スローループ

ページ名:スローループ

登録日:2021/12/23 Thu 23:32:07
更新日:2024/06/17 Mon 13:13:10NEW!
所要時間:約 12 分で読めます



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新しくできた家族は


とても変わった女の子だった




スローループとはまんがタイムきららフォワードで連載されている漫画である。
作者はうちのまいこ。
2018年6月号に読切が掲載され、同年11月号より連載が開始された。
既刊9巻(2024年5月時点)。


2022年1月よりアニメが開始。制作はCONNECT。
監督は秋田谷典昭、シリーズ構成は山田由香が担当。



◆概要

それぞれの親同士が再婚したことで新たに「姉妹」となった二人の少女が、フライフィッシングを始めとしたアウトドアを通して少しずつ交流を深め「家族」となっていく物語。
タイトルはフライフィッシング用語の「タイトループ」から取っており、「ゆっくりとしたスローライフ」と「ゆっくり、弧を描くように、少しずつ『家族』になっていく」といった意味が込められている。
作者はキャンプや釣りを趣味としているものの「きららではもうキャンプものはできないな」と考えていたが、担当にアウトドアマンガを描かないかと提案されて掲載をはじめた経緯がある。


(キャンプが主ではないとはいえ)アウトドアが題材の一つということでどうしても先達と比較しがちではあるが、そちらと比べてヒューマンドラマの要素が強く出ているのが特徴。
主人公2人を始め登場人物は皆大なり小なり悩みを抱えてどこか周囲と壁を作っている部分があり、各人の心理描写についての評価は高い。
主な題材となるフライフィッシングに対しても、作者自身がマグロを釣り上げるほどの趣味としていることもあって描写がしっかりとしており、経験者はもちろん未経験の読者でも楽しむことができるようになっている。



◆あらすじ

「なんか、最近、釣りが楽しい…」海辺でひとり、亡き父に教えてもらったフライフィッシングを嗜む少女・ひより。そんな時に出会ったのは、母親の再婚相手の娘・小春で…? ひょんな出会いから「姉妹」になった小春とひよりと一緒に、「釣り」をしながらスローに過ごしてみませんか?

(まんがタイムきららweb 作品紹介ページより引用)



◆登場人物

〇海凪家

それぞれ配偶者に先立たれた海凪一誠と山川ひなたが再婚して誕生した、両者とそれぞれの連れ子である小春とひよりの4人家族。
地元を離れたくないひよりの希望で(旧)山川家に一誠と小春が越してきている。
ちなみに舞台は横須賀がモデルとなっており、横須賀市とのコラボも企画されている。


  • 海凪ひより(みなぎ ひより) CV:久住琳

本作主人公の高校1年生。旧姓は「山川」だったことから恋からは「やまひー」と呼ばれている。
人見知りするタイプで、特に実父を亡くしてからは周囲とは距離を置いて一人でフライフィッシングをしていたが、遠慮なく踏み込んでくる小春と出会ったことで変化が現れ徐々に周囲との交流が増えていく。


父親からフライフィッシングしか教わらなかったため基本的には釣りはフライしかやっておらず、さらに初期はほとんど近場の海で釣っていたことから小春に「海フライが主流」と誤解されていた。
後に二葉と共に餌釣りも始めるものの、虫が苦手なため餌をつけるのには難儀している。
釣りの腕は非常に高く、Permit主催の大会では優勝賞品の巨大シーにゃん抱き枕ゲットに燃えた末見事一位を獲得している。*1
魚を捌くこともでき、小春と出会った際にも釣ったメバルをその場で刺身にして2人で食べている。
ただし料理自体は母娘共々苦手。そのため釣りの腕と相まって、小春が越してきた当初は釣った魚が冷凍庫に大量に残っていた。


人見知りではあるものの気弱というわけではなく、結構な負けず嫌い。
楓の狩猟を誰が最初に見学するか小春、恋と言い争った際には「次の釣りで一番釣れた人が行くのはどうかな」と思いっきり勝ちに来てたので呆れられた。
勉強の方は文系科目が苦手。夏休みは小春と遊び惚けていたので最終日前日に死んだ目で俳句の宿題をこなしていた。*2
その後、上記の狩猟見学の順番を期末試験の合計点数で争った際には3人中最下位となり色々な意味でショックを受けていた模様。



  • 海凪小春(みなぎ こはる) CV:日岡なつみ

もう一人の主人公で、ひよりより2ヶ月年上の高校1年生。ひよりとは同学年だが「姉(義姉)」であることにこだわりがある模様。
海のない地方から越してきたことでテンションが上がり、3月の海にスク水で飛び込もうとしたところを危うく止められたのがひよりとの出会い。
笑顔を絶やさない快活な性格だが幼少時は病弱であり、ひよりと出会うまではインドア派でゲーム好きだったとのこと。
そのためアウトドアの知識は疎く、釣りについても初心者でフライを上手く投げるのに苦労している。
一方で料理は得意であり、ひよりが釣った魚を毎回美味しく調理するのが役目。
あまりの手際に小春なら上手く調理してくれるだろうとひよりからジビエ素材を渡されて困ったことも。


明るく振る舞う一方、考えなしに思ったことを口に出す上に、妙に物騒な表現を使うのでひよりや恋からはたびたび呆れられている。「純真無垢なお魚を偽物のエサで釣るぞー!」
この癖のせいで他者の地雷を踏むこともしばしば。
そのくせ他者からどう思われているかには敏感であり、ひよりが他者と話していたりすると落ち込んだり嫉妬したりと結構面倒くさい人でもある。


未知の横文字など「知らない単語の羅列」が苦手で頭に入らないタイプ。反面、英会話を習っていたので意外と英語は得意。全体的には文系が得意なようである。
先述の期末試験の合計点数勝負では見事一位を取っており、やればできる子。


実は本来の性格は本人曰く「打算的」。
場の空気を乱して他者から嫌われることを恐れており、周囲の受けを取れるように計算して振る舞っている。
特に身内に対しては感情に蓋をしている部分があり、奔放に見えて我侭を言うことは少ない。
その点、大人しく見えてわりと率直に感情を示すことがあるひよりの事は内心うらやましく思っており、一方でその素直さについ気が緩んで甘えてしまうことも多い。


とはいえ、先述のようにスク水で海に飛び込もうとしている辺り天然なのも確かなようで、失言のいくつかは素っぽいが。



  • 海凪ひなた(みなぎ ひなた) CV:柚木涼香

ひよりの母親。いつもほんわかニコニコしている穏やかな女性。
料理が苦手で電子レンジから煙を出したこともあるそうな。
小春とはよそよそしかったが、教わりながら一緒に料理をすることで徐々に打ち解けてきている。



  • 海凪一誠(みなぎ いっせい) CV:川田紳司

小春の父親。インドア一家だったらしく大人しめな男性。
前妻と息子を亡くした経緯もあってか少々過保護気味なところがある。
女所帯なのもあって娘達が親離れして女子だけで集まっていることに疎外感を感じたりも。




〇吉永家

フライフィッシング専門店「Permit」*3を開いている6人の大家族。
ひよりの実父・山川信也と家族ぐるみで付き合いがあった他、父親の釣りの腕と人柄から近所との付き合いも多い。


  • 吉永恋(よしなが こい) CV:嶺内ともみ

ジト目八重歯が特徴的なひよりの幼馴染。高校ではひよりと同じクラス。
名前の由来は「」からで、そのことに触れられると凄まじく不機嫌になる。
ひよりの父親が倒れてからはひよりとの距離感に悩んで疎遠になっていたが、ひよりが小春を店に連れてきたことを切っ掛けに再び交流することになった。


仕事や趣味で家を空けがちな両親に代わって店と弟たちの面倒を見ており、童顔で小柄な容姿とは裏腹に色々としっかりしている大人びた性格。というか目線がもはや親。
特に釣り中毒で自由人な父親に対しては苦労が絶えず、「家族」ではなく「一人の人間」として見るようになったと半ば達観している。
一方で大企業でキャリアを積んでいる母親のことは尊敬しており、二人きりの時は珍しく甘えた姿を見せた。
弟たちに対しても大事に面倒を見ており、特に幼い虹と虎についてはかわいがっている。父親に対しても多くの人に慕われていることから何だかんだで軽蔑半分、尊敬半分といったところ。


釣りは上手いがやるのはあまり好きではなく、どちらかと言うと「釣りをしている人を見る」方が好きとのこと。
また、商売する気があるのか怪しい父親を反面教師としているためか店員としても商売上手。ビジネスチャンスと見れば積極的に食い付くことも。
宣伝のためにタイイング講座の配信も行っている。



  • 吉永良太(よしなが りょうた) CV:勝杏里

恋曰く「釣り中毒」な父親。先述の通り店番をする気はなくほとんど釣りに出かけている。
それどころか恋が産まれる際に釣りの方を優先して産まれた5時間後にようやく病院に来たほどの釣りキチ。
そしてその際に釣れた鯉が大物だったことから娘に「鯉」と名付けようとした。……さすがに母親が必死に止めて漢字だけ変えて「恋」になったが。


とわりと擁護が難しいレベルでダメな人なのだが、人当たりがよく釣りの腕も確かなことから釣り仲間や近所の人たちからは慕われており、何だかんだで頼りになる父親と言えなくもない。
まぁこの人を想像してもらえば大体あってるかと。
また、車であちこちの釣り場に連れて行ってくれる引率役としてひより達(及び作劇上)にとってはありがたい存在でもある。
ちなみに中の人も釣りが趣味である。



  • 吉永玲子(よしなが れいこ) CV:伊藤静

大企業で働いている恋の母親。作品開始当初は海外出張に出ており、恋の誕生日に帰国してきた。
子供が4人もいることからわかるように夫婦仲は良好。……夫の常識外れの釣り中毒に伴うトラブルで一度離婚しかけたこともあったが。
ひなたともママ友として仲が良い。



  • 吉永隼人(よしなが はやと) CV:國立幸

恋の3つ下の物静かな吉永家長男。中学1年生。
恋と共に弟達の面倒を見ているからか、こちらも年齢の割にしっかりとした性格。
名前の由来はハヤ。今のところ名づけエピソードはないため、親父さんが身重の妻と幼い恋を残して釣りに行ったかは不明。



双子の無邪気な吉永家次男三男。恋からは「ちび達」と呼ばれている。
例によって産まれた日の朝に良太がニジマスを釣り上げたことから名前を「虹」と「鱒」にしようと持ちかけ、母親も双子の出産で疲労困憊していたのか危うく承諾するところだったが、慌てた恋が「鱒=トラウト(Trout)」で「虎」にしようと推して何とか虹と虎になった。


中の人達は某戦術音楽ユニットのメンバーであり、その縁から結成したユニット「ぽかぽかイオン」名義で本作のOPも担当。



○その他の登場人物

  • 福元一花(ふくもと いちか) CV:名塚佳織

釣り船屋「つり福」の娘。利用客と一緒に船に乗ってサポートするのが仕事。ただしよくサボる。
妹の二葉を溺愛しており、二葉が悩みを吐露した際には酒が入ってたのもあって号泣していた。
しばしばアポなしで楓の元を訪ねるなど大雑把な性格。



  • 福元二葉(ふくもと ふたば) CV:村上奈津実

一花の妹の小学5年生。性格は大人しめだが、釣りや身体を動かす遊びが好き。
そのため男子に混じって遊んでいたが、周囲の女子はそれをよく思わずクラスで孤立してしまいふさぎ込んでいた。
しかし、ひより達と出会ったことから「女の子が釣りをしてもかまわない」と吹っ切れ、再びクラスの男子達と遊ぶようになった。
また、ひよりとは友達関係を結んで2人で時折餌釣りに出かけるようになっている。



一花のクラスメイトの女の子。二葉の事が大好き。それはもう少々怪しいくらいに。
一方で男子の事は嫌っていたが、二葉が再び男子と遊び出したので渋々付き合っており、何だかんだで皆仲良くやっている。



飲食店で調理担当として働いている一花の幼馴染。クロエという黒猫を飼っている。
小春が船釣りで釣ったシイラを調理してもらおうと一花が店を訪ね*4、ひより達と知り合った。
釣りの経験はあまりないが、キジやカモの狩猟を行っている。
それを聞いたひより達3人からは狩猟見学をせがまれ、恋に至っては獲った鳥のガワを卸してほしいので極力ヘッドショットで仕留めてと無茶ぶりされることに。



  • 山川信也(やまかわ しんや) CV:内匠靖明

ひよりの実父。本編の三年前にガンで亡くなっている。
ひより曰く趣味や嗜好が人とは違った変わり者だったとのこと。一方で家族の事を大事にしていた超いいお父さんだったとは恋の弁。
家では料理を担当していた。



  • 海凪裕子(みなぎ ゆうこ) CV:下屋則子 / 海凪夏樹(みなぎ なつき) CV:齋藤綾

小春の実母と弟。小春が小さい頃に事故で亡くなっている。
病気がちで入院していた小春は夏樹の面倒でなかなか見舞いに来られなかった母親に対して拗ねたことも。



  • 土屋みやび(つちや みやび)

小春の地元の友人。あやという妹がいる。
周囲に合わせる小春とは対照的に、人のためならきついこともキッパリ指摘できる性格。
その性格故に周りからはあまりよく思われていないようだが、小春はその性格を好ましく感じて付き合っていた。
みやびの方もぶっきらぼうながら「向こうでうまくいかなかったらうちくれば?」と小春のことを好ましく感じていた模様。



  • シーにゃん

猫の頭と魚を合体させたデフォルメキャラクターで本作のマスコット。
作者によると作中世界ではピ○チュウ並の知名度を誇る世界的に愛されているキャラだとか何とか。
毎話どこかしらにグッズなどの形でシーにゃんが登場しており、それを探すのも本作の楽しみの一つとなっている。



きららファンタジア

2022年3月のイベント「フライフィッシュメモリー」より参戦。
海凪ひより、海凪小春、吉永恋のメイン3人が登場している。
イベントではとある事情により「パクパク」という魚を釣り上げたいきららのために幸腹グラフィティの面々と各地に釣りにいくことに。
そして実際に釣り上げ、ボスとして戦うことになる「パクパク」のグラフィックには何故か半魚人の物が割り当てられていた。……これ食べるの?



◆余談


  • 原作者はぼっち・ざ・ろっく!のはまじあき氏と仲が良いことから、互いの作品にそれぞれのキャラをゲスト出演させている。
    本作では4巻の文化祭に結束バンドの面々が登場。ぼざろの方は3巻の遊園地でひよりと小春らしき女子高生が登場している。
    さらに制作会社が異なるにもかかわらず互いのアニメ版においても登場。
    スローループの方ではスタッフのこだわりによってぼっちのファン1号2号まで描かれていた。
    一方、ぼざろの方では原作での2人の登場シーンがアニメ範囲外となるため、別のシーンで形を変えて「出演」させていた。
    なお、狙ったのかどちらも話数が10話と被せられている。

  • 原作者はうらら迷路帖の作者はりかも氏とも仲が良く、イラストツールの使い方を教わったこともあってか2巻のSpecial Thanksにはりかも氏の名前が載っている。*5

  • 作者の前作「ななつ神オンリー!」はまんがタイムきららミラクで連載されていたが、雑誌休刊に伴い急遽打ち切り、後半の話が単行本未収録となってしまった。
    その事が作者のトラウマとなっているらしく、今作はいつでも連載が終われるように準備を整えているとの事。

  • 小春役の日岡なつみ氏は本作アニメ化より一足先にきららファンタジアで「こはる日和。」の小野坂こはる役を担当している。
    偶然にも両者は名前以外にも料理上手やスタイルがよい点など共通点が多い。



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  • 隼人の名前の由来は「ハヤ」説を推してみる -- 名無しさん (2022-01-12 22:40:42)
  • 恋の名前の由来が釣りバカの鯉太郎と同じ -- 名無しさん (2022-01-24 21:47:50)

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*1 もっとも二位以下の景品の方が豪華なため、二位を狙う人が多かったという理由もあったが。
*2 アニメでは構成変更によってテスト勉強のシーンが夏休みの宿題をやるシーンに置き換えられたためか無事完遂したようである。
*3 店のモデルは芳文社のオフィス付近にあるフライフィッシング専門店「Hermit」
*4 無論そんなサービスなどない上に一花は連絡すらしていないので怒った。
*5 その他「ビビッド・モンスターズ・クロニクル」(まんがタイムミラク掲載)のキキ氏の名前も掲載されている。

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