記憶破断者

ページ名:記憶破断者

登録日:2017/08/07 (月) 07:27:31
更新日:2024/02/09 Fri 10:37:54NEW!
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タグ一覧
幻冬舎 小林泰三 記憶 記憶喪失 記憶改竄 記憶操作 小説 頭脳戦 サスペンス 良作 記憶破断者 kim 前向性健忘症 長編小説 殺人鬼にまつわる備忘録






記憶が数十分しか持たない記憶破断者VS記憶を勝手に上書きできる超能力男。

絶体絶命の記憶破断者の武器は、日記と優れた頭脳のみ。

彼は、いったいどのようにして超能力男を追いつめるのか?





概要


『記憶破断者』とは幻冬舎から発売されている長編小説。
著者は『肉食屋敷』『因業探偵:新藤礼都の事件簿』『獣の記憶
わざわざゾンビを殺す人間なんていない。』『アリス殺し』等で有名な小林泰三
装画はKIM。
2018年に「殺人鬼にまつわる備忘録」と改題して文庫版が発行。
『記憶が破断している者』と『記憶を破断する者』というダブルミーニングの原題台無しに。



あらすじ


見覚えのない部屋で目覚めた田村二吉。
目の前には一冊のノート。そこには自分が前向性健忘症であることが記されていた。
どうやら、俺の記憶は数十分しか持たないらしい。
ノートに書かれていた驚愕の一文。
それは、「今、自分は殺人鬼と戦っている」ということだった! ! !


一方、雲英光男は、手で触れた者の記憶を改竄できるという超能力を持っていた。
身の回りの人たちの記憶を無理やり改竄し、自分の思い通りにさせる雲英。
ある時、雲英に遭遇した田村は雲英が何らかの方法で悪事を働いていることに気付く。
絶対絶命の中、田村の、孤独な戦いが始まった。


記憶がもたない田村は、いったいどういう方法で、雲英を追いつめるのか? 二人の勝負の行方は?


(公式より引用)



登場人物


  • 田村二吉

本作の主人公。
前向性健忘症を患っているため、出来事を綴ったノートが必需品。
元々は『奇憶』という短編で主人公の友人として登場し、その友人を助けようとして怪我をしたため前向性健忘症になった。
この病気はなった時点で以降の記憶を保持出来ない、というものである。
田村の場合、記憶は数十分で事故直後の記憶までリセットされるため、まともに生活するのは困難。
とはいえ時間になったら全てを忘れるのではなく、意識は記憶の上に成り立ち、
意識は連続しているため、病気の事が常に頭に浮かんでいると、リセットしても病気の事はかろうじて覚えている。
しかし寝てしまえば病気も含めリセットされる。
現在は病気のせいで無職だが、元は一流企業に勤めていただけに優れた頭脳を持つ。
また短時間でノートを読み込む能力、それを想像するなどと言った事を繰り返して体が覚えたせいなのか、推理力も高くなっている。
また記憶を忘れると言っても、手続き記憶――つまり体で覚えた記憶は残るため、スマホの操作といった新たな事を覚えようとしている。



  • 雲英光男

本作の敵。30代ほど。
幼い頃から記憶改竄能力で偽りの記憶を植え付け人思い通りにしてきたクズ。
この力で万引きしたり、通りすがりに借金させてまで金を巻き上げたり、自分を婚約者だと認識させて金と体を堪能した後殺したりしている。
幼い頃から自分の思い通りにしてきたため、感情を制御する術がない。そのためすぐにキレて暴行したり殺したりする。
話し方教室の先生で遊ぼうとしているが、そこで田村と三度目の遭遇を果たす。


  • 北川京子

北川話し方教室の先生。
化粧気がなくひよこを思わせるような可愛らしい女性で、田村の好み。
田村は彼女目当てなのと、話し方を手続き記憶に覚えさせようと足しげく通う。




用語


  • 田村のノート

記憶を数十分おきに失う田村にとって必需品。
最初の数ページに重要な事が描かれ、それ以後は日々の出来事で大事な事が書かれている。
そのため記憶がリセットされて直ぐに書かれている最後のページを見れば、直前にしていた事が分かるようになっている。


雲英がもつ超能力。対象に触れ言葉を発すると、その言葉通りの記憶が植え付けられる。
その前後に食い違いが起きても、それを脳が都合よく補完するので、その記憶が偽物だと判断することは出来ない。
ただし「何かをしようとした人に、しようとした理由の記憶を消す」をした場合、しようとした記憶はあるため、補完しきれず混乱する。


天敵は記憶を疑う者。
この力は自分の記憶を正しいと認識することが前提となるため、
記憶改竄能力を知っている人に使った場合、上書きされた記憶自体を客観的に捉えられてしまう。
また『前向性健忘症』と相性が悪い。
というのも記憶がリセットした直後に記憶を植え付ければ「記憶がないのに何故か鮮明に残る記憶」という状況が出来上がる。


  • 雲英の犯行

雲英が犯行を行う際には計画を立てる事もあるが、そのキレやすい性格のせいで突発的に行うことが多数。
しかしそれでも記憶を操り監視カメラをきってから行ったり、記憶を操り偽りの目撃者や、犯人を作りだしたりしている。
しかし雲英の力は状況証拠を弄ることは出来ても、物的証拠を弄ることは出来ないため、犯行を行った現場には雲英の存在が完全には消えていない。
今まで彼が捕まらないのは偽りの証言者のせいで、まったく疑われた事がないから。
逆に言えば、少しでも疑われたが最後、雲英の存在は明るみに出てしまう。






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