更に極めて高い身体能力を活かした格闘戦や、額から強力な光線を放つ事もできる。
この光線は闇の力を破壊する事が可能であり、「闇の肉の斧」を真っ二つに切断したり、質の良い「闇の皮」ですら漂白してしまうほどの威力を持つ。


しかし真に恐ろしいのはその不死性であり、苦労して倒しても「生と死の壺」に還った元体にライトコアを注ぐ事で何度でも蘇ってしまう。
勿論、その度に大量の信者の命を犠牲にする訳だが。


明言はされていないが、元になったカイガンは後述の日鉈=ボッゴの祖父と同一人物と思われる。


  • 一般信者

「ピカス様永遠なれ」「ライトヘッドに栄光あれ」


ライトヘッド教団の信者達。
基本的には簡単な装飾を配したローブに顔を含めた全身を包んでいる者が多いが、死ま田が顔を出した格好に変装した際も特に疑われなかった事からアレンジした格好もある程度認められている模様。
普段は宇宙中に存在する寺院で修行や礼拝を行なっており、有事の際には光線を発射する「光の枝」で荒事もこなす。
ただしピカスやカイガン達幹部からすれば資源・消耗品の類に過ぎず、ライトコア精製のために生贄にされるなど扱いは悪い。
また幹部に専属で仕える信者もおり、そういった者達の中には作業などに適した改造が施されている者もいるが、動きが悪くなれば処分されるなど消耗品扱いである事には変わりない。



●タイボクガン

  • 光油先生

「おいしい食べ物は長い時をかけて星と星の間を伝わってきたのです」


タイボクガンで教師として働いている、光油を用いた自動機械「光油ロボ」。
大雑把に人間を模した形状の不気味なロボットだが、授業内容は普通。
同型が大量に配備されており、子供達のいないところでは動きやすいように変形・合体した不気味な姿で活動している。
光油先生は護符束で生徒を認識しているため、生徒は何らかの手段で身体から護符束を抜き取ると先生から認識されなくなる。


  • 日鉈=ボッゴ

「ミートボール=スパゲティ!! 今日こそお前のドクロニーモツをよこしな」


小学生の時のサンコを虐めていたガキ大将。
光力塊儀式室(=ライトヘッド教団)の執行役員であるカイガンの581番目の孫であり、同じく光力塊系幹部の子息達を取り巻きに抱えて威張り散らしている。
子供でありながら「典型的ないじめっ子」なんて言葉では追っつかないような悪人であり、気に食わない相手をカイガンに頼んで始末してもらう事すら一度や二度ではきかないなどその横暴っぷりは常軌を逸するレベル。
当然ながらサンコからは取り巻き共々恨まれており、「卒業したら真っ先に殺す(意訳)」とアバキアンに宣言している。






「突然ですがこれから追記修正をします」
「モージャも手伝うよ!」




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  • ドロヘドロに続いて無味乾燥な世界観なのに明るい雰囲気のミスマッチさが好き -- 名無しさん (2022-01-18 20:00:26)
  • ダメ丸がおそらくチダルマであろうことは伏せ字でも書かないのか -- 名無しさん (2022-08-11 11:43:14)

#comment(striction)

*1 作中でもサンコがエイリアンのシャツを着ているシーンがある。
*2 死ま田曰く「古代の言葉」「この宇宙ではじめて作られた言葉に似ている」
*3 「ミ」ート「ボ」ール・「ス」パゲティー・「パン」の略。
*4 「に」くと「に」くと「に」くと「めし」
*5 巨大なゼリー状の睡眠装置。作中世界では一般的な宇宙船の設備の一つだが、高価らしい。

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