登録日:2016/11/28 (月) 01:02:35
更新日:2024/01/29 Mon 13:49:22NEW!
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龍が如く クロヒョウ ネタバレ項目 要潤 阿修羅 盲目 傷 占い師 予言者 野崎亮
運命は決まっている。仕方のないことなんだ
野崎亮とは、「クロヒョウ2 龍が如く 阿修羅編」に登場するキャラクターである。
CV:要潤
表向き(と言うのも組織の性質上おかしいが、)地下格闘技集団であり、実態は悪質な半グレの犯罪者組織である、阿修羅の整体師助手。
顔の両目から鼻の上方にかけて、かつて事故か何かに遭ったことを思わせる大きな傷痕があり、その見た目から推察出来る通り彼は盲目である。
鍼治療の腕前は超一流だが、それ以上に、ある筋では有名な占い師であり、その際立った的中率から「予言者」と絶賛されている。
財界人や政治家は大枚を叩き、頭を地面に擦り付けて、自分に確実に利益を齎してくれる彼の「予言」を賜ろうとしている。
ただ、その「幸運を齎す予言」とは大抵
「大枚はたいて占って貰ったら、その占いの通り『商売敵が突然消息不明になって大儲け出来た』」
等、きな臭いものが非常に多い。
重度のネタバレにつき閲覧注意
この僕を止められるものなら 止めてみてくれ…
阿修羅を完全に支配するために 必死に特訓して 僕は絶対的な力を手に入れたんだ!
野崎は、阿修羅の本当の首魁である。
連帯感も人情も無い阿修羅のチンピラが、その気質に反して高い統率性を持つ理由は、
中間管理職の秋田靖人の統率力に因るところも大きいが、
最大の要因は、阿修羅の犯罪行為の全てを野崎が立案し、一人一人の行動に至るまで計画書を練り上げているからである。
彼はこの犯罪計画書を便宜上「予言の書」と呼ばせており、下っ端にもなるとその実態を理解していないようだが、
実行する金城等の幹部格は彼の「予言」に全幅の信頼を寄せている。
……と言うより、その殆どが野崎に屈服させられた奴隷である。
当然ながら、予言の力なぞ、彼は一切持っていない。
彼が持つ真の特技は卓越した洗脳術、そして阿修羅を総べるために会得した中国拳法である。
【本編前の経緯】
幼い頃はあけぼの園という児童養護施設で育ち、常に本を読んでいる子供だった。
施設時代から、市川静香と言う少女を除いて他の児童とはほぼ交流も無く、その後大阪の親戚に引き取られるも上手く行かず、すぐに家出。
静香と落ち合って恋人になり、二人でひっそりと寄り添うように生きていた。
何とか生きていく為に、元々肝臓が弱い静香でさえ水商売で稼ごうとしたり、
二人だけで必死にもがくような生活を続けていたが、無理が祟って静香は肝臓癌を患ってしまう。
人生の全てだった静香を救う為に、野崎は犯罪行為に手を染めてまで必死に手術費を捻出した。
何とか手術を受ける目途が立って事なきを得たと思った矢先、よりによって警察官である鶴見という男が、
「自分の息子を助ける為に、医者に賄賂を払って、自分の息子が先に移植を待っていた患者を差し置いて生体肝移植を受けられるように順番を無理矢理改変」
したことで全てが狂わされた。
そうして、権力者の違法行為の所為で手術が間に合わなかった静香は、結局帰らぬ人となってしまった。
しかも、それで救われたのが親の金で違法カジノに入り浸り、人に話せないような犯罪行為を遊びで繰り返す人間の屑であった。
金も権力も無いというだけの理由で、真面目に生きていた静香が、不正行為によって当然のように死に追いやられ、
不正を働いた輩と代わりに生き延びた屑には法的な罰すら下さない。
世間の無常と、自分のような社会的弱者の末路を目の当たりにした絶望した野崎は、ただ静香の復讐を果たす為だけに、
他人を欺き陥れ、闘争に巻き込む怪物になる決意を固めた。
野崎の毒牙に最初にかかったのは、阿修羅の共同経営者と言える秋田である。
冤罪で逮捕された秋田を救った後に彼と話をしているが、その最初のコンタクトの際だけでも
「自分は偽証によって秋田を救ったが、正しいことを成すためには、犯罪行為も必要になる」
「社会のはみ出し者はどんな手を使っても力を手に入れなければならない。でなければ一生弱者だ」
「孤独であり何も持たないということは武器になる」
「腕力にしか自信が無いと言うが、自分はそれを活かす術を知っている。自分の言うことを聞いてくれれば悪いようにしない」
一見すると孤独な者同士が互いを鼓舞しているようにも見えるが、無論そうではない。
本当かは怪しい*1が、野崎は
「秋田の仲間達が心配してビラ配りをしていて、それで強盗事件を知った。自分は秋田達が事件の時間帯は練習しているのを見かけていて、秋田が無実なのも知っているから助けた」
と秋田に告げていた。
しかし、秋田を救うために野崎が実行したのは「金で偽証してくる人間を雇う」という行為だった。
「自分も秋田と同様に世間から信用されない弱者に過ぎない」という共感を高める効果もあるが、同時に、
「秋田を救った所為で自分も犯罪者になってしまった」という罪悪感を秋田に植え付けるようなニュアンスも込めて語りかけてもいる。
更に、上記の演説の通り、「秋田には信頼しあう仲間が既に居り『実際ビラ配りは功を奏した』」にもかかわらず
「秋田(のような人間)は所詮無力かつ孤独である」「真っ当な行為に意味は無い」とも吹き込んでいる。
なかなかに巧みかつ悪質な意識誘導の意図が窺える。
その後は、秋田の社会への敵愾心や失望を利用して、まず秋田と絆で結ばれた仲間達を切り離して秋田を孤立させ、
万事が全てこの調子で犯罪の片棒を担がつつ、あくまで秋田を阿修羅の首魁として表舞台に立たせ続け、
最終的には彼を野崎に隷属せざるを得ない、立派な犯罪集団の頭に仕立て上げてしまった。
この秋田という男は当時、実は静香が水商売の先輩であり親友として慕っていた女性の恋人でもあった。
静香が入院した後も見舞いによく着て、霊安室ではその死を悼んで泣いてくれた彼女には野崎も素直に感謝しており、彼と静香にとって恩人とさえ言えた。
その恩人の恋人である秋田を偽証してまで助けた所で留め、復讐のために身内に率いれるとしても『自分は秋田の恋人の亡くなった親友の恋人であり、自分の恋人の死因のように社会的弱者として転げ落ちていくのを許せず偽証してまで救った』と秋田に語れば美談にもなり得る*2が、
そんな男を凶悪犯罪者にまで故意に堕落させており、彼女は裏に野崎が居るとは知らないまま、
「恋人の秋田が、のし上がる為なら犯罪行為も重ねる人間へと変わってしまったことで、愛想を尽かして彼と破局した」
のだから、美談どころかホラーである。
後述の復讐の手口にしても残酷極まり無いが、この時の野崎は既に、恩人であろうが歯牙にもかけない人間になり果てていた*3。
【本編中の活動】
このように一切の手段を選ばず、慈悲も無い行動を断行し続けられた野崎は、
何時しか特に関西方面において大きな影響力を持つ存在となっていた。
かつて何の価値も無い孤児として自分を見下してきた権力者ですら、
確実に利益を齎す「予言」を授けてくれる野崎に縋りつき土下座も厭わない。
そんな環境で優越感や万能感に浸るうち、何時しか「静香の仇討ち」という大願すら野崎の中で重きを占めなくなり、
権力に溺れていった。
鶴見が神室町ベガス実現の為に協力を阿修羅に打診してきた時ですら、静香の仇討ちを捨てて
本気で鶴見と二人三脚で権力の階段を昇って行こうと思う程に、あらゆる面で堕落し切ってしまった。
そんな折、野崎は右京龍也に出会った。
栄光のボクシング世界王者としての将来を捨てて、危険を顧みず、自分を更生させたドラゴンヒートを守る為だけに戦う男。
その生き様を拳を通して示す龍也を、野崎は屈服させずにいられなかった。
野崎は様々な手を使って、下記の「預言」を龍也に告げて、それらを実現させようとした。
まず、当時阿修羅八部衆の沖田の手に掛かって重傷を負い、リハビリが難航していた龍也の後輩である信司の為だけに簡易的な鍼療所を用意。
柿崎に行ったのと同じような処置を信司に対して施して信頼を得つつ、龍也への敵愾心を煽る虚言を吹き込み続けて洗脳。
信司が一発でも殴られれば後遺症で死ぬ状態のままナイフを与えて龍也に嗾ける準備を整え、
「龍也が正当防衛せざるを得ない状況で、自分の仲間を自ら殴り殺す」と予言。
龍也と品原の試合と被るように金城に冴子誘拐を指示し、龍也の代わりに冴子救出を図った彼の仲間が金城に射殺される状況を造り出し、
「龍也が戦い続ける所為で周りが不幸になる」と予言。
眠らない街神室町への保安隊導入及び保安隊導入によって、短期間とはいえ神室町を機能停止に追い込み、
「龍也は帰る場所を失う」と予言。
そして、(一発目は空砲の)拳銃を
「阿修羅が売り捌いた拳銃に見せかけられるから足がつかない」
と称して鶴見に携帯させた上で龍也と鶴見を対峙させて、発砲してきた鶴見に逆上して
龍也が踊りかかってそのまま殴り殺すお膳立てをして、「龍也が殺人者になって幕を下ろす」と予言。
鶴見と共に神室町を自分が牛耳る為の、欲望塗れの神室町べガス計画を進行させる傍ら、
こうした様々な障害を用意して、真っ直ぐに戦い続ける龍也の心を折ろうと画策した。
しかし、
信司にタコ殴りにされようが刺されようが信司が落ち着くまで受け止めて宥め、
誠が死んでも、生まれ故郷の一斉摘発で神室町から灯りが消えようと立ち止まらず、
秋田率いる阿修羅八部衆すら退け、
誠を侮辱する鶴見を撲殺出来る状況でも自制して、鶴見を無力化するだけで済ませる。
自分が用意したあらゆる障害を乗り越えていく龍也を目の当たりにした野崎は、
今の自分の生き方が間違っていることや、抗えない運命など無いということを気づかされ、同時に鶴見への復讐心が再燃。
鶴見と龍也がドラゴンヒートの土地の権利書を巡り行うことになった交渉の場を利用して、
龍也が殺さずに澄ませた鶴見に追い打ちをかけるようにして、鶴見の息子に拳銃を持たせて、父親である鶴見の射殺を強要*4。
自身の息子に殺される恐怖を味わわせて愉しむ復讐を敢行したが、それすら龍也に阻止された。
一貫して自分の思い通りにならず真っ直ぐさを見せつける龍也に対して、
変わり果ててしまった自分に対するやり場の無い憤りをぶつけるようにして、
野崎は龍也に戦いを挑むも敗北。
そんな二人を狙い、精神的ショックから立ち直った鶴見は銃で射殺を試みた。
しかし、野崎は龍也を凶弾から庇いつつ、鶴見に対してこの復讐が二段構えだったことを告げた。
交渉が決裂して鶴見の護衛と龍也が殴り合う様から、鶴見が龍也を射殺し損ね、
龍也が正当防衛で鶴見を殴る様子、何から何まで、野崎が予めミレニアムタワー屋上に密かに
増設していたカメラで生中継されており、鶴見の命を奪い損ねても確実に社会的に殺すように
周到に準備を重ねていた。
その事実と、実際に自分の凶行がネットの動画サイトで流れていることを確認した鶴見は、絶望の余り飛び降り自殺。
あっさりと復讐は完遂されたが、結局野崎には何も残らなかった。
そんなやりきれなさを抱えきれないのか、堕落し切っていた自分に野望を捨てさせ、
今更人間性を呼び起こした龍也に対して、自分の心情を吐露しながら憤りをぶつけつつ拳銃を向けた。
しかし、そんな野崎に対してすら、龍也は理解を示した。
ドラゴンヒートの為に闘う前は、生き易そうな誰からも称賛される栄光の道に
妥協されるように流されかけていた自分と野崎を重ねて、
「野崎の人生を変えたことに対する責任として撃たれてやる代わりに、龍也を殺した後の自分の人生に腹を括れ」
と、龍也は野崎に言い放ってのけた。
堕落しきった自分すら真っ直ぐ向き合い受け入れる龍也に対して絶句し、野崎は自身の精神的な完敗を悟った。
自分があらゆる意味で間違っていたことと、最早後戻りも更生も叶わないと強く思い知った野崎は、手にしていた拳銃で自殺。
一連の事件の幕を下ろした。
結局何から何まで野崎に翻弄され、その命を救うことも出来なかったことに消沈し、
果たして自分の行いに意味が有ったのか思い悩む龍也だったが、共に事件解決にあたった竹中に
「鶴見の銃から龍也を庇った野崎の改心や、人を守ろうとした行いには大いに意味がある」
と諭され、龍也は決意を新たにまた歩き出したのだった。
【余談】
阿修羅は最近では「ただ戦いを求める戦闘狂」のようなイメージを持たれ易いが、
義のある復讐に固執して闘争の権化と化した神であり、善行と悪行を両方成した者が
死後に延々と妄執に囚われて争い続ける潤いと渇きに苛まれ続ける「(阿)修羅道」の主でもあるとも言われている。
野崎は、そうした意味で、まさしく阿修羅の体現者と言えるだろう。
心理学に基づく巧みな話術と共に洗脳に活用する道具でもある鍼治療の技術だが、
作中では本当に邪魔になった田中を除けば、怪我人の治療自体は真面目にこなしている。
静香の看病を経験したからか、病人・怪我人に対して治療をすることへの矜持は多少なりとも持ち合わせていたのかも知れない。
分かってる。記事は追記修正出来るんだ。ちょっと忘れちゃってただけさ
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- 本編一通り見てきたが、秋田がつかまったそもそもの事件もコイツが裏で糸を引いてたんじゃないかと思うようになってきた -- 名無しさん (2018-02-13 12:49:29)
- 鶴見といい青木といい神室町の都知事、犯罪者しかいないな -- 名無しさん (2021-07-11 06:34:51)
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*2 また、『秋田の仲間達のビラ配りは功を奏した』と言う所を『自分達はお互いの恋人が親友同士だった』という点を絡めて人の繋がりを強調し『秋田を偽証してまで救ってくれた存在』として秋田の仲間を配下に加えることも手駒を増やすと言う点でも有効な手段でもあった
*3 右京龍也の後輩・八代誠はあけぼの園の同窓生であり、自分を唯一いじめっ子から守ってくれた人間だった。野崎の頭脳なら当然記憶していただろうが、それでも本編中において、「(右京の心を折る為に)殺して良い人間」として指名し、部下の金城に実際に殺害させている。
*4 事前に裏カジノ入り浸りをはじめとした数々の犯罪の証拠を握った上で、「刑務所に一度入れば、今のようなだらけた生活は二度と出来ない。刑務所送りを逃れたければ、自分の命令を聞け」と脅しをかけていた。
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