SCP-2740

ページ名:SCP-2740

登録日: 2017/04/19 Wed 18:08:24
更新日:2024/02/06 Tue 10:54:31NEW!
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scp foundation scp euclid 世にも奇妙なscp djkaktus 屋根裏




平穏な家庭が、そこにはない。悲しい真実が、そこにはない。



SCP-2740はシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクト(SCiP)。
オブジェクトクラスはEuclid。



概要

SCP-2740はインディアナ州にあるLeeさん一家がお住いの一軒家の屋根裏である。
現時点で家の収容はできていない。…収容はできていない。
けど別に周りに変な影響を及ぼすわけじゃないのでKeterではない。あくまでオブジェクト本体は屋根裏だからね。
一応、家に近づかないように財団の保安職員が周辺を見張っており、ガス漏れのカバーストーリーを流している。


「そもそもオブジェクトならLeeさん一家が住んでることがやべえだろ」って思うかもしれないがまあ落ち着いて聞いてほしい。
Leeさん一家だって別に住みたくて住み続けてるわけではない。ちなみにLeeさん一家は普通の人間だよと言っておく。


このSCP-2740とナンバリングされた屋根裏に続くはしごを昇ろうと近づくと、
「んー、これ登れないんじゃね?」って思うようになる。
それでもはしごを昇ったとする。しかしその後「その行動は起きていなかった」ことになる。


財団職員「あ…ありのまま 今起こった事を話すぜ!
『俺ははしごを昇って屋根裏部屋に行ったと思ったら実は行っていなかった』
な…何を言っているのかわからねーと思うが
おれも何をされたのかわからなかった…」


…そういうことである。もっというとこの特性厄介で、
「そもそもはしごを登った事実がない=はしごを昇るとはしごを昇った事実が打ち消される」という特性上、
そんな特性が実際に存在するのかもわからないということになる。
もっとも、確かめようにもどうしようもないんだけど。
このオブジェクトを知った人はすべて、このオブジェクトへの恐怖感を持つようだが、その理由も明らかになっていない。


このオブジェクトの特性は影響を受けた人物とのインタビューのみが残されている。


屋根裏の物の怪

まずはLee家家長、Franklin Lee氏。


FranklinさんはDorsett博士とのインタビューで以下の様なことを語った。
(このオブジェクトのインタビューはLeeさん一家に話を聞いているため、名前で書いとく。)


数年前から、Franklinさんは屋根裏の下を通りかかると、『なんか上にいる』という感覚にとらわれたという。
何か足音がするわけでもないし、見えるわけでもない。だが、明らかにそれはLeeさん一家に悪影響を及ぼしている。


Leeさん一家はFranklinさんとその妻Yvetteさん、そして三人の子供がいる。
その他に、家を出奔してしまったOliviaという娘がいた(話の流れからするに、三人の子供たちの姉であると思われる)。
Oliviaさんの出奔後、その感覚が襲ったのだ。


三人も子供がいる家ならば普通はうるさいのが当たり前である。ところがその家はやけにしーんと静まり返っている。
FranklinさんはOliviaさんがその感覚を「残した」のではないかと考え、屋根裏に上がろうとした。


はしごを登り、屋根裏に上った次の瞬間、Franklinさんはベッドの中にいた。
またはしごを登り、屋根裏に上った次の瞬間、Franklinさんはリビングでテレビを見ていた。
Franklinさんはストレスに苛まれ、仕事をやめ、更には家を壊そうと解体業者との間にサインすら交わした。
だがそのあと、Franklinさんは家に戻っていて、解体業者は存在すらしていなかった。


最後にFranklinさんはDorsett博士に「引っ越しは考えなかったのですか」と問われたが、
「引っ越しを決めた次の瞬間、キッチンテーブルの前に座っていた」と答えた。


このあと、FranklinさんたちLee一家は財団サイト-81に移送された。


…いや、移送されなかった。




つづいてFranklinさんの奥様、Yvette Lee氏。
YvetteさんはFranklinさんが屋根裏部屋を見れなかった理由は何であろうかとDorsett博士に問われ、
「家に20年住んだ我々が何もできなかったのだから、家に入ったことないDorsett博士にわかるはずがない」と答えた*1


Dorsett博士はこのとき、Lee家の幼い子供たちからある話を聞いていた。
Yvetteさんは一度屋根裏部屋に昇ったはずだと。Yvetteさんは口を濁したが、Dorsett博士に促され、話し始める。


FranklinさんとYvetteさんは良き親だったはずだと思っていた。
だがOliviaさんとはついに最後まで折り合わなかった。
ある夜に、ふとYvetteさんはOliviaさんの声が聞こえた気がして、屋根裏部屋に昇った。
そこにはなにかがいた。それが何かはわからないが、それは少なくともOliviaさんではなかった、という。




このあと財団は、Lee一家やこの家の異常性について微妙に知ってる近隣住民へのインタビューを通し、
あらゆる人に屋根裏部屋に「昇ってもらった」。
もちろん、その後そんな試みは起きなかったことがわかっている。


屋根裏部屋には「はしごに触る」「天井に爆弾をしかける」「ドローンで屋根裏部屋を覗く」といった試みが「された」。
もちろんされなかった。




さて、財団は出奔したOliviaさんに会いたいなあと思った。
財団なのでもちろんOliviaさんを探し当てるなんて余裕だった。
Oliviaさんは現在はRebecca Feldmanと戸籍名を変えて造園業者として生活していた。


よくわからないことだが、どうやらLee夫妻はRebecca(Olivia)さんの信条・友人・選択といったあらゆることに干渉を試みたようだ。
そのためにRebecca(Olivia)さんとLee夫妻との溝は決定的になった。
Rebecca(Olivia)さんはある日の夜、Lee夫妻が部屋に入ってきた際に事前に隠し持っていたナイフを突きつけて壁側に二人を下がらせた。
その時Franklinさんは酒を飲んでいて、Yvetteさんは困窮していたようだという。
Rebecca(Olivia)さんがそうやってナイフを突きつけていたとき、何かが頭上で動いた気がした
その感覚を確かめることもせず、Rebecca(Olivia)さんはそのまま家を飛び出したのだという。その時彼女は17だった。
Rebecca(Olivia)さんはその正体になんの確証もないが、確かめたいとも思わないという。


さて、FranklinさんとYvetteさんへのインタビュー後に事件が起きていることからわかるとおり、
Rebecca(Olivia)さんのインタビュー後にもやはり事件が起きた。


何が起きたかというと、「Olivia Lee(Rebecca Feldman)という人物は存在せず、かつて存在したこともない」という事実が判明した。
もちろんどう考えてもオブジェクトの特性でしかないと思うのだが…。


考察


このオブジェクトには、複数の考察が存在している。ここではひとつを解説しよう。
まずあくまで「オブジェクトの特性で、本当は起きていたことがリセットされる現実改変が起きている」という前提で話す。
「何も起きてないけど何かした気になってる」って考えもできなくはないけどそれを採用するとこの項目終わっちゃうし。


まず抑えておきたいのは以下の点。


  • Lee夫妻はOliviaさんにとって、どういう親だったのだろうか?
  • なんでFranklinさんは一度も見れなかった屋根裏部屋をYvetteさんは見ることができたんだろうか?
  • 屋根裏部屋にいたのは何だったんだろうか?それは本当にOliviaさんではないのだろうか?
  • Oliviaさんはなぜ消失したのだろうか?

まず最初の一つ。
確実にLee夫妻はOliviaさんにとっては「抑圧する親」であったはずである。
上述では省いているがインタビュー記録を読む限り、家にいたときのOliviaさんは追い詰められてしまっている。
またこの一家がやや複雑な事情を抱え込んでいる。家にいる三人の子供は「幼い」のに、Oliviaさんが出奔したのは17歳のとき。
10歳以上は年が離れている。しかもその後立て続けに産んでいる。
Oliviaで失敗したと思って子作りしたのか、既にいたのかはわからないが、もし後者だったらとすると。
基本的に両親はOliviaさんにはあまり目をかけてあげなかったのかもしれない。
そのうえで、Oliviaさんが少しグレて悪友を得た可能性はある。
そしてその状態に対しては干渉する、となるとだんだん親子の間ですれ違いが発生してくる。


二つ目。
FranklinさんはOliviaさんと分かり合えなかったことをある程度割り切っているフシがある。
(もしかしたら娘が戻ってくる可能性もあるかもしれない家を壊したり引っ越そうとするあたり、もう戻ってこないという確信がある)
一方でYvetteさんはどこかでOliviaさんと別れてしまったことにやや後ろめたい気持ちがあるようだ。


三つ目・四つ目の考察と合わせて考える。


屋根裏部屋にいたのはおそらく、「両親に見てほしかったOlivia」。
そして財団が話したRebecca(Olivia)は、追い詰められてしまって素の状態が出せなくなっていた何か。
出奔したのはもう我慢できなくなったからで、その後消失したのは「両親がOliviaに注目してくれている」ことがわかった以上、Rebeccaの存在意義がなくなったからではないだろうか。
17である。まだまだなんだかんだで大人になりきれてない年齢であり、そういうときに小さいきょうだいに注目が行くのは流石に納得行かなかったのではないだろうか。
そして屋根裏部屋のOliviaは多分精神年齢は17のままである。


で、YvetteさんはOliviaさんに対して後ろめたい気持ちがあるからOliviaさんは素の自分を曝け出せた。
その素の自分はもはや親が思っている「Olivia」とはかけ離れていたのだろう。
他方でFranklinさんはOliviaのことは割り切ってしまっている(=注目を向けていない)ため見せられる状態ではなく、
故に追い返してしまっているのだろうと思われる。そのくせ捉え続けるのはすごく迷惑な話だが、そういう時期で止まっているのだから仕方ないのではないか。


ではなぜ、現在のOliviaは消えてしまったのか?


忘れがちだが、このオブジェクトの異常性を誘発するトリガーは、屋根裏部屋の中のオブジェクト本体を認識することである。
ただしこの他、オブジェクト本体が否定すべきと感じたものに対しては存在抹消が行われる。


インタビューの最中、Oliviaは恐らく、家出の時に感じたもの、オブジェクト本体である17歳の時の自分を、仕事に打ち込むことで目をそらし、忘れようとしていた過去の自分を思い出してしまった。それはつまり、SCP-2740本体を認識することに他ならない。


17歳の彼女は、ただ自分の信条や友人たちを認めて欲しかった。そんな彼女が、それら全てを忘れ、名前すら変えて平穏な生活を送る「未来の自分」を見てしまったら?


今現在のOliviaは、17歳のOliviaにとって、自分が認めて欲しい全てを否定した、最も見たくない現実である。


自分が認めて欲しかったものが、そこにはない。


望んだ未来が、そこにはない。


掴みたかった未来が、そこにはない。


あれほど欲しかった家族の愛が、そこにはない。


Olivia Leeとしての人生が、そこにはない。



だから、消し去ってしまったのだろう。




あくまでこれはひとつの考察である。
他にも幾つか考察ができるので、「こうは考えられないか」というのがあれば追記してほしい。


さて、最後にひとつだけ謎を残しておく。


この項目の元ページにはひとつの画像が付随している。
その画像は明らかにSCP-2740、件の屋根裏部屋である。
どうやらLee家のビデオカメラから回収されたようだ。


しかしこのSCP-2740の特性上、屋根裏部屋を撮影できるはずがなく、しかも撮影日も不明なのだとか。
一体いつ、誰がこの屋根裏部屋を撮影できたのだろうか?




そしてこの記事には、前日談というべきtale「リーへの道」が存在する……が、2019/3/3現在未翻訳である。









SCP-2740 - It Wasn't Thereそこにはない





SCP-2740 - It Wasn't There
by djkaktus
scp-wiki.net/scp-2740
ja.scp-wiki.net/scp-2740
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  • 謎が謎を呼び、謎だらけなSCP。薄気味悪さは天下一品 -- 名無しさん (2017-04-19 20:29:12)
  • ならばもし、「この家があるという事実」を知らずに「この家のある地域」に大規模な火事が起きたり竜巻が来襲したらどうなるのか。果たして完全なる偶然にこの屋根裏の特性は通じるのか。 -- 名無しさん (2017-04-19 20:41:03)
  • 不条理 この一言。 -- 名無しさん (2017-04-19 22:24:57)
  • 結局は両親の理想の「オリビア」が屋根裏部屋の中にいて、現実の「オリビア」=「レベッカ」と分裂した状態ということ? -- 名無しさん (2017-04-20 00:11:38)
  • ↑いや、両親の理想とはかけ離れた「何か」として(じゃなけりゃ「あれはOliviaではない」にならないと思って) -- 名無しさん (2017-04-20 00:21:27)
  • ちなみに某笑顔動画のzundaさんの考察はまた違うものだったけどあれはあれで面白いかも -- 名無しさん (2017-04-20 00:23:15)
  • なんか文章が読みづらい・・・ -- 名無しさん (2017-04-20 04:49:35)
  • ↑元々難解な上に翻訳が不慣れな人が頑張ったんだろうな・・・ってなる記事って結構多いよね -- 名無しさん (2017-04-20 08:04:32)
  • 長女のオリビアは本当にナイフを突きつけて壁側に二人を下がらせた・・・だけで済んだんだろうか・・・ま、そもそもそんな人物はいなかったんだけどね! -- 名無しさん (2017-04-20 16:51:48)
  • そもそもこのSCPの登場人物は本当にいるのか?出てくる人物全員がいるという認識障害ではないのか? -- 名無しさん (2017-04-20 20:31:00)
  • 入ると超怖い事が起こるが命に危険はない建物のSCPってJPだっけ? -- 名無しさん (2017-04-20 20:32:01)
  • 変な鳥肌が立つ、秀逸な気味の悪さがあるな -- 名無しさん (2017-04-20 22:21:31)
  • もし3000コンテストで出たとしても結構高得点だったんじゃないかなこの記事 -- 名無しさん (2017-05-05 23:17:58)
  • ↑3 SCP-849-JP【月並みな心霊スポット】だね。これも面白い記事 -- 名無しさん (2017-06-15 16:45:14)
  • 未翻訳のテイルがあるけど、それが何か手がかりになるんだろうか -- 名無しさん (2018-04-21 04:41:57)
  • これ自分は屋根裏にあるのは長女の死体だと思ってたな。出奔して財団が接触できたのは幽霊的な存在。財団とのインタビューが原因で自分が何者か思い出して屋根裏に「戻った」んでないかな。家族を捕らえ続けるのは自分殺した家族への復讐で、認識できないのは家族側の「長女を殺した」という現実からの逃避願望が長女の怨念パワーと融合してややこしい事になった結果…とか?でも記事内解釈も面白いよね。そして真相が何にしろ現在は両親のせいで長女がこの世から消滅しちゃった(少なくともまともに生きている状態ではなくなった)のが確定してるのが救い難くて薄気味悪い -- 名無しさん (2019-02-09 18:37:04)
  • なんか状況や名前に似通ってる部分があるけどSCP-2996とは何か繋がりがあったりするんだろうか -- 名無しさん (2019-05-21 00:28:53)
  • taleが翻訳されたけどいまいち意味がわからないから誰かまとめてくれ -- 名無しさん (2019-11-25 15:37:07)
  • 屋根裏部屋にたどり着くことは決してない それがSCP-2740だ -- 名無しさん (2020-06-10 15:41:10)
  • そこになければないですね -- 名無しさん (2021-04-01 16:41:19)

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*1 財団は高位の研究者が直接オブジェクトに触れることは基本的に許可していない。そのための一般研究員・フィールドエージェント・及び使い捨てのDクラスがいるのである

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