沈黙の艦隊

ページ名:沈黙の艦隊

登録日:2020/05/02 Sat 02:56:29
更新日:2024/05/17 Fri 11:34:26NEW!
所要時間:約 4 分で読めます



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かわぐちかいじ 潜水艦 90年代テレビアニメ 沈黙の艦隊 セガールが暴れるシリーズではない 原子力潜水艦


「私は最初から海上自衛隊所属のつもりはない」

「じゃア、貴様はいったいなんだ!?」


「独立国、やまと」




「沈黙の艦隊」とは、1988年から1996年まで講談社「モーニング」に掲載された、かわぐちかいじによる漫画である。
超人的な見せ方で進む潜水艦バトルがある一方で、当時の国際政治の問題を取り上げ、描いた作品でもある。
その影響は広く、一般大衆はもちろん現役の政治家や自衛官も愛読していたとか。


アニメOVA、ゲーム化のメディア展開もある。


【あらすじ】
千葉県犬吠埼沖、海上自衛隊所属の潜水艦「やまなみ」が、追跡中のロシア原潜と衝突した。その損傷で「やまなみ」は沈没し圧壊、艦長の海江田四郎以下全乗員が死亡という悲惨な事故となった。
一方、海江田の同期でもあった潜水艦「たつなみ」艦長の深町洋はその事件に疑念を抱き、ひそかにダビングした事故声紋から、この沈没が入念な偽装工作であると見抜く。
その目的は、極秘裏に進められていた日本初の「原子力潜水艦の建造と運用」。
全てはそのために、海江田と「やまなみ」乗組員全員は偽装された死を以って生き続けていたのだった。
優秀な乗組員とともに、原子力潜水艦「シーバット」は。人知れず試験航海へと漕ぎだした。


だが、「シーバット」は突如として反乱、逃亡をする。
捕獲あるいは撃沈を試みる米海軍艦隊の追撃を悠々と躱していく。
そして、米空母「カールビンソン」のそばで徐に浮上した後、海江田はある宣言をする―――。



【登場人物】

  • 海江田四郎

「牢獄の庭を歩く自由より、嵐の海だがどこまでも泳げる自由を私なら選ぶ」
潜水艦「やまなみ」艦長にして、日本初の原子力潜水艦「シーバット」の艦長。そして独立国「やまと」国家元首。


海上自衛隊在籍中の階級は二佐。「やまなみ」事故による(偽装)殉職にて二階級特進し、最終は海将補。
冷静沈着であり、二手三手以上に見据えているかのように物事を進めていく、いわば神視点的キャラクター。その割にはタイルに傷1つ付けないよう指示しつつ自分が1番目に傷を刻んでいたり。
カリスマ性もあり、それは全乗員に家族を捨てさせてまで自分の計画に参加させてしまうほど。
超人的な立ち位置と能力を以って、「やまと」元首として世界にその思想を訴えかける。
クラシック(特にモーツァルト)が趣味の様子。妻子持ち。


  • 深町洋

「それが"防衛力"の意味だ!」
うずしお型潜水艦「たつなみ」の艦長。階級は二佐。一時は国連大使。
海江田の同期であり、彼にその才能を認められたほどのライバルといえる人物。
その裏付けとしてシーバット艦長選定時の米軍のコメントに「言動に気を付ければとっくに一佐になっていた」との評があり、海江田と同等かそれ以上の評価をされている。


操艦技術も高く、米原潜複数を初実戦で相手取り撃沈までしたほど。
その性格は海江田とは対照的に熱血漢であり、アメリカ側からは『シーバット』艦長として海江田と共に候補にあげられておきながら結局選ばれなかった。


そんな真反対な性格ながらも、海江田を「友達」というほどに理解しているらしく、「やまなみ」の沈没に疑問を持ったのも、「海江田の性格から似つかわしくない」と睨んだのがきっかけのようで、同時に追い込まれた時は回避のために同じ作戦を「取らされた」というほどに彼の思考を理解できる様子。
乗艦の「たつなみ」には深い愛着があり、ディーゼル潜の最高傑作とまで呼んでいる*1


  • ニコラス・J・ベネット

「ノーッ!」
アメリカ合衆国第43代大統領。
「強いアメリカ」を象徴するようなタカ派大統領で、シーバット反乱をきっかけに「日本再占領計画」を画策する。
「やまと」元首としての海江田の登場以降、彼の神がかり的戦闘に敗北を重ねていくも、その一方で海江田の考えに何かを見出していき、後半では海江田、深町に次ぐ第三の主人公ともいえる役柄になっていく。
海江田を追うことで、一番変化の見られたキャラクターともいえる。



  • 竹上登志雄

「プリーズ!!」
日本内閣総理大臣。日本民自党所属。
昼行燈や外交音痴と揶揄されるも、物語が進むにつれ日本の行く末を担う政治第一線を歩き進んでいく。
実際、総理になったというのは伊達ではなく、イギリス英語(ブリティッシュ・イングリッシュ)で通訳なしで、各国首脳と本音殴り合い状態の中で会談を行えるほど。



  • 速水健次

「原潜なら空調も効いてタバコもスパスパ吸えて、こんなディーゼルスメルもなく快適でしょうね」


「たつなみ」副長。女性に見違えてしまうほどの美男子。
無茶振りする深町を支える「たつなみ」の女房的存在。
言葉遣いは丁寧だが、時には深町に対して遠慮ない鋭い言葉を発したりする。
原潜の環境を羨ましく思ったりしている。


  • 山中栄治

「やまなみ」副長。「シーバット」「やまと」副長。
生真面目で、海江田の信頼を一心に受けているともいえる人物。
海江田をして「彼が無事ならば全乗員が無事」といわれたほど。


  • 原子力潜水艦「シーバット」 / 「やまと」

「弾頭は通常にあらず」
全長120m、水中排水量9000トン。
日本で建造された初の攻撃型原子力潜水艦(所属はアメリカ第七艦隊)。
最大潜航深度は1250m,最大速力は50ノットを超えるなどその性能は当時の潜水艦の最先端を行く。
通常弾頭の魚雷のほか、核弾頭を搭載可能なMk48やサブ・ハープーンも装備している。
外殻タイルの一部には「やまと」の文字が海江田によって刻まれている。そこに水圧が加わったら圧潰するんじゃ…


艦長の選定基準は、リムパック演習にて米空母カールビンソンを5回疑似撃沈させる事。
海江田と深町が達成し、海江田が選ばれた。



  • 「沈黙の艦隊」思想

SSSS (Silent Security Service from the Sea)


核抑止力を各国の組織から切り離し、世界中のあらゆる核紛争に対する報復力をもたらす事で実現する、と海江田が提唱した計画。
作中では
イギリス原潜タービュレント(ストリンガー艦長、大佐)
フランス原潜エムロード(メルビル艦長)
ロシアアルファ級原潜、インドチャーリーl型原潜、中国ハン級原潜(いずれも艦名、艦長名があきらかにされず)が賛同した。




【余談】

  • 本作の国際政治パートにおいてソ連が主要国家の1つとして現れるが、連載途中にソ連が崩壊してしまって以降は表記がロシアに切り替わった。
  • 8年の連載、全32巻にわたって女性の登場は二人、しかもその内一人はモブ。その唯一の女性登場人物は海江田の妻であり、名前も明らかではない。

最終話最後の数ページが初出だったが、作品最後のセリフと言う重要な役どころを担った。



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  • 立て逃げ? -- 名無しさん (2020-05-02 11:52:16)
  • こんだけ書いてあれば、とりあえず逃げたというほどじゃないだろ -- 名無しさん (2020-05-02 16:34:15)
  • 無かったんか。 -- 名無しさん (2020-05-02 17:04:35)
  • 国際法では人工物のみで構成された存在は国家としては認められない、はずなのだが。 -- 名無しさん (2020-05-02 22:13:28)
  • 竹上総理は民進党じゃなくて民自党じゃなかったか? -- 名無しさん (2020-05-02 22:27:28)
  • 「海江田、お前は原潜の船長でもなければ、ましてや国家元首でもない。純粋に革命家だ」とベネットが独白するシーンあまり話題にならないけど好き。海江田という人物の本質が何なのか的確に表した名シーンだと思う -- 名無しさん (2020-05-03 02:02:34)
  • あくまでも娯楽作品なのに政治家や自衛官がマジになって沈黙の艦隊で政治を学ぶなんてなったら嫌だな -- 名無しさん (2020-05-03 04:07:50)
  • 軍事物として右寄りな作品に見えて結論は左極端なところへ持っていく、川口かいじ作品はこれに限らずだいたいそうなってるけどね -- 名無しさん (2020-05-03 10:15:59)
  • 冷戦末期のポリティカルフィクション、ソ連崩壊で前提がだいたい破壊されたりするのすき それだけみんな予測つかんってことだなあ -- 名無しさん (2020-05-03 20:05:04)
  • アニメ版でジョン・アレキサンダー・ベイツ艦長がベネズエラ移民の子孫だと知った。漫画では語られなかったが、最初からそう言う設定だったのかな。 -- 名無しさん (2020-05-04 23:42:18)
  • ソ連が崩壊した事より、この世代的に自民党が生き残った方が信じられないだろう -- 名無しさん (2022-05-20 22:23:36)
  • なんか軍産複合体の会長、ラスボスムーブ出してた割に何も悪事を働いてなかったことに気が付いた -- 名無しさん (2024-05-15 14:46:31)

#comment(striction)

*1 アニメ版では原潜に乗せてやると言われていたら拒否したかと聞かれ言葉に詰まる程度には原潜へのあこがれもあった模様

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コメント

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