幻獣の國物語

ページ名:幻獣の國物語

登録日:2013/03/07(日) 21:23:30
更新日:2023/12/14 Thu 11:07:16NEW!
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『幻獣の國物語』とは、90年代に漫画家の猫十字社氏が連載していた壮大なファンタジー作品である。
なお、この作品は他にも多くの人々の力を借りて作ったという意味合いで、“TEAM 猫十字社”の名義で出版されている。






【概要】

12年に1度開く地球と幻獣界を結ぶ扉を通り、両親の故郷・幻獣界に
旅行にやってきた夏芽は、突如観光先で勃発した戦争に巻き込まれてしまい、
その間に扉が閉ざされたために、幻獣界に取り残されてしまう。
なんとか両親の故郷であるフィローンに戻ろうとする夏芽だが、
幻獣界の国々をも巻き込む大戦争に翻弄されるなかで、
自らの過酷な運命を知ることになる。



「幻獣」というタイトルから、一見すると幻獣や魔法を中心としたファンタジー作品に見える。
だが実際はそれ以外もサイボーグもどきの人間兵器やら戦艦・オーバーテクノロジー兵器やらよく分からん謎技術が出るSFチックな要素に加えて、
主要登場人物の人間関係や心理描写が緻密に描かれており、現在の漫画と比較しても遜色ない完成度の高さを誇る。
物語も、シリアスな場面の緊迫感あふれるアクションシーンから、コメディ場面の愉快なやり取りなど飽きさせない展開ばかりであり、
いろんな要素がてんこ盛りに詰め込まれた作品である。



当時の少女漫画としてはほとんど異例の壮大なスケールで描かれていたファンタジー作品であり
元々、3部構成の作品として作られていたのだが掲載誌廃刊により第1部完の時点で打ち切りとなった。
その後も、出版社との問題やら何やらの事情で再開の目処は立っていない不遇の名作である。
そのため、ファンからは再開を強く望まれている。





【登場人物】

★主要登場人物

  • 夏芽

主人公の少女。地球での名前は背黒夏芽。フィローンとスクレロスの王家の血を継いでいるが、生まれも育ちも地球の日本。
性格はポジティブで心優しい。
全ての動物や幻獣を従わせる能力を有しているが、詳細は不明。



  • ラーオ

夏芽と共に旅する雌猫。人語を話せる。最強クラスの実力を持つ「契約の猫」という幻獣であり、「赫きの矢(ライトニング・ミサイル)」
などの強力な攻撃を行使できる。弱点は水。



  • 高麗

通称コマちゃん。「秋津犬」と呼ばれる幻獣の最後に生まれた個体。まだ幼態だが、多少は力を使える。夏芽をマスターとして、主従契約を結んでいる。
とある特殊な使命をもって生まれた。



  • タイト・アルバ

フィローンの竜騎士。フィローン大公の命令で夏芽の護衛任務につく。学校での成績は散々だったが非常に悪知恵が働き、
「裏技小僧」の2つ名を持つ。



  • ストリクス・ネブローサ

代々竜騎士を出しているフィローンの名家ネブローサ家の三男。タイトとともに夏芽の護衛任務につく。
学校では成績優秀の優等生だったとのことで、生身の実力も非常に高い。



  • 斎槻(ゆつき)

秋津の双子皇子の次兄。内装兵器という魔力で動く兵器を体に埋め込んでいるサイボーグ。
初期は粗暴で残酷な面があったが、夏芽と和解してからはタイト&ストリクスと組んで3馬鹿トリオと化した。
ちなみにイケメン。それに女好き。劇中でたびたび女を抱いている。
もげろ



  • 蘿(ひかげ)

秋津の双子皇子の末弟。斎槻と同じく内装兵器という魔力で動く兵器を体に埋め込んでいるサイボーグ。
性格は冷静。だが、実は怒らせると一番怖い。
初期は排他的だったが、夏芽との出会いで感化され、彼女に惹かれていき、ついには結ばれる。
爆発しろ



  • 柃(ひさき)

秋津皇子の長兄。本来は三つ子として誕生したのだが、脳髄が欠けていたために体を双子に移植される。自身は魂と力を双子の魔眼に宿して活動し、
秋津の裏の支配者として行動していた。世界を制覇すべく夏芽を言葉巧みに篭絡しようとするが、双子皇子によって邪魔された上に、夏芽は末弟に
NTRてしまった。それ以降は使い魔を夏芽そっくりに変えて思い通りにして自分を慰めている。
ザマァwww





★八大王家

◎【フィローン】

夏芽の父・トージュの故郷。トージュが死を偽装して地球に逃れたため現在国王の座は空席で、夏芽の祖父であるセージュテスが代理で統治している。
最強の守護聖獣である竜とそれらを操る竜騎士を従えている国家だが、竜はフィローン国内の『竜の谷』にのみ存在する「竜瑙」を1日2回は摂取しないと死んでしまうため、
遠出することができず、他国に攻め入ることは無い。
王族は風精霊の加護を受けている。



  • セージュテス・テオン・セグロ

夏芽の祖父。王族の能力である風の精霊を操る力を持っていないため、王を名乗る事はなく大公として執政を行っている。
能力を持たない代わりに格闘術を取得しており、老齢ながら武装した兵士を素手で倒す戦闘力を持つ。



  • トージュテス・テオン・セグロ

夏芽の父親で、セグロ大公の息子。数世代空席だった『聖竜騎士』の称号を受け継いだ、フィローンが待ち望んでいた王であり「幻獣界を救った英雄」と言われている。
なんらかの理由により自分達夫婦の死を偽装して、異世界である地球に身を隠していた。地球では眼鏡のサラリーマン。
ほとんど回想のみの登場であるが、セージュテスによれば、クーデターに巻き込まれた夏芽を置いて帰ることができず、扉が閉ざされてもなおフィローンに留まりつづけることを選んだらしい。



  • 六樹

夏芽の兄。地球での名前は背黒六樹。



  • スユフィーン

タイトの騎乗竜。外伝に登場。
フィローン最速の雌竜だが、気性が荒く気が難しい。
タイトとのコンビで、上昇能試験において歴代11位のタイムを記録している。



  • ミストリオン

ストリクスの騎乗竜。外伝に登場。
ストリクスの兄・アルゴリウスのパートナーだったが、災害のために目の前でアルゴリウスを失い、精神に支障をきたして幽閉されていた。
だが、諸事情でスランプ状態のまま失踪して彼のねぐらに迷い込んだストリクスと運命的な出会いをしたことで、彼の止まった時間は動き始めた。





◎【ボマレア連合王国】

幻獣界最強の軍事国家にして、最大の国土を有している。
本来、王族は暗黒精霊の加護を受けていたが、聖樹を軽視したためその力は弱まっているらしい。



  • アトレイデス・ディフィルラ・ヴァン・ローランディエ

第23代ボマレア王。異母兄である先王を殺し、たった三日でボマレアを手中に収めた猛者。
非常に高い身体能力を持ち、魔法使いとも生身で渡りあう実力者。
政策は強引だが、これはかつて愛しい女性を失ったことが起因で、根っからの野心家というわけではない。



  • ウィティス

アトレイデスの側近。



  • 方王

ボマレアの科学者。声帯・視力を損失しており、チューブでつながれた側近を連れている。
アトレイデスとはお互いに利用しあっている関係。



  • ミーア

アトレイデスの初恋の相手であり、死亡した女性と同じ名前・外見をした少女。
クローンなのか蘇生体なのか、あるいはもっとややこしい何かなのかは不明。



  • アルビナ

通称は『パロミロのアルビナ』。幻獣『火焔犬』を操るボマレア軍特殊部隊部隊長だったが、
火焔犬を殺された私怨から軍部を脱走して、独自に夏芽を追っている。
あらすじに「偏執狂」と書かれるほど、とにかくしつこい。





◎【ラベンデュラ】

国王母はいるが、実質は貴族と商人ギルドが運営している国家。正統王家は200年前にギルドの策略によって滅び、血族は各国に逃れている。
王族は水精霊の加護を受けている。



  • ラスティカ

ラベンデュラ王族に仕える亜人種・カンのリーダー。カンは生まれた時から魔術的にラベンデュラ王族に逆らえない呪を持っているため、
ボマレアによるラベンデュラ強襲に乗じて行方を晦まし、一族が解放される方法を模索している。
元より人間より能力が高いカンだけあって、身体能力・回復力は超人的。



  • プルタルコ・ピラト

ラベンデュラを事実上運営している商人ギルドの代表者。
戦闘力は皆無だが、政治力はそれなりのものがある。




◎【秋津】

海に囲まれた小国であるが、三千年前に世界征服を成し遂げた国家。科学技術は他国以上の水準。
反王室派が可陀と組んでクーデターを起こすが、体よく利用され実質的に可陀の支配下に置かれた。
王族は冥精霊の加護を受けていたが、無名王の台頭以降科学に傾倒したため、使い手はいなくなった。



  • 犬甘筺

秋津皇室親衛隊隊長。黒牙流というカウンター剣術の使い手。
双子皇子への忠誠心は本物だが、柃の暗躍のせいで、双子に罪悪感を感じながらも密かに柃に仕える羽目になる。



  • 泉耶(すずや)

秋津国122代女皇。三皇子の母親であり、実兄の賢希と近親相姦の末に、皇子達を産んだ。
出産直後に死亡するが、秋津国の科学技術で「女皇の箱」と呼ばれるサイボーグ的な形で蘇生を果たした。
初期は、予言能力を持つ柃にのみ愛情を注ぎ双子には目もくれないネグレクトな母親の振る舞いだったが、
それは生身の体を失い育児もできず、彼女自身が母親として接することがもはや不可能だったのが原因で、愛情が無いわけではなかった。



  • 香耶

双子皇子の異父兄妹。新生秋津を名乗るクーデター派により、統利帝と政略結婚をさせられる。
戦闘の腕や政治的な手腕とは全く無縁な箱入り娘であることは、本人が自覚している。
気性が荒い部分が双子皇子とよく似ている。



  • 小萩

秋津で商売を営んでいるタイトの異母姉。
軍人ではないはずだが、特殊部隊の工作員とまともに渡り合えるほどの実力者。



  • 燧石

秋津犬のなかでも特に強大な能力を持つ個体で『大祖父(グランパ)』の異名を持つ。
高麗の父親。



  • 辰沙

秋津犬のなかでも特に強大な能力を持つ個体で『大祖母(グランマ)』の異名を持つ。
高麗の母親。本編開始時には既に他界しているが、限定的な条件下で高麗の口を借りて話すことがある。



  • 藍銅

秋津犬。普段はかつてのマスターだった和煦諒王の姿をとっている。
数少ない秋津犬のなかでも、抜きんでた自我の強さと力を持つ。



  • 無名王

時系列的に3000年前の人物。呪殺を恐れて顔も名前も隠していたため無名王と呼ばれていた。
突然秋津に現れ王室を乗っ取り、数年でスクレロスとフィローンを除いた全世界を征服したが、
何らかの実験をしていた際に、冥皇樹の爆発に巻き込まれて行方不明となったらしい。





◎【シグリット】

若干治安の悪い国。地理的な関係で、可陀が秋津を支配するまで戦争とは無縁だった。
王族は樹木を司る牛精母の加護を受けている。



  • クイントス・ユーレリオ・シンマック

シグリットの王。温厚で気が弱いな老人だが、植物に干渉する精霊魔法で兵士を翻弄するなど、肝が据わっている。





◎【スクレロス】

国王を持たず、代表儀官が誠治を行う国家。現在の代表儀官はアシュヴァーシャ。
その証拠に、他の国家が必ず持っているor持っていた守護聖獣や守護精霊が存在しない。代わりに、上空に浮かぶ「門番の月」の加護を受けている。



  • マリカ

夏芽の母。『美姫』の呼び名を持ち、トージュテスとともに幻獣界を救ったらしい。
相手の知覚に働きかけ判断力を操作する『調和』の能力の近い手だったらしい。
現在は様々な不都合を承知の上で、夫や息子とともにフィローンで夏芽を待ち続けているらしい。



  • アシュヴァーシャ

スクレロスの代表儀官。マリカの伯母。





◎【ピクタ】

砂漠に囲まれた国家。
王族は火精霊の加護を受けている。



  • ミトリダテス138世

ピクタの国王。『火焔首座(ファンネルマスター)』の称号を持ち、強力な火の精霊魔法を使用するが、
過度の戦いで疲労して不覚をとったり、相性最悪の敵になすすべなくやられたりと、かませ臭もすごい。
激情家だが、不義な行動を激しく嫌うなど、良識的な人物である。





◎【可陀】

海戦を得意とし、その艦隊は他国から『無敵潜水艦隊』とまで呼ばれている。ボマレアとは犬猿の仲。
王族は雷精霊の加護を受けている。



  • 統利

可陀国の皇帝。劇中では基本的に統利帝と呼ばれる。
世界制覇を目指し、秋津の反皇女派を利用し秋津を手中に収めると同時に、会議に出席した他の国の王家を粛清しようとした。
野心家だが、敵であっても自分が認めた者には利他的な行動を取ることもある。
雷の精霊魔法の使い手。生身の戦闘力も非常に高いが、これは幼少時に長生きは望めないと言われた虚弱体質だったため、
克服すべく鍛えた結果らしい。鍛え過ぎだろ。



  • 上皇

統利の父で、可陀の先帝。皇位を手に入れるために自分の兄弟27人を皆殺しにした、冷酷かつ非情な人物。
現在は不老不死の研究に取りつかれ、実現すれば統利をも用済みとして始末する気でいる。





★その他


  • 犬皇剣

無名王が造り出した人工精霊。
人間の命をエネルギーとし、犠牲が多ければ多いほどその力を増し、一度出現したら3000人の命を捧げねば鎮まらない。
無名王の統治時代に多発した謎の災害は、犠牲者の命で犬皇剣を強化するためだったといわれている。
現在は何らかの理由で、夏芽のなかに封印されている。






【用語】

  • 幻獣界

地球とは異なる世界。
人間や亜人種が暮らす「人間界」、多くの幻獣やその原種が暮らす「聖獣界」、死者の国である「冥界」に分かれている。



  • 秋津犬

秋津国の守護聖獣。個体差はあるが、外見はオスがシェパード・ドッグに近く、メスは狛犬似ている。
誕生直後に契約する名付けの導き手(人間のパートナー)を得られなければ死ぬため、守護聖獣と契約できる秋津王族の存在が不可欠(成体に成長した個体はその限りではない)。
秋津王族でないのに主従契約を結んだ夏芽は例外中の例外。



  • 契約の猫

幻獣界最小にして最強と謳われる幻獣。契約を絶対視し、一度結んだ契約は命を懸けてでも遂行する。
見た目は現実の猫そのものだが、強力なバリア、分身精製、人間を一瞬で蒸発させる『赫きの矢(ライトニング・ミサイル)』など、強力な戦闘力を持つ。



  • 精霊魔法

各国の王族のみが使用できる、自身の霊力で魔法を行使するのではなく、自然界に存在する精霊を使役する普通の魔法とは異なった系譜の魔法。
魔法の力を持たないセージュテスを見ればわかるように、王族だからと言って必ず使用できるとは限らない。
守護聖獣や聖樹の加護が必要であり、それらを失えば子孫に受け継がれる力も弱まるらしい。



  • 守護聖獣

人間と契約を結ぶ特殊な幻獣。



  • 貝(シェル)

戦艦として使用される幻獣。
飛行貝(フライ・シェル)などの種類がある。



  • 聖樹

各国にそびえ立つ霊木。
意思を持ち、その意向には全ての人間と幻獣が従わなければならないとされている。







追記・修正は12年に1度だけお願いします。



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